11/04/03 明治座五月花形歌舞伎記者懇親会レポ
2011年4月3日(日)
明治座五月花形歌舞伎 記者懇親会レポ
なんと16年降りの、明治座での歌舞伎上演です!
凛とした空気の中、金屏風の前に並んだ
(左から)中村七之助さん、市川亀治郎さん、市川染五郎さん、中村勘太郎さん。
4名が揃うとすごい若々しいオーラ!
ノーメイクの七之助さんのお肌がきれいなこと…
勘太郎さんは初の明治座です!
5月3日(火)から27日(金)まで上演の本作。
まずは見所をご紹介しましょう。
<昼の部>
三大名作のひとつ『義経千本桜』より、
両親に等しい初音の鼓を慕う仔孤の姿に人間の親子の愛情を重ねて
描き出した名場面を早替り・宙乗りなど
ケレン味溢れる『川連法眼館』。
亀治郎さんが初めて狐忠信を演じるところがみどころです!
『蝶の道行』は、儚く世を去った男女が蝶の姿となって舞い踊ります
染五郎さんと七之助さんによる夢幻的な踊りがみどころ!
そして『恋飛脚大和往来』より上方和事の名作『封印切』。
初役で勤める勘太郎さんの忠兵衛に、七之助さんの梅川、
染五郎さんの八右衛門というなんとも華やかな顔ぶれ!
公金三百両の封印を次々と切って行くところがみどころ!
<夜の部>
『怪談牡丹灯籠』は、牡丹灯籠を手に現れる女の幽霊、
そして人間の業の恐ろしさを描いた三遊亭円朝の怪談噺を元にした作品。
染五郎さんが新三郎と初役の伴蔵、七之助さんがお露と初役のお峰という
二役を勤めるところがみどころ!
『高坏』は、下駄のタップという趣向が楽しい軽妙洒脱な踊り。
次郎冠者を勘太郎さんが演じます。酔って転げそうになりながらも
巧みに下駄で拍子を取って踊るところが最大の見せ場!勘太郎さん、
この役は二度目ですが、明治座の舞台に上がるのは
4人の中でただ一人初めてでいらっしゃるとのこと。
この日も製作発表中、余震がありました。
3月11日に起きた大震災の
傷跡が癒え切らない中、舞台に立ち続けることへの葛藤を
各々言葉にしていらっしゃいました。
<市川染五郎さん>
「果たして本当に夢を見せられているのかを考えました。
それってたいへんなことだな、たいへんな責任であると…
それができて初めてやることを許されるものなのかなって考えました。」
<市川亀治郎さん>
「明治座はおじの猿之助のホームグラウンド。猿之助歌舞伎の新作を次々と生み出した場所。
猿之助四十八選の洗い直しができたらなと…その一回目が明治座というのはうれしい。
やるとなった以上はやるしかない!粛々と自分たちのやるべきことをやっていく!」
<中村勘太郎さん>
「自分のいる場所で、やるべきことをやって、必要だと思っていただけることを信じて
やります。」父である勘三郎さんの様子を「心を痛めています。昼だったら
表で照明も使わずに何かできるだろう…と言っています。」と報告されていました。
<中村七之助さん>
「自分のやるべきことを一生懸命やらなくてはいけないと思います。
被災地が落ち着いたら、自ら足を運んで向こうで舞台を見ていただきたいなと思います。
古代、ヨーロッパでは、悲しんでいる人には喜劇を見せて病気を治したりしていたそうで、
…舞台にはそういうパワーがあると思います。
心の中で迷っていたら自分が死んでしまうと思うので、
一生懸命やっていい役者になって落ち着いてから
被災地の方々に見てもらいたいと思います。」
歌舞伎は生声、生演奏。
マイクも音響も電気を使わずにできるパワーあふれる舞台。
省エネルギーでも、観る人にはたくさんのエネルギーを
届けてくれる明治座五月花形歌舞伎、ぜひご観劇下さい!
<おけぴ講義付観劇会のご案内>
2011年5月23日(月)夜の部(16時公演)
当日ご観劇前(14:45-)に、東大で歌舞伎研究をされていて歌舞伎入門本も執筆されている
古井戸秀夫先生によるわかりやすい歌舞伎講座付きで観劇会を企画いたしました。
歌舞伎初心者の方も、そうでない方も、この機会に、是非ご参加・ご観劇ください。
おけぴ取材班:nats、おけぴ管理人 撮影:おけぴ管理人