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2011年11月 アーカイブ

2011年11月06日

11/11/06 「天守物語」@新国立劇場

2011年11月6日(日)13:00
「天守物語」@新国立劇場 観劇レポ

高さと奥行のある驚きの舞台セット、
そして伝統的な「和」の美しさのようでありながら、モダンで独特の発想が見事な衣裳、音楽。
豪華な出演者の皆さんの口から発せられる美しい台詞の数々。
クラクラとめまいがするような美しくも妖しい泉鏡花ワールドを堪能してまいりました!

天守夫人・富姫を演じる篠井英介さん(上の写真中央)。
天守の主人として懐の広さを感じさせる演技と、
恋に落ちた後の繊細な表情に惹きつけられます。
そして手描き、手染めで仕上げられたという衣裳の美しさ。
富姫の着物の背中部分、鮮やかに描かれた鳥の模様が斬新。
薄役の江波杏子さん(上の写真右)や、
葛役・粟田麗さんの衣裳もそれぞれ役柄に合わせた模様が美しいです!
康本雅子さんの振り付けや所作と相まって、そこに広がるのはまさに「美」の世界。
役者さんが舞台上で動くたびに聞こえる衣擦れの音にもうっとりです♪
(この写真でも少しお分かりいただけると思うのですが、
皆さんが立ち止まるたびに着物の裾の部分が美しく丸くなっています。きれい♪)
素晴らしい衣裳、美しい登場人物たち。眼福です。

「天守物語」の舞台は姫路・白鷺城の天守。そこに棲むのは魔界の者たち。
篠井英介さん演じる富姫、そのお友達の亀姫(奥村佳恵さん・上の写真右端)や
従者・朱の盤坊(坂元健児さん・上の写真右から2番目)もみんな妖かしの者、つまり「妖怪」です。
写真で奥村佳恵さんが手にしているのは、富姫へのお土産の生首(!)。
このお土産をきれいに「掃除」する舌長姥(田根楽子さん)の怪演、舞台でぜひご注目を♪

そんな凄まじい妖怪ぶりをみせつつも、
印象に残るのは人間よりも人間らしい心を持っている妖怪たちの真っ当さ、そして愛らしさ。
泉鏡花がこの作品に込めた想いが台詞の端々から感じられます。

魔界の住人である富姫と恋に落ちてしまう鷹匠・姫川図書之助を演じる平岡祐太さん(上の写真左)。
鏡花の言葉を借りるなら「お涼しい」心の持ち主・図書之助が、
魔界と下界の間で揺れる姿を繊細に表現。
刀を持って戦う姿も凛々しく、平岡さん大好演です。
セリを多用した、動きと奥行のある舞台を図書之助と討手たちが
縦横無尽に走り回る殺陣のシーンは必見。みているだけでヒヤヒヤするような高低差!
新国立劇場の中劇場は「中」と言いながらも約1000席の大きな劇場。
今回のセット(美術は小竹信節さん)では特にその奥行と多彩な舞台機構を楽しめますよ♪

人間の討手たちに囲まれた富姫と図書之助の運命は果たして・・?
(写真右は近江之丞桃六役の小林勝也さん。)

劇場のロビーでは、作者泉鏡花の生涯や物語に登場する妖怪たちの紹介パネルが展示中。
こちらをチェックしてから観劇すると、より深く天守物語の世界を楽しめそうです。
さらに白井晃さんの演出、物語冒頭にあっと驚く試みが。
開演に間に合うよう、お時間に余裕を持って劇場に向かうことをおすすめします。

上演時間は休憩なしの1時間50分。
まるで夢の中にいるような、不思議な時間を過ごせる「天守物語」は
11月20日(日)まで新国立劇場中劇場にて上演中。

「天守物語」
作:泉鏡花
演出:白井晃
出演:篠井英介、平岡祐太
奥村佳恵、村岡希美、関秀人、関戸将志、坂元健児
小林勝也、田根楽子、江波杏子、他

公演特別サイトはこちら
新国立劇場webボックスオフィスはこちら



おけぴ取材班:mamiko 監修:おけぴ管理人 写真提供:新国立劇場 撮影:谷古宇正彦

2011年11月12日

11/11/12 江戸の青空(弐) ゲネ&初日レポ@世田谷パブリックシアター

2011年11月12日(土)
「江戸の青空 (弐)」~惚れた晴れたの八百八町~ ゲネ&初日レポ
@世田谷パブリックシアター

古典落語の面白キャラたちが入り乱れての大騒ぎ!

2009年の第一弾「Keep On Shackin'」に続いての
第二弾は「惚れた晴れたの八百八町」。

今回は人気落語の恋愛モノがあれこれミックスされて、一つのお芝居になっています!
登場する主な落語は、
「刀屋(おせつ徳三郎)」「宮戸川」「夢の酒」「紙入れ」「三年目」「駒長」「締め込み」「短命」「唐茄子屋」!

「刀屋」の徳さん、おせつちゃん、「三年目」の夫婦、
あのお噺のあのキャラクターたちが話芸の落語の世界を
飛び出して江戸の町を駆け回り、
違和感がないどころか、抱腹絶倒で繋がっていきます!

登場する濃~いキャラクターを演じるのは、
芸達者なさまざまなジャンルから集まった濃~いキャストさん。

まずは、くっつくようで、なかなかくっつかない
甘酸っぱい物語の主人公のお二人、
徳三郎(坂東巳之助さん)とおせつちゃん(朝倉あきさん)。

歌舞伎役者の坂東巳之助さん、徳さんの憎めないキャラを好演!
「しっかりなさい!頑張れ」と応援したくなる徳さんです。

朝倉あきさん(初舞台!)のおせつちゃんは、勝ち気で芯がしっかりしてて、
でも徳三郎にやきもきする姿が愛らしい♪

そして!
複数キャラクターを演じまくる濃ゆーいキャストさん達!

キッチュの名でもお馴染みの松尾貴史さんはどこからが
アドリブでどこまでが台詞かもうわからないほど変幻自在。
七変化っぷりや小ネタぶりはまさに名人芸!
(彦六さんとの場面での、あのお盆バックパス!一瞬ですのでお見逃しなく!)

花組芝居の植本潤さんは奉公人の小僧さんを演じる場面では本当に子供のよう!


( 左から 戸次重幸さん、真ん中が植本潤さん、右は朝倉あきさん)

落語家の柳家花緑さん演じる年増女のインパクトたるや…?!?!

↓↓

日頃は話術で演じ分けるお役を、老若男女、体を張って演じる花禄さん
演じられてるお姿がとっても楽しそう!!


(左が柳家花緑さん、右が松尾貴史さん)

徳三郎に相談を受けていたはずの、長兵衛(戸次重幸さん)とお駒(松永玲子さん)の夫婦。
戸次さんの江戸っ子気質なきっぷよさに惚れ惚れ。そして肉体美!?
松永さんの亭主をたてているようで、足蹴にもしているようなお駒が見事です!
松永さんのいろんな方の奥さん役、どれもこれも、楽しすぎて見逃せません!

そして二枚目どころを一身に背負う吉野圭吾さん。
普段はなかなか拝見することのできない和服姿も!
切れ長な目とカツラがベストマッチ!

そうそう、柳家花緑さん、戸次重幸さん、吉野圭吾さんは
初代宝塚BOYSのメンバーでもありますね。

アドリブ満載もりだくさん!
いったいどこまでがネタで、どこからがアドリブか!

落語の元ネタをよくご存知の方も、そうでない方も、笑いの絶えない作品です。
多いに笑い、笑っているうち気づいたら、
肩の力がゆる~くぬけていると思いますよ!

この写真のように飛び跳ねたくなるくらい、楽しいですよっ!
(楽しすぎてカメラのフレームから飛び出てしまいました)

まさに恋は盲目!
つっぱしってしまったり、勘違いしてしまったり、
嫉妬してしまったり、臆病になってしまったり、
誰にでも覚えのある恋経験!
とはいうものの、人ごととして見ると、これほどおもしろいことはございません!

なにはともあれ、見なきゃ損!な、人情娯楽芝居です♪

脚本は"猫のホテル"主宰の千葉雅子さん、演出はG2さん。
出演は、坂東巳之助さん、
植本潤さん、松永玲子さん、戸次重幸さん、朝倉あきさん、吉野圭吾さん、
柳家花緑さん、松尾貴史さん。

世田谷パブリックシアターの客席の天井もまさに”江戸の青空”ですよ!!

公演は
2011年11月12日(土)~11月20日(日)まで世田谷パブリックシアター(東京公演)。
2011年11月24日(木)電力ホール(仙台公演)、
2011年11月26日(土)・27(日)シアターBRAVA!(大阪公演)、
2011年12月6日(火)倉敷市芸文館(倉敷公演)、
2011年12月7日(水)さくらぴあ 大ホール(廿日市公演)、
2011年12月9日(金)~11日(日)北九州芸術劇場 中劇場(北九州公演)、にて全国公演。

出演者全員によるアフタートーク付きの公演も♪
詳しくは公式ホームページをご参照下さい。
また、FM世田谷の「シアターF」で11/2に松永玲子さん、吉野圭吾さん、植本潤さんが
ご出演された爆笑トークオンエアがこちらでノーカットでお聴きいただけます


おけぴ取材班:ayano、chiaki、おけぴ管理人 撮影:おけぴ管理人

2011年11月15日

11/11/15 「みんな我が子」稽古場レポ

2011年11月15日(火)15:00
アーサー・ミラー作/ダニエル・カトナー演出
「みんな我が子」稽古場レポ

長塚京三さん、麻実れいさんをはじめとする
実力派キャストの皆さんの素晴しい演技にぐぐっと引き込まれ
思わずメモを取る手が止まってしまうほど白熱する稽古場!


写真左から柄本佑さん、長塚京三さん、麻実れいさん

伊藤美代子さんによるテンポのいい新訳と、
ブロードウェイ仕込みのダニエル・カトナーさんの「伝わる」演出で
物語の世界にあっというまに入りこんでしまいました!

過去の秘密、それぞれの想い、
誰もがわだかまりを抱えながらも幸せを求める濃密で歪んだ家族の姿。
ギリシャ悲劇を模したアーサー・ミラーの戯曲は
時に残酷なまでにみじめな「生身の人間」の姿をあぶりだします。

心に大きな秘密を抱えつつも良き夫、
そして強い父親として振舞おうとするジョーを演じる長塚京三さん。
息子とその恋人を前にはしゃいでみせる姿が何とも言えない悲哀に満ちていて胸に迫ります!

稽古場に響き渡る麻実れいさんの「声」。
ひと言でその場の空気を変える存在感!
戦争に行ったまま帰らぬ息子を待ち続ける母親の役、
抑えた演技の中にもにじみ出る心の葛藤が、
見ているこちらにまでぐぐぐっと伝わってきます。
(美しい仕草のひとつひとつに見とれてしまいました!)

宝塚の大先輩である麻実れいさんとの共演に
「夢のよう」と語る朝海ひかるさんが演じるのは、物語のカギを握る女性・アン。

戦争で行方不明になった弟の恋人であるアンに想いを寄せるクリスを演じるのは、
作品ごとに全く違う顔を見せてくれる若手の成長株・田島優成さん。

誰よりも幸せを望んでいながらも
自分には幸せになる資格はないと感じているクリスがアンと気持ちを確かめあうシーン、
繊細な演技に見ているこちらもドキドキでした!
朝海ひかるさんの髪型もかわいい!)

お稽古を拝見していて印象的だったのは何よりも「伝わること」を大事にして、
ひとつひとつの動きにも「なぜそうなるのか」という裏付けを確認していく
ダニエル・カトナーさんの丁寧で細やかな演出。
アメリカ・ブロードウェイという
世界中の観客が集まる場所で培った信念のようなものを感じました。
丁寧に作り込んでいるからこその「分かりやすさ」。
翻訳劇特有の「引っかかり感」がありません!

アンの兄、ジョージを演じる柄本佑さん。
彼もまた心の中に秘密と謎を抱えています。
何を考えているのかわからず
「人なつこさ」と「暴力性」を同時に感じさせる柄本さんの演技。
独特の存在感に目が離せません!

ホロスコープ(占星術)に凝っているフランクを演じるのは加治将樹さん。
様々な人の運命を変えてしまった「戦争」に行かずに済んだフランク。
その存在が物語に何をもたらすのか。

柔らかな物腰の長塚京三さん。
演出のダニエル・カトナーさんと演技を確認していきます。
この作業を繰り返すたびに、いきいきと登場人物たちが動き始め、
目の前で物語が立ち上がっていきます。

第二次世界大戦後のアメリカを舞台に、
大きな「秘密」の周りで歪んでいく家族の物語。
悲劇的な重いストーリーですが、印象的だったのは笑いが絶えない稽古風景。
かみ合わない登場人物たちの会話に妙な面白味もあり、
ただ重いだけでなく、軽妙な俳優さんたちの持ち味や
演技のキャッチボールも楽しめます。

今回の取材ではご紹介できなかったのですが、
この他に隆大介さんや山下容莉枝さん、浜崎茜さん、
子役Wキャストの坂口湧久くん、鈴木知憲くんもご出演。
堀尾幸男さんによる美術も、これまで上演されてきた「みんな我が子」とはひと味違うとのこと。

アーサー・ミラー作/ダニエル・カトナー演出の「みんな我が子」は、
12月2日から18日まで新国立劇場小劇場にて、
12月20日から21日まで大阪・サンケイホールブリーゼにて上演予定。

<ものがたり>
舞台は第二次世界大戦後のアメリカ。
ある家族の裏庭での一日の出来事。
自らが戦争中に犯した過ちを正当化し、
真実が明らかになることに怯えながらも強い父親・夫として
存在するジョー・ケラー(長塚京三さん)。
夫に従順でありながらも、戦争で行方不明になった
息子の死を受け入れる事が出来ない妻・ケイト(麻実れいさん)。
ある日、ジョーのもとにかつての仕事のパートナーの娘であり、
行方不明となった息子の恋人であるアン(朝海ひかるさん)が訪れる。
円満にみえた家族生活、近隣との関係が狂い始め…。

おけぴ管理人によるダニエル・カトナーさんのインタビュー記事はこちら
製作発表レポはこちら


田島優成さんの陰がありながらも明るく振舞うアメリカ青年ぶりにキュン!

おけぴ稽古場取材班:mamiko、おけぴ管理人 撮影:おけぴ管理人

2011年11月17日

11/11/17 ロコへのバラード舞台写真付ゲネレポ@東京グローブ座

2011年11月17日(木)
アルゼンチンタンゴショー
「ロコへのバラード」@東京グローブ座
囲みレポ&ゲネレポ

現実と幻想が行きかう官能的なアルゼンチンタンゴショー「ロコへのバラード」!
キャストの個性と才能が舞台上でスパーク!
まったく新しい種類の興奮体験です!
お洒落で繊細でぐいぐい引き込む、まさに総合芸術な小林香さんの演出!


手前は彩吹真央さん、右後方はCHIZUKOさん

歌えて踊れて眼福なミュージカルキャスト達とスペシャリスト達の共演!!


囲み取材より。左から音楽監督の小松亮太さん、彩吹真央さん、CHIZUKOさん、石井一孝さん
二列目左から中河内雅貴さん、西島千博さん、宮菜穂子さん

激しいダンスを踊ったかと思うと
息も切らさず綺麗に歌い上げ、
テンションの全然違う役にすっと戻られる彩吹真央さん♪

囲み取材で「(今着ている衣装と比べて)想像を絶するほど地味!」
とおっしゃったマリアの服装も、70代のおばあさんの格好も、
真っ赤なダンス衣装もどれもお似合いでした!


(囲み取材での一コマ:左から中河内雅貴さん、西島千博さん、彩吹真央さん)

男女の絡み合いが激しいアルゼンチンタンゴですが、
意外なほどシャイな様子をみせた囲み取材でのCHIZUKOさんでした。
一転、舞台の上での妖婉さといったら素晴らしかった!
エロティックなのに清純という
相反するものが同居しているようなCHIZUKOさんの踊り!
CHIZUKOさんは2010年タンゴ世界選手権にて日本人初のチャンピオン)


HUGOさんとCHIZUKOさん

新たなる日本バレエ界の開拓者として活躍していらっしゃる西島千博さんは、
ピュアで無口な椅子職人というなんとも珍しい役。
振付けも担当されています。マリアとの関係もお楽しみに!

ストーリーテラー役は石井一孝さん。たくさん歌ってくださいます!
声量豊か、表情豊か、客席絡みもあり!
メガネ姿の石井さん。
ブエノスアイレスにある書店の店主で読書狂いのオラシオ役、とってもお似合いです。

踊り、歌い、ときに歪みながらも想い合う男女。
ショーとはいえ、ちゃんとお話があってストーリーテラーまでいるので
踊りに意味と流れがあるんです!

行き交う現実と幻想の中でキャストが何役も演じるのも見所のひとつ。


(左から宮菜穂子さんと中河内雅貴さん)


(左からHUGOさん、中河内雅貴さん、ホルヘ・ロペスさん、西島千博さん)

そして、是非ご紹介したいのが音楽監督の小松亮太さん!
アルゼンチンタンゴに欠かせないバンドネオンを日本に浸透させた小松亮太さん。
下の写真で、手に持っているのがバンドネオン、
"持ち運べるオルガン"として作り出されたものです。
14歳からバンドネオンを独学で身につけ、
88年には、あのピアソラとも共演されています!

50年代に日本でも大ブームとなったアルゼンチンタンゴの名曲
「ママ恋人が欲しいの」「小さな喫茶店」や、「ラ・クンパルシータ」「リベルタンゴ」
「ロコへのバラード」など新旧の楽曲をキンテート(五重奏)がライヴで生演奏♪

構成・演出・訳詞の小林香さんがブログにて
『今回のカンパニーに言えること、
キャスト・ミュージシャンが最高の面々であることはもちろん、
スタッフみんなの人格とプロ根性が素晴らしいことです。』
と書いていらっしゃいますが、
客席にいても、そういうカンパニーの結束力をビシビシ感じました。

公演は11/27まで東京グローブ座にて上演。大阪公演は12/13,14、金沢公演は12/15。
詳細は公式ホームページにて!


おけぴ取材班&撮影:nats 監修:おけぴ管理人

11/11/17 「お悩みはご一緒に!!」稽古場レポ

2011年11月17日(木)
「お悩みはご一緒に!!」稽古場レポ

都会のマンションの一室を舞台に繰り広げられる
ミュージカル・シチュエーションコメディ!!

2005年の初演、翌年の再演に続き、
豪華キャスト、更にパワーアップした楽曲での再々演!
期待高まる作品のお稽古場へお伺いしてきました。
この日はちょうど二幕のお稽古場面。

主人公の女性劇作家・森江留美役は、彩輝なおさん。
取材中、彩輝さんは、ほとんど舞台袖にいらっしゃったのですが、
自分をしっかりと持った留美にぴったりの歌声!が聴けました!!

そんな彩輝さん演じる留美がおかれている状況は・・・
迫ってくる台本の締め切り、
でも台本は一ページも書けてないっ!!
なぜなら、恋人の雅史にふられそうだから!
もう、そのことで頭がいっぱい!!

恋人・雅史を演じる岡幸二郎さんはさすがの存在感!
声が稽古場に響き、歌声が伸びますっ!!!
気持ちいいっ!!!

彩輝なおさんと岡幸二郎さん、
スタイル抜群のこのお二人のシーンは、
本番の楽しみにおっておきましょう♪
↓今回はチラシで我慢してください↓

光枝明彦さんは、主人公・留美を励まし叱咤する
"雑念ファミリー"のリーダー(お父さん)的存在の"80"(!?)を演じます
朗々と歌い上げつつ、よく聴くと微妙にとぼけた歌詞(笑)
思わず稽古場にも笑いが!

張りのある気持ちいい歌声の高谷あゆみさんは、
チャキチャキ元気な雑念キャラ、"50"を演じます。
(80に50、さて何の数字でしょう!?)


真ん中のすみれ色のTシャツが高谷さん

この"雑念ファミリー"と一線を画すのが、
留美の書こうとしている台本の登場人物たち。
土右衛門、野木田に静華、
そうかと思うと、中島くんに花沢さんそしてイイクラちゃん…
どこかで聞いたような登場人物のちょっと複雑な人間関係!

歌って踊り舞台をより一層華やかにしてくれるアンサンブルさんには、
数々のミュージカル作品でお馴染みの上野聖太さん、梶雅人さん、藤田光之さんのお顔も!
皆さん美声を響かせています♪

恋にキャリアに悩む女性の等身大のストーリーの中に
ゴージャスな歌やダンスが散りばめられて
次第に頭の中の妄想お助けキャラから
執筆中の芝居の登場人物たちも飛び出して
てんやわんやの大騒ぎ。まさにお悩みはご一緒に!状態。

自分らしく生きるってどんなことだろう、
そんなことを感じながら、
観終えたときに、ふっと気持ちが軽やかになるミュージカルです♪

脚本・作詞・振付・演出は工藤剛士さん。
作曲・編曲・音楽監督は坂知学さん。
公演は、2011年12月7日から11日まで紀伊國屋サザンシアターにて
公式HPはこちら
上演時間は、休憩15分含めて約2時間15分。

※アンナカレーニナでのメイド役が大好きだった福麻むつ美さんは、
今回拝見した場面には出番がなくて残念。神田恭兵さんもこの日は公演中でお休みでした。



おけぴ稽古場取材班:chiaki、おけぴ管理人 撮影:おけぴ管理人

2011年11月18日

11/11/18 CHESS IN CONCERT 安蘭けいさん、中川晃教さんインタビュー

2011年11月18日(金)
CHESS IN CONCERT
安蘭けいさん、中川晃教さんおけぴ管理人インタビュー♪

2012年1月26日から、ABBA作曲、ティム・ライス原案・作詞の
伝説的ミュージカル“チェス”コンサートバージョンに出演される
安蘭けいさん(フローレンス役)、中川晃教さん(フレディ役)のお二人にお話を伺いしてきました!

おけぴ管理人)
お二人は初共演ですよね、お互いの印象などお聞かせください

安蘭さん)
中川くんを初めて知ったのは「モーツァルト!」で、衝撃的でした。
”あ、こんな天才がいたんだな、こういう人が日本にいてくれて嬉しいな”と感じ
その才能に惚れ込みました。
同じミュージカルの世界にいながら、
同じ舞台に立つことが考えられないくらい、繋がっている感じがしなかったですね。

中川さん)
(恐縮しながら)そこまで言ってくださるなんて、本当に…

安蘭さん)
でもね、今日こうやってお話しして、あ、人間だったんだなという安心感が生まれました(笑)。

中川さん)
その“人間だったんだな”ってのNice!!

安蘭さん)
話せば話すほどツッコミどころもありそうですし、
私の人をいじりたい欲求を刺激する(笑)、人間的にも興味深い人です。

中川さん)
僕の安蘭さんの印象は…実は出会いが…(笑)
僕が楊先生(楊淑美(ヨウ・シュクビ)さん。多くの歌唱指導をされてます)を訪ねて
上海に遊びに行った際、
現地でオーダーメイドしたニットが、帰国までには出来上がらなかったんです。
すると、楊先生が、僕の帰国後に来る安蘭さんにニットを託すねと言ってくださり…
僕の返事は何を血迷ったか「はい、ありがとうございます!」。
そして後日、宝塚という住所から小包が届き、
蓋を開けたらそこからもう色んなことが判明し(笑)。
スターさんになんてことをさせてしまったんだ!!と。
そんな罪悪感いっぱいの始まりでした。

楊先生から安蘭さんのお人柄は聞いていたのですが、
実際に媒体で目にする安蘭さんは大スターさん。
この方に・・・と思うとあまりに申し訳なくてもう会えないと思っていました。

そして今年、「エディット・ピアフ」の初日、
安蘭さんが魂を込めて演じられたピアフを観て素晴らしい!
と感動したその気持ちと共に“あの時”はすみませんでした!
と気持ちを伝えに行きました。本当にすみません。

安蘭さん)
いえいえ、中川くんイコールニットだから(笑)、モーツァルトからのニットだから!

中川さん)
(笑)モーツァルトからのニット、そしてCHESSへ、まさに運命を感じる流れで!
なんかすみません、すごい強引な運命を感じてしまって(笑)。

安蘭さん)
こちらこそ、よろしくお願いします。

おけぴ管理人)
噂によるとCHESSにかける思いが中川さんとても強く…
だいぶ前からCHESSにご出演されたかったそうですね!

安蘭さん)そうそう、熱い想いがね(笑)
中川さん)今日も(インタビューが続き)ずっと熱い想いを語り続けているのですが、
安蘭さん)たぶん、もっと新しい言葉がどんどん出てくると思いますよ。
中川さん)
それだけこの作品が奥深いということなんです!!

ストーリーは、冷戦の時代、アメリカ人フレディ(中川晃教)と
ロシア人アナトリー(石井一孝)、二人のチェスチャンピオンの勝負のストーリー。
そこに、フローレンス(安蘭けい)という女性が関わることによって物語が大きく動いていく。
それがまるでチェスのゲームの様でもあり、それを音楽で絶妙に表現しているんです!

ABBA独特のスウェディッシュPOP、その要素に加えて、
アメリカ人の歌はロック、その内容も心の葛藤や感情をストレートに歌っています。
一方、ロシア側には芸術の街、孤高のロシアを感じさせる旋律があるんですよ。
ABBAがこういった音楽を書いていた、
しかもミュージカルを目的に作っていたことがわかった時に、
これは深いなと思ったのです。

「マンマ・ミーア」というABBAのオリジナル楽曲で構成されたミュージカルが
日本にも定着した今だからこそ、この「CHESS」に興味を持たれるお客様が多いと思います。
そして今回、コンサートとして上演できることになったのは、
コンサートとして成立するだけの楽曲の力があるということでもあるんです!
この世界を作りたい、やりたい!運命を感じました。これはやらないと!って。

おけぴ管理人)フレディという役については

中川さん)
CHESSの何役を目指していたとか、そういう感覚ではなく、
この作品の世界を作りたかったのです。
アメリカ人フレディにキャスティングされたたとき、
「あ、アメリカ人か!」と改めて目標が見えました。

おけぴ管理人)安蘭さんは、中川さんとは初共演ですね

安蘭さん)
作品の内容は知らずに、初めてキャストを見たとき、
中川くんとはどう関わるのか全く想像できず、もし関るとしてもお姉さんかな、
なんて思っていたので、パートナーというのはちょっと驚きました。

ただ、「モーツァルト!」で彼の非凡な才能を見たときに、
この才能を支える人の大切さを強く感じたので、
今回まさに、フレディのパートナーであり
セコンドの役柄をいただいたことには、運命を感じます。
中川くんを支える人、今回は私がそれを担います!!

中川くんの歌声は表面的じゃない、魂の歌ですよね。
感情が口から出てくるような歌声が好きなのですが、
中川さんは、まさにそう感じる歌声なんです!
これまでも、歌声をイメージして♪フ~ン♪っって、勝手にデュエットしたことはありますが、
でもそれが実現するなんて思ってもみなかったこと。
自分が中川さんの歌声にのっかることで、どんな風に向上していくのか、
何を得るのか好奇心、期待がとても大きいです!

中川さん)二人のナンバーもありますしね、かなり感情的な(笑)

おけぴ管理人)今回はミュージカルではなくコンサート形式での上演になりますね

中川さん)コンサートなので自ずと僕たちも音楽の中に存在します。
ただ、歌手の方々のコンサートではなく、アクターとしての部分、
ミュージカルでの経験を持つ出演者達で“音楽、楽しいぜ!”だけではなく、
CHESSという作品を表現したいと思っています。

実際、歌うだけでなく俳優としての表現も許してくれるだけのナンバーですから!
純粋に音楽を楽しみつつ適度な芝居が入って・・・
すごく楽しめる作品になるだろうなぁ!

おけぴ管理人)石井一孝さん、浦井健治さんとの絡みも楽しみです
(インタビューの時点ではお稽古は始まっておらず、顔合わせも行っていない状態です)

中川さん)石井さんも浦井さんもみなさん背が高いじゃないですか。
僕、アメリカ人なのに背が低くて(笑)。
あ、コンサートだからいいのか。
あ、そんなこと言ったら本編ミュージカルのとき、いなくなっちゃいますよね。
いけないいけない!(一人で完結させる中川さん)

おけぴ管理人)演出は宝塚出身の荻田浩一さんですね!

安蘭さん)
荻田さんとは私が新人公演で初めて主役をした時に、
荻田先生も初めて新人公演の演出をされたというご縁です。
年齢が近いこともあって、一緒に作っている感覚、
それはその頃からずっと持ち続けています。宝塚を辞めた今も、変わりません。

そして私は宝塚時代から、今回のフローレンスのような、
何か抱えている人物を演じることが多く、
荻田さんからも芯の強い、決して折れない、倒れない、
たとえ倒れても起き上がる役を付けていただくことが多いですね(笑)。

おけぴ管理人)最後に、2011年を振り返っていかがですか?

安蘭さん)
今年は“エディット・ピアフ”から始まり、
“MITSUKO”、そして“クレオパトラ”と、、それぞれ強烈な女性を演じてきました。
役を演じることによって、自分を見つめなおすことができ、
女性として、人間として収穫の多い一年でした。
周囲のことより、自分を見つめ、知った、“原点回帰”の年でした。

3月の震災でも、皆さんそれぞれ直面したことと思いますが、
自分の仕事についてなど、これでいいのかと思いました。
そして改めて自分の仕事に誇りを持ち、間違ってなかったと再認識させてもらいました。
自分が今生きていることに対して、考えさせられた年でしたね。

2012年は今年演じてきた女性たちの経験を活かせるように、
無駄にならないようにしたいですね。今はお米でいうなら、
苗を植えている段階、また来年育って実るようにと!

中川さん)
僕はちょうど「Under Ground Parade」という作品の稽古初日が震災で、
幕が開くのかという不安、幕を開けるためにやらなければならないこと、
やれないこと、という現実。幕が開いたときの感動は忘れられません。
自分が強くなれた、輝けた瞬間でした。安蘭さんの言葉を借りれば、
やはり自分の仕事に対する誇りを再確認できた時でした。

「ゲゲゲのげ」は人間の姿を見つめ返すことがテーマの戯曲で、
鬼太郎と目玉親父の二役をやったのは、モーツァルトに次ぐ新境地かな!?(笑)
今年はどの作品も印象深く、ここまで来られたことだけで感謝です。

CHESSから始まる2012年、一番は“楽しむ!”ということ。
生きてさえいればできる!そして、楽しむ!

おけぴ管理人)2012年のCHESS IN CONCERT、とっても楽しみにしています!

安蘭さん&中川さん)かなり期待していただいていいと思いますよー!!

石井一孝さん、浦井健治さんのCHESSおけぴ管理人インタビューはこちらから

CHESS IN CONCERT
アメリカ人チェスチャンピオンのフレディ役を中川晃教さん。
フレディのアシスタント・フローレンス役を安蘭けいさん。
そしてフレディのライバル、ロシア人のアナトリー役を石井一孝さん。
CHESS競技を華麗にクールに裁く審判アービターに浦井健治さんなど、
素敵なキャスティング♪

出演:
安蘭けい/石井一孝/浦井健治/中川晃教(五十音順)
AKANE LIV/池谷京子/大野幸人/角川裕明/田村雄一/ひのあらた/横関咲栄
演出:荻田浩一
音楽監督&Piano:島健

作品HPはこちら
東京公演は2012年1月26日から29日まで青山劇場にて、
大阪公演は2012年2月10日から12日まで梅田芸術劇場メインホールにて上演。
上演期間も短いです!お見逃し、お聴き逃しなく!!


おけぴ取材班:chiaki,nats,おけぴ管理人 撮影:おけぴ管理人

2011年11月22日

11/11/22 青年座交流プロジェクト「欲望という名の電車」稽古場レポ

2011年11月22日(火)13:00
青年座交流プロジェクト公演
「欲望という名の電車」稽古場レポート

今年、生誕100周年を迎えるアメリカ現代演劇の父・テネシーウィリアムズの代表作
「欲望という名の電車」。
内外の名女優たちが演じてきた大役・ブランチに
青年座の看板女優・高畑淳子さんが挑む注目舞台です。

ジェシカ・タンディビビアン・リー、そして青年座では東恵美子さん、
文学座で杉村春子さん・・と、数々の演技派女優たちが演じてきたブランチ役。
アメリカ南部のニューオリンズを舞台に、
没落農園の娘が過去の栄光と現在のみじめな境遇、
男たちから受ける辱め、プライド・・様々なものに挟まれて精神の均衡を失っていく様子、
かつての美しさと華やかさの香りを感じさせながらも、
神経症的な心の闇を表現しなければならない複雑な役柄です。

青年座での初演時には看護婦役、1983年からはブランチの妹ステラ役を演じてきた高畑淳子さん。
今回、満を持してのブランチ役にかける熱い想いがカメラのレンズ越しにもビシビシと伝わってきます。
テレビのバラエティ番組で見せる「明るくてざっくばらん」な高畑さんはどこにもいません!
神経が細く、過去に大きな秘密を持つブランチ。
ふわふわと着飾って明るく振舞う時も、不安におびえてお酒に手を伸ばす時も、
演じる高畑さんから感じられるのは今にも壊れてしまいそうな「繊細さ」。
テネシーウィリアムズが描き続けた「精神のバランスを欠いて行く女性」を
とても細やかに演じてらっしゃいます。
集金人の青年(宇宙さん)に語りかけるシーンの、
夢なのか現実なのかわからない、観る者を混乱させるような演技に
思わず息をつめて見入ってしまいました!

神野三鈴さん演じるステラが、
時代と環境の変化に適応し、逞しく生きて行く姿とのくっきりとした対比も見応えあり。
姉・ブランチを気遣いながらも夫であるスタンレーにぞっこんで離れることが出来ないステラ。
スタンレーに甘える情熱的な演技の思い切りの良さ。劇場でご注目下さい♪

スタンレーを演じるのは東京セレソンデラックス主宰の宅間孝行さん。
男くさく荒々しい役柄です。
酒に酔って喧嘩をした後にステラの名を叫び続けるシーンも強烈です!
ブランチを冷たく見つめる目が印象的!

演出は文学座の鵜山仁さん。
穏やかながらどこかピリッとした眼差しで稽古を見つめます。

さらに音楽は世界で活躍するジャズピアニストの小曽根真さんが全ステージで生演奏。
演技に合わせてアドリブを交えての演奏です。
稽古場でも演奏されていたのですが、これが何ともかっこいい!
ここはニューオリンズのジャズバーですか?というくらい雰囲気満点♪
舞台上でも演奏する姿を見ることが出来るので、まるで「もう一人の出演者」のようだとか。
これは楽しみ!

今回キャスト・スタッフの皆さんは実際にニューオリンズへ行き、
アメリカ南部の空気感を確かめてきたそうです。
そして、そこで出会ったのは2005年のハリケーン・カトリーナによって破壊され、
廃墟となった遊園地「シックスフラッグス」。
ここで撮影された写真がモチーフとなった舞台美術も今回の見どころのひとつ。
埃っぽい南部の空気を感じる演奏と美術、実力派俳優たちのコラボレーション。
そしてテネシーウィリアムズが描いた「滅びゆくひとつの魂」を繊細な演技で表現する高畑淳子さん。
稽古を拝見しながらもその演技に引き込まれ、
時にクスッと笑わされ、時にゾクゾクっとするような色気を感じさせる高畑さんから目が離せませんでした。
この役にかける高畑さんの意気込み、ぜひ舞台でご覧下さい!


(写真左はミッチ役の小林正寛さん。写真右奥で稽古を見つめるのは医師役の金内喜久夫さん)
青年座交流プロジェクト「欲望という名の電車」は、 12/9(金)富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ 12/15(木)~12/25(日)世田谷パブリックシアターにて上演。

作:テネシー・ウィリアムズ
訳:鳴海四郎
演出:鵜山仁
音楽・演奏:小曽根真

出演:高畑淳子(青年座)、神野三鈴宅間孝行(東京セレソンデラックス)、小林正寛(青年座)、
山本道子(文学座)、塾一久(文学座)、川辺邦弘(文学座)、金内喜久夫(文学座)、津田真澄(青年座)、宇宙(青年座)

公演ホームページはこちら



おけぴ稽古場取材班&撮影:mamiko 監修:おけぴ管理人

2011年11月27日

11/11/27 ミュージカルGOLD稽古場レポ

2011年11月27日(日)13:00
ミュージカル「GOLD ~カミーユとロダン~」稽古場レポート

石丸幹二さん演じる彫刻家ロダンと、
その弟子であり愛人のカミーユ(新妻聖子さん)。
激しく惹かれあい、ぶつかり合う2人の魂が
フランク・ワイルドホーンさんの手がけた美旋律にのって響き渡る
ミュージカル「GOLD ~カミーユとロダン~」のお稽古場にお伺いしてきました!

「考える人」や「地獄の門」など、あまりにも有名な作品の数々を残した
現代彫刻の巨匠オーギュスト・ロダン
芸術家としてのプライドと、愛人・カミーユへの想い、執着など、
老いた芸術家の複雑な心の内を、表現していく石丸幹二さん。
すねてみたり突き放してみたりと、
親子ほども年の離れたカミーユとの“恋人”なやり取りも何ともいい感じ。
お髭の渋さや、ステッキに帽子姿など、芸術家石丸ロダンに馴染みます。

激しく情熱的なカミーユ役を演じるのは新妻聖子さん。
天才的な彫刻家であり、女性の活躍が敬遠された時代とたたかう闘士であり、
彫刻家ロダンの愛人として「女」そのものでもあるカミーユ。
新妻さんのシルキーな歌声と、芯の強さを感じる台詞まわし・・
ふと視線を落とした時の横顔のラインの美しさにうっとりと見とれてしまいます。
カミーユという役と新妻さんが一体となっている「勢い」を強く感じました。

カミーユの父を演じるのは西岡徳馬さん。
娘をおもう気持ちを歌うナンバーが暖かい!
パパといっしょの場面で見せるカミーユの柔らかい表情にほっと安心します。

一方、カミーユの芸術を理解することが出来ず、その「ふしだらさ」を責めるのは、
弟のポール(伊礼彼方さん・上の写真左)と母親(根岸季衣さん・下の写真右)。

裸体の男女の彫刻や、ロダンとの醜聞・・
娘の未来に絶望する母を演じる根岸さんの重い足取り。
母と娘の間に広がる溝を表現するシーンで見せた存在感、さすがでした!

まるで本当に“神様に近い場所”で聴こえてくるような
壮大で美しいナンバー「天使の園」では
高音への伸びあがりが美しい伊礼彼方さんの歌声が稽古場に響き渡り、
説得に全く耳を貸そうとしない姉・カミーユの表情との対比が際立ちます。


姉の行動に心を痛める弟・ポール(伊礼彼方さん)

仲間の中でも家族の中でも“孤独”を感じるカミーユ。
“他の人と違うこと何がいけないの 私は自由!”と歌い上げる情熱的な曲、
新妻聖子さんの決意のこもった声が耳に胸に残ります。
森雪之丞さんによる訳詞も耳に自然で、すっと入りこんできます。

カミーユへの想いに駆られて手紙を書き続けるロダン。
芸術家としての嫉妬、恋人としての嫉妬が絡み合い、激情に流され・・・

アンサンブルによる厚みのある歌声が2人を囲み、物語が流れて行く気持ちのよさ♪
白井晃さんによる演出はアンサンブルの動かし方など隙がないです。
(ちなみに写真右端はおけぴ主催おコンサートにもご出演いただいた西川大貴さんです。
今年のレ・ミゼラブルでクールフェラックを演じた西川さんは
歌もダンスもこなす20歳の現役大学生。是非、注目してみてください)

今回拝見させていただいたのは、
カミーユがロダンのもとを去り、個展を成功させるまでの場面。
才能、嫉妬、愛情、執着、孤独…
天才がぶつかり合う様子、まるで火花がみえるような迫力です。
第一幕では恋に落ちるまでの情熱的な2人がみられるそうですよ。

楽しく美しい“愛”だけではない、芸術家同士の深く複雑な感情の絡まり合いを、
白井晃さんの演出、フランク・ワイルドホーンさんの美しい旋律、
実力派キャストで描くミュージカル「GOLD ~カミーユとロダン~」は、
12月8日~28日までシアタ―クリエにて上演。
黄金~GOLD~に触れた2人の行きつく果ては一体どんな場所なのか・・。
シアタークリエで天才芸術家2人の運命の愛を見届けて下さい!

物語のカギを握るナンバー3曲が聴ける公式HPはこちら


彫刻に囲まれたアトリエでのこんなシーンも♪

おけぴ稽古場取材班:mamiko、nats 撮影:nats 監修:おけぴ管理人

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