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2011年12月 アーカイブ

2011年12月02日

11/12/02 「みんな我が子」ゲネプロレポート@新国立劇場小劇場

2011年12月2日(金)13:00
「みんな我が子」ゲネレポ@新国立劇場小劇場

アーサーミラーによる戯曲の力!
素晴らしいキャスティング!
ブロードウェイで活躍する気鋭の演出家、ダニエル・カトナーさんを始めとする
一流のスタッフワーク!

「これだから観劇はやめられない!」
と帰り道にひしひしと実感したおけぴ管理人・興奮のゲネレポです!

物語の舞台は第二次世界大戦が終わった後のアメリカ中西部のある町。
戦争特需で会社を大きくし、成功を収めたジョン・ケラー(長塚京三さん)と
その妻ケイト・ケラー(麻実れいさん)。
一見、誰もが羨むような穏やかで豊かな生活をおくっている家族の物語。

次男ラリーが戦地で消息を絶った後、表面上は明るく振舞いながらも、
人生を先に進めることを中断してしまうケイト(麻実れいさん)。
麻実さんの演技、深い絶望感と“恐れ”に打ちのめされる客席!
普段は従順で明るい妻でありながら、ラリーの話になると見せる狂気じみた“母”の顔。


戦争から帰還した長男クリスを演じるのは田島優成さん。
彼もまた戦争で部下を失くし、
その戦争で父が得た成功を引き継ぐことにある種の後ろめたさを感じて葛藤を抱えています。
幼馴染であり、弟の恋人でもあったアニー(アン)との間に芽生える愛を大切に思いながら、
心のどこかで幸せになることを恐れているクリス。
模範的なアメリカ青年らしく明るく振舞う姿が切ない!

戦地で行方不明になったままのラリーを“もう待っていない”と言い切るアン。
演じる朝海ひかるさんがとっても可憐(衣装がどれも素敵!)。
秘密を抱えたミステリアスな雰囲気と、クリスとの未来を夢見る希望が同居するアン。
物語のカギを握る重要な役どころです。


アンの兄・ジョージ役の柄本佑さん。
ケラー家への屈折した感情・・。
登場するだけで舞台上に不穏な空気が充満する稀有な雰囲気を持つ柄本さん。
ふっと力を抜いて飄々と笑わせる場面もあり、
その緩急の付け方、ベテランの麻実さん長塚さんと対等に渡り合う独特の存在感!


ケラー家の隣人、ジムとスーを演じるのは山下容莉枝さんと隆大介さん。
“良き隣人”であり、たくましく現実を生きている彼らがふと見せる別の顔・・。
ケラー家の人々との対比が鮮やか!
さらに、徴兵を免れ、妻と子供に恵まれ幸せに暮らすフランク(加治将樹さん)の存在が、
さらにケラー家の悲劇を際立たせます。
浜崎茜さんと柄本佑さんのとの場面にもご注目下さい(管理人的お気に入りです)。

裕福で健全で幸せなアメリカ家庭を象徴するような
真っ白いセット(美術は堀尾幸男さん)は極めてシンプル。
それゆえに浮かび上がる登場人物たちの心の陰影。

とにかく出演者全員の演技力の高さ、
そしてそれを的確に引き出す演出力が素晴らしいです!

さらに拍手を送りたいのは伊藤美代子さんによる新訳の自然な響き。
翻訳劇にありがちな“ひっかかり感”がなく、
ごく自然に、耳に頭にそして心に届く台詞たち。
言葉が持つ余韻や強さにまで心配りされた台詞でした!

長塚京三さんが
“いつかこういう役をやるために、これまで俳優をやってきたという気もする”と語る、
アーサー・ミラー作品の “父親”像。
自分の腕一本で世の中を渡り、
家族の為に懸命に働き、強さと弱さを同時に持つ“父”の姿。
長塚さんの演じるジョー・ケラーを見ているとギューっと胸が苦しくなり、
ふとした瞬間に涙がこぼれそうになってしまう事が何度もありました。

父、母、息子、夫、妻・・すべての登場人物が、
多面的で複雑な内面を持ち、
人生と人間の真実がたっぷりと盛り込まれた“演劇的悦楽”に浸れます。

決して明るく楽しくゴージャスな舞台ではありません。
それでも「気づき、考え、感じさせてくれる」作品に出会えたことを感謝したくなる・・
そんなお芝居です。ぜひ劇場で感じてきてください!!

アーサー・ミラー作・ダニエル・カトナー演出「みんな我が子」は
12月2日~12月18日まで新国立劇場小劇場にて、
12月20日~21日までサンケイホールブリーゼにて上演。

出演:
長塚京三麻実れい田島優成朝海ひかる柄本佑隆大介山下容莉枝
加治将樹浜崎茜坂口湧久/鈴木知憲(子役Wキャスト)

アフタートーク情報などやインタビュー記事などがチェックできる公式HP
おけぴ管理人による演出ダニエルカトナーさんへのインタビュー記事
おけぴ制作発表レポ
おけぴ稽古場レポ



おけぴ稽古場取材班&撮影:mamiko、おけぴ管理人

2011年12月05日

11/12/05 ミュージカル「ア・ソング・フォー・ユー」ゲネレポ@新国立劇場中劇場

2011年12月5日(月)18:00
ミュージカル「ア・ソング・フォー・ユー」
ゲネプロレポート@新国立劇場中劇場 

1970年代を生きる若者、そして大人たちの恋と夢と人生を
珠玉のカーペンターズメロディにのせて描く
ミュージカル「ア・ソング・フォー・ユー」!

基地の町・福生(ふっさ)を舞台に、
カーペンターズシンガー・SHOKO(春野寿美礼さん)と
カーペンターズ嫌いのロックシンガー・征司(川平慈英さん)、
そして2人を取り巻く暖かい仲間たちが繰り広げる不器用で優しい愛の物語です。

「ラブ&ピース」な若者たち、
そしてベトナム戦争へ向かう米兵たちが集まるライブハウスで
人気を集めるのは春野さん演じるSHOKOとその仲間たち。


(左から松本紀保さん、春野寿美礼さん、吉沢梨絵さん)

この3人組の歌声が耳に心地よいです!
優しく強く心に響く、カーペンターズメロディ♪
ちょっと低めの歌声がカレン(・カーペンター)を彷彿とさせるシーンも。
ベトナム戦争反対の気運が高まるこの時代に、
彼女たちはなぜカーペンターズを歌うのか。
鈴木聡さんの脚本に込められたメッセージとは。
ポップでキュートなライブシーンもお楽しみに!

一方、川平慈英さん演じる征司はボブ・ディランジョン・レノンに憧れるロックンロール男。
「甘ったるい砂糖菓子のようなカーペンターズを聴きながら戦争なんてするな!!」
と息まきますが、夢も恋も空回り気味。
お互いの第一印象は「最悪」だった二人ですが・・・

印象的だったのは、すれ違い絡み合う気持ちを歌うこちらのシーン。
楽しく馬鹿騒ぎをしながらも誰もが心に“何か”を抱えている・・
カーペンターズメロディが優しくそして物憂げに響きます。

そして2人を取り巻く仲間が、これまた素敵なキャラクター揃い。

征司の妹・雅美役の大和田美帆さん。恋に恋するお年頃♪


元気いっぱいのライブハウスのママを演じるのは杜けあきさん。


上條恒彦(写真左)さんと尾藤イサオさん(写真右)との大人トリオがいい味出してます!


吉沢梨絵さんのこの表情は一体・・?


恋のライバル(羽場裕一さん)の登場で物語が一気に展開!

実力派キャストのみなさんの歌声をたっぷりと楽しめる心温まるミュージカル。
70年代風の衣裳にもご注目!
朴勝哲さん率いるバンド(その名もtop of the world band!)による生演奏も楽しめて、
きっと舞台といっしょにカーペンターズメロディを口ずさみたくなると思います♪
出演者の皆さんの雰囲気もあたたかい!

仲間たちとの絆、平和への想い、そして恋。
「close to you」「top of the world」「yesterday once more」・・・
誰もが知っているカーペンターズメロディが彩る
オリジナルミュージカル「ア・ソング・フォー・ユー」は12月6日~18日まで
新国立劇場中劇場にて上演。

<物語>
1970年代、東京・福生(ふっさ)。
横田基地から飛び立つ飛行機の爆音轟くこの町には多くのライブハウスが林立し、
音楽好きな若者が集まってきていた。
とあるライブハウスで1人ロックバンドとしてステージに立つ征司(川平慈英)は
カーペンターズシンガーとして人気のSHOKO(春野寿美礼)と出会う。
優しく愛を歌うカーペンターズの音楽に反発しながらもSHOKOに惹かれていく征司。
一方、SHOKOはかつての恋人・国枝(羽場裕一)に
レコードデビューをもちかけられ悩んでいた・・・。
征司とSHOKOの不器用な愛と、彼らを取り巻く人々の姿を、
珠玉のカーペンターズ・メロディとともに描くオリジナルミュージカル。

<出演>
川平慈英江松本紀保 吉沢梨絵 大和田美帆 杜けあき
羽場裕一 尾藤イサオ 山口賢貴 上田悠介 上條恒彦春野寿美礼

脚本・作詞・演出協力:鈴木聡
上演台本・作詞・演出:菅野こうめい
音楽:久米大作
監修:栗山民也


かわいいっ!

豪華なゲストが登場のアフターイベント情報などは公式ホームページでチェック!



おけぴ稽古場取材班&撮影:mamiko 監修:おけぴ管理人

2011年12月08日

11/12/08 音楽劇「カラミティ・ジェーン」制作発表レポ

音楽劇『カラミティ・ジェーン』制作発表レポ
2011年12月8日(木)

2008年に好評を博した音楽劇『カラミティ・ジェーン』が
個性豊かな面々、フレッシュなクリエイターを迎えて2012年に帰ってきます!
その制作発表にお伺いしてきました。

“実在の女性ガンマンのストーリー”というと痛快アクションものというイメージが先行しますが、
それだけでなく結婚、出産、離婚、仕事・・・
ジェーンがたどった波乱に満ちた人生、そしてそこを生き抜く強さが描かれた舞台です。

ウェスタンミュージックが流れ、多くのオーディエンスが見守る中での制作発表。
会場の雰囲気も衣装を纏ったキャストのお三方も作品の雰囲気にピッタリ!

まずは演出の吉川徹さん(「ミュージカルドラキュラ」「Pal Joey」など)から作品への想いについて
「この作品は西部劇です。実在したカラミティ・ジェーン、
この“カラミティ”というのは呼び名なのですが、
“災いを呼ぶ女”という(意味で)、
とんでもないことばっかりするという・・・
もう、湖月わたるさんにぴったりの役です。」

これには場内爆笑!
気心知れた仲が垣間見られるコメントで会場の空気がほっこりほぐれました。

気を取り直して
「波乱万丈の一生を送った、女の一生物語を描いていきます。
笑いあり、涙あり、歌あり、踊りあり、まるでおもちゃ箱をひっくり返したような、
客席と一緒になって楽しめる痛快娯楽作です。
(キャストの三人を見て)役にピッタリ、みんなキャラが濃くてそれでいて
被ってないでしょ。これはいけるぞ!!と思っています。ご期待ください。」

主人公カラミティ・ジェーンを演じる湖月わたるさんは
「2008年この作品と出会い、運命を感じました。
是非もう一度演じたい。できることならこの役を演じ続けて行きたいという想いが湧き上がってきて、
そして(再演の)機会を与えていただき、感謝しています。

2008年は宝塚を退団して2年目、ガンマンのところまではOKでしたが、
結婚、出産、離婚、子供との別れ・・・彼女の人生を体当たりで演じました。
再演の時までに、“結婚”は経験していたい!!そう思っていましたが。
全然間に合いませんでした(笑」

ふたたび場内爆笑!

「でも、その間女優として培ったもので、初演よりさらにパワーアップ、
役を掘り下げてチャレンジして行きたいなと思っています。」

そんなジェーンがただ一人愛する男、
“二丁拳銃のビル”と呼ばれたビル・ヒコックを演じるのは石原プロモーション所属の金児憲史さん。
188cmの長身、ワイルドな風貌はまさにビル!
これには湖月さんも「私が見上げるんです、私ってちっちゃい!
胸がキュンとうれしくなりました!ぞっこん、惚れ込んでいます」。

そんな金児さんはこれが舞台出演2作品目、
緊張感の中にもご本人の朗らかなキャラクターが溢れていました。

作品への意気込みは
「音楽劇は初めてなので不安はや緊張はありますが、何しろ凄腕ガンマン。
見に来てくださった皆さんの日頃の疲れやストレスを打ち抜いきたい!
個人的には、事務所の先輩方に褒められるような拳銃捌きを勉強したい。
どうすればカッコよく見えるかを舘ひろしさんに、
技術的なことを神田正輝さんに教えてもらうつもりです。」

そして、幼なじみでサーカス団団長のバッファロー・ビルを演じるのは
TVでもおなじみのパパイヤ鈴木さん。
大変インパクトある衣装を見事に着こなしていらっしゃいました!

今回の見所のひとつは古きよきアメリカ開拓時代の空気を感じさせながらも、
とてもスタイリッシュなコスチューム。

服飾ブランド「CHAOLU lab」からデザイナーとして平元聡さん、
衣装制作ディレクターとして同ブランドプレスの清水祥史さんを起用し
平均年齢27歳のフレッシュなクリエイティブチームを結成!

フォトセッションの様子からも、三者三様にすてきな衣装を着こなしていらっしゃいます。
ほかのコスチュームも楽しみですね!!

この日の衣装については
湖月わたるさん
「デザイン画を見たとき“わ、カッコイイ”と思い、
実際着てみるとロングコートが風になびく、生地感がいい!
衣装との一体感があって、このまま着て帰りたいです。」

金児憲史さん
「はじめは“長いカーテン”かと思いましたが、着たらピッタリで(笑)。
自分の大きさに驚いたのと、意外に似合ってるなと!
鏡を見て大満足!男っぷりが3割増しです。
帽子の距離感はまだつかめていないので、追々・・(笑」

確かに思い切りアンシメトリ!!

パパイヤ鈴木さん
「毛皮系ですよね。僕には半分大阪の血が流れていまして…
うちのお母さんもこういうの好きだったなと、着られてうれしいです(笑)」

最後に湖月わたるさんからのメッセージを
「ジェーンは働く女性の先駆者。
色々な方にサポートして頂きながらの人生です。
楽しくてハラハラドキドキ笑っている間に涙がこぼれてくる、
幅広い年代の方が、それぞれの場面で共感できると思います。
人と人との“絆”を感じられる。
今の時代に見て頂きたい作品です。
生の舞台は、最後にその日のお客さまが完成させてくれるものです。
ぜひ一緒に、生の舞台を感じて頂きたい。」

<公演概要>
2012年2月4日(土)~11日(土) ル・テアトル銀座
2012年2月17日(金)~19日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

<スタッフ>
作:ジャン=ノエル・ファンウィック
訳:浜文敏
脚色、演出:吉川徹

<出演>
湖月わたる
金児憲史
パパイヤ鈴木

入絵加奈子
岡田達也(キャラメルボックス)
山本芳樹(Studio Life)
友石竜也
春海四方
海津義孝
伽代子
南海まり
秋山エリサ
渡辺芳博
安達星来
後藤浩明(piano)

<ストーリー>
時は1800年代、西部のとある町サルーン。
男まさりのカラミティ・ジェーンは、二丁拳銃のビル・ヒコックと出会い恋に落ちる。
二人は共に賞金稼ぎの旅を続け、やがて結婚してデッドウッドの町に居を構える。
ジェーンには赤ん坊が生まれ、平凡な家庭生活が訪れる。
しかし、ジェーンもビルもそんな生活に満足できない。
折りしも西部の町は急速に発展を遂げつつあり、
二人は次第に追い詰められていった。
とうとうビルはジェーンのもとを去ってしまう。
独りになったジェーンは生活のために赤ん坊を養子に出さなくてはならなくなった。
ジェーンはたったひとり、遠く離れて暮らすわが子に仕送りを続けるため、懸命に働くのであった。
時は流れ、食料店主バークと再婚するが、それも長続きせず幸せには程遠い日々。
そこへ、かつての仲間、元ガンマンで西部の大立者バッファロー・ビルからの手紙が届く・・・。

公演ホームページはこちら



おけぴ取材班&撮影:chiaki 監修:おけぴ管理人

2011年12月09日

11/12/09 D-BOYS STAGE「淋しいマグネット」ビジュアル撮影現場レポ

2011年12月9日(金)21:00
D-BOYS STAGE 10th「淋しいマグネット」ビジュアル(宣伝写真)撮影現場レポ

白シャツがまぶしいっ!

4月に上演されるD-BOYS STAGE10th「淋しいマグネット」の
ビジュアル(宣伝写真)の撮影現場にお伺いしてきました!

写真界の芥川賞と言われる"木村伊兵衛写真賞"を
2010年度に受賞された注目の女流カメラマン・下薗詠子さんによる
キャスト8人のソロカット撮りおろし。

お邪魔したのはちょうど荒木宏文さんの撮影が始まろうというところ。

「紫陽花ってどんな印象?」
下薗さんの問いかけからスタート。
荒木さんの答えは「朝のイメージ」。
ちなみに紫陽花の花言葉は"高慢"、"高いプライド"だそうで、
それには荒木さん「(僕に)ピッタリかも・笑」とのこと!

初対面というカメラマン下薗さんと荒木さん。
下薗さんへの空気のあずけ方が上手な荒木さん、
そんな荒木さんらしさを下薗さんが切り取る様子、写真で伝わりますでしょうか。

荒木さんは「下薗さんの写真集がとても素敵だったので、
撮影には構えることなく臨めています。」と
事前にカメラマンさんのことを勉強されていらっしゃっていました。

構えない空気で取材陣にも気を配ってくださる荒木さん、
おけぴレポ向けにサービスショットも!
みなさんのお手元に届くビジュアルとはまた違った、荒木さんです。

ちょうど荒木さんの撮影が終わる頃、柳下大さんが現場入り。

先ほどとは空気が一変!

カメラマン・下薗さんの、柳下さんを見ての第一声は
「資料でいただいた写真とイメージ違う~(笑)」でしたが、それがまたとても楽しそう。

今度は言葉少なに切りとって行かれる下薗さん。
被写体によってまるで違うアプローチをされる様子がよくわかります。

色素が薄くて綺麗な目の柳下さん。
繊細でやさしく、でも男らしいぶれない強さを感じる目線が印象的でした。
先日、「検察側の証人」稽古場にて拝見した↓
こちらの表情とはまるで違うお顔にドキッとしてしまうほど。
求められるものよって、自分を演じ分ける高い集中力をお持ちで魅力的。


(前回のD-BOYS STAGE 9th「検察側の証人」稽古場レポより。左が瀬戸康史さん、右が柳下大さん)

スタジオには他にも色々な花が用意されていました。
キャストさん達が皆違った花を持った写真になるそうで、
仕上がりは花の部分のみカラーで他はモノクロの予定。
ということは、本レポの全カラーの写真は貴重なのかも!?
どなたが何の花を持つか、お楽しみに!

ちなみに、柳下さんの撮影中、荒木さんは
「LOOK at STAR!」(学研マーケティング)さんのインタビュー取材。
言葉を選び、熱く語る姿に"骨太な内面"を見ました。
読み応えたっぷりの記事になっていそうですよ!


(しっかりと言葉を選ぶ荒木さん)

<D-BOYS STAGE10th「淋しいマグネット」について>
若い世代から圧倒的な支持を集める、
スコットランド気鋭の演劇作家ダグラス・マックスウェルが、
惹かれ合い、傷つけあう4人の若者の20年を描いたこの青春群像劇。
世界各国で上演され、今回ついに日本初演です!
D-BOYS STAGEは本公演で10回目という節目。
役者としても個人としても磨かれて来た厚みが観れる、気合の舞台になる予感大!

<公演情報>
~東京公演~
2012年4月8日(日)~28日(土)
@Bunkamuraシアターコクーン
~大阪公演~
2012年5月3日(木・祝)~6日(日)
@イオン化粧品シアターBRAVA!

<スタッフ>
作:ダグラス・マックスウェル
上演台本:御笠ノ忠次田中誠
演出:茅野イサム

<キャスト>
瀬戸康史柳下大荒木宏文遠藤雄弥阿久津愼太郎陳内将橋本汰斗碓井将大
(4人の登場人物[シオン、ゴンゾ、トオル、リューベン]を
全てダブルキャストで演じ、4パターンの組み合わせがあります)

<ストーリー>
海沿いの小さな町を舞台に、4人の少年の9歳から29歳までの成長を追った物語。
いつしか離れ離れになっていた彼らが、10年ぶりに出会った。
ぎこちない再会を軸に、子供時代の記憶や秘密が明らかになっていく。
9歳、19歳、29歳の3つの場面が行き来し、
そこに夢のようなおとぎ話が劇中劇として絡み合い、
現実とファンタジーを織り交ぜながら予想もしない結末へと繋がっていく。

<公演HP>
http://www.d-boys.com/d-boysstage10/

発表された素敵なビジュアルイメージがこちら!おぉぉ!
↓↓

おけぴ取材班:chiaki、nats 撮影風景撮影:nats 監修:おけぴ管理人

2011年12月10日

11/12/10 ミュージカルGOLD ゲネ&観劇レポ@シアタークリエ

2011年12月7日(木)/10日(土)18:00
ミュージカル「GOLD」ゲネ&観劇レポ@シアタークリエ

大・感・激!

まず劇場内へ足を踏み入れた瞬間に思わず息を呑むあの雰囲気。
ここまでのインパクトはなかなか稀有な体験です。
抑えた色調のセットに差し込む光。
シアタークリエが広く!高く!感じます!

カミーユ・クローデル役の新妻聖子さん!
素晴らしい当たり役ではないでしょうか!
天才的な彫刻の才能を持った子供時代から、
巨匠オーギュスト・ロダン(石丸幹二さん)に見出され、
そこから繰り広げられる、この二人の天才芸術家の師弟っぷりは見応え120%!

光に現れる天才と天才。
歌いあげる天才たちの神々しい姿。
オーギュスト・ロダンとカミーユ・クローデルでありながら、
石丸幹二さんと新妻聖子さんという
歌と表現力の才に恵まれたミュージカル俳優をたっぷりと堪能できます!

カミーユに嫉妬しながらも、カミーユを愛するロダン。
カミーユに出てけ!というくせにカミーユが必要なロダン。
そのあたりの人間くささがとってもリアルで、
観劇後、語りたいポイントが多いです!

「常にカミーユに立ちはだかる壁」
「カミーユを愛しているのにその表現方法がわからない男」
と囲み取材で自身の役所を語られたロダン石丸幹二さん。

ロダン、カミーユ、それぞれの心情表現の交差も見所です!


手前の彫刻は、物語の転換となる作品「ワルツ」(作・カミーユ)

脇を固めるキャストも素晴らしいです。
カミーユを幼い頃から理解し、応援する父親(西岡徳馬さん)。
母心から頑に苦言を呈し続ける母親(根岸季衣さん)。
姉の最大の理解者であもある弟ポール(伊礼彼方さん)。


(左から西岡徳馬さん、新妻聖子さん、伊礼彼方さん、根岸季衣さん)

ポール伊礼彼方さんが歌う「天使の園」は、まさに神のそばで流れているような旋律。
音楽はフランク・ワイルドホーンさん!!!訳詞は森雪之丞さん!
今まで聴いて来たジキル&ハイドやルドルフ等のワイルドホーンさんの楽曲とは
一味ちがった曲調が楽しめますよ♪

キャストの立ち位置の変化と照明効果でシーンを創り出す演出はまさにシームレス!
出演者が彫刻に溶け込んでみえる瞬間が何度もありました!
(演出:白井晃さん、振付:原田薫さん、港ゆりかさん)

モデル役をつとめた高山光乗さん、まるで彫刻のような肉体。二幕ではまるで別人です!

満足度の高い舞台というのは素晴らしいアンサンブルさん達が印象に残るもの。
歌唱レベル、動き、演技…
今回、フフッと笑わせてくれる担当が全部アンサンブルさん達なのです。
かしまし娘4人達は、本当にうるさい!そして可愛い!

全能の彫刻家と呼ばれていながら、ロダンが時折見せる不安や行き詰まり、
そこにインスピレーションを与えるカミーユ。
しかし、次第に狂気をも感じさせる声へ。
壮大なワイルドホーンさんの旋律がカミーユの心をそのまま表します!

女であることから芸術家として認めてもらえない時代背景。
カミーユが女性芸術家であり続けたことの難しさを痛切に感じる新妻さんの、
空気を切るような歌声には、鳥肌保証!

観劇後の、なんとも言えない満足感と興奮。
胸に刻み込まれるような余韻が残る舞台です。

二幕の衝撃的な展開は、ぜひ劇場であじわって下さい。
今年最後のご感激(観劇)にも太鼓判です!!


(囲み取材より)

囲み取材の模様は公式HP内でも紹介されています。

2011年12月8日から28日まで日比谷シアタークリエにて
公式HPはこちら
おけぴ稽古場レポはこちら

↓伊礼彼方さんの歌う「天使の園」の映像も公式で公開されています↓

↓公式で公演のダイジェスト映像も公開されました!これ、何度も観てしまう~♪

カミーユの"分別盛り"を実際に見てみたい!!!



おけぴ取材班:nats、chiaki、おけぴ管理人 撮影:nats

2011年12月19日

11/12/19 おコンサート番外編稽古場レポ

2011年12月19日(月)おコンサート番外編稽古場レポ

来年1月7日(土)に東京建物 八重洲ホールで開催する
おコンサート番外編「ミュージカルファンのためのオペラ入門講座&ガラおコンサート」
歌合わせにいってきました。

今回は二部構成で、
ピアノ伴奏も、前半のオペラ入門講座は高野直子さんにお願いして、
後半を私おけぴ管理人・山野上が担当と、
伴奏者が二人になるので、
お稽古場のスタジオを隣同士で2部屋借りて、
同時並行で次々と歌合わせを行ってきました♪

まずはオペラ入門講座、楽しいです!
オペラを観に行きたくなるような楽曲が満載です!
港幸樹さん、武井基治さん、中西勝之さん、この3人は、
歌声はもちろん、トークがまためちゃめちゃ楽しいんです。
今日のスタジオも、笑い声に包まれておりました!
(第一部が、果たして予定時間内に終了するのだろうかと、
なにげに心配している管理人です)
ということでオペラ入門講座、歌もトークもぜひご期待下さい!
きっとオペラ入門講座が終わった後は、
あのオペラ観に行きたいなって思われてると思いますよ。

そして後半の「ガラおコンサート」は、
今までの第一回から第五回のおコンサートの出演者の方が、
今までのおコンサートで歌った曲を中心に、あの曲やあの曲を歌ってくださいます!
公演中やお稽古中で残念ながらこれない方もいらっしゃいますが、
いきます!歌います!のお返事も続々届いています♪

今日のガラおコンサートの歌合わせでは、
全員で歌うナンバーをはじめ、ソロ、デュエット、トリオのナンバーも
あわせてみたのですが、いやー、全部楽しい!ミュージカル曲って最高!です♪
八重洲ホールに響き渡る、マイクを使わない
生のミュージカル俳優の方達による「音圧」ぜひ楽しみにしていて下さい!

最後に、今日は記録用に持って行ったカメラで、
宇部洋之さんと武井基治さんから
年末にご出演されるイベントの告知メッセージを動画で撮影してきました。
おけぴの皆さんへということで特別バージョンになっております♪
さらに両方とも、過去のおコンサートの一部映像付き!

ぜひ新年おコンサート番外編の前に、武井基治さん、宇部洋之さん&高舛裕一さんの
年内のイベントにも足をお運び下さいませ!

武井基治さんのテノールと、舞踊のコラボコンサート
今年のレミゼラブル2011では司教役で素敵な歌声を聴かせてくれた武井基治さん。
その武井さんの歌声に浸って観劇納めなんていかがでしょうか。上演時間約1:45を予定
2011.12.27(火)15:00/19:00@白寿ホール \3000→お申込はこちら

まっすう(高舛裕一さん)&うーべー(宇部洋之さん)のXmasTeaParty!
今年のレ・ミゼラブル2011ではフイイ役(宇部さん)とクラクスー役(高舛さん)を演じていたお二人。
今愛媛にで誓いのコイン出演中の高舛さんも戻ってきます!
歌、トークのほかに、意外なパフォーマンスもぜひお楽しみに!!
2011.12.24(土)14:00@高円寺StudioK \3000→お申込はこちら

そして、最後に、おコンサートの公式ページでも紹介してますが、
今回のオペラ入門講座の先生(港幸樹さん、武井基治さん、中西勝之さん)が歌う
椿姫・乾杯の歌の映像(第五回おコンサートより)もぜひご覧下さい!

それでは皆さん、メリークリスマス!



おけぴ管理人 山野上

11/12/19 アイ・ガット・マーマン制作発表レポ

2011年12月19日(月)13時
「アイ・ガット・マーマン」制作発表レポ

2012年の幕開けとともに、シアタークリエで開幕する
「アイ・ガット・マーマン」の制作発表の様子をお届けします!

底抜けに明るくエネルギッシュでゴージャス!
私生活の困難も乗り越え、舞台で輝きを増すひとりの女優、女性エセル・マーマンのストーリー。

ブロードウェイの女王ことエセル・マーマンの人生を、
『ジプシー』『エニシング・ゴーズ』『アニーよ銃を取れ』といった
彼女自身のヒットミュージカルの名曲に乗せて描いたオリジナルミュージカル。
幼少期から死の直前までのマーマンを3人の女優が同じ舞台上で代わる代わる、
ときには同時に演じ、歌い、踊るという非常に面白い構造です!

エセル・マーマンの名にピンと来なくても大丈夫!
これぞエンターテイメント!これぞミュージカル!
という名曲揃いで自然に体が動き出すような楽しさです。

初演は1987年、この制作発表が行われた“ブディストホール”で産声をあげた本作。
宮本亜門さんの演出家デビュー作です。
思い出のつまっている場所でのイベント、
「ここで初めて幕が開きました。再演を重ねる度に初心に帰るこの空間、
このステージ。ありがとう!」(宮本さん)

もうこの言葉に全てが集約されていますよね。
キャストは姉妹のようであり、宮本さんはお父さん、劇場が愛で満たされています。

初演から25年目となる2012年1月の公演は
オリジナルキャスト、田中利花さん、諏訪マリーさん、中島啓江さんによる
25周年記念コンサート版「Tribute to Merman」から始まります。

「演奏会形式と聞いていたのですが、ほとんど変わらないっ!!
(お稽古中は)本当に苦しいんですよ、ぜーぜー言って(笑)
でも、エステでかく汗より気持ちいい!ヤメラレナイ快感です」(中島さん)
「25年、一緒に成長してきました。幸せだなぁ。」(田中さん)
「オリジナルキャストとして舞台に立てることを誇りに思う、100歳までがんばりたい!」(諏訪さん)

オリジナルキャストからはこの作品への、そしてマーマンへの様々な思いと演じ続けられる喜びに溢れています。
宮本亜門さんからも
「体力は落ちたよねー(笑)、でもそれを微塵も見せない根性がすごくて、
勇気付けられます。そして芯の輝きは増しています!」
「アイ・ガット・マーマン」25年のサクセスストーリー(秘蔵映像)の披露コーナーもあるようですよ!
「20代の私が見られるかも・笑」(中島さん)

続いて、作品の精神をしっかりと受け継ぎ、脂の乗り切った、
エリアンナさん、シルビア・グラブさん、浦嶋りんこさんのファビュラスキャスト。歌も芝居も貫禄!!

「がむしゃらにやりきるだけではダメな年齢になりました。
(亜門さんからの)要求も上り、再演を重ねることの辛さと凄さを実感しています。
こなれたものよりパワフルでフレッシュなパッションを届けたい!」(浦嶋さん)
「前回出演してから10年、私たちが変わったから演出も変わっています。
(亜門さんは)いつも新しい引き出しを引っ張り出してくれるんです。
がむしゃらな勢いだけでなく、深みを増していきたい。」(シルビアさん)
オーディションで選ばれファビュラスキャストに新加入というプレッシャーの中、
素晴らしい歌声を聞かせてくれたのがエリアンナさん。
「憧れのお二人との共演、追いつくのかという不安もありました。
でも“選ばれた”ことを信じ、今持っている全てを出して、がんばっています!」(エリアンナさん)

そしてまさに今、がむしゃらに作品の本質を掴もうとしているのが、ニューキャスト。
樹里咲穂さん、西国原礼子さん、Mizさんのフレッシュな公演も楽しみ。

「ニューキャストとしてどんなマーマンがお見せできるか、
日々、自分たちの可能性と戦っています!本番では夢の世界に誘いたいです。
とてもパワフルな二人と出会えたことがうれしい」(樹里さん)
「ミュージカルに出ること、それも宮本亜門作品に!!プレッシャーです。
でも、亜門さんは親しみやすくて一緒に暮らしたいくらい大好きです。」(西国原さん)
「一昨日、曲に入り込めなくて初めて人前でワンワン悔し泣きしてしまいました。
たくさんの壁が立ちはだかっています。どうにかこの壁を乗り越えたい。
そしてその時自分がどうなっているのか楽しみです。」(Mizさん)

宮本さんからは
「(これまでも)全員泣いていますよ。お互いにギリギリの状態で稽古しています。
彼女たちももっといけるんです!でもまだちっちゃくなっている。
三人とも声、存在感凄いんですよ!!自信を持ってほしい!」

マーマンを演じるという事については
「このショーは一番過酷なショー。
まず、キャストを決めるポイントとして、
声が絶対的に強い、表現力がある、キャラクターが立っている、そして過酷さに耐えられるかです。
オリジナル性に溢れ、お客さんの心を鷲づかみにしたマーマンを演じるのに必要だからです。
もう、全員が戦っていますよ。稽古場は壮絶です。
そこまでやるか!というほど全てをさらけ出す、
それで初めて、余裕を持って(お客様を楽しませる)舞台に立てるんです。

そんな稽古場では僕自身も"そうだ!生きるってこうなんだ"と勇気をもらっています。
凄いキャストです、輝いています。」

女性に囲まれ、両手に花どころじゃないですね~。の言葉には・・・

「花というより、放し飼いの動物園状態ですよ(笑)」

取材中もそれぞれのキャストと笑い合う、みなさん表情がとても豊かで豪快!!

3人×3組の個性豊かな公演になりますね!!

ミュージカル賛歌、人間賛歌、マーマンへの愛と尊敬に満ち溢れた作品です。
観終わった後、エセル・マーマンがグッと身近に感じるような
そんなミュージカルになる予感がします。
2012年の“初泣き”、“初笑い”、“初感動”アイガットマーマンで体感したくなる制作発表でした。

個性溢れる9人のキャストによるパフォーマンスはこちらから

<チャリティーオークション開催のお知らせ>
そして、この公演中、宮本亜門さんの発案でシアタークリエにてチャリティーオークションが開催されます。
落札金は「ふんばろう東日本支援プロジェクト」を通じ全額寄付されます。
様々な支援がある中で、亜門さんからはこの団体の“自立支援”活動に共感したとご紹介がありました。
宮本亜門さんからはもちろん、亜門さんのお声掛けで多くの俳優の皆様からの出品を予定しているそうです。
オークションに出品された現物は「アイ・ガット・マーマン」公演期間中(2012年1月3日~19日 )に、
劇場1階エントランスに展示予定。
入札方法・資格、出品予定者についてはこちらにてご確認ください。

<公演情報>
~東京公演~
2012年1月3日~19日 日比谷シアタークリエ
~大阪公演~
2012年1月22日 サンケイホールブリーゼ オリジナルキャストのみ
~金沢公演~
2012年1月27日 北國新聞赤羽ホール オリジナルキャストのみ
~栃木公演~
2012年2月4日 日光市今市文化会館 ファビュラスキャストのみ

<Story>
1908年NY、一人の女の子が大きな産声を上げた。
その名はエセル・マーマン。
映画や舞台の世界に憧れる少女に育ったマーマンは、
クラブの歌手として働く内に才能を見いだされ、
ブロードウェイでついにデビューする。
一度聞いたら忘れられない大きな声、抜群のリズム感は人々を虜にし、
あのガーシュウインやコール・ポーターといった作曲家たちのミューズとなる。
5度の結婚や娘の死など、愛する人たちとの出会いと別れが悲しみの淵に立たせても、
その度に彼女は輝きを取り戻し、自分の全てをメロディに込めて歌い続ける。
一人の女優として、女として、マーマンが歩んだ人生とは―。



おけぴ取材班&撮影:chiaki レポ隊:hara,suga,kiyo,gu,hino,mami

2011年12月23日

11/12/23 dancin' CRAZY2 湖月わたるさん・朝海ひかるさんインタビュー

2011年12月23日(金・祝)13:00
「dancin’CRAZY 2」湖月わたるさん・朝海ひかるさんインタビュー&プレス発表会レポ
@丸ビル・マルキューブ

宝塚歌劇団の元星組トップ男役の湖月わたるさんと、
元雪組トップ男役の朝海ひかるさんを中心に
ダンスの名手として知られる宝塚OGが多数出演するダンスショー「dancin’CRAZY 2」。

天才振付師ボブ・フォッシーの傑作ミュージカル「シカゴ」の魅力を
ギュッと詰め込んだ“女性キャストのみ”のシカゴダンスコンサートと、
元宝塚トップスターの魅力たっぷりのオリジナルダンスショーの二部構成。
何とも贅沢なステージに高まる期待!

“宝塚歌劇展”開催中の東京丸の内・丸ビルマルキューブで
行われた公開プレス発表会の模様と、湖月わたるさん&朝海ひかるさんの
おけぴ管理人インタビューをお届けいたします。


大階段や羽飾り、そして“ベルサイユのばら”劇中で使用された馬車や
お衣装などが展示された会場・マルキューブはまさに“宝塚一色”

出演者の皆さんの登場をいまかいまかと待ち受けるギャラリーの熱気の中、


フラッシュの光を浴びながら、ながーいエスカレーターを降りてきたのは・・

黒燕尾服をバリっと着こなした湖月わたるさん!
続々と大階段ならぬ“大エスカレーター”から降りてくる出演者に会場からは大きな歓声が。

この日登場した出演者はこちらの皆さま。
(下の写真左から) 星奈優里さん、朝海ひかるさん、湖月わたるさん、風花舞さん。
前回公演「dancin’CRAZY」でも使用された
思い出の黒燕尾服に合わせた個性あふれるシャツが素敵です。
4人そろってビシーっとポーズを決めるとオーラがすごい!!

この日は、第一部と第二部の構成・演出をそれぞれ手掛ける演出家・吉川徹さんと、
宝塚歌劇団演出部家の三木章雄さんもご登壇。
作品にかける思いを熱く語って下さいました。

~Act.1監修、Act.2構成・演出・三木章雄さんコメント~
「宝塚は(歌、踊り、演技と)三拍子そろった人の集まりですが、
ここにいる4人は “美しさ”という4拍子も揃っていまして・・。
ナットキングコールの名曲をロマンチックに歌うシーンなどもありますが、
基本的には汗びっしょりになって踊ってもらいます。
お正月の宝塚のショーも作っているんですが、
あちらは80名で55分。こちらは16名で80分です!
宝塚と言う温室を出ても限界はないんだと感じさせてくれる出演者たちですね。
前回リーダーとして出演していた大浦みずきさんの代表曲とも言える“心の翼”を
全員で歌い踊るシーンもあります。
心をこめて踊りますので、その思いを感じていただければ」

~Act.1構成演出・吉川徹さんコメント~
「新しいチャレンジをしたいという製作サイドの熱意で“シカゴ”に挑みます。
ブロードウェイでロングランされているこの作品の人気の理由は、
“女が強い!女性がかっこいい!”から。
究極の肉食系女子ダンスを見ていただけるのでは。
また世界初の試みとして女性キャストのみでの上演で、ニューヨークからのスタッフも参加します。
日本の、宝塚の卒業生だからこそ出来る熱い舞台になるのでは」

そして、Act.2ではゴールデンコンビとも呼ばれた湖月さん・朝海さんの
「月夜歌聲(つきよのうたごえ)」や、ダンスの名手として名を馳せ、
2009年に亡くなったスター大浦みずきさんの代表曲
「心の翼」へのオマージュシーンも取り入れられると発表され、
大きな歓声が湧きあがりました。

宝塚時代は月組トップ娘役としてそのダンスの才能を
存分に楽しませてくれた風花舞さんは、
「フォッシーダンスを本場のスタッフから本格的に習うのがとても楽しみです!」と、
目を輝かせていらっしゃいました。

会場に展示されたマリ―アントワネットの衣装を懐かしそうに見ながら、
「10年前にあの衣装を着て宝塚を退団しました。
そして今、男役の象徴ともいえる黒燕尾服を着てここにいることが本当に不思議で幸せ」と語った星奈優里さんは、
一足先に始まったダンスの稽古でフォッシースタイルを踊る(自分たちの)姿を鏡で見て
鳥肌が立つ経験をされたとか。

この舞台にかけるスタッフ・出演者の熱い想いが伝わり、
ダンス!ダンス!ダンス!なステージに期待が高まるプレス発表会でした!
そして!
この日の取材第二弾!
プレス発表の後、別室にて湖月わたるさんと朝海ひかるさんにインタビューをさせていただくことが出来ました。
多数の写真撮影や取材をこなされてお疲れのはずなのに、
迎えて下さったお2人は何とも柔らかで素敵な笑顔♪

おけぴ管理人)
今回の作品は観客アンケートによって選ばれたとのこと、
プレス発表会も熱気にあふれていました!

湖月わたるさん)
(初演から)4年間、お客様の心の中に留まり、
リクエストしていただいたことは本当に光栄なことだとおもいます。
今日の会見で製作サイドの意気込みや、お客様の作品に対する期待をビシビシと感じました。
初日に向けて私たちにしか出来ないエンターテイメントショーを作りたいと思います。

朝海ひかるさん)
期待の度合い、声援にびっくりしました。
まさかあんなに人がいるとは思わなかったので、本当にありがたいことです。


おけぴ管理人)
「月夜歌聲(つきよのうたごえ)」というキーワードが発表された時のどよめきがまた一段と大きかったですね。

湖月わたるさん)
このような顔合わせで作品を作れることにワクワクしました。
男役同士で作る京劇の世界のお話で、ラブロマンスの世界にマッチした作品で、
映像化されていないのでよりお客様の心に残っているのかなと。
その音楽を使って2人で再現出来るということは、
なかなか無いことなのでぜひ楽しみにしていただきたいと思います。

おけぴ管理人)
今回はお2人がメインとして出演者を引っ張って行く立場ですね

朝海ひかるさん)
大浦(みずき)さんというのは私たちにとって神様のような存在でした。
大浦さんと一緒に踊らせていただいた空気感、発していたオーラのようなものを、
今回初めて参加するメンバーにも伝えていかなければならないとおもっています。
プレッシャーはもちろんありますが、
大浦さんは絶対に上で見ていて下さると思うのであまり肩肘はらずにやれたらいいなと。
わたさん(湖月さん)が背負いすぎないように肩でも揉みながら・・(笑)
オンとオフをしっかりさせてやっていきたい。

湖月わたるさん)
大浦さんの魂を受け継ぎたいという想いを新たにしました。
今回、スペシャルゲストの姿月あさとさんがいて下さるので、とても心強いです。
先輩の胸をお借りして私たちは踊ることに気持ちを集中していきたいと思います。

おけぴ管理人)
まさにその気持ちを受け継ぐという想いが、宝塚を100年続かせてきたのかなと思いました。

朝海ひかるさん)
周りの俳優さんにも、宝塚って何年くらいあるの?とよく聞かれるんですが、
100年と言うとみなさん本当に驚かれるんですよ(笑)。
100年も失われないものがあるって本当にすごいこと。
歴史をつなげてきたのは“想い”ですよね。

湖月わたるさん)
“宝塚伝承の書”のような教科書があるわけではないので、
先輩方から受け継がれながらずっと続いてきた世界です。
ショー・レビューの世界でずっと生きてきた私たち卒業生だからこそ
出来るショーになるといいなと思っています。
今回は1部でシカゴという大きな挑戦をさせてもらえるので
前回とは違う空気感もあります。
だからこそ2部では自分たちの“宝塚卒業生”という世界も
思い切って表現できるという両面性、これが私たちにしか出来ないショーだと思いますね。


おけぴ管理人)
シカゴでおふたりが演じるヴェルマとロキシ―は
スターを夢見て殺人まで犯す強烈なキャラクターですが、
宝塚時代にトップスターを務めたお2人から見てこの役の印象は?

湖月わたるさん)
ヴェルマは本当にエンターテイメントが大好きで、
そこにしか自分の生きる道はないと思っている人。
物語の終盤ではロキシ―に媚びを売ってまで
エンターテイメントに命をかける、
その精神、根性というのは同じショービジネスで生きている者として
見習うべきところがいっぱいありますね。
彼女を通して舞台人としてひとつ強くなれたらいいな、あやかれたらいいなと。
肉食系ですか・・がんばります!

朝海わたるさん)
自分との共通点が何もない役で・・
どこをどう探したらいいのかと困っていたのですが、
わたるさん(湖月さん)から“けっこう似ているところあるから大丈夫!”と言われて
じゃ、大丈夫かなと(笑)
はじめからハードルを高くしちゃうと助走も何も出来なくなってしまうので、
自分の手の着けていけるところから一歩ずつ進んでいければいいなと思います。

おけぴ管理人)
配役をお聞きした時にお2人の演じるヴェルマ&ロキシ―が
マシンガンをぶっ飛ばしている姿が目に浮かぶようでした♪

湖月わたるさん)
目に浮かぶって・・!そのシーンが、ですか!?

朝海ひかるさん)
あ。いま、ダダダッとふたりでマシンガンやりながら笑いながら踊っているところが想像できた!
なんかすごい楽しかったかも。
うん、出来る。出来ますね。楽しんでやりたいですね。

湖月わたるさん)
いい意味で火花をちらしながら、ね。

朝海ひかるさん)
(ヴェルマとロキシ―がいる)牢獄の連帯感が出るかもしれないね。
ひとりひとりがしっかりと立ちつつも、妙な連帯感があるという・・。
うん、これは新しいシカゴになるかも。ああ楽しみになってきた!


おけぴ管理人)
ビジュアルイメージの妖艶なドレス姿も素敵です♪

湖月わたるさん)
私たちは男役という特殊な世界を経験させてもらっているので、
他の女優さんには出せない女性の強さ、魅力というものを出せるのではとおもいます。


おけぴ管理人)
最後にこの作品を楽しみにしているファンの方、
そして宝塚という世界をまだ未体験という方にもメッセージをお願いします!

朝海ひかるさん)
今回の作品は宝塚未経験の方にもとっつきやすいと思います。
何と言ってもダンスの魅力、ミュージカル・シカゴの魅力がいっぱいですし、
男役のかっこよさもみせられるので。
いきなり宝塚だと知恵熱が出ちゃう人もいるかもしれないけれど(笑)

湖月わたるさん)
男役というのもなかなか無い芸ですので、他の舞台にはない持ち味があります。
あの有名なシカゴの新しい世界をお届けしますし、
女性同士が作る男と女の世界というものを、
百聞は一見に如かずですから体験していただきたいなとおもいます。
新しい扉がひらくかもしれません。

湖月さん、朝海さんありがとうございました!!

プレス発表会の真っ最中、朝海さんの視線の先にあるものは・・・

大きなクリスマスツリーにベルバラ仕様のシャンシャンが♪
※ベルバラ・・宝塚歌劇の大ヒット演目「ベルサイユのばら」のこと。
※シャンシャン・・宝塚のショーのフィナーレで生徒さん達が手に持つ小道具。公演ごとに形態が変わります。

「ツリーにシャンシャンがささってる~♪」と、とっても嬉しそうな朝海さんでした♪

湖月わたるさん、朝海ひかるさんをはじめ、
スペシャルゲスト姿月あさとさん。
風花舞さん、星奈優里さん、秋園美緒さん、百花沙里さん、珠洲春希さん・・と
綺羅星のような宝塚OGが出演のダンスショー『dancin’CRAZY2』は
3月17日~20日まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて、
3月23日~25日まで東京・Bunkamuraオーチャードホールにて上演。

<出演>
湖月わたる/朝海ひかる/姿月あさと/風花舞/星奈優里
秋園美緒/百花沙里/珠洲春希/牧勢海/桐生園加/美鳳あや/彩海早矢/真波そら/大凪真生/祐澄しゅん/大月さゆ

プレス発表会の模様は公演HPでも見ることが出来ます。
dancin’CRAZY2 公式HP>



おけぴ取材班&撮影:mamiko、chiaki、おけぴ管理人

2011年12月26日

11/12/26 CHESS IN CONCERT 石井一孝さん、浦井健治さんインタビュー

CHESS IN CONCERT
石井一孝さん、浦井健治さんおけぴ管理人インタビュー

2012年1月26日から、ABBA作曲、ティム・ライス原案・作詞の
伝説的ミュージカル“チェス”コンサートバージョンに出演される
石井一孝さん(アナトリー役)、浦井健治さん(審判アービター役)の
お二人にお話を伺いしてきました!
(先日の安蘭けいさん、中川晃教さんインタビューに続く
おけぴ管理人CHESSインタビュー企画第二弾でございます!)

おけぴ管理人)
お二人はこれまでも「マイ・フェア・レディ」(2005年,2007年)、
「蜘蛛女のキス」(2007年,2010年)と共演されていますが、お互いどんな印象、存在ですか?

石井さん)
まず、僕が健治をすごいと思うのは、
僕がなりたい役者像をまだこんなに若いのに全うしているところです。

浦井さん)そんなこと。。(恐縮する浦井さん)

石井さん)
僕が尊敬しているローレンス・オリヴィエという役者さんは
白人でありながらオセローで黒人を演じたり、他にも美少年からおじいさんまで
どれもが同じ役者が演じているとは思えなかったそうです。。
そんな、役によって役の色に変われる役者になりたいんです。

先日、(浦井さんがアルフレート役でご出演の)
ダンスオブヴァンパイアの東京公演千秋楽を観に行きましたが、
(蜘蛛女のキスで)あのヴァレンティンを演じた人が、
ちょっと一本ねじが足りないようなアルフレートという
あほな(失礼)青年を見事に演じている。びっくりするんだよね!

本当に健治から学ぶことが多いですよ。
年齢は離れていますが、我々役者は“役として生きる”のが仕事、
その点では先輩後輩関係なく見習っていきたいと思っています。
再びの共演がうれしいですね!

浦井さん)ありがたいお言葉ばかりいただいてしまって。

おけぴ管理人)
浦井さんから見た石井さんは?

浦井さん)
尊敬しています。
カズさん(石井一孝さん)こそ役を演じる上で、自分を消されますよね。
そして、どんどん役の幅を広げていく貪欲さもすごい。
歌うことに関しても、たとえ喉がしんどい時でも役で歌おうとするので決して引かない。
その気持ちの強さ、そして持って生まれた喉の強さ、全身共鳴板のような声・・・
本当にいろいろな面で尊敬しています。

そして知識という点でも!
天性の音楽的センスに加えて、
きちんとした知識に裏付けされた音楽への見識も素晴らしいと思います。
実は、カズさんの持っているCDの書庫というのがすごくて…

地方公演中に二人で中古CDショップを巡り、
生まれて初めてCDショップで蛍の光を聞きました。
やがて無音になり、徐々に電気も消え。。。
その中でも選び続けるカズさん。

石井さん)
一つの店舗で100枚以上買うからね、
馬鹿だよねぇ、可笑しいでしょ(笑)
選んでそこからレジに行く、
そこからまだこだわりがありまして、
背の帯の有無をすべて開封して調べるんですよ。
僕、帯マニアなんでね。

浦井さん)
200枚くらいのCDを運び、仕分けるカズさん。
それを僕が後ろから見ているとスタッフさんが僕の周りに。
最後は店長さん含め全員が見守る中で
その作業が続いていったのですよ…
この熱意はすごい!!!

石井さん)
健治、そこから学ぶことはないと思うよ。
しいて言えば、もっと人に迷惑をかけないで生きた方がいいってことかな(笑)。

浦井さん)
いえいえ、こんなこと言うのは先輩に失礼ですけど、
カズさんの音楽への情熱は秀でたものがあります!
この音楽への情熱、愛をぜひ見習いたいです。

石井さん)
僕のマニアなところ、だめなところを可愛いと
思ってくれる後輩と一緒でうれしいです。はっはっは。

おけぴ管理人)
今回共演されるCHESSという作品。
今回はコンサート形式ということですが、どのような役作り、作品作りになりそうですか。

石井さん)
コンサート形式だからと言って、ただ歌を歌って“いい声だった”とか、
“ロングトーンがよく伸びていた”とかではないんです。

歌手の場合、一曲の中でその曲の主人公は消化され完結されますが、
役者の場合、曲と曲が連動していて、且つその一曲を歌う“理由”が必要なんですよね。

突然アンセムが出てくる、突然マリウスがカフェソングを歌うのではなく、
なぜマリウスがカフェソングを歌うのかということです。
もし理由がなければ自分でサブストーリーを作ってでも
そこまでのプロセスが必要になります。

僕らがやるからにはコンサート形式といってもお芝居なので、
きちんとその骨格を埋めて歌いたいな。そう、健治とも話しているんですよ。

なぜこのイントロで三連符なのかというところ、
それはそこに登場している人物の感情が三連符だからなんです。
そうやってイントロから感情が紡がれていって歌う、
そうなりたいですし、そうなると思います。
このメンバーですし!
もちろん、一曲一曲で分断された風には荻田さんが作らないでしょうからね。

感動するおけぴ管理人)
それぞれの役についても、お話をお伺いさせて下さい

浦井さん)
僕の役は一人俯瞰した、別次元にいるような存在でもあるんです。

カズさん、中川くんの対立関係、そして安蘭さん。
このお三方の声の魅力ってすごいじゃないですか。
その三人を束ねているようにも見えなくてはいけない・・・。
僕がどう束ねればいいですか。土下座すればいいんですかって話ですよ(苦笑)。

石井さん)面白いこと言うね!!

浦井さん)
すごいお三方がハーモニーを奏でたり対立したりする。
石井さんのアナトリーはやわらかいクラシック要素が多く、
中川くんのフレディはロックテイスト。
その理由は役を通してわかってくる。
僕が演じるアービターがジャッジするチェスのボードの上で、
どう見えてくるのか楽しみではありますね。

おけぴ管理人)
このような役にキャスティングされたということについていかがですか?

浦井さん)
ありがたいと思っています。
(僕に)やらせたいと思ってもらえたことは大きなチャンスですから。
アービターは世界各国でいろんなアプローチで演じられているので、
荻田先生の演出の下、浦井版アービターを作り上げたいと思います。
今までのアービターは革ジャンだったり、
モヒカンで黒縁めがねだったり、
中にはサラリーマンのようなスーツ姿で紳士的だったりと色々なんです。

果たしてどんなスタイルになるのか、お楽しみに。

そしてそれはほかの役に関してもみんなそうで、
もしかしたら石井さんのアナトリーが革ジャンかも(笑)

石井さん)ってことは、健治がモヒカンで海パンかもしれない?!?!

浦井さん)それはありません(笑)。

石井さん)そうだね、その挑戦は必要ないね(笑)。

笑いが止まらないおけぴ管理人)
では、気を取り直して!
石井さんの演じるロシア人チャンピオンアナトリーについてはいかがですか?

石井さん)
閉鎖的で抑圧されていた冷戦時代のソ連。
その空気感を出したいですね。
そしてそこで才能を見抜かれチェスの世界チャンピオンになるべく英才教育を受けて育ってきた。
当然頭脳明晰だろうし、数学的に物事を考え、
常に何手も先を読むようなそんな人物ではないだろうかと荻田さんとも話しています。

自由な国の人ではない、KGBが背後に潜んでいて、
盗聴されているかもしれないので思っていることを言わない、言えない。
そんな中で生きてきた人間が、チェスの世界大会を通して自由な世界に旅立つ経緯。
祖国を捨てるべきかの葛藤。そんなバックボーンを作りたいですね。
そして彼は、ただ単に、チェスが好きだからやっているのでは決してありません。
そうできたら幸せなのに…。

一方で中川くん演じるフレディは豪放磊落で、本物のチェスの天才です。
そして自由な発想と表現ができる環境下にある人。
で、キレやすい(笑)。
つまりNO!!と大声で言える環境で生きてきた人と、NO!!と言えない人。

だって、言えないですよね。
自分の言動ひとつで親兄弟にまで影響が及ぶかもしれない、
国の恥をかかせるようなことをすれば命さえも保障されない状態ですから。

そのあたりも作り上げて行きたいと思っています。

とはいえ、僕一人が違うアプローチをしても変なので、
あとは荻田さん、そしてみなさんと一緒に作り上げていきたいと思っています。

健治のアービターと目が合う瞬間、審判をどう見るのか、
彼のジャッジで僕が勝つのか負けるのか、
目線ひとつとっても、そこにぴりぴりしているでしょう。
アナトリーとしてアービターを見たいと思います。

おけぴ管理人)
アナトリーはフローレンスという敵対する側の女性と惹かれあうという
複雑な展開も待っていますがそのあたりは?

石井さん)
そこに関しては心配していません(笑)。
なにせ、とうこちゃん(安蘭さん)が素敵な女性ですから。かわいいし。

浦井さん)
カズさん!さっきから“フローレンス”ではなくて、
ずっと“とうこちゃん”になっていますよ(笑)

石井さん)
あらそう?
とにかく、こうしてああでもないこうでもないと
みんなで話をしながら作り上げていきたいですね(笑)。
なにせ健治は4人全員と共演しているのに対して、僕は健治以外初共演だからね!

もちろん楽屋で挨拶ぐらいはしたことあるし、
中川くんは何と言っても”モーツァルト!”初演を観て、
なんてスゴい人だろう、いい役者だし、何と言ってもあの声!と思いました。
音楽好き、歌好きの僕は打ちのめされましたね。

そして、とうこちゃんは、実は宝塚時代、
まだ、二番手か三番手のころから見ていました。
「あの役の人いいよね」と宝塚に精通している方に話すと、
「あの人は安蘭けいさんという方よ」と教えてくれました。

それから何ヶ月か経ってまた見に行き、また「あの役の人いいよね」と話すと、
再び「あの人は安蘭けいさんよ。よっぽど好きなのね。」と言われました。

つまり、とうこちゃんとは、これはもう運命の出会いかもしれないですよね!
まあ僕にとっての運命は、一方通行と同義語ですけどね。ははは~(笑)

浦井さん)
もうっ!勝手に運命の人だなんて!!しかもとうこちゃん、とうこちゃんって!!(笑)
せめて呼び方は“フローレンス”にしてくださいよ!ぼくは事務所の人じゃないですけど(笑)

石井さん)そのくらい好きな役者さんってことだよ!!(笑)

~おけぴ管理人編集後記~
限られたインタビュー時間だったのですが、
お二人の掛け合いトークにどんどんエンジンがかかっていって、
めちゃめちゃ楽しいインタビューでした。
また、一ミュージカルファンとして、
とっても深くいいお話もお伺いできて幸せでした!
ありがとうございました!!

p.s.
石井一孝さんのブログがめちゃめちゃ面白いです!
CHESSのお稽古のお話もとても面白くて楽しい♪

CHESS IN CONCERT
アメリカ人チェスチャンピオンのフレディ役を中川晃教さん。
フレディのアシスタント・フローレンス役を安蘭けいさん。
そしてフレディのライバル、ロシア人のアナトリー役を石井一孝さん。
CHESS競技を華麗にクールに裁く審判アービターに浦井健治さんなど、
素敵なキャスティング♪

出演:
安蘭けい/石井一孝/浦井健治/中川晃教(五十音順)
AKANE LIV/池谷京子/大野幸人/角川裕明/田村雄一/ひのあらた/横関咲栄
演出:荻田浩一
音楽監督&Piano:島健

作品HPはこちら
東京公演は2012年1月26日から29日まで青山劇場にて、
大阪公演は2012年2月10日から12日まで梅田芸術劇場メインホールにて上演。
上演期間も短いです!お見逃し、お聴き逃しなく!!



おけぴ取材班:chiaki、おけぴ管理人 撮影:おけぴ管理人

2011年12月28日

11/12/28 劇団黒テント「青べか物語」稽古場レポ&鄭義信さん 斎藤晴彦さん 内沢雅彦さんミニインタビュー

2011年12月28日(水)13:00
劇団黒テント「青べか物語」稽古場レポ@イワト劇場
&鄭義信さん 斎藤晴彦さん 内沢雅彦さん ミニインタビュー


稽古場いっぱいに溢れる音楽!
そして逞しく生きて行く人々のめげない元気!

楽しくて、愛しくて、切なくて・・
体いっぱいで生きている“浦粕(うらかす) ”の人々がそこにいました!


「時代小説の名手・山本周五郎の世界を、あの“劇団黒テント”が舞台化する」
そう聞いて想像していた世界とは少し違う、
エネルギッシュで楽観的で、そしてとにかく理屈抜きに楽しい音楽がいっぱいの稽古場。
若い俳優さんたちの、いきいきとした表情が目に飛び込んできます!

昭和初期、まだディズニーリゾートや埋立地が作られる前の浦安をモデルにした架空の町
“浦粕(うらかす)”に生きる人々。
ふらりとそこに住み着いた三文文士の“せんせい”(山本周五郎自身がモデル)の目から見た彼らの生活をオムニバスで描く「青べか物語」。


(写真:左から服部吉次さん、木野本啓さん、宮崎恵治さん、内沢雅彦さん)


(写真 “せんせい”を演じる斎藤晴彦さん)

遠い昔から物語を伝えてきた「語り部」のように、
詩や評論、小説など戯曲以外のテキストを
台詞以外の文章も全て俳優が語り、演じるという黒テントの十八番芸「物語る演劇」。

今回拝見したシーンでも複数の俳優さんが
語り手の“せんせい”を含めた様々な役を演じていました。
次々に語り手が変わっても違和感なくすすむ舞台。新鮮な体験です。

演出するのは、かつて黒テントに在籍していた事もあるという鄭義信さん。


(写真:振付作業を見つめる鄭さんの背中)

映画「月はどっちに出ている」「愛を乞うひと」や、
今春に続編「パーマ屋すみれ」の上演も決定している舞台「焼肉ドラゴン」などで、
各界の賞を多数受賞している脚本・演出家の鄭義信さん。
つまづき、絶望を抱えながらもたくましく、
あっけらかんと生き抜く人間を描く鄭さんの世界。
今回の「青べか物語」でもその朗らかな力強さを感じます。

服部吉次さん(あの服部良一さんの息子さんです!)の奏でるピアノの音が響く、何とも贅沢な空間。

楽器の演奏も俳優さん自身が行います。みなさん芸達者で見ていて飽きない!
次から次へと「何か」が飛び出してくる、
まるでおもちゃ箱のような楽しい稽古場♪

振り付けや、演奏の確認、
次々に語り手の変わる台詞と格闘しながらのシーン通しなど、
盛りだくさんの稽古を見学させていただいた後、
鄭義信さんと、黒テントの看板俳優・斎藤晴彦さん、
そして今回の企画の発案者でもある内沢雅彦さんにお話しを聞くことが出来ました。

おけぴ)
今回、この作品を上演しようと決めたきっかけを教えて下さい

内沢さん)
実はもう随分前からこの「青べか物語」を上演したいと考えていまして、
劇団内の試演会までやっているんですね。
物語る演劇というのも、はじめは大学の渡り廊下なんかでやっていたこともあるので、
この山本周五郎のこの作品もそういう手法でやったら面白いのではないかなと思い、
かつて劇団で一緒にやっていた鄭さんに声をかけさせてもらいました。

おけぴ)
拝見していて、複数の俳優さんが“せんせい”を演じるアイディアがとても面白いと思いました。

鄭さん)
ひとりが一貫して演じるのではなく、
いろんな人がいろんな役をやるというのがいいなと思いまして。
いろいろな人の視点から見ている“わたし”がいて“せんせい”がいるという・・
誰かひとり主人公がいるのではなく、
みんなでお話しを作っているという感じにしたかったんです。

おけぴ)
斎藤さんから見て“演出家”鄭さんの印象は?

斎藤さん)
彼が在籍していたと言っても25年前のことですから。
そうすると彼の方から、劇団の役者に対する先入観がないわけですよ。
劇団に入りたてだろうが、ベテランだろうがね。
やっていて新鮮なのはそこですね。同じ高さからダメ出しがくるからね。
役者の方でもやっているうちにお互いの関係性が変わってくる。
「黒テント」という劇団ではなく「鄭の劇団」なのね、いまや。
それが今回の魅力かなと思いますね。

おけぴ)
いつもの黒テント公演とはひと味違う?

斎藤さん)
ちがいますよー。とにかく若い役者が元気!
劇団内の演出家とやるのとは違うな(笑)

鄭さん)
若い俳優さんたちが未知数なところがいっぱいあって・・
この人たちどうしようかな、という(笑)
お尻叩いたり、あの手この手で・・ってそんなに手はないんですけど。
あきらめずにとことんね、やるっていうことです。

おけぴ)
「物語る演劇」は心の中の言葉や説明まで全て台詞になっていて、
まるでミュージカルのようだなと思いました。


(写真:“船長”を演じる服部吉次さんと岡薫さん。このシーン大好きです!)

内沢さん)
ミュージカルといえば、レ・ミゼラブルの斎藤さん!僕も2回観ています(笑)
黒テントって本当に音楽が好きな集団なんで、
今回の作品も例えばエノケンさんの歌をずいぶんと歌ったりするんです。
音楽の力を借りながら、楽しい歌をお聞かせしますので!


(宴会シーンも楽しさいっぱい。真ん中で踊るのは劇団創立メンバー小篠一成さん。 この踊りが・・切ないんです!)

おけぴ)
稽古場中に音楽が溢れていて、とても楽しかったです。
最後にこの作品を観る人にメッセージをいただけますか?

鄭さん)
登場人物たちがすごく面白い。
その人たちをどこまでいきいきと描けるかというのが大きなところです。
すごく猥雑な感じで作っているので、“静謐な山本周五郎の世界”を求める人は
ちょっと困ったと思われるかもしれませんが(笑)。これもまた庶民の暮らし。
山本周五郎の愛した猥雑感を一緒になって楽しんでもらえると嬉しいです。

斎藤さん)
とにかく出てくる人がみんな元気!
この、ぬけぬけとした元気さは僕らも本当は持っているものだと思うんだけど・・
今、何となく元気がないじゃないですか。いろいろと、ね。
だからこれを観て元気になって帰ってもらいたいですね。
まあ、これから稽古が進んでどうなるかわかりませんけど。
この人(鄭さん)、曲者ですから(笑)

鄭さん)
いやあ、もう静謐な世界には戻れませんよ(笑)

鄭さん、斎藤さん、内沢さん、ありがとうございました!


(写真:左から内沢雅彦さん、鄭義信さん、斎藤晴彦さん)

山本周五郎の名作短編集を、
いま演劇・映画界で注目を集める鄭義信さんの脚本・演出で上演する
劇団黒テント第73回公演「青べか物語」は1月18日~29日まで
東京・神楽坂のiwato劇場にて上演。

「黒テント」という名を聞いて“アングラ劇団の代表”とか
“難しそう”とかいうイメージを受ける方、もったいないです!
ギターにベース、トランペットなどが楽しく演奏され、大らかな歌声が響く人間賛歌。
逞しく生きる浦粕の人々の“元気”を劇場でもらってきて下さいね。



おけぴ取材班&撮影:mamiko 監修:おけぴ管理人

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