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2012年07月 アーカイブ

2012年07月05日

12/07/05 ミュージカル「ジェーン・エア」制作発表レポ

2012年7月5日(木)12:00
ミュージカル「ジェーン・エア」制作発表レポート

2009年日本初演のミュージカル「ジェーン・エア」が待望の再演!
初演から引き続いてジェーン、ロチェスターを演じる、
松たか子さん、橋本さとしさんによる制作発表記者会見の模様をレポートいたします。

原作は文学史上不朽の名作、19世紀のイギリスを舞台に
時代に立ち向かい強く逞しく愛に生き抜いた一人の女性、ジェーン・エアの物語。

はじめに初演のダイジェスト映像が上映され、
松ジェーンの強くまっすぐな瞳、伸びやかな歌声に初演の感動が蘇りました。

そしてお二人の登場です。純粋な愛を貫くジェーン・エアを演じる松さん

再演についての意気込みを
「こうして再演のチャンスをいただき、尚且つ自分自身が“やろう!”
と心から思えたということは、
やはりそこに何かやり残したことがあるのだと思います。
この3年間がどんな意味を持つのか、
またしっかりとお稽古して本番に臨みたいです。
今年は東京公演の後に博多公演もありますので
元気にゴールできるようにさとしさんやみんなと力を出し合って頑張ります。」


影のある男を好演した橋本さとしさん

「ロチェスターという役は暗い男でして。。。
それまではイケイケの役が多かったんですよね。
そして、ラブストーリーの相手役というのも初めての経験で、
どう演じるのか完全に手探りでした。
歌も大変でしたし、集中力も心もたくさん使いました。
そうやって苦労した分、自分にとって大きな作品ですし、
作品を通して役者として成長できました。
再演の声が上がっても実現するのはなかなか難しい時代、
こうしてお客様にとっても自分にとっても
大切な作品を再演できるのはとてもうれしいことです。」


松さん、橋本さんが語る作品の魅力については

松さん)
「ジェーンは初めから完璧ではなく、迷いをきちんと感じながら生き、
そして恋愛をしてさらに自分の気持ちが揺らぎながらも生きていきます。
完璧ではない人が日々を一生懸命生きて、
自分の足で立とうとする姿は時代を超えて訴えかけるものがあるでしょう。
現代においても懸命にもがきながら生きる人の姿は
何かを訴えかける力を持っていて、それが魅力の一つだと思います。」

“作品については僕が言いたいことを全部言ってくれたので、”
と橋本さんからは舞台版の魅力を。そんなところもコンビネーション抜群!

橋本さん)
「舞台はワンシーンワンシーンがとても美しく
無駄なものが無い絵画のような舞台です。
その分、演じるキャラクターたちの思いや性格が浮き彫りになって、
心の中にストーリーが入ってきます。
また、今回も客席がステージ上にもあるので、
キャスト目線で見てみるのも面白いかなと思います。
芸術の秋ですから絵画のような美しい舞台に浸っていただきたい、
そんなミュージカルです(笑)」

そして演出家のジョンケアードとの思い出の話になると、
懐かしさとカンパニーの雰囲気の良さが伝わります。

松さん)
「演出家としての柔らかさと厳しさを持った方です。
一番印象的だったのは、お稽古場でジョンはいつも裸足だったことです。
いっぱい歩き回るのでいつも足の裏が真っ黒(笑)
そんな無邪気さが私たちを和ませてくれる、本当に朗らかな方です。」

橋本さん)
「役者と演出家としての信頼関係は自分なりに築けていると思うのですが、
稽古を離れたら近づいて来られると逃げる関係でした、
僕は英語をしゃべれないので(笑)。
一度、帰りがけに僕の車で送ることになり、そのときの密室での静寂は。。。
稽古場であれだけディスカッションしていたのに、
通訳無しではお互いに何をしゃべっていいかわからず、
気まずいまま駅まで送って行ったことを覚えています。
今回も英語はしゃべれないので(笑)、
ボディランゲッジ、魂でぶつかっていきたいです。」

最後にそれぞれの役について

松さん)ジェーンは好きになった人を信じようとする気持ち、
怖いけど信じようとする勇気を持っていたいなという理想や願望を体現してくれる役。

橋本さん)自分の中のダークサイドの部分を出すことに抵抗感があったけれど、
出してみると快感になった!いろんな心の扉を開けてくれる役。

とおっしゃるお二人が
秋にどのようなジェーン、ロチェスターとして戻ってくるのか、とても楽しみですね!

<公演情報>
10月6日~28日 日生劇場にて

<出演>
松たか子
橋本さとし
寿ひずる
旺なつき
阿知波悟美
山崎直子
辛島小恵
小西遼生
福井貴一
壤晴彦 ほか

<スタッフ>
脚本・作詞・演出 ジョン・ケアード
作曲・作詞 ポール・ゴードン

<あらすじ>
19世紀イギリス。幼くして両親を亡くし、
劣悪な環境の寄宿学校で成長したジェーン・エア(松たか子)は、
やがてソーンフィールドの富豪の館に家庭教師として赴任する。
館の主人ロチェスター(橋本さとし)の謎めいた挙動に不審を感じながらも
少しずつ彼に魅かれていき、やがて二人は行き違いを乗り越え結婚を誓う。
しかしその時、隠されていた過去が暴かれる…。



おけぴ取材班:chiaki 監修:おけぴ管理人

12/07/05「蒼い妖精とピノッキオ」公開稽古レポ

2012年7月5日(木) 14:00
「蒼い妖精とピノッキオ」公開稽古レポ
@あうるすぽっと

決して死ぬことのない人形「ピノッキオ」が、なぜ一度きりの“生”を望むのか。
100年以上にわたり世界中の子どもたちの間で読み継がれてきた名作「ピノッキオ」が、
新たな舞台作品として生まれ変わります!
創立60周年を迎えた劇団ひまわりが、記念公演として上演してきた「きらめくいのち三部作」の第三弾、
「蒼い妖精とピノッキオ」の公開稽古にお邪魔してきました!

まずはあらすじをご紹介♪

人間界のとある場所に集う個性豊かな妖精たち。
彼らの使命は「魂をもった人形を人間に変える」こと。
しかしながら「蒼い妖精」(中嶋朋子)は、
自分が人間にした“元”人形たちの現在の姿に心を痛め、
「もう二度と人形を人間に変えたくない」と考えていた。
だが、「知恵の妖精」(加藤清史郎)は、
人形師ジェッペット(立川三貴)が孫娘のために作った
「ピノッキオ」(馬場徹)という人形を担当するよう言い渡す。
蒼い妖精は絶望的な気持ちのままピノッキオの元へと向かい、彼を連れて旅に出る。
「この星に人間は有り余っているわ。
欲にまみれて、愚かな振る舞いを繰り返している……」。

人間たちの振る舞いに絶望する「蒼い妖精」役は、中嶋朋子さん。
主人公の苦悩や心の葛藤を全身で表現!!


「人間になりたい」と願う人形「ピノッキオ」を演じるのは、馬場徹さん。
子どものような無垢な喋り方とコミカルな動きがとてもチャーミングです!


最近では舞台やミュージカルでも大活躍の加藤清史郎くん。
個性豊かな妖精たちをまとめるリーダー役!
難しい言葉も知的に話す、堂々たる”知恵の妖精”です♪

「蒼い妖精」によって人間になった“元”人形、ミスター・フォックス役は、桑野晃輔さん。
もう92、3歳のおじいさんですが、テレビカメラの前ではあら不思議……!


人形「ピノッキオ」を作ったジェッペットを演じるのは、立川三貴さん。
普段の何気ない生活を大事にする、愛すべきおじいちゃん。
孫娘・マリアと一緒にピノッキオを捜す旅に出ます。

原作「ピノッキオの冒険」は、児童文学でありながらも、
社会風刺の意味も込められた作品。
この舞台も、人間たちと、彼らに絶望する「蒼い妖精」や
純粋無垢な「ピノッキオ」との対比を通して、
「人間の振る舞いがいかに愚かなものであるか」が浮き彫りになります。
子どもはもちろん、大人にこそぜひ観てほしい!
そう思わせてくれるファンタジー作品「蒼い妖精とピノッキオ」。
公演は8日まで。お見逃し無く!

<公演情報>
7月5日(木)から8日(日)まで
東池袋のあうるすぽっとにて。
詳しくは、公演HPをご覧ください。

<スタッフ>
脚本:横山一真
演出:山下晃彦
音楽:和田啓 ほか

<出演>
中嶋朋子
馬場徹
加藤清史郎
桑野晃輔
立川三貴(演劇集団 円)
ほか


人形たちのセクシーなダンス♪


おけぴ取材班&撮影:hase 監修:おけぴ管理人

12/07/05 華のん企画『ヘンリー六世 Ⅲ』稽古場レポ

2012年7月5日(木)15:00
華のん企画『ヘンリー六世 Ⅲ』稽古場レポ

7月14日に初日を迎える、華のん企画『ヘンリー六世 Ⅲ』&『リチャード三世』。
いよいよ本番まで10日を切った稽古場は、熱気と活気に溢れたシェイクスピアの異空間。
『ヘンリー六世 Ⅲ』の通し稽古を拝見してまいりました!

1995年から続く“子供のためのシェイクスピア”シリーズ、
今回は『ヘンリー六世 Ⅲ』と『リチャード三世』の2作を交互に上演。
お邪魔した稽古場では『ヘンリー六世 Ⅲ』の通し稽古が行われていました。

『ヘンリー六世』は15世紀のイングランド王ヘンリー6世を主人公とする3部作で、
今回はその第3部(『ヘンリー六世 Ⅲ』)の上演です。
そして、もう一本の『リチャード三世』は、
『ヘンリー六世 Ⅲ』にも登場するリチャードを主人公とし、彼のその後を描いた作品。
まるで続きものの大河ドラマのような2本、
イギリスの王位継承にまつわる戦いを描いた、シェイクスピア初期の傑作です!

さて、通し稽古がはじまりました。
子供のためのシェイクスピアとはどういうものなのか、興味津々で拝見しておりますと、
舞台に配置されているのは、テーブルと椅子のみで、
上写真では黒いコート、黒い帽子の一群が座っておりますが、
このシンプルでシックなデザインが華のん企画のシェイクスピア。
子供を子供扱いしない、この渋みにまずは驚かされ、同時に大変嬉しく思いました。

ところが、この静かなイメージはすぐに裏切られてしまいます。
テーブルと椅子は場面ごとに素早く配置を移動し、あらゆる空間に早変わり。
役者さんたちは複数の登場人物を目まぐるしく演じ分け、
縦横無尽の変幻自在、スピード感のある演出で、シェイクスピアの絢爛豪華な史劇が、
目の前に鮮やかに浮かび上がってくるのです。

役者さんは10人のみで、黒いコートの人物たちも各場面でそれぞれが演じます。
黒い人物たちは、主要キャスト以外の全ての役を演じつつ、
ある時は登場人物の心の声をつぶやき、ある時は舞台転換までやってしまい、
何者でもない彼らが何にでもなって、シェイクスピア絵巻の細部まで盛り上げます。


ヘンリー六世を演じるのは若松力さん。
権力抗争の激しい戦乱の中で、王冠に執着をしない、唯一「まとも」な人物かもしれません。
まともであっても、それが必ずしも正しいことにはならないのが世の常。
優しいがゆえに、返って混乱を招くことにもなります。哀しい王です。
この真っすぐな眼差し。じゃくじゃくとした佇まいと実直さ。
ほれぼれとする若松さんの演技!



(写真左:伊沢磨紀さん、写真右:佐藤真希さん)

出ました、マーガレット王妃!
ヘンリー六世の奥さんです。演じるのは、伊沢磨紀さん。
マーガレットの負けん気が問題を大きくし、火に油を大量に注ぐことになります。
伊沢さんの格好いい表情、声がビシビシと響いてきました。
しかし、強そうな態度の一方で、どこかお茶目な風味も感じます。

華のん企画のシェイクスピアでは、巧みな意訳が随所に飛び出します。
「ガミガミ女」と罵られるマーガレット王妃。
他にも、「ばっかじゃねえの?」「そんなことはじぇんじぇんない」「ヤン坊マー坊」などなど、
ぐっと砕けた台詞が散りばめてあって、それがシェイクスピア演劇の、
いわゆる硬派な演技の中に突然介入してくるのです。
ともすると堅苦しく思われがちなシェイクスピア戯曲、シェイクスピアの演技を、
そういった形で噛み砕いていて、
しかもそれが単なるおふざけではなくて、
要点をおさえた上での軽みになっていて、
この場面はこういうことである、この人はこういう人であるというのが、
笑いとともに明確になってきます。
シェイクスピアのエキスを抽出したような舞台。
もう、完全に引き込まれてしまいました!


佐藤誓さんが演じるのはエドワード。
王位奪取に燃えますが、政略を無視し勝手に結婚相手を決めてしまう
だらしのないところが、ちょっと魅力的でもあります。
佐藤さんの眼光が鋭く、目配せ一つで変わる場の空気!


大内めぐみさん。ここではエリザベスを演じています。
(他の出演者の方も皆さん、複数の役を演じます)
大内さんのエリザベスは、清楚で可愛く、慇懃無礼。。。
佐藤誓さんとの場面で、はっきりしっかり罵る姿に大いに笑わせていただきました!


佐藤真希さんの演じるボーナ姫は、フランス語を話しますが、
ここはあえてフランス語、喜劇的な要素の一つで使われます。
佐藤真希さんはこの後、皇太子役への早替えがあり、一瞬の場面転換で性別も転換!

それぞれが複数の役を演じるキャスト陣ですが、
これは闇雲に配役されているのではなく、
役と役のギャップや、相互関係が吟味されているように思いました。
姫と皇太子を一人が演じるだなんて、なんて粋な演出なのでしょう!



(写真左:佐藤誓さん、写真右:伊沢磨紀さん)

『ヘンリー六世 Ⅲ』はランカスター家とヨーク家による王権争いを描いたもので、
当然、戦闘の場面がふんだんに盛り込まれています。
出演者の皆さんの軽快な動きは必見です!


手前で、奥で、テーブルの上で、繰り広げられる殺陣。
生ぬるい殺陣ではありません。激しく、スピードがあり、見応え充分です!


華麗な殺陣で敏捷に跳び回っていた戸谷昌弘さん。
さすがジャパンアクションクラブのご出身、凄まじい動きでした。
戸谷さん演じるヨーク公はついに負傷します。
血のハンカチで涙を拭わせる場面は『ヘンリー六世 Ⅲ』の見せ場の一つ!



(写真左:チョウ ヨンホさん、写真右:山口雅義さん)

甲冑に身を包んで、戦乱の世に暴れる男たち。
山口雅義さん(写真右)演じるジョージは、兄弟が美人と結婚したことに、
あからさまに悔しがったりして、こういったところがシェイクスピアのおもしろいところで、
それをプッと笑えるように仕立ててあるのが、この舞台の魅力です!



(写真左:谷畑聡さん、写真右:チョウ ヨンホさん)

チョウ ヨンホさん(写真右)が演じるのはウォリック。
ウォリックは、とある恥ずかしい目に遭ってしまい、
それがもとで裏切りを敢行しますが・・・。
チョウさんのスッと伸びた姿勢と知的な台詞回しにもご注目下さい。



(写真左:谷畑聡さん、写真右:大内めぐみさん)

まるで羅漢像のような迫力、谷畑聡さん(写真左)が演じるクリフォード卿です。
ヨーク公のまだ幼い息子(写真右:大内めぐみさん)を殺害する場面ですが、
むごいはずのこの場面も笑える要素を入れてあります。
戦慄の殺害シーンへと一転し、そのバランスが素晴らしい場面、
谷畑聡さんの存在感が溢れかえっていました。



(写真左から、佐藤誓さん、戸谷昌弘さん、チョウ ヨンホさん、長本批呂士さん)

「脚本・演出、そしてリチャードを演じる山崎清介さんが、この日はご不在で、
アンダースタディ(代役)の長本批呂士さん(写真右端)がお稽古に参加されていました。
普段のお稽古では、山崎さんは演出席からお稽古を見つつ台詞を言い、
長本さんが代わりに舞台に立って演じていらっしゃるのだそうです。
山崎さんが演出と出演を兼ねる華のん企画では、
アンダースタディはとても大事な役目だと知りました。


長本さんが手にしている人形は、華のん企画のお芝居の重要な出演者!

リチャードは、今回並行して上演される『リチャード三世』の主人公のリチャードです。
身体に障害を抱えており、親に愛されなかったと感じている彼は、
リチャード三世となってから悪の限りを尽くします。
人形は、リチャードの障害そのものであり、また彼の心の中の言葉を
可愛い声で言い放つ、本音の装置でもあります。


リチャードの左手に宿る、彼の憎悪を集約した、空気を読まない、可愛い人形。

王位を巡って巻き起こる負の連鎖。復讐に復讐が重なり、とめどなく戦いが続きます。
一旦の結末を迎えはしますが、この悲劇がまだ続くことが予感されます。

気付くと、これが“子供のためのシェイクスピア”であることを忘れていました。
シェイクスピア史劇を見た充実感でいっぱいです。
全力で面白いお芝居をやることが、子供のためになるのだろうと思いました。
子供向けというのは、そういうことかもしれませんね。

真正面からシェイクスピアに取り組み、戯曲を整理し、要点を絞り込み、
安定感のある役者さんが適役を演じ、隙のないタイトで骨太な演出。
現代に通じる喜劇として再構築した『ヘンリー六世 Ⅲ』。
残念ながら、この日のお稽古は『ヘンリー六世 Ⅲ』のみでしたが、
『ヘンリー六世 Ⅲ』を観ると、その後を描いた『リチャード三世』がとても気になってくるのです!
池袋のあうるすぽっとでの二作交互上演、ぜひ両作品ともお見逃し無く!

2012年7月14日より7月22日迄 あうるすぽっとにて

<スタッフ>
作:ウィリアム・シェイクスピア(~小田島雄志翻訳による~)
脚本・演出:山崎清介
照明:山口暁
音響:角張正雄
衣裳:三大寺志保美
演出補:小笠原響
舞台監督:井上卓
プロデューサー:峰岸直子
企画・製作:華のん企画

<出演>
伊沢磨紀
佐藤誓
山口雅義
戸谷昌弘
若松力
大内めぐみ
谷畑聡
チョウ ヨンホ
佐藤真希
山崎清介



登場人物のそれぞれの思惑が絡み合って騒動は続きますが、ふと、
皆が欲しがるあの王冠に、一体何の意味があるのだろうと思わされました。
舞台を包む喜劇の気配は、この戦乱が何から何まで馬鹿馬鹿しいものであると、
伝えていたのかもしれませんね。


おけぴ取材班&撮影:yoshida 監修:おけぴ管理人

2012年07月08日

12/07/08 クリンドルクラックス!稽古場レポ&インタビュー

2012年7月8日(日)
「クリンドルクラックス!」稽古場レポート&
阿久津愼太郎さん 伊阪達也さん 宮地雅子さん 安寿ミラさんインタビュー


阿久津愼太郎さん(D2)、伊阪達也さん、小野健斗さんが11歳の少年に!
彼らを取りまく、ちょっぴりへんてこな大人たちを演じるキャストも、これまたとっても個性的♪
演劇好きならきっとワクワクしてしまう、この顔触れは“事件”です!

ドラゴン退治伝説を下敷きに、子どもはもちろん、大人も笑って泣けて心躍る冒険物語「クリンドルクラックス!」。

17歳から85歳まで、バラエティ豊かで魅力的なキャストが集まった稽古場レポートと、
劇中で親子を演じる2組の母と子、
「阿久津愼太郎さん&宮地雅子さん・伊阪達也さん&安寿ミラさん」インタビューをお届けいたします♪♪


(写真右:主人公の少年ラスキンを演じる阿久津愼太郎さん!
  写真左:ラスキンを愛する母・ウェンディを演じる宮地雅子さん)


演劇オタクのいじめられっ子・ラスキンは、愛する町“とかげ大通り”で暮らす11歳。
「太陽だって、月だって、自分を疑えば輝けない」
チラシに印刷された、詩人ウィリアム・ブレイクの言葉の通りに、自分を信じて夢に向かう勇敢な少年です。
でも、そんなラスキンを取り巻く大人たちは、色々と問題を抱えていて・・。
ぶっ飛んだ個性で、素敵なキャラクターを演じるキャストのみなさんはこちら♪

主人公ラスキンを演じるのは、
若手俳優ユニットD2メンバーの17歳(!)阿久津愼太郎さん。


(写真左から 伊阪達也さん 阿久津愼太郎さん 大河内浩さん)


体の大きないじめっ子エルビス役に伊阪達也さん、
その子分で弱気なスパーキーに小野健斗さん(残念ながらこの日のお稽古は欠席でした)。
お二人も阿久津さん同様に11歳の少年を演じます!

かつては夢を持っていたはずのラスキンの両親に、酒井敏也さんと宮地雅子さん。
町の実力者、エルビスの両親ケイブ夫妻に大河内浩さん、安寿ミラさん。
スパーキーの母・ウォルナット夫人にペンギンプルペイルパイルズの、ぼくもとさきこさん。
町のお医者さんフラワー先生を演じるのは、演出家として大活躍されているスズカツさんこと鈴木勝秀さん!
なんと17年ぶりの俳優活動とのこと。


(写真中央 鈴木勝秀さん。写真右はラスキンのパパ・ウィンストンを演じる酒井敏也さん)


さらに、映画館オーナーのフリックさんを小田豊さんが、
ラスキンの無二の親友・コーキィを劇団昴の重鎮・西本裕行さんが演じます。

そしてそして、ラスキンの学校の先生で大のシェイクスピア・マニアという、レイス先生役にはROLLYさんが登場です♪♪
(ROLLYさんも残念ながらこの日のお稽古はお休みでしたが、
今回の舞台では音楽も手掛けられているとのこと。
グラムロックなROLLYサウンドをお楽しみに♪)


(少年ラスキンに、迫り来る大人たち!)

映画『柔らかい殻』や、舞台『ピッチフォーク・ディズニー』など、
美しくグロテスクな独特の世界観で知られるイギリスの劇作家フィリップ・リドリーが、
自身の子ども時代をモチーフに作り上げた、初めての児童文学『クリンドルクラックス!』。
ファンタジックな冒険物語のようでありながら、実は深くてちょっぴりビターなストーリーは、子どもはもちろん、かつて子どもだった大人たちも楽しめそうな不思議な世界。

新進気鋭の演劇人・谷賢一さんによる翻訳と、
陰山恭行さん(俳優・陰山泰さんとしてもご活躍中♪)、どのような舞台が出来あがるのでしょうか。

自分の事を“阿久津”と呼ぶ主演の17歳・阿久津愼太郎さんの独特のキャラクター、
そして“声の大きないじめっ子”役がハマりすぎ!という伊阪達也さん。
それぞれの子どもたちが可愛くて仕方ない様子のママ・宮地雅子さんと安寿ミラさん。
とっても対照的な二組の親子を演じるみなさんに、お話しをうかがってきました!

おけぴ)阿久津さんは今回、初主演舞台で、しかも最年少の17歳ですね。
もう他のメンバーの皆さんには馴染まれましたか?

阿久津)
ここ3、4日くらいで、一気に仲良くなれました。

安寿)
すっかり、どっぷりとね(笑)。

阿久津)
これまでは閉鎖的な生き方をしてきたんですけれど・・(笑)。


おけぴ)先日、親睦会も行われたとか。

阿久津)
酒井さんと色々としゃべっていたら、阿久津の発言を酒井さんがスピーカーのように皆さんに伝えて、それに安寿さんが食いついて来て(笑)。
気がついたら自分をすべて、さらけ出していました。

おけぴ)皆さんとの距離がぐっと近づきましたか?

阿久津)
・・と、阿久津的には思っています。

伊阪)
距離は縮まってきていると思います。着々と、自然に(笑)。


おけぴ)今回、それぞれ母と子を演じていらっしゃいます。
宮地さんから見て、息子ラスキンを演じる阿久津さんはどんな俳優さんですか?

阿久津)
ええー、そんな事を聞くんですか!

宮地)
すごくタフ。強いと思いますね。ハートも強いし、喉も強い。
肝が太いっていうか、ぶれないんですよね。
自分で「緊張しない」って言うんですけど、それが言えるってすごいことだなと思いますね。
「舞台をやるために生まれてきた」みたいな、ね(笑)。



阿久津)
ええーっ、すごい・・。

宮地)
だから、とても頼りにしています。可愛いし。
これからどんどんいい男になって、いい俳優さんになってほしいなと思っていますね。
(コーキィ役の)西本裕行さんとは「70歳差」とか言って笑っていたんだけれど、
私だって彼のお父さんお母さんより上かな、というぐらいの歳ですから。
(その中に入って)プレッシャーはあると思いますよ。


(歳の差70歳!の親友同士を演じるおふたり。 劇団昴の重鎮・西本裕行さんの声がお稽古場の雰囲気をぐぐっと引きしめます!!)


おけぴ)阿久津さんから見て、稽古場での宮地さんの印象は?

阿久津)
僕は今まで同年代の子と仕事をすることが多くて、
「お母さん役」の方がいるのは今回が初めてなんです。
初お母さんと、初お父さん(笑)。
ちょっと不思議な感じです。本当に「お母さん」という感じがする・・。

宮地)
そう思ってもらえると嬉しいですね。可愛くなっちゃう(笑)。
まだお稽古も始まったばかりですから、これから親子関係を作っていきたいと思っています。
作品の世界観もちょっと特殊なものがありますし。
西洋が舞台だし、日本の下町の親子とはまた違うかな。

安寿)
西洋の親子関係って、日本よりもっと密な気がしますよね。
子どもは絶対に親を尊敬する!みたいなところがあるでしょう。


おけぴ)では安寿さんから見て、息子エルビス君(伊阪さん)は?

安寿)
昨日も(ケイブ氏役の大河内さんと)夫婦ふたりで、
息子の芝居を見ていたんですけれど、つくづく「馬鹿だねえ」と(笑)。
本当に「この親にしてこの子あり」という感じですね。
エルビスはドラえもんで言うとジャイアンみたいな役柄なんですけれど、
彼(伊阪さん)は本当に良くやっています。
声も大きいし、図体も大きいの(笑)。
アメフトのユニフォームやヘルメットも誰よりも似合っていて、
よく彼をキャスティングしたなと思いますね。ぴったり(笑)。
私たちもこれから親子のコミュニケーションをとって、
密な家族関係になりたいと思います。馬鹿な子だけどね(笑)。


(町一番の“デリカシーのない親子”を演じるお二人!なんだかとってもお似合いです)


おけぴ)と、お母さんは言っていますが、伊阪さんはいかがでしょうか?

伊阪)
エルビスから見ると、うちの親は二人ともこわいんですよ(笑)!
でも、稽古場ではお二人の演技をよく見るようにしています。
若い時の二人の場面がすごく好きなんですよね。
お母さんは凛として、堂々としていて。お父さんは気が強くて乱暴で(笑)。
エルビスの役作りをするのにすごく参考にしています。


安寿)
だから似てきたのね、親に。

おけぴ)威張っているけれど、憎めない家族ですよね。

安寿)
単純なんですよね。子ども相手にデリカシーのないことも言っちゃうし。

伊阪)
いかにも「俺の親だ」っていう感じがしますね。
この三人が似合っているのが自分でもよくわかるんですよ。
家族として似合っている。とても誇らしいです!

安寿)
親には頭が上がらないのね(笑)。
でも実はすごく甘やかしていて、過保護なんですよ。


おけぴ)阿久津さんと伊阪さんが演じる11歳の役。観る側としてはとても楽しみです。
阿久津さんは前回の舞台(「淋しいマグネット」)でも子供役をされていましたね。

阿久津)
9歳役です。9歳、19歳、29歳を演じました。

おけぴ)子ども役を演じるときに気をつけることは?

伊阪)
あまり「子ども」ということは考えないようにしています。
台詞を読んでいると、やっぱり子どもの言葉なので・・えーと・・。

おけぴ)あまり、こだわらずに?

伊阪)
(大きな声で)はい!!

一同)
(笑)

伊阪)
いや、自分自身の子どもっぽいところはもちろん出していくんですけど、あまり意識はせずに。

安寿)
普段からこうだもんね(笑)。
酔っぱらうともっと、声が大きくなる。
もう、エルビスそのもの。

伊阪)
・・そうみたいです・・。
俺自身が子どもだから、わざわざ考えなくても子どもになっているんだと思います。

おけぴ)実際には、阿久津さんとは10歳離れていますね。

伊阪)
そうですね。
・・あれ?
俺、ダメじゃん(笑)!

おけぴ)こどもエルビスに会えるのを楽しみにしています。
阿久津さんはどのような役作りをされていますか?

阿久津)
前回の舞台(「淋しいマグネット」)では、
いかに9歳に見せるかを出演者みんなで話し合いました。
舞台上でバカなことを言い合ったりして。ウンチ、ウンチとか(笑)。
でも、今回はあまり子どもということを意識せずにやってみようとなっています。
ラスキンという役自体も、考え方が子どもっぽくないし。

伊阪)
ラスキンは大人だよね。

おけぴ)町の大人たちとラスキンとの対比がすごく面白いですね。

安寿)
(ラスキンが立ち向かう)ドラゴンの役を大人たちがやるのが、また面白いでしょ。
そこには何か意味が込められているんですよね。

おけぴ)ドラゴンを大人たちが動きで表現するということなんですが、ダンスとは違うのでしょうか?
安寿さんがいらっしゃるということで、ついダンスを期待してしまいます。

安寿)
ダンスではないです。踊りませんよ、期待しないように(笑)。
でも、前田清実さんの振付で不思議な動きです。
とってもキヨミさんらしい、面白い動きですね。
衣裳をつけたら誰が誰だかわからなくなっちゃうのかな?


(写真左はラスキンのパパ役・酒井敏也さん。町の地下に巣食うドラゴンの正体とは・・!?)


おけぴ)ROLLYさんがドラゴンの尻尾を担当されるとか・・。

安寿)
あ、ROLLYさんはわかる!
声も発するから!

宮地)
おおおおーってROLLYさんの声がするの(笑)。

安寿)
私の真後ろから声が聞こえる。
これはね、すごく面白いです。

おけぴ)舞台で拝見するのを楽しみにしています。
ドラゴンの存在を含めて、子供向けのようでいて、とても深くて素敵な物語ですよね。
台本を読んだときにどのような印象を持たれましたか?

阿久津)
はじめは弱々しくて、自分の世界観を誰にも肯定してもらえないラスキンが、
色々な事を経験して、自立していく・・。
その成長する姿が物語で描かれていて。
いろんな人との関わり合いの中で、
ラスキン自身が勇者に近づいていくというところが面白いというか、
見どころであってほしいなと思いました。


(インタビュー中と、稽古場では全く違う顔を見せてくれた阿久津さん。
役に入ると、まるで別人のように。なぜか目が離せなくなる魅力の持ち主!)


おけぴ)観ている側は、阿久津さんとラスキンの成長が重なって見えるかもしれませんね。

阿久津)
うーん・・。
最近どの役をやっても「阿久津に似ているよね」とか「合っているね」と言われることが多くて。
前回の舞台(「淋しいマグネット」)の時も、すごく言われたんですよね・・。
でも、それがとても嫌で。
「似ている」っていう前提があるからこそ、そういう役って難しいんです。

おけぴ)本当の自分自身とは違うところもあるのに、ということですよね?

阿久津)
はい。近いと思っていたところが、実はすごく遠かったりとか。

おけぴ)役と自分が似ている分、演じるのは難しい。いま役作りに苦しみ中というところでしょうか?

阿久津)
そうです。
・・がんばります!

下の写真は、演出の陰山恭行さんからの指示を真剣な表情で聞いている阿久津さん。
すぐには答えを出さずに、じっくり考えるタイプとお見受けしました。
(インタビュー中もしっかりと自分の考えを伝えてくださる姿が印象的でした)


おけぴ)伊阪さんは、台本を読んでどのような印象を?

伊阪)
俺は、初めて読んだときに「かわいいー!」と思いました。
「うわあ、かわいいー。あったかーい♪」って。
台詞もかわいいし、世界観もかわいくて。
「いい話だなあ」って。そのまま読み終わりましたね。

おけぴ)ちょっと怖い部分とか、深いところとかはあまり・・?

伊阪)
いや、今はありますよ!
深いところ、あります。
たくさんあります。あります!ありますよ!!!

安寿)
声が大きい(笑)。

伊阪)
え、ほんとに?
すみません・・。

おけぴ)本当にお母さんのようなツッコミが入りますね(笑)。
その、かわいい世界の登場人物になるわけですが。

伊阪)
はい!
でも、やっぱりかわいいだけではないダークな部分が見えてきたので・・、
うん、これから、もっと暴れます!

下の写真が、暴れん坊宣言のエルビス・伊阪さん。
お稽古場では、パパ役の大河内さんと演技談義も。
まるで本当の父と子の会話のようで、なんとも微笑ましいお二人でした♪


おけぴ)では、最後にこの作品のテーマのひとつでもある「夢」について聞かせて下さい。
いま、お持ちの「夢」はなんですか?

安寿)
夢もそうですけど、この作品には「人との絆」も描かれていますよね。
子どもとお年寄りの友情とか、とても暖かいシーンがあって。
私もこの歳になって、夢というよりも、自分を大切にしてくれる人をもっと大事に・・、
仕事や友達との絆も大事にして、いい晩年を迎えることが夢かな(笑)。
今回の作品での出会いもとても嬉しくて、ありがたいことだし、
もっともっと、いろんな出会いが、死ぬまであると思うので(笑)、
それも楽しみにしていたいですね。

伊阪)
昔からの夢なんですが、
ちゃんと結婚して、子どもを作って、普通の家庭で普通に幸せに生きること。
それが俺の夢です。

安寿)
いちばん難しい夢だよね。がんばって(笑)。

おけぴ)俳優さんをされている時点で、普通に生きるという夢と、すこし遠いところにいらっしゃるような・・。

宮地)
うわー(爆笑)!

伊阪)
それは・・そう思います。

おけぴ)応援しています!

伊阪)
ありがとうございます!!

おけぴ)では、阿久津さんの夢は?

阿久津)
・・大人になりたくない・・。
「大人にならない」、それが夢です。

おけぴ)そ、それは一体なぜなのでしょうか・・?

阿久津)
イヤだから・・。イヤだからです!大人が!


(大人拒否宣言!なぜか膝を抱えてしまう阿久津さん)

宮地)
(笑)。何かあったな、これは。

安寿)
大学に行って、親友みつけるって言ってたじゃない。

宮地)
それが夢でしょ。うん、いい夢だよ。

阿久津)
「いっしょに帰ろう」って言わなくても、いっしょに帰ってくれる友達がほしいんです・・。

宮地)
こういう話を聞くと、ああ17歳なんだなと思いますよね。
(阿久津さんに)でも、そういう感じ、良く分かるよ。

阿久津)
うん・・。
大人になっても自分の世界観を持ち続けていたいなと思います。
揺るがない何かを。
・・ROLLYさんとか見ていると、本当に素敵だなって思います。

おけぴ)お手本になるような「大人っぽくない大人」がたくさんいらっしゃるカンパニーですよね。

安寿)
(笑)。みんな全然大人にならない。
全員、どこか子どもっぽいところがありますね、そういえば。

おけぴ)宮地さんの夢は?

宮地)
私は、本当に小さな夢ですが・・。
いま娘がまだ5歳なので、もう少し大きくなったら一緒にお酒を飲んだりすること。

安寿)
まだまだでしょうー!

宮地)
あと15年(笑)。
15年っていうと、阿久津くんは・・うちの息子ラスキンは32歳になっている(笑)。

おけぴ)可愛い娘さんと、今回はお稽古場で可愛い息子さんが出来て。

宮地)
そう。かわいいですよー。
ムギュー!とかしたくなっちゃうんですけどね。
嫌がられそうだから、やめておこうと。

阿久津)
ははは。自重、自重・・。

宮地)
そうそう、自重しようと思って。
まあ、そのうちにね(笑)。


まるで本当の親子のような雰囲気で、楽しくお話ししてくださった
阿久津さん、伊阪さん、宮地さん、安寿さん、ありがとうございました♪♪


この後に見学させていただいた稽古場も、
さまさまなフィールドから集まった俳優さんが和気あいあいと、とってもいい雰囲気!
安寿ミラさんと大河内浩さんの、憎めないイヤミ夫婦ぶりは必見ですよ♪


ひとりの冴えない少年が、自分を信じて本当の「勇者」になる冒険物語「クリンドルクラックス!」。
町の地下に棲む怪獣“クリンドルクラックス”とは一体何者なのか・・!?
夏休み中の子どもたちはもちろん、かつて子どもだった大人たちへのメッセージもたくさんつまった素敵な物語。
手放してしまった“夢”が愛おしくなるような、たくさんの優しさと、すこしのほろ苦さ。
ぜひ劇場で“とかげ大通り”の住人たちに会ってきて下さいね。
“まるで飛び出す絵本のよう”だという舞台セットや、ROLLYさんの手がける音楽もお楽しみに!

<公演情報>
石井光三オフィスプロデュース「クリンドルクラックス!」
作:フィリップ・リドリー
翻訳:谷 賢一
演出:陰山恭行

出演:阿久津愼太郎、伊阪達也、小野健斗/酒井敏也、宮地雅子、大河内 浩/
鈴木勝秀、小田 豊、ぼくもとさきこ、西本裕行/ROLLY、安寿ミラ

企画制作:石井光三オフィス

東京公演 世田谷パブリックシアター 2012年7月28日(土)~8月5日(日)
名古屋公演 名鉄ホール 2012年8月8日(水)
大阪公演 サンケイホールブリーゼ 2012年8月11日(土)

<あらすじ>
11歳のラスキン・スプリンターはビン底メガネにやせっぽちで、
声もキンキン声で冴えない少年だが、いつか真の”勇者”になることを夢見ていた。
そんなラスキンが、街の地下道に棲みつく謎の怪物の存在を知る。
両親や町の住人を守るために闘うことを決意するが・・・
“ドラゴン退治”伝説を下敷きに、大人が泣けて、笑って、心躍る11才のヒーロー(勇者)物語。

公式ホームページはこちら
公式ツイッターもチェック!


おけぴ取材班&撮影:mamiko、hase   監修:おけぴ管理人

2012年07月10日

12/07/10 「JUMP」制作発表レポ

2012年7月10日(火)13:00
「JUMP」制作発表レポ

「JUMP」が2012年12月に韓流の聖地“新大久保(東京グローブ座)”に降臨!

韓国発のアクション笑劇「JUMP」開幕10周年記念公演の制作発表が行われました。
作品の紹介、そして息をのむパフォーマンスが披露された会見の模様をお伝えします。

目の前で繰り広げられるパフォーマンスは想像を超え、
思わず口がぽかんと開いたままに。そして次の瞬間には大笑い!
この日披露されたのは、ほんのさわりの部分だけということですが、
それだけで「JUMP」のファンになってしまいます。

まずは「JUMP」とは何かをご紹介!
韓国伝統武術(マーシャル・アーツ)を基盤としたアクション、
ダンスとコメディの融合を果たした新しいパフォーマンス舞台で
2002年に韓国にて開幕、その後、世界最大の演劇の祭典である
イギリスのエジンバラ・フェスティバル、ウェストエンド公演、ブロードウェイ公演等々
これまでに北米、ヨーロッパ、中東、アジアなど27か国62都市で上演されています。
地元ソウルでは2006年にJUMP専用劇場がオープンしロングラン公演中!

と、国を超えて愛される大人気公演。
その鍵のひとつは“ノンバーバル”、
非言語、台詞を必要としない演目であることから、国籍年齢を問わず楽しめるのです!

ストーリーはとってもシンプル
ごく一般的な家庭、ただ一つ違うのは・・・武術一家ということ。
そこに様々な訪問者がやってきて・・・

日本でも2006年(プレビュー公演)、2007年と上演されたので、
ご覧になった方もいらっしゃいますよね(私おけぴ管理人も観ました♪)。
待望の再来日公演、しかも開幕10周年の記念公演です!

パフォーマンスは、
バシバシ決まるアクションの格好よさ、ちょっととぼけた表情、コミカルな動き・・・
笑いの要素満載ながら、やっぱりすごい武術です。感心したり笑ったり、嬉しい大忙しでした!!

記者会見には、主要キャストの4名がソウルでの公演の合間を縫ってご登壇。
5分ほどのパフォーマンスと意気込みを聞かせてくれました!


左:チョ・サンヒョンさん 右:ジョ・フンヨンさん

お父さん役のチョ・サンヒョンさんからは日々のトレーニングについて
「舞台に上がるまでに、練習生として6か月過ごします。
トレーニングの基本は毎日、振付、演技、身体作り、
アクロバット技術をそれぞれ2時間、合計8時間ほどですね。」

みなさんの素晴らしいパフォーマンスの裏には想像を絶する努力があるのですね。

お婿さん役のジョ・フンヨンさんからは世界で愛される理由について
「(JUMPの持つ)東洋的な韓国武術と西洋的なスラップスティックコメディの
両方の要素が世界で人気の秘密だと思います。
韓国伝統武術が世界で愛されることは本当にうれしい。」
ジョさんは挨拶も質疑もたいへん流暢な日本語で答えてくださいました。
なんと、独学で10か月ほど日本語を勉強したとのこと!素晴らしい語学センスです!


左:キム・セミさん 右:ジャン・グンさん

娘さん役のキム・セミさんからは各国の公演から
「西洋ではアクロバット、武術に対してのリアクションが大きく、
そして最後の泥棒のエピソードの人気が高かったです。
日本のみなさなんも泥棒の秘密、見どころですよ!お楽しみに。」

おじさん役のジャン・グンさんはとても面白い方。休日の過ごし方を聞かれ
「皆さんと同じ、食べたり、寝たり、いろんな公演を観たりしています。
最近僕が見て面白かった公演は“JUMP”です(笑)。」
また、10周年公演への意気込みは
「この公演、最大の見どころは・・・僕だと思います(笑)」
と、会場の笑いを誘いつつ、気を取り直し、
「10周年のスタートが日本公演でうれしく思います。
私たちにとっても大切な公演、最善を尽して準備をし、
皆さんに素晴らしい公演をお見せしたいと思います。」

とてもひょうきんなジャンさんですが、
初めは観客として「JUMP」公演に出会い、
3年間一人で稽古を積みその後オーディションに合格し
今に至るという「JUMP」への思いは人一倍の方なのです!

この日は、スペシャルサポーターとして
日本と韓国で活躍中の女優の笛木優子さんも登場!

最後に笛木さんのコメントをご紹介してレポを締めくくりたいと思います
「ストーリーは面白く、アクションはカッコいい。
言葉の壁もなく、お子さんから大人までが楽しめるTHEエンタメです。
舞台と客席の一体感も鳥肌もの!そのエネルギーを感じて元気になれるのが“JUMP”です。
自信を持ってオススメします!!」

<公演情報>
2012年12月14日より
東京グローブ座にて
オフィシャルHP
JUMP韓国公演HP(日本語)

<あらすじ>
Episode1:「今日は特別なお客様がこられる日」
今日は武術一家に特別なお客様が来られる日。
しかし酒浸りの毎日を過ごすおじさんのせいで、
掃除したものが全てめちゃくちゃに。
その間に おじいちゃんと一緒に娘の花婿候補になりうる 特別なお客様がご到着!

Episode2:「修練の時間、今日の達人は誰?」
お客様が来られたって逃れられない修練の時間。
各自ずば抜けた武術の実力を披露。
ただし、意地悪な 家族が花嫁候補をただで帰すわけがない。
家族の 迫力にすっかり怖気づく純粋な青年。ところが、メガネを 外すと別人のようになって・・・?!

Episode3:「私たち愛し合えるようにしてください!」
ついに娘の心が揺れ動く。しかし、行く先は遠く険しい!
果たしてこの二人は愛をはぐくむことができるのか?
反対にお母さんはお父さんにセクシーに近づいていくが、
お父さんはそれを拒否をし、タンゴで始まり
テコンドーで締めくくる壮絶な夫婦喧嘩になってしまう。

Episode4:「武術一家に泥棒が忍び込んだ!」
抜間けな二人の泥棒がこの武術一家の家にやって来た。
この家から盗めるものは何もないと悟った泥棒は、
ただひたすら生きて出られることを祈るのみ!
しかし、ようやく体がほぐれた家族と超人おじいちゃんが
彼らをそのまま送り出してくれるのか?最後は一体?!


おけぴ取材班&撮影:chiaki、おけぴ管理人

2012年07月11日

12/07/11 レチタカルダ「天と地と」石丸幹二さんインタビュー

2012年7月11日(水) 12:00
朗読活劇レチタ・カルダ「天と地と~上杉謙信の生涯~」
石丸幹二さんインタビュー



会場となる池上本門寺の本殿前にて
軍神とよばれた戦国武将・上杉謙信役に挑戦する石丸幹二さん!


朗読活劇「レチタ・カルダ」。
イタリア語で“熱い朗読”を意味するタイトルの通り、
単にテキストを読みあげるだけではなく、
何役ものキャラクターを出演者が演じ分け、
音楽や舞台効果とのコラボレーションが展開する新感覚ステージに、
石丸幹二さんが挑みます!

今年、秋に東京・池上本門寺の本殿特設ステージにて上演が決まった、
朗読活劇レチタ・カルダ「天と地と~上杉謙信の生涯~」。

戦国時代、軍神と呼ばれた武将・上杉謙信の生涯を描いた海音寺潮五郎の原作を、
石丸さんの語りと、
フラメンコ音楽を核にしたジャンルレスメロディを奏でる音楽ユニット“スパニッシュ・コネクション”の演奏、
そして野外ステージという最高の環境のコラボレーションで魅せる新鮮な試みです。

武田信玄との「川中島の戦い」や、
「敵に塩を送る」等の逸話でも知られる武将・上杉謙信。
ミステリアスな戦国の軍神と、
その周囲の人々を「語り」で表現する「レチタ・カルダ 天と地と」。
語り手として出演される石丸幹二さんに、お話しをうかがってまいりました。



(素敵な笑顔です♪)


―石丸さんはこれまでにも沢山の朗読劇に出演されています。お芝居やミュージカルとは違う朗読の魅力とはなんでしょうか?

石丸)
1人で何役ものキャラクターを演じるという表現は、普通の演劇にはあまりないですよね。
そこがとても面白いと思って、朗読というジャンルにハマったんです(笑)。
これは朗読劇を続けていて、気がついたことなのですが、
テキストを持って読んでいるのを聞いていただく行為の中には、
役者としての部分と、そうではない部分とがあるんですね。
その何とも言えない部分・・表現者として、これまでやったことのない「居所(いどころ)」に快感を覚えたんです。
私の“第二章”と銘打って再スタートをきった最初の舞台(※)も朗読劇でしたから、
これからも色々な作品で続けていき、
ライフワークになっていくといいなと思っています。
※劇団四季退団後に初めて出演した舞台 白井晃演出・言葉と音楽シリーズ「イノック・アーデン」(2009年)



―「ジキル&ハイド」や「エリザベート」など、最近の石丸さんの演技を拝見していると、イメージが変わってきたと言いますか、思い切り“はっちゃけて”いらっしゃる感じがします。

石丸)
いい意味で、お客様のイメージを裏切っていきたいという気持ちがあります。
色々なキャラクターを演じられる朗読劇を経験して得た事も、ベースになっていますね。
たとえば「ジキル&ハイド」。
“悪”でも、ひとつの色ではなく、色々な“悪”があるんだろうなというところは、
これまで(朗読劇で)たくさんのキャラクターを演じてきたことから発想しました。


―今回の上杉謙信役も驚きでした。これまでにあまりなかった役柄ですね。

石丸)
そうなんです。
日本人の名前がついた役って、これまであまりやっていないんですね。
だいたい、カタカナの役名で(笑)。
今回は同じ日本人として謙信をどのように表現できるのか、自分でも楽しみですね。
まだ台本も出来ていないので、自分で資料を取り寄せて読んだり、
NHKの歴史番組「その時歴史が動いた」を見てみたり(笑)、
色々と準備をしている段階です。
そうして「天と地と」の小説の世界にもどっぷりと入っていきたいと思っています。



―謙信はミステリアスな印象で、いまでも非常に人気のある武将ですね。

石丸)
直接、謙信と話をしたわけではないのですが(笑)、
自分の利益の為だけに戦をしていないという、そこですよね!
領地拡大などの、わかりやすい野心があったわけではなくて、
信念と言ったところで勝負をしていた、そこがかっこいいなと思いますね。
さらに、ほとんどの戦で勝っているというところ。
頭脳の明晰さ、勘の強さ、そういうところが興味深いです。
その判断力、自分にもほしい!と思いました(笑)。
最後の一歩の決め手というところで、自分の欲に負けていないから強くなれたのでしょうね。


―ご自身との共通点はありますか?

石丸)
共通点・・うーん(笑)。
僕も野心を持ってどんどん狙ったものを落としていくタイプではないです。
必要なことだけをやっていくというか。
そこはひょっとしたら、似ているところなのかな。
彼は幼いころ、短い期間でしたが仏門に入っていますよね(※)。
その後、上杉家を継ぎ、戦をしている。
自分の中にひとつ強く信じているものがあって、そのために他のこともしているというところ、
そこは僕自身の生き方にも似ているのかなと思います。
言い方が変かもしれませんが、
僕の場合だと、「歌」のチカラというものを強く信じていて、歌をずっと大事に歌って行きたい、と思っている。
そのために演技もしなくてはいけない(笑)、みたいなね。
そういうところは(謙信と)似ているかもしれませんね。
※謙信は、兄が家督を継いだ際に城下の寺に入門し、生涯にわたって毘沙門天を強く信仰したとされている。


―謙信にとっての毘沙門天が、石丸さんにとっての歌であるということですね。
こういった実在の人物を演じられるときは、どのように役作りをされるのですか?

石丸)
最近ですと「GOLD」で彫刻家のロダンを演じましたが、
その時は、より近い時代でしたから、ロダンの風貌や考え方を(文献等で)知ることが出来たので、そこをベースに役作りをしました。
今回の場合は時代がもっとさかのぼりますから、全く違うアプローチになって来ると思いますね。
(謙信像が)こうであったろう、こういうふうであったらいいな、というところを自分の中で作り上げて、役に向き合いたいなと。
資料も限られていますし、最終的には自分らしく演じられれば。


―石丸さんならではの“上杉謙信”が見られるわけですね。

石丸)
どこかにキラッと“謙信”だと思えるポイントを作りつつ、
自分自身の部分も持ちつつ、やってみたいなと思っているのですが。
どうなるでしょうね(笑)。


―スタッフの方にお聞きしたところ、衣裳もいわゆる頭巾姿の“謙信スタイル”ではなく、和装にもこだわらない、石丸さんならではのビジュアルを作りたいということでした。

石丸)
謙信のあの姿は頭を剃っているのかな。
さすがに、僕は頭を剃らせてはもらえないでしょうね・・(笑)。
でも、何か謙信をイメージするような表現をしたいですね。
個人的には和装してみたいという気持ちもあるのですが(笑)。

―どのような扮装になるのか、とても楽しみです!
音楽を担当される「スパニッシュコネクション」のみなさんとの共演にも期待しています。

石丸)
今年、同じレチタ・カルダシリーズで、別所哲也さんが演じた「義経」、新妻聖子さんの「ジャンヌダルク」を拝見しました。
舞台上で音楽を奏でているメンバーたちの演奏は、
物語に合うのかな?という思いを見事に裏切っていくパフォーマンスで、血が騒ぎましたね!
自分も音楽をやっている人間として、強く感じたのは “セッション” という感覚です。
演者と音楽とのやり取りで、どのようにも変化していく・・そんな空間に感じました。
彼らの力量もすごいですし、
自分が組ませてもらう時にどんなことが起こるのだろうと、
非常に楽しみにしています。


―今回演じられる上杉謙信は信念を持ち、一本筋の通った武将というイメージがあります。石丸さんご自身は何か信念をお持ちですか?

石丸)
自分のやりたいと思っていることを、やり続けて行きたい。
本当にやりたいことだけをやり、みたいものだけを見る・・それが信念です。
もちろん自分が思ってもみないところでの出会いが良かったりもしますから、
あまり固めすぎずに。
でも、ぶれないで行きたいと思っています。
そのために、一流のものと出合い続けて行きたいですね。
みるもの、経験すること、会う人、舞台・・全てが、そうです。


―武将・謙信。これも新たな出会いですね。

石丸)
本当にそうですね。
生きていれば天下を取ったかもしれないと言われている人ですから。
その謙信の人生を、舞台上にいるメンバー全員のセッションで表現します。
私が何人もの人物を演じ分けるのも、見どころのひとつになると思います。
また、野外の舞台で自然とのセッションも楽しんでいただきたいですね。
鳥が飛んだりとか、虫が鳴いたりとか・・とても環境の良いところですから。


―(公演のある)11月3日は、統計的に晴れの確率が高いとか。

石丸)
それは嬉しいですね(笑)。
五感を使って楽しんでいただければと思います。


天下に想いを馳せる謙信のように、空を見上げる石丸さん。
池上本門寺の本殿特設ステージという野外環境と、石丸さんの声、
スパニッシュコネクションの演奏、
そして観客席とのコラボレーションが今からとても楽しみです!
インタビューさせていただいた日は、博多での「エリザベート」公演の真っ最中。
お休みの日に東京へ駆けつけ、取材を受けて下さった石丸さん。
快晴の空の下での笑顔がとても素敵でした♪
レチタ・カルダ「天と地と~上杉謙信の生涯~」は、
11月3日、1回限りの上演です。お見逃しなく!


<公演情報>
朗読活劇レチタ・カルダ「天と地と~上杉謙信の生涯~」
2012年11月3日(土・祝)18:00 
池上本門寺 本殿特設ステージ
(屋外ステージとなります 雨天決行/荒天中止 客席内での傘の使用は禁止)

<お問い合わせ先>
キョードー東京
TEL:0570-064-708
(受付時間 平日12時~18時/土日祝10時~18時)

語り手:石丸幹二
HPはこちら

演奏:スパニッシュ・コネクション
HPはこちら




おけぴ取材班&撮影:mamiko、hase   監修:おけぴ管理人

2012年07月17日

12/07/17 新国立劇場「リチャード三世」制作発表レポ

2012年7月17日(金)11:00
新国立劇場開場15周年「リチャード三世」制作発表レポート

2009年、日本演劇史に残る“事件”となった
新国立劇場の「ヘンリー六世」三部作の一挙上演。
全編上演は実に9時間にも及びました。
その最終章ともいえる「リチャード三世」を上演するべく、
キャスト・スタッフが再集結。

タイトルロールのリチャード三世の岡本健一さん、
マーガレットの中嶋朋子さんをはじめ、
ほぼそのまま同じ役を引き継いでの上演は本国イギリスでもこれまで数例しかなく、
日本では初の試みとなります。

この秋必見の舞台、「リチャード三世」の制作発表の模様をレポートいたします。

まずは芸術監督3シーズン目を迎える宮田慶子さんのご挨拶より
「シェイクスピア作品の中でも単独の作品になるほど有名な「リチャード三世」。
リチャードは個性的ですし、屈折した野心の持ち主で、
人間の弱さとしたたかさを併せ持った非常に魅力的な人物です。

「ヘンリー六世」に登場した岡本さん演じる若き日のリチャード三世、
彼を一生を通してみるとこうだったのかと楽しんでいただけるかと思います。
スタッフは全員同じ、キャストも歴史の流れを感じていただけるようにほぼ同じキャストです。
三部作プラス続編、最も魅力的な「リチャード三世」をお楽しみいただけると思います。」

演出の鵜山仁さんからは
「シェイクスピアが400年以上前にこんなものを書いてくれたおかげで、
またこの劇場で気心の知れたメンバーと一緒に、
大嵐の中で格闘するという経験が出来ることをひたすら楽しみにしています。
3年前にした得難い経験、自ずとその経験の蓄積がわれわれを支えてくれるというのは信じています。

そして、このお三方には歴史があるっていうか、
背後霊のようなものがついているんですよ、すでに(笑)。
岡本さんはすでにグロスター公リチャード、グロってるし、
マーガレットは中嶋さんの(色々と)背負っている感じがぴったり。
浦井君はヘンリーの片鱗をきらめかせながら出てくるわけだし。不思議なものですね。」

この発言にはご当人たちもびっくり!

でも、その後のお三方の発言には、
それが腑に落ちるような言葉がたくさんちりばめられていました。

岡本健一さんからは、まず「ヘンリー六世」でのリチャードについて
「グロスター公リチャードは生まれながらにして五体が満足でなく、
道を歩けば犬に吠えられ、周りからは罵倒されながら育った人間。
ものすごくコンプレックスを抱えた子供時代。

そんな彼が上り詰めていったのは、父親の愛が大きく、
それが彼を強くしたと思います。そして、父上のため、
兄上のために命を削り、最後に兄に王冠を被らせました。

そんな9時間上演の最後、僕は王冠を被りたくて被りたくてしょうがなかったのです。
そして、遂に被るのです。」

役作り以前に自然に沸き起こった王冠を欲するリアルな感情を携えての
岡本さんの「リチャード三世」には期待が高まります!!

さらに、
「若き日のリチャードは剣で、力でのし上がり、
今回は剣を言葉に代えて王に上り詰めていきます。
シェイクスピアの台本を読んでいると言葉の重要性、力、
言葉によって人がどれだけ簡単に動かされるかをすごく感じました。

そして「ヘンリー六世」では、若さで王に向かっていく勢いがあったリチャードが、
今度は死に向かっていくんですよね。
結局、自分が吐いた唾はそのまま自分に帰ってくることになり、因果応報なのかな(笑)、
浦井君演じるリッチモンドに殺されるんです。
(「ヘンリー六世」では最後に岡本さん演じるリチャードが浦井さん演じるヘンリーを殺害)
自分を殺す役が浦井君で良かったなと思います。」

終始頷きながら聞いていた、マーガレット役を引き続き演じる中嶋朋子さん。

「このリチャードという男がすごいんです(笑)
不器用だけど巧み、技を感じさせる人物です。
今しゃべっていた健ちゃん(岡本さん)も、リチャードきてるなと(笑)。
本当に言葉巧みで、その音色が素晴らしいのです。

マーガレットとリチャード、もし憎しみ合う立場でなかったなら最も似ていて、
分かり合える存在だったなと。前回9時間の芝居の間、
そう思いながら戦い続けてきました。

ただ、今回はどこか語り部のように、生き証人として、
中島朋子として、「ヘンリー六世」からの流れのリチャードを見届けたい。
とても不思議な気持ちでいます。」

とても興味深いお話を聞かせてくださいました。

浦井健治さんは前回タイトルロールとして作品に挑んだ心境を絡めながら
「「ヘンリー六世」三部作後、正直、ヘンリーから抜け出せない時期もあり、
実際まだ引きずっている部分もあるくらい大きなインパクトのあった作品でした。

今、こうしてここにいると、「ヘンリー六世」のときの記者会見のこと、
その後の怒涛の稽古の日々、鵜山さんと二人、
一対一で台本を読み込んだことを思い出します。

こうやって同じメンバーで、薔薇戦争の完結編としての
「リチャード三世」の上演という夢のようなことを実現できる、
こんな素敵なことに参加できることを誇りに思っています。

ヘンリーは死んでしまいましたが、今回はリッチモンドという人を
どこかヘンリーの面影を持った人として作り上げたいです。
僕がロンドン塔を訪れた時に感じた、歴史の暗黒時代、
愚かな戦いの時代を生きたヘンリーの願いを
リッチモンドに投影できればと思います。」

さらに役作りについては
「前回の公演の中で、リチャードの独白、
バックにはオーバーザレインボーが流れているシーンを舞台袖で見ていたら、
涙が溢れてきました。

“この人(リチャード)は必死に生きた純粋な人、人間なんだ。”
という思いが湧いてきたのです。
そういうリチャードとどう対峙するかが
リッチモンドの核になる部分だと思っています。」

浦井リチャードと岡本ヘンリーの一騎打ち、
心情的にも壮絶なものになりそうです!

最後に岡本さんからの意気込みと鵜山さんの興味深いコメントをご紹介します。

「始まる前からキャスト、スタッフ、劇場と全てがパーフェクトに感じられます。
それは怖いことでもありますが、
その土台の上でリチャードとしてどう生きるか、どう死ぬか。
その生きている姿、“生(なま)”の姿、“生”のエネルギーをぶつけたいです。

演劇というものは何百年も何千年も前からあるもので、
この先も何百年も何千年も廃れないものだと思いますので、
生の醍醐味、「リチャード三世」という作品を劇場で味わってください。」(岡本さん)

「吐いたつばが自分にかかるというのはリチャードだけの問題じゃなく、
我々一人ひとりがそうかもしれないと考えさせる戯曲です。
そういう面白さは人生後半戦に差し掛かった自分としても
まったく他人事じゃないですね(笑)。
敵も見方も自分の体の中にいるということです。」(鵜山さん)

この作品を観て、あなたは何を感じ、何を思うのでしょう。
「リチャード三世」、その歴史の流れを目撃しましょう!!

2012年10月3日~21日 新国立劇場中劇場にて
特設サイトも充実の内容!
浦井さんのブリテン旅行記も読みごたえたっぷり!


おけぴ取材班:chiaki 監修:おけぴ管理人

2012年07月21日

12/07/21 NODA・MAP「エッグ」制作発表レポ

2012年7月21日(金)12時
NODA・MAP「エッグ」制作発表レポ

スポーツと音楽を題材に、時空を超えた物語が展開!
NODA・MAP第17回公演「エッグ」の制作発表レポをお届けします♪

妻夫木聡さん、深津絵里さん、仲村トオルさん主演。
そしてなんと、あの椎名林檎さんが手がけた劇中歌(作詞は野田秀樹さん)を深津さんが歌います!

作品の内容はほとんど明かされておりませんが、役どころをご紹介しますと・・
妻夫木聡さん「この世にないスポーツの新人選手」
深津絵里さん「シンガーソングライター」
仲村トオルさん「この世にないスポーツのベテラン選手」
橋爪功さん「この世にないスポーツの監督」
秋山菜津子さん「この世にないスポーツのオーナー」
大倉孝二さん「この世にないスポーツの選手」
藤井隆さん「シンガーソングライターの振付師」
野田秀樹さん「本人(芸術監督)」

超豪華な出演陣に圧倒された記者会見の模様、早速レポート致します♪

フラッシュを浴びながらご登場の出演者の8人、
会場が一気に華々しい雰囲気になりました。

作・演出・出演の野田秀樹さん。
司会者の方の「どういったお芝居になりますか」という問いかけに対して、

野田
「今日は考えてきました(笑)。
『不可解にして愉快。爽快で若い。そして老獪(ろうかい)な芝居』を目指します(笑)!
私の作品の特徴でもありますが、今回も時間の動きが前に進みながら、
確実に後ろに戻っていくという作品で、大体3つの時代を描こうかなと思っています」

この言葉を聞いただけで、場内は野田ワールドに包まれたような雰囲気です。


『キル』『南へ』に引き続きの主演で、NODA・MAPの常連となりつつある妻夫木聡さん。
終始ニコニコと微笑みながらの受け答え。凛々しい眼差しが印象的です。

妻夫木
「(先ほどの野田さんのお話を聞いていかがですかの問いに)
なんのこっちゃ分からない感じですけども(場内爆笑)。
NODA・MAPのお芝居は、お稽古中でも本番が始まっても、
いい意味で“これが答えだ”というのを決めずに想像していけるし、
お客さんにも想像してもらえるものだと思います。
この世にないスポーツという題材ですけども、自分が見たことのない景色や、
お客さんも観たことのない景色、そういうものを想像できる舞台にしたいなと思っています」

野田
「『南へ』の出演の時に、“追い込まれた人間”を演じる姿が非常に素敵だったんで、
その部分をふくらませたいなと。
皆さんご存知か分かりませんが、普段はノーテンキな人ですから(笑)、
追い込まれた姿とのコントラストも考えて書きました」

『贋作・桜の森の満開の下』『キル』『半神』『農業少女』『走れメルス』、数多くの
NODA・MAP作品でヒロインを演じてきた深津絵里さん。
今回シンガーソングライター役の深津さんは、
稽古に入る一カ月前から椎名林檎さんとスタジオに入りレコーディングを進めているとのこと。

深津
「(レコーディングは)本当に贅沢な時間を過ごさせていただいていて、
椎名さんとの共同作業で既に役作りが始まっているようで、得をしている感じがします。
(本番では)この世にはないことが、舞台上で繰り広げられる・・・はずなので、
ぜひ劇場でそれを体感していただきたいなと思っています」

野田
「(曲は)聴きました。いいです!」

と自信みなぎる太鼓判!期待が高まります。

NODA・MAP初出演の仲村トオルさん。ベテラン選手という役どころです。
仲村さんの飄々とした雰囲気で、マイクを手にした時にもう場内が笑い始める空気。
初参加ということについて問われて、

仲村
「たとえて言うならば、転校した学校で、かくれんぼをしていて、
誰にも見つけてもらえずに日が暮れて、寂しくなったところで見つけてもらえて、
泣きながら出て行って『気づいてくれてありがとう』って
抱きつきたくなるような、そんな感じです」

場内が笑いと拍手で盛り上がります。

野田
「(仲村さんを)最初、松尾スズキの舞台で見て、こんな面白い人がいるんだと思って、
それからずっといいなと思っていました。
今回アスリートのベテラン役ですが、いかにも“ベテラン”って感じでね(笑)」

と起用の理由を語る野田さん。
初参加とは思えない和気あいあいとした雰囲気。
NODA・MAPでの仲村さんが今から楽しみです。

『野田版・国性爺合戦』『し』『パイパー』など、
80年代からの野田作品の常連、橋爪功さん。
今回は、この世にないスポーツの監督という役。
NODA・MAPの魅力を問われると、
先ほどの『不可解にして愉快。爽快で若い。そして老獪(ろうかい)な芝居』にひっかけて・・

橋爪
「一言で言えば『奇っ怪』ってことでしょうか。
今回歌を唄うと聞いていたものですから、ミュージカルかなと思って引き受けたんですけど、
(自分の)歌うところがないんで、見渡したら歌のうまい方が一杯いらっしゃるし・・・。
えー、非常に『不愉快』です」

07年日本版『THE BEE』にもご出演の秋山菜津子さん。
今回は、この世にないスポーツのオーナー役。

秋山
「(NODA・MAPは)とにかく楽しい。今回も楽しもうと思っています。
以前、野田さんに『俺、今度池袋のさあ・・』って言われて即、
『私、池袋嫌いなんすよねえ!』って言っちゃったことがあって(笑)、
その後に東京芸術劇場の芸術監督になられることを知って、どうしようと思ってたんですが、
今回お話をいただきまして、リニューアルオープンでもありますし、池袋を好きになろうと思います!」

『贋作・桜の森の満開の下』『赤鬼 日本版』『パイパー』にもご出演の大倉孝二さんは、
NODA・MAPの印象を問われて、

大倉
「長い・・。本番も稽古も長い・・・。稽古中に休憩がないのがすごく嫌なんです。
1時間にいっぺんくらいはダラダラしたいんですけども・・・」

それでも出演されるのは?

大倉
「・・まあ。ギャラですかね(場内爆笑)。あと、出てると有名っぽいから・・(さらに爆笑)」

野田
「休憩時間が欲しいって?ユニオン作った方がいい。日本はユニオンがないからこうなっちゃう」

大倉
「家に帰って、ユニオンを調べます」

場内はもう、出演者のトークショーを見に来たように楽しんでしまっています。

『ザ・キャラクター』にもご出演された藤井隆さんは、今回振付師の役。
質疑応答では振付をやって見せてとムチャぶりされ、
即興で深津さんに向かって踊り始めましたが、「できるわけないでしょ!」と切り上げて爆笑を誘う一幕も。

藤井
「(NODA・MAPに参加して)やり方が変わったと言いますか、
無駄に遠慮がちだったりするところがあるんですが、
そんなことをしていても何もならない、自分が楽しい、正しいと思ったことに突き進むということを学びまして。
通常営業でのバラエティ番組でも、こう思っていますということをスタッフの方に伝えて
本当に円滑に進むようになり、感謝しております。」

野田
「もう本人から漏れ出してると思うけど、藤井君はちょっと悪いところがあるよね。
さっき記者会見が楽しみって言うから理由聞いたら
『本日はお集まりいただきましてありがとうございます』とか
心にも無いことを言える場はそうないです、なんて言ってさ」

思わぬ暴露に場内大ウケ。藤井さんも大慌てで取り繕います。

約1時間の制作発表で、ほとんど笑いっぱなしの場内でした。
野田さん自身が「俺、キャスティングうまいな」と自画自賛する、これ以上ない出演陣が揃い、
更には椎名林檎さんの楽曲も加わって、
はたしてどんなコラボレーションとなるのか楽しみですね!

大衆を熱狂させてきた“音楽”と“スポーツ”が時空を跨いで交錯し、
そこには恋愛もはじまるのだそうで、
何がどうなるのか、これはもう観て体感するしかありません!

<公演情報>
9月5日(水)から10月28日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウスにて

<スタッフ>
作・演出:野田秀樹
音楽:椎名林檎
美術:堀尾幸男
衣裳:ひびのこづえ
振付:黒田育世

<出演>
妻夫木聡
深津絵里
仲村トオル
橋爪功
秋山菜津子
大倉孝二
藤井隆
野田秀樹


おけぴ取材班:yoshida、mamiko 撮影:mamiko 監修:おけぴ管理人

2012年07月27日

12/07/27 クリンドルクラックス!ゲネレポ@世田谷パブリックシアター

2012年07月27日(金)
クリンドルクラックス!公開ゲネレポ@世田谷パブリックシアター


阿久津愼太郎さん(D2)、伊阪達也さん、小野健斗さんが
11歳の少年を好演・力演・美演!
そして彼らを取り巻く、ちょっぴりヘンテコな大人たち!

「クリンドルクラックス!」は、イギリスの作家、フィリップ・リドリーが
自らの子ども時代をモチーフにして描いた、初めての児童文学作品。
ドラゴン退治伝説を下敷きに、
大人が笑って泣けて心躍る11歳のヒーロー(勇者)物語です。


主演の阿久津愼太郎さんが演じるのは、
演劇オタクのいじめられっ子・ラスキンスプリンター11歳。
いつか“真の勇者”になることを夢見る、ちょっぴり気弱な優しい少年です。
17歳の阿久津さんの瞳が、お芝居の中の喜びに、そして悲しみに、
きらきらと光ってとっても魅力的です。


街いちばんの悪ガキ・エルビス役の伊阪達也さんと、その子分・スパーキーを演じる小野健斗さん。
(伊阪さん、安寿ミラさんもおっしゃっていたとおり、アメフトのユニフォームがキマってます!)
ただのイタズラ悪ガキなだけでなく、心にガラスのような繊細さも抱えている子供たちを熱演です。
小野さんはお話の最後にとある姿で再登場!その場面の3人の様子もお楽しみに!


ラスキンの無二の親友・コーキィを演じるのは、劇団昴の86歳の重鎮・西本裕行さん(写真中央)。
そばにそっと寄り添いながらラスキンを励ますコーキィ。
17歳と86歳の演じる「親友同士」は、この公演の見どころのひとつ。


ラスキンママ役の宮地雅子さん。
ラスキンも知らなかった、うら若き乙女時代のラスキンママ話も!?
味のある演技と美声もお楽しみに!


ラスキンパパ役には、おなじみ酒井敏也さん。
学芸会の主役を夢見るラスキンにあきれかえってはいるものの、実はパパ自身も人には言えない過去を抱えていて……。


伊阪さんも「いかにも俺の親」と胸を張るエルビスのパパ&ママ、大河内浩さんと安寿ミラさん。
暴れん坊&お転婆娘がそのまま大人になってしまったような、どこか憎めない夫婦っぷり!
安寿さん、ピンクなヘアスタイルがとってもお似合い。さらに◯◯姿まで!お若い!!


町の頼れるお医者さん、フラワー先生を演じるのは、鈴木勝秀さん。
普段は演出を手掛けるスズカツさん。俳優業はなんと17年ぶりなのだそう!


映画館オーナーのフリックさんを演じる小田豊さん(写真右から2人目)と、
スパーキーのママ・ウォルナット夫人役のぼくもとさきこさん(写真一番右)。
みんな、エルビスのワンパクざんまいにはもうこりごりで……。


そしてそして……シェイクスピアマニアのぶっ飛び教師!! レイス先生を演じるROLLYさん。
ラスキンに負けず劣らずのマニアぶり!舌を噛みそうな複雑難解なセリフをものともせずの熱演!
ちなみに、とっても素敵な劇中音楽はROLLYさんのオリジナル作品♪

17歳から86歳まで、個性溢れるキャストさんたちが演じる
「とかげ通りの住人」たちは、まるでおもちゃ箱をひっくり返したよう。
そんな住人たちを包みこむ、飛び出す絵本のようなかわいい舞台セットにもご注目です!
↓そんな公演の様子がわかる公式ダイジェスト映像がこちら


“とかげ大通り”の地下に棲みつく謎の怪物に立ち向かうラスキン!
両親や町の人たちを守るために、そして、真の勇者になるために!
地下の奥深くでラスキンた見たものとは……!?


太陽だって月だって自分を疑えば輝けない」をはじめとした、キラリと光る言葉の数々。
手放してしまった“夢”が愛おしくなるような、たくさんの優しさと、すこしのほろ苦さ。
ちょっぴりとぼけた味わいの舞台に込められたメッセージをぜひ劇場で感じてきてください!


<公演情報>
石井光三オフィスプロデュース「クリンドルクラックス!」
作:フィリップ・リドリー
翻訳:谷 賢一
演出:陰山恭行

出演:阿久津愼太郎、伊阪達也、小野健斗/酒井敏也、宮地雅子、大河内 浩/
鈴木勝秀、小田 豊、ぼくもとさきこ、西本裕行/ROLLY、安寿ミラ

企画制作:石井光三オフィス
東京公演 世田谷パブリックシアター 2012年7月28日(土)~8月5日(日)
名古屋公演 名鉄ホール 2012年8月8日(水)
大阪公演 サンケイホールブリーゼ 2012年8月11日(土)

<あらすじ>
11歳のラスキン・スプリンターはビン底メガネにやせっぽちで、
声もキンキン声で冴えない少年だが、いつか真の”勇者”になることを夢見ていた。
そんなラスキンが、街の地下道に棲みつく謎の怪物の存在を知る。
両親や町の住人を守るために闘うことを決意するが・・・
“ドラゴン退治”伝説を下敷きに、
大人が泣けて、笑って、心躍る11才のヒーロー(勇者)物語。

公式ホームページはこちら
公式ツイッターもチェック!

歳は離れているけれど、とっても気が合いそうな二人!(役の上でも、実際も…)


おけぴ取材班:hase、mamiko、おけぴ管理人 撮影:hase

2012年07月29日

12/07/29 文七元結 petit musical!稽古場レポ

2012年7月29日(水)15:00
望月龍平シアターカンパニー
『Re:落語的@empty space 文七元結 petit musical!』稽古場レポ

小さな空間で質の高い作品を発信する“望月龍平シアターカンパニー”。
2011年の上演が好評だった『落語的 文七元結』が帰ってきます!

落語、歌舞伎でもお馴染みの人情噺『文七元結』、
江戸の町を舞台に繰り広げられる可笑しくって
温かくてほろりとさせられる名作が、なんと、プチミュージカルに!

カンパニー主宰であり、脚色・構成・演出も手がけられる望月龍平さんの、
「再演にあたっては、みなさまには作品を成長させた形でご覧いただきたい。」
との思いから、ミュージカル仕立てになったこの公演。

お稽古場でもnanolineさん書下ろしのオープニングテーマが流れると心が躍ります♪
確認しながらの軽めの歌唱でもみなさんの美声が心地よく響く幸せな空間!

というのも。。。望月さんはもちろん、
先月の帝国劇場ルドルフのステファニー役も記憶に新しい吉沢梨絵さん、
オペラ座の怪人のウバルトピアンジ役で名を馳せた半場俊一郎さんをはじめ、
岩本潤子さん、沓沢周一郎さん、青木結矢さん、美元さん、大月さゆさん
などなどみなさま実力者揃い!(キャストは日替わりとなります)。

お芝居もシンプルで楽しい!緩急織り交ぜた気風のいい江戸言葉が飛び交います。
ここで、簡単にあらすじをご紹介しておきましょう。

腕はいいが無類の博打好きな左官職人の長兵衛。
仕事もせずに賭場で負けては女房子供に手をあげる。
一人娘のお久はそんな父を見かねて女郎屋に身を売り、
50両の金を工面する。女郎屋の女将はお久の心意気に惚れ、
借金の形にお久を預かるが来年大晦日までに返済すれば女郎として店には出さないという。
さすがに改心した長兵衛であったが、その帰り道、川に身を投げようとする文七と出会って…


そんな長兵衛には望月龍平さん。
見栄っ張りの強情っ張り、THE江戸っ子気質な長兵衛さん、なぜか憎めない魅力的な男です。


長兵衛の妻・お兼(トリプルキャスト)に半場俊一郎さん。
もう、長兵衛とお兼の絶妙の掛け合いには笑いが止まりません。一挙手一投足が可笑しい!!


情に厚い女郎屋「佐野槌」の女将に岩本潤子さん(鼈甲問屋の近江屋の旦那も!)。
岩本潤子さんとじっくりと長兵衛をいさめる言葉に愛を感じます。


近江屋の手代・文七に田中えみさん。まさに物語のキーパーソン、文七を熱演です。


あれ、お気づきですか?妻に半場さん、旦那に岩本さん、文七に田中さん?!
いくつかの役で男女が入れ替わってキャスティングされています。

この演劇的“嘘”がなんとも効果的で
特に半場さんのおばちゃんっぷりや何ともいえない“色気”はインパクト大!
きっと夢に出てきますよ。


(見てます!!)

(見つめています!)


他にもお久、佐野槌の番頭・藤助などなど魅力的で個性的な登場人物たちが繰り広げる、
可笑しくって心温まるお噺。
ある意味、理屈を超えたストーリー展開にも無理が無いのは、
日本人の心や身体に染み込んだ、“情”“粋”といったツボを心地よく刺激するからでしょう。

作品の作り上げ方もとても丁寧な望月さんの演出。

(岩本さん、半場さんに演出をつける望月さん)

直接的な表現だけでなく、影などを用いて暗示的に見せることで、
そのやり取りがかえって印象深くなるような、そんな予感のするシーンです。
他にも、それぞれのキャラクターの生い立ちや立場といった背景も丁寧に加味しながら、
落語が持つテンポの良さや笑いを大切にされている様子が印象的でした。


もうひとつのお楽しみは、上演される“空間”です。
客席数40程度のとても密な空間で、舞台と客席が一体となってお芝居を堪能できる贅沢!!

役者さんが近いと緊張してしまう。。。
という方もいらっしゃるかと思いますが。
落語さながらに“枕”(導入のトーク)から入り自然に物語で誘ってくれるなど、
いろんな仕掛けが用意されていますので心配御無用です!


さらに!
お兼役に3名(半場俊一郎さん、沓沢周一郎さん、青木結矢さん)、
女将に4名(兎本有紀さん、岩本潤子さん、美元さん、遠藤瑠美子さん)、
文七3名(吉沢梨絵さん、羽賀佳代さん、田中えみさん)、
お久は6名(大月さゆさん、大嶽ひとみさん、田中えみさん、平野麻美さん、千葉三春さん、平川めぐみさん)、
藤助4名(寺島速人さん、近藤真行さん、宮河愛一郎さん(Noism1)、小倉卓さん)という複数キャスト体制!

取材時にも、先ほどご紹介した以外にも青木結矢さんのお兼、平野麻美さんのお久も拝見しましたが、
台詞回しやテンポ感、前面に出る印象がそれぞれ異なり、
こんな見え方もするんだ。こう来るか!の連続でした。組合せの妙にも期待が高まります。

落語ならではの会話のテンポ、ミュージカルの高揚感、そして芝居の感動。
舞台の面白さが凝縮されたとっても気持ちよくなる作品です!


オケピ主催第6回おコンサートにゲスト出演してくださった小倉卓さんこのシーンもお楽しみに


2012年8月6日(月)~8月28日(火)
東京スクールオブミュージック専門学校渋谷第一校舎地下一階にて
望月龍平シアターカンパニーブログ



おけぴ取材班&撮影:chiaki 監修:おけぴ管理人

About 2012年07月

2012年07月にブログ「おけぴ管理人の観劇感激レポ」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のアーカイブは2012年06月です。

次のアーカイブは2012年08月です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

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