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2012年09月 アーカイブ

2012年09月01日

12/09/01 ミュージカル「ダディ・ロング・レッグズ」ゲネレポ

2012年9月1日(土)17:00
ミュージカル「ダディ・ロング・レッグズ」ゲネプロレポ

なんて甘酸っぱいロマンス!
出演は井上芳雄さんと坂本真綾さんの二人だけですが
別部屋同時進行的展開で、お二人ほぼ出ずっぱりです!

孤児院育ちの少女ジルーシャは孤児院の理事の一人から
匿名で大学進学の学費・生活費援助の申し出を受けます。
その条件は、
“毎月その人物に手紙を書くこと。
そして、その人物からの返事を求めてはならない。”

匿名の支援者は、若き資産家ジャーヴィス。
物語は原作小説同様、ジルーシャが綴る手紙で紡がれていきます。

ジルーシャが手紙を書きながら、ジャーヴィスがその手紙を読みながら
それぞれの揺れ動く気持ちを表現していくのですのですが、
単に読んでるという感じではなく、
二人芝居ならではの会話のテンポ感がとっても楽しいのです!

ジャーヴィスのことをお爺ちゃんと思っているジルーシャ。
手紙だからおこるタイムラグ。
手紙だから仕掛けられるイタズラ。
一方通行。
甘酸っぱい思い。
ほんとに胸がキュンキュンしますよ!!


井上芳雄さん演じるジャーヴィスは名家の生まれでお金持ち、
でもちょっと偏屈な男性。

支援者ダディとしての客観的な顔や、ジルーシャに恋をして一喜一憂する様々な顔、
大人の男性と少年を行ったり来たりするようにどんどん変化していく表情や、
抑えきれない感情をなんとかなだめようとする動きがなんとも楽しく、
そして可愛い!!井上芳雄さん!
制作発表でご本人も仰っていた通り、シリアスでヘヴィな作品が続いた2012年、
ハッピーミュージカル!!な井上芳雄さんも素敵です♪♪


聡明で希望に溢れた少女ジルーシャを演じるのは坂本真綾さん。

声の表現力、とりわけ思春期の女の子の気持ちのアップダウンの激しさや、
プライドの奥にある孤児であることの影などとても繊細な役作り!
物語が進むにしたがって、少女から女性になりどんどん魅力的になっていきます。
思いのたけを歌うナンバーでは、よく通る切ない歌声に涙!!
手紙でダディとジャービー坊ちゃま(!!)を翻弄していくのには
笑わずにはいられないです!

お二人はほぼ出ずっぱりで、大きな場面転換はないですが、
小道具の移動や照明で時や場所の変化を見せます。
特に光の射し込み方に、ジョンケアードさんの演出の魅力を感じました。
そして箱から取り出される様々なもの、
たまにびっくりするようなところから出る手紙!
沢山の箱が宝箱で、まるで宝探しのようなワクワク感があります。

そしてやはり物語のキーは“一方通行の手紙”。
一通の手紙を交互に読み進めていくシーンなどで、
ジャーヴィスのリアクションが本当にコミカルで可愛いのです。
自分で決めたルールに縛られ、実際にジャーヴィスとして対面しても名乗ることも出来ない。
ダディにだけ打ち明ける気持ちを綴る手紙を読んでいいものか。
ダディとジャーヴィス、二つの人格を持つ葛藤。
このジャーヴィスの視点というのは二人ミュージカルならでは!!

お互いに言えない秘密を一つずつもって、
近づきたいのに、秘密のために平行線に戻ってしまうもどかしさ。
そんな恋のもどかしさも、二人のやり取りを見ていると、
キュンキュンする甘酸っぱさになり、
そんな末の文句なしのあの結末。
胸がくすぐられるような気持ちよさです♪
(管理人的にはジルーシャの大学卒業後の行動に思い切りぐっときました)

甘酸っぱい恋とともに、当時の女性の自立や権利、孤児院の環境など
時代を反映させた話題も盛り込まれており、
一人の女性の成長を描いた側面が作品をより上質なものにしています。

二人の歌声も、自分の思いを確認していくように歌われるナンバーが多く、
耳と心に気持ちよく響いてきます♪

原作ファンの皆さんには小説の中から飛び出したかのような二人に
懐かしさと初めて出会った時のトキメキを思い起こしていただき、
初めてこの物語に触れる方には上品でさわやかなラブストーリーに
胸躍らせていただきたい素敵な作品です♪オススメっ!!!

<公演情報>
2012年9月2日~9月19日 シアタークリエ
9月22日 新潟公演 りゅーとぴあ
9月26日 大分公演 iichiko総合文化センター
9月28,29日 大阪公演 森ノ宮ピロティホール
10月3日 福岡市民会館
公演HP

「ダディ・ロング・レッグズ」おけぴ制作発表レポはこちら



おけぴ取材班:chiaki、ayano、おけぴ管理人 写真提供:東宝

2012年09月04日

12/09/04 NODA MAP「エッグ」ゲネレポ@東京芸術劇場

2012年9月4日(火)19:00
NODA・MAP第17回公演「エッグ」ゲネプロレポ
@東京芸術劇場

リニューアルした東京芸術劇場プレイハウスのお披露目公演は
野田秀樹芸術監督率いるNODA・MAP「エッグ」。

"この世に存在しないスポーツ"の選手、監督、オーナー、サポーター…
登場人物たちとともに、笑いの散りばめられた熱狂に踊らされながら、
気がつくと歴史の迷路を彷徨い、そして思いもかけない場所に身を置いている。
ノンストップの2時間強。

そして、物語への導入や何度か訪れるどんでん返し、
劇場でこそ、芝居でこそ成立する演劇の楽しさを十分に
感じさせてくれるパワフルな作品です。

3人の主人公は
奔放な新人選手に妻夫木聡さん。

屈託ない青年の辿る道、置かれた立場は大きく変貌しながら
芯のキャラクターは常に一貫いているので、
"あの人がこうなった"衝撃が強調されより一層胸を打ちます。

チームのスター選手を仲村トオルさん。

ベテランの風格、オーラ、威圧感がものすごいです。
役名"粒来幸吉"の響きにハッとされる方もいらっしゃいますよね。

そして、
シンガー苺イチエには深津絵里さん。

イチエが歌うのは椎名林檎さん書き下ろしの(作詞・野田秀樹さん)
ロックナンバー。
小悪魔的な魅力炸裂のイチエの音楽もまた大衆を扇動します。

脇を彩るキャストも個性、力量ともに非常に魅力的!

野田作品に欠かせない、橋爪功さんは監督、大倉さんは仲村さん演じる
粒来を慕う選手。二人のやりとりは妙なリアリティに溢れています。

チームのオーナーには秋山菜津子さん、
傲慢と苛立ちの権力者を秋山さんが熱演。
終盤の秋山さんの台詞が頭を離れません。

イチエの振付師に藤井隆さん。

すっかりNODA・MAP芝居になじんでいる藤井さん、舞台での居方が絶妙です!

スポーツや音楽の高揚感や熱狂から戦争の狂気へ、
時間を逆回転させながら、それぞれの人生を生きるキャラクターたち。
歴史の中にいながら、とても今日的なテーマを持ち帰る、
心も頭もフル稼働な作品です。

あ、もちろん野田さんもご出演です。

芸術監督で劇作家なご本人役(?)とその愛人・野田秀子役を怪演です♪

<公演情報>全公演で当日券販売あり!
9月5日(水)から10月28日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウスにて

<スタッフ>
作・演出:野田秀樹
音楽:椎名林檎
美術:堀尾幸男
衣裳:ひびのこづえ
振付:黒田育世

<出演>
妻夫木聡
深津絵里
仲村トオル
橋爪功
秋山菜津子
大倉孝二
藤井隆
野田秀樹
ほか


おけぴ取材班:chiaki、yoshida 撮影:yoshida 監修:おけぴ管理人

2012年09月06日

12/09/06 「コーパス・クリスティ 聖骸」ゲネレポ

2012年9月6日(木)14:00
「コーパス・クリスティ 聖骸」ゲネレポ

公演開始と同時に話題沸騰、「上演反対デモ」まで引き起こした
トニー賞作家、テレンス・マクナリーの“幻の問題作”が日本初上陸!

もしキリストが、現代アメリカでゲイの若者として育ったら・・・
ユダと愛し合い、裏切られて、受難の日を迎えたら・・・
センセーショナルなストーリーを、今もっともいきのいい13人の男たちが演じる話題の舞台!
「コーパス・クリスティ 聖骸」の公開ゲネにお邪魔してきました。


今回が舞台単独初主演となる渡部豪太さん。
ホモフォビア(同性愛嫌悪)の街、テキサス州のコーパス・クリスティに生まれた
ゲイのキリスト、ジョシュア(イエス)を演じます。
驚きや悲しみ、苦しみといった感情を“眼ヂカラ”で表現!


ジュダス(ユダ)役を演じるのは、窪塚俊介さん!(写真右)
ミステリアス&セクシーな表情で、際立つ存在感!モノ凄く妖しいっ!!


キリストの物語がベースになってはいるものの、舞台はあくまで現代アメリカ。
アメリカンカルチャーを感じさせるシーンもたっぷり。
役者全員のダンスシーンは若さ爆発です!


ニューヨークの演劇界で大論争を巻き起こした“幻の問題作”という触れ込みだけに、
放送禁止用語連発、かなり刺激的な場面も・・・(汗)


高校最後のシニア・プログラムの日。ジョシュアとジュダスは運命の出会いを果たします。
たちまち惹かれ合う二人・・濃厚で美しいラブシーンは舞台の見どころの一つ。
この愛の形、皆さんの目にはどう映るでしょうか!?


舞台に上がっていない役者さんも、客席後ろから効果音を発したり、状況説明をしたり・・
舞台の形状を目一杯活かしたこんな演出も!


ジョシュアの元に集まってきた12人の使徒たち。
おなじみの「最後の晩餐」のシーンも登場しますよ。



(近江陽一郎さん&鷲尾昇さん)


(今奈良孝行さん&藤井泰造さん&渡部豪太さん)


(米原幸佑さん)


(北川能功さん&永山たかしさん)


(松田洋治さん&赤澤燈さん&窪塚俊介さん)


自分の未来を予感しながらも、使徒たちに愛を与え続けるジョシュア。
その慈愛に満ちた表情の中には、時に孤独や寂しさも感じられて・・


そしてやってくる、運命の日。
13人の男たちは、2012年前と現代をどのように重ね合わせて、
見せてくれるのか!それはぜひ劇場にてお確かめ下さい!

「人が人を愛することの意味」「救世主は存在するか」「人の運命とは」・・
観た後にさまざまなことを考えさせられる、深い余韻のある作品です。
舞台の特性上、座席の位置によっても、きっとまったく違う作品のように感じられるはず。
夏の勢いそのままに、13人の男たちが円形のステージを縦横無尽に疾走する熱い舞台。
ぜひ2回、3回とリピートしてお楽しみください!

あ、会場入りは、ぜひお早めに!
開演前に、素顔の役者さんたちが見られるかも・・!?

<公演情報>
2012年9月6日(木)~17日(月・祝)
@青山円形劇場(表参道)

<出演>
渡部豪太/窪塚俊介
今奈良孝行/北川能功/鷲尾 昇/永山たかし/米原幸佑
近江陽一郎/赤澤 燈/藤井泰造/永嶋柊吾/安西慎太郎 
松田洋治

<ストーリー>
13人の男性らが舞台に集まって来る。1人はジョシュア役、1人はジュダス役。
他の11人の俳優たちは、いくつもの役を演じる。そして、ひとつの劇が開幕する。
テキサス州のモーテルで、メアリー(マリア)はひとりの男子を産み落とす。
その人こそ、世界が待ち望んだ子供であるとルーム・サーヴィスら(三賢者)に告げられ、
男子はジョシュア(イエス)と名付けられる。
するとジョシュアの前に“主なる神”が現れ、ジョシュアに「神の子」としての
使命があることを告げる。
ジョシュアは「神の子」として迷いを持ちながら、すくすくと成長していく。
「自分の運命は?」「人を愛するとは?」そして、彼は恋を経験していく。
いよいよ高校最後のシニア・プログラムの日。
ジョシュアはある少女にパートナーを申し込む一方で、
ひとりの少年・ジュダス(ユダ)と、運命的な出会いをする。
青年となったジョシュアは、ある日突然姿を消した。何年もの放浪の旅へと出発したのだ。
そこで、ヒッチハイクしたトラックの運転手に砂漠で置き去りにされ、
ジェイムス・ディーン(悪魔)が誘惑を仕掛けて来る。
しかし彼はそれに打ち勝ち、ついに迷いを解く。
「人の子」としての人生を歩むため、都会へと帰還する。
その後、数々の奇跡をみせるジョシュアのもとに、次々と弟子となる者たちが集まって来る。
使徒と呼ばれる12人。その中には、あのジュダスの姿もあった・・。
やがて訪れる、避けることの出来ない運命の“その日”。
ジョシュアとジュダス、そして使徒たちは-。


渡部豪太さん窪塚俊介さん松田洋治さん!ゲネ直後のスリーショット!!
「連日休みなく稽古だったので、この夏の思い出は豪太くんに取られたよう(笑)」by 窪塚さん



おけぴ取材班&撮影:hase 監修:おけぴ管理人

2012年09月07日

12/09/07 OSK日本歌劇団「JUJU」ゲネレポ@三越劇場

2012年9月7日(金)12:00
OSK日本歌劇団「JUJU」ゲネレポ@三越劇場

一部が和物レビュー、二部が洋舞レビュー、
レビューを満喫できるOSK日本歌劇団の三越劇場公演、
ゲネプロレポート速報です。

第一部冒頭は、トップスターの桜花昇ぼるさんと、
高世麻央さんのお二人の厳かな舞!

舞台がきゅっと引き締まった後の、チョンパ!!
(チョンっとなって、パッと華やかに!)
そしてお一人お一人の口上!

和物、日舞、と聞くと、ゆっくりと上品に舞うという
イメージを抱かれるかもしれませんが、
OSKの和物レビューは、心躍るビートにのった舞や、小芝居もたっぷり!
とにかくテンポ感が素晴らしいっ!

客席を巻き込んでのおめでたい花嫁道中!!
ばんばーんざーいの大繁盛!!!
はぁぁぁっ!!


この扇のスピーディな動きが妙にツボだった管理人であります。

テンポよく展開する一部レビュー、
雰囲気はがらりと変わって1000年前に!!

この衣で可憐に、舞われるのです!気持ちいいっ!和物最高~!

一部の和物レビューは約40分、
笑いや手拍子も交えてスピーディに展開、あっという間です。

そして休憩を挟んでの二部は、雰囲気180度変わってのダンス!洋舞!
二部の写真はあえて掲載しませんので、ぜひ劇場で生でご覧下さい!!
ソロダンス、デュエット、歌、ラインダンスなど見所満載、
そして客席を使った小芝居も!!

大切なもの、JUJUとは・・・・

創立90周年の今年。そして100周年に向けて輝くOSK。
テーマソング「桜咲く国」もお楽しみに!

三越劇場、客席と舞台がほんとに近いです!
この近さでレビューを味わえる貴重な機会!
来年の日比谷・日生劇場公演の前に
ぜひダンスのOSK、レビューのOSK、ご観劇下さい!

東京公演は9月7日~9日の三日間三越劇場にて、
大阪公演は9月14日~16日の三日間のみ!
春には日比谷・日生劇場での公演もございます。

レビュー好きな方、必見です!お見逃し無く!

<上演時間>
約2時間(休憩あり)

<出演>
桜花昇ぼる
高世麻央
朝香櫻子
緋波亜紀
牧名ことり
恋羽みう
楊琳
悠浦あやと
和紗くるみ
瀬乃明日華
舞美りら
妃那マリカ
遥花ここ

<スタッフ>
作・演出:北林佐和子
振付:大谷盛雄・奥山賀津子・ACCHY/伊瑳谷門取
音楽:松岳一輝

<公演HP>
http://www.osk-revue.com/category/schedule/201209


おけぴ取材班&撮影:おけぴ管理人

2012年09月08日

12/09/08 ミュージカル「走れメロス」ゲネプロレポ

2012年9月8日(土)12:00
ミュージカル「走れメロス」ゲネプロレポート


太宰治は“ふたり”いた ―!?

「一人の男」が「一人の男」の為に走りだすまでの物語、
昭和の文豪たちが紡ぎだす、
恋と友情のパラレルワールド!

「走るのだ。信じられているから走るのだ。
間に合う、間に合わぬは問題ではないのだ。
人の命も問題ではないのだ。
私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいもののために走っているのだ」
(太宰作『走れメロス』より)

友のために走り続けるメロスの物語を、
太宰治、そして彼を取り囲む実在の作家たちに置き換えた
恋と友情のオリジナルストーリー。

河村隆一さん、諸星和己さんがW主演する
ミュージカル「走れメロス」ゲネプロレポートをお届けいたします!!

この作品の為に、
約30曲のオリジナル楽曲を書き下ろしたという河村隆一さん。

死後60年以上がたった今もなお、
人々の心を惹きつけてやまない文豪・太宰治役を、
河村さん独特の甘い歌声とともに演じます。

これまでの“太宰治”のイメージをくつがえす、
ソフトで優しげな役作り。
「君となら死んでもいい」が口癖の太宰さん。
女性に目がない、少々軽薄な太宰像がなんとも魅力的♪


お茶目です♪

一方、諸星さんは、
太宰とともに創作活動をする辻島衆二(つじしま しゅうじ)役を、
男っぽさたっぷりに熱演!

高い身体能力、そして溢れ出るような“色気”。
客席の目を釘づけにするダイナミックな諸星さんの演技は、
さすが、スターの貫録!!

この二人に同時に愛されるヒロイン・あつみ役には、
鈴木亜美さん。

彼女が想いを寄せる相手は一体誰なのか・・?

“いつの時代も、男たちに小説を書かせるその原動力は女性 ”
そんな歌詞が印象的なナンバーでは、
「歌手」としての鈴木亜美さんの魅力を堪能できますよ♪


着物姿もとってもキュート♪


作・演出は、
「戦国BASARA」「銀河英雄伝説」等のヒット舞台で知られる西田大輔さん。
自らが主宰する劇団AND ENDLESSの作品でもお馴染みの、
独特の感性で展開する“西田ワールド”。

今回も、「走れメロス」の物語をそのままみせるのではなく、
昭和に生きた作家たちの生きざま、そして青春を、
ボーダーレスな音楽とダンスにのせて、鮮やかに描き出します!


大澄賢也さん振付監修のダンスシーンもたっぷり。
(写真中央は太宰の愛人・太田静子役の玉置成実さん)


さらに、太宰と親交のあった“無頼派”の作家たちも、
西田マジックにかかると、この通り・・。

ちょっぴり“おねえ”な織田作之助。 演じるのはテレビでもお馴染みのIZAMさん。



「堕落論」で知られる坂口安吾(川原一馬さん)は、若づくり(!)なイケメンに。

“さよならだけが人生だ”の、
井伏鱒二先生(佐久間裕人さん)は飄々とした存在感で舞台を盛り上げます。
(「ア・ラ・ラ・ギ・は~っ!!」必見♪)
石川淳(松田一三さん)とのやり取りもいい感じ!!



そして太宰たちの憧れの存在、
芥川龍之介役を演じるのはこの方、大澄賢也さん(上の写真右)!
“踊る芥川”シーンは大澄さんならでは。
めちゃくちゃ姿勢の良い芥川先生です!!

芥川のつかむ“一本の糸”それは・・。
(写真左は芥川の妻・文役の國元なつきさん)

全篇に渡って使用される音楽は、
河村隆一さんによるオリジナル。

Jポップからロックまで、これがミュージカル!?
という新鮮な驚きに満ちたステージで、
歌手として活躍されている出演者が多いことにも納得。
さらに宮垣佑也さん(トートダンサー♪)、
楢木和也さん、神谷直樹さん、遠山裕介さんら、
注目のアクター・ダンサーが集まったアンサンブルにもご注目ください♪

一人の女を愛した二人の男。
恋と友情、そして作家としての情熱が絡み合う独特の世界観。

ゲネプロ前に行われた囲み取材では、
「西田さんは多分この作品で芥川賞を狙っていますよ。本当に面白い!」と、
諸星さんが、その世界観を絶賛。

当の西田さんも、
「河村さん、諸星さんの二人にしか出せない関係性、その空間を楽しんでほしい。
千両役者という言葉があるように、舞台俳優に大切なものは“華”。
その意味で怪物ともいえるお二人の世界を、観る方にも堪能していただけると思う」
と、自信をのぞかせます。

約30曲ものナンバーを書き下ろした河村さんは、
「こういう曲をカー君(諸星さん)に、そして亜美ちゃんに歌ってほしかった
という音楽を作れたのではないかと思います」と笑顔を見せ、
太宰という役については、
「これまでの悲壮感溢れる太宰のイメージとは違う、
コミカルでシニカルな部分、チャーミングな可愛らしい太宰を観てほしい」とアピール。


個性と個性のぶつかり合いで魅せる、刺檄的な男の友情。
新しくも懐かしい文豪たちの恋と青春の世界。

オリジナルミュージカル「走れメロス」は、
9月8日~11日まで東京・Bunkamuraオーチャードホールにて、
9月21日~23日まで、名古屋・中日劇場にて、
9月28日~30日まで、大阪・イオン化粧品シアターBRAVA!にて上演。
お見逃し無く!

<公式サイト>
http://melos-stage.com/

<出演>
河村隆一
諸星和己
鈴木亜美
玉置成実
IZAM
大澄賢也
松田一三
國元なつき
西山結花
夕貴まお
川原一馬
田中良子
佐久間祐人

岩室由実/碓井菜央/篠原沙弥/永咲友梨/沼田由花
丸山未那子/三井捺々/矢冨はるか/miotchery
伊藤航/神谷直樹/遠山裕介/楢木和也/宮垣祐也
瀬戸山清香/東郷祐佳

<スタッフ>
原作:太宰治
脚本・演出:西田大輔
音楽:河村隆一
振付監修:大澄賢也

<ストーリー>
辻島衆二は遅咲きの作家である。
才能に恵まれながらも、機会に恵まれず、いわゆる流行作家とは無縁の生活を送ってきた。
それでも「真の文学とは」の意思を貫き、ただ黙々と作品を書き続けていく。
そして衆二は遂に、芥川賞の候補に入ったのだ。
学生時代に「親友」と共に親交のあった井伏鱒二の下、一本の電話を待ち続けている衆二。
この電話の先にある未来が、信じつづけた自分の才能への賛歌になるのだ。
そして一本の電話が井伏鱒二から鳴り響く。
だが、それは朗報ではなく、悲しい呼び水を誘う電話であった。
「太宰君が亡くなった。自殺だそうだ。・・・君は親友だったね」

太宰の想いを知るように、走り出す辻島。
辻島は全てを知るために、物語を紡いでいく。
残された時間を、太宰に捧げる為に。
メロスのように。太宰の為に走り続けていく。


おけぴ取材班・撮影:mamiko 監修:おけぴ管理人

2012年09月13日

12/09/12 観る朗読劇「100歳の少年と12通の手紙」多田直人さん×柴田理恵さん ゲネプロレポート

2012年9月12 日(水)15:30
音楽×ダンス×朗読 観る朗読劇「100歳の少年と12通の手紙」
多田直人さん×柴田理恵さん ゲネプロレポート


音楽、肉体、そして声。
シンプルで、力強い表現で語られる少年オスカーの12日間の物語。

「神様へ 僕は、今日100歳になりました 」

生と死という重いテーマ。
けれども決して感傷的にならない、どこまでも光る誠実さが印象的。
観終わった後に残るのは「哀しみの涙」ではなく、
「今日からの日々を愛しんで生きて行こう」という前向きな気持ちです!





(写真上:多田直人さん 写真下:柴田理恵さん)

1日に10歳の歳をとる少年・オスカー。

“1日を10年と考える”
“神様に1日1通の手紙を書く”
病院ボランティアのローズさんの、こんな提案から始まった彼の新しい人生。

手紙を書き始めて2日目、
10代の思春期を迎えた彼が経験する初めての恋。
20代で結婚し、30代で芽生える責任感、
そしてクリスマスの日の小さな冒険・・。

病院のベッドの上で「普通」の人生を味わっていくオスカーの言葉が、
観る者の心に優しく沁み込んでいきます。


そんなオスカーの傍らにいつも寄り添っている影のような存在が、
ダンサーの中島周さん。

オスカーの喜び、哀しみ、そして確実に迫りくる“死”。
中島さんのダンスから、何を感じ取るのかは観客一人一人にゆだねられます。










(肉体の表現を追求した中島さんのパフォーマンスは必見!)

ピアノ演奏と、不思議な感触のヴォイス・パフォーマンス、
そして中島周さんのダンス(振付は平山素子さん)が、
朗読者ふたりの声を包み込む、独特の空間。

張り出した舞台を客席がぐるりと取り囲むようなグローブ座での公演、
2階、3階席も、朗読者の息づかいまで聞こえてきそうな距離感です!


またこの公演の宣伝イラストは、人気絵本作家・酒井駒子さんによるもの。
劇場ロビーでは、酒井さんのイラストが使われたキーホルダー(¥800)や、
ポストカードセット(¥500)などがチャリティーグッズとして販売されています。
グッズの売り上げの一部は、日本にこどものホスピスを作るための活動をしている
特定非営利活動法人NPO 生きるちから「VIVACE(ビバーチェ)」に寄付されるとのこと。
手紙のような作りになっている公演プログラムも素敵です♪



12組の朗読者が日替わりで出演し、
語りで「みせる」、聡明な優しさに満ちた12日間の物語。

是非、劇場の中に広がる温かい空間を体験していらして下さい!


<公演情報>
原作:エリック=エマニュエル・シュミット
訳:阪田由美子(河出書房新社)
演出:鈴木勝秀
振付:平山素子

出演:
ダンス:中島周
ヴォーカル:大嶋吾郎 久保田陽子

12組の朗読者:
9/12(水) 多田直人 柴田理恵
9/13(木) 小西遼生 杏子
9/14(金) 古川雄大 萩野志保子(TV朝日アナウンサー)
9/15(土) 成海璃子 江波杏子
9/16(日) 新納慎也 彩吹真央 ※
9/17(月) 宮野真守 萬田久子
9/18(火) 竹財輝之助 秋野暢子
9/19(水) 山崎育三郎 涼風真世
9/20(木) 川平慈英 香寿たつき
9/21(金) 松岡充(SOPHIA) 木の実ナナ
9/22(土) 安倍なつみ 木村多江
9/23(日) 池松壮亮 南 果歩 

※緊急決定! 新納慎也×彩吹真央 役替わり公演実施!
9/16
13時開演 オスカー役:新納慎也 ローズ役:彩吹真央
17時開演 オスカー役:彩吹真央 ローズ役:新納慎也

場所:グローブ座
チケット料金:S席6500円 A席5500円(全席指定席)
公演URL
問合せ先:アトリエ・ダンカン TEL:03-3475-0360(平日12:00~ 18:00)




おけぴ取材班・撮影:mamiko   監修:おけぴ管理人

12/09/13 スタジオライフ「PHANTOM 語られざりし物語 The Kiss of Christine」制作発表レポ

2012年9月13日(木)14:00
スタジオライフ「PHANTOM 語られざりし物語 The Kiss of Christine」制作発表レポ

「オペラ座の怪人」のファントム、エリックの語られなかった幼少年期を描いた
「PHANTOM THE UNTOLD STORY 語られざりし物語」の
続編ともいえる作品が満を持して日本初登場!
「オペラ座の怪人」では語られなかった“もう一つの物語”、今ここに完結!
スタジオライフ「PHANTOM 語られざりし物語 The Kiss of Christine」
制作発表レポをお届けします♪


「PHANTOM」は、歴史小説作家として有名なイギリスのスーザン・ケイが、
ガストン・ルルーの「オペラ座の怪人」にインスパイアされて描いた、
怪人ことエリックの人生をめぐる物語。

今回の公演は、スタジオライフが2011年6月に上演した、物語の前半部分にあたる
「PHANTOM THE UNTOLD STORY 語られざりし物語」
の続編、そして物語の完結編という位置づけになっています。

誰からも愛されず、神からも見放されたような男。
それでも、最後には愛ゆえの大きな犠牲で愛を勝ち得、この世に愛の種を蒔いていった男、エリック。
「PHANTOM」では、「オペラ座の怪人」では語られなかった部分も含め、彼の壮絶な生涯が描かれます。


エリック役を演じる笠原浩夫さんは、この作品のおかげで先日こわ〜い体験をしたとか。
「死神の夢を見て、叫び声をあげながら飛び起きました(笑)。
オペラ座の怪人の役ということで、とてつもないプレッシャーを感じる毎日。
でもそのぐらい、自分と向き合いながらではないと演じられない役だと思います」


(一番左が笠原さん)

「『オペラ座の怪人』は大好きで、ロンドンに行くたびに観ています。
中でもファントムが本当に大好きで、今まで演じてきた役の中にも、
勝手にファントムの要素を取り入れていたほど。
いつもと芝居のアプローチは変わりませんが、勝手に入ってくるイメージというのは
あるかもしれません」


創立以来、Wキャスト制を採用しているスタジオライフ。
前回の作品では、エリックの少年時代を演じていた山本芳樹さんが、もう一人のエリック役です。
「世界中の誰もが知っているであろう大役に挑戦できることに、震えるほどの喜びを感じています。
エリックの生涯をまっとうできるように、魂を込めて演じたいと思います」

「今回はやっとオペラ座に到着して、みなさんがよく知る怪人になっていきます。
マスクがあるので顔は口だけしか見えないのですが、その奥にある目や顔の表情、
そして気持ちが伝わるように演じたいです」


ヒロイン、クリスティーヌ役に挑戦する関戸博一さん。
「おそらく全世界の女優さんが一度は演じてみたいと思う役。
男優の僕が演じられるのは本当に光栄です。
『どうだ、羨ましいだろ〜』という気持ちでがんばります(笑)」


(左が関戸さん)

クリスティーヌは本作では、ミュージカルとは違って物語後半での登場ですが、
ストーリーのカギを握る重要な役どころ。
「(前回の作品で)エリックの誕生から始まり、今回の作品で、旅を経て最後に
クリスティーヌにたどり着く。
その役割の大切さを受け止めながら、精一杯やっていきたいと思います」


そして2人目のクリスティーヌ役は松本慎也さん。
「いわずと知れたヒロインということでプレッシャーもありますが、
揺れ動く繊細な心を表現して、最後のキスの持つ意味を皆さまにお届けできるよう、
真摯に役と向き合っていきたいです」

スタジオライフは男性だけのカンパニー。男性が美しいヒロインを演じることについては・・
「もちろんギャップはあると思います。その溝をどう埋めるか。
ビジュアルは、もちろんメイクさんや衣装さんの力を借りますが(笑)。
僕は以前にジュリエット役の経験もあるので、きっと大丈夫と言い聞かせています(笑)」


最後に登場したのは、ラウル役を演じる曽世海司さん。
「前回の公演では、俳優同士が向き合って作り上げた空気感が劇場を支配して、
お客様と共感し合うという感覚がすごく実感できた公演でした。
またあれができると思うと、今からワクワクしています」

「ミュージカルでラウルを観たときは“白馬の王子様”という印象が強かったのですが、
今回の原作からは、ちょっと違う印象を受けています。
たぶん、ラウルの心の底にミュージカル版では描かれていない心情があるはず。
はたしてミュージカル版とは違う地点にどう辿り着くのか、楽しみです」


「(エリックの顔は)人が人生でしばしば出会う『どうにもならない現実』の象徴」
と語るのは、脚本・演出の倉田淳さん。
「このドラマを見ていただいて、そんな現実と向きあうときの力になればと思います」


(前列左より:スタジオライフ代表の河内喜一朗さん、脚本・演出の倉田淳さん、
後列左より:キャストの笠原浩夫さん、関戸博一さん、松本慎也さん、山本芳樹さん、曽世海司さん)

「原作のスーザン・ケイさんとお話して、これは“成長の物語”なのだと確信しました。
どうにもならない現実の中でいろいろなことを感じ、人に出会い、成長していく物語。
私もそこに照準を合わせていたし、その道をまっとうしなければと思っています」


そして、この公演のもう一つの見どころは、舞台美術!
「オペラ座の怪人」「レ・ミゼラブル」25周年記念inロンドンの美術と映像を担当したマット・キンリーさん、
そして、「オペラ座の怪人」の続編「Love Never Dies」や「Oliver!」等を手がけた照明デザイナー、
ニック・シモンズさんが、日本初登場となった前回公演に引き続き参加!
才能あふれるお二人が創り出す、ロンドン演劇界最先端のヴィジュアルをぜひお見逃しなく!



(笠原さん、関戸さん、松本さん)

最後に、脚本の倉田さんがスーザン・ケイさんから聞いたという、こんなとっておきの話をどうぞ♪
「この作品はまだ一本も映画化されていないそうなんです。
スピルバーグからもオファーがあったけれど、シナリオがどうしても“ホラー寄り”になってしまう。
それは私の本意ではないので、お断りしました、と」

スピルバーグからのラブコールでも映画化されなかった“とっておきの物語”を、日本の小劇場で楽しめる・・
なんて贅沢なんでしょうか♪



(山本さん、曽世さん)

原作の最後に登場し、エリックの死を看取る「謎のペルシャ人」の正体、
そして、あの有名な「クリスティーヌのキス」の真の意味とは!?
新たな解釈で物語の陰の部分に光を当て、この有名な物語にさらなる深みを与える・・
「オペラ座の怪人」ファンなら見逃せない舞台になりそうです!
「エリックの回想シーンや心象風景もしっかり描きます」と倉田さん。前作を観ていない方も心配ご無用♪

どの役者さんも、作品に対する思いをじっくり披露してくれたため、
予定時間を少しオーバーしての会見となりました。
役者さんたちの熱い思いがほとばしる舞台、大いに期待しましょう!


↓公式PR動画(前回公演ダイジェスト)はコチラ!


<公演情報>
2012年10月8日(月・祝)〜24日(水)
シアターサンモール

<出演>
笠原浩夫・山本芳樹
関戸博一・松本慎也
曽世海司・岩崎大
石飛幸治・佐藤滋(客演)
及川健
林勇輔
小林浩司
牧島進一
荒木健太朗
仲原裕之
緒方和也
神野明人
原田洋二郎
堀川剛史
山崎康一
倉本徹
藤原啓児
河内喜一朗 ほか

<スタッフ>
原作:スーザン・ケイ Susan Kay
作家。小学校教師。1953年にイギリス・マンチェスターで生まれる。
1985年にエリザベス1世の障害を描いた最初の小説「Legacy」で
Georgette Heyer Historical Novel PrizeとBetty Trask Awardを受賞。
1991年に「Phantom」でRomantic Novel of the year awardを受賞。

脚本・演出:倉田淳

舞台装置・映像デザイナー:マット・キンリー Matt Kinley
ロンドン・ナショナル・シアターで40作品以上もの作品を手がけた後、商業演劇のデザインチームの一員として、『マイ・フェア・レディー』(UK、USツアー)、『レ・ミゼラブル』(ブロードウェイ、オランダ)、『エクウス』(ウエストエンド)、『メアリー・ポピンズ』(UK、US、オーストラリア、オランダツアー)に携わる。2010年、『レ・ミゼラブル』25周年記念の新演出版の舞台装置、映像デザイナーへの抜擢に続き、2011年、『オペラ座の怪人』25周年記念公演inロンドンの舞台装置、映像デザインも務めた。
2011年6月にスタジオライフ公演『PHANTOM THE UNTOLD STORY 語られざりし物語』で初来日を果たし、その舞台で舞台装置と映像を担い、才能あふれる感性と日本で初めて見せるデザインで衝撃を与えた。

照明デザイナー:ニック・シモンズ Nick Simmons
ロンドン・ナショナル・シアターの話題作であり、NYツアーも実施の『War Horse』のプログラマーとして知られる。ポール・コンステーブルとともに『Oliver!』や『オペラ座の怪人』の続編『Love Never Dies』を手がけた。
2011年6月にスタジオライフ公演『PHANTOM THE UNTOLD STORY 語られざりし物語』で初来日を果たし、その新しい技術と類まれなデザインセンスを駆使したその照明の織りなす世界は観る者に衝撃を与えた。
現在もロンドン・ミュージカル界に旋風を巻き起こしている。

<ストーリー>
世界的な奇術師としてロシアにいたエリックのところに
ペルシャの警察長官ナーディルが訪れ、エリックはナーディルと共にペルシャに赴く。
天才的な発想力と技術力で工程、そして大后をも魅了していくが、
彼らの要求と欲望は次第にエスカレートしていき、
ついにはエリックの身に危険が及ぶ事態に至る。
ナーディルの計らいでペルシャを脱出したエリックは生まれ故郷ボッシュヴィルに
立ち寄るが、既に母は他界した後だった。
母の幻影と決別したエリックは偶然古い新聞でオペラ座建築決定の報を知り、
パリのガルニエのもとに乗り込んでいく。
そして十数年に及ぶオペラ座建築に携わるようになるが、地上生活に疲れたエリックは
オペラ座の地下深くに秘密の安住の住処を作り上げる。
安住の地をさらに確固たるものにするため、科学知識を駆使して
「オペラ座の怪人」となり、人々を震え上がらせていくが……。
そして、エリックは新人歌手クリスティーヌと運命の出会いをするのだった……。


おけぴ取材班&撮影:hase 監修:おけぴ管理人

2012年09月16日

12/09/16 新国立劇場「リチャード三世」稽古場レポ

新国立劇場「リチャード三世」稽古場レポ
2012年9月16日16:00

全三部9時間に及ぶ上演で2009年の演劇界の話題をさらった
「ヘンリー六世」のキャスト・スタッフが新国立劇場中劇場に再集結!
注目の稽古場の様子をレポートいたします。

赤薔薇の紋章のランカスター家と白薔薇を紋章とするヨーク家の王位をめぐる争い
“薔薇戦争”を描いた「ヘンリー六世」三部作の続編とされる「リチャード三世」は、
シェイクスピアが初めて大ヒットさせた作品であり、
世界の名優が一度は演じたいと願うのがそのタイトルロールです。

これまでも名だたる名優たちが挑んできた究極の悪党・リチャード三世に
岡本健一さん!
強烈な自己紹介(?!)に始まるこの芝居で、シェイクスピアの戯曲を“体現”している
という言葉がぴったりなその姿や振る舞いです。

台詞回しは“重厚”、“朗々と”というより、見ている側にすっと届くような、
これまでのリチャード像とは少し異なるものの、その言葉の力は決して揺るがず、
それでいて“体温を感じる”リチャードに目と心を奪われます。

中嶋朋子さん演じるヘンリー六世の妻・マーガレットが発する言葉は、
呪いのように、その後の登場人物たちの運命を操ります。
彼女の怒りと狂気の存在は、リチャードとはまた違う“悪”であり、
マーガレットが登場した時の人間関係、対立軸の鮮やかな変化が見事です。

そしてもう一人、芝居をがらりと変えるのが、リチャードの野望が渦巻く世界に
颯爽と登場する浦井健治さん演じるリッチモンド伯ヘンリー(後のヘンリー七世)です。

長きにわたった薔薇戦争を終結させるリッチモンドにふさわしい、新しい風、
希望の光のような爽やかさです。
前回、ラストでリチャードに殺された「ヘンリー六世」タイトルロールを演じた
浦井さんが、リッチモンドを演じるというキャスティングにはグッときますね。
浦井さん、きらめいています。

(浦井健治さん、浦野真介さん、立川三貴さん、関戸将志さん、勝部演之さん)

そしてリッチモンドがもたらす光はリチャードの闇や孤独をより一層際立たせます。
それぞれが率いる両陣営の決戦前夜の対比、歴史のうねりの見せ方が素晴らしい!!
鵜山仁さんの演出が冴えわたります!!これはぜひ劇場でご覧ください!

物語に話を戻すと、王位を奪うためにあらゆる策をめぐらせ、裏切り、陥れ、
優位な王位継承者を蹴落としていくリチャード。
残忍で非道な彼に向けられるのは侮蔑するような態度、冷ややかな視線。
それでも、いつの間にか言葉巧みに操られてしまう人々のドラマも
それぞれ色濃く見えてくるのは、やはり「ヘンリー六世」からのキャラクターや
世界観の共有がなされているからでしょう。

リチャード三世の長兄エドワード四世に今井朋彦さん。
その声と存在感には圧倒されます。病床にある王が激高する決して
長くないシーンですが、強烈な印象を残します。

(川辺邦弘さん、前田一世さん、吉村直さん)

ロンドン塔に幽閉されたクラレンス卿とリチャードが放った刺客のやり取りは、
まさに丁々発止。この小気味よい言葉の応酬もやはりシェイクスピアの魅力です。

この時代の諍いに翻弄されるのは男性ばかりではありません。



前王妃マーガレット(中嶋朋子さん)と現王妃エリザベス(那須佐代子さん)

リチャード三世の母ヨーク公爵夫人(倉野章子さん)

エドワード四世の妃エリザベス、
エドワード四世、リチャード三世の母ヨーク公爵夫人、
義父と夫をリチャードに殺されながら求婚に応じてしまうアン・・・
妻として、母としての女性たちの愛憎には心を締め付けられます。
この女性たちの葛藤、ドラマも大きな見所です。

リチャードに殺された夫の葬列に加わるアン(森万紀さん)

このように「ヘンリー六世」からの蓄積が見事に「リチャード三世」に結晶し、
それぞれの役者さんがその役の人生を背負っているような奥深さを感じます。

そして、ともすれば重くダークな景色に息苦しくなる印象のこの作品ですが、
劇中に流れる優しく、軽やかな音楽も手伝い、ただ“悪”を見せつけられるだけでなく、
その時代を生きた“人間ドラマ”として丁寧に作り上げられています。

ちなみに、コスチュームデザイン画も拝見しましたが、とても素敵です!
さらにある演出効果が加わるとか!

リチャード三世という男が口先で人を動かし、王座に上り詰め、
そしてクライマックスのボズワースの戦いで死を迎えるまでの生き様と死に様、
その壮大な歴史劇を言葉の力で魅せる!
「リチャード三世」本番がますます楽しみです!

続編と位置付けられますが「リチャード三世」は独立した作品ですので、
「ヘンリー六世」を見逃した方もご心配なく!

新国立劇場HP内の特設ページでも人物相関や背景など詳しい解説がありますので、
そちらで少し予習するのもおすすめです♪
新国立劇場「リチャード三世」特設ページ

2012年10月3日から@新国立劇場中劇場

おけぴ管理人の「リチャード三世」制作発表レポ


おけぴレポ隊&撮影:chiaki 監修:おけぴ管理人

2012年09月22日

12/09/22 明治座十一月花形歌舞伎 市川猿之助さん共同インタビュー

2012年9月22日(土)14:30
明治座十一月花形歌舞伎 市川猿之助さん共同インタビュー


「歌舞伎?観たことがない」「興味はあるけれど難しそう」
という方も、
「歌舞伎大好き♪」「ハマってます」
という方も、
どちらの皆さんもご注目!

奇妙奇天烈摩訶不思議、
時に美しく、時に恐ろしいほどの迫力で
大衆の心をつかみ続けてきた
日本の誇るスーパーエンターテイメント・歌舞伎。

「高尚で難しいもの」と思われがちな歌舞伎が、
もともとは大衆が楽しむ最先端の娯楽作品だったことがよくわかる
スペクタクル演出が満載!

歌舞伎&演劇ファン注目の
「明治座十一月花形歌舞伎」に出演される
四代目市川猿之助さんにお話を伺って参りました!



長年、名乗っていらした“市川亀治郎”の名を改め、
今年6月に澤瀉屋の名跡「市川猿之助」を襲名。
革新の血が流れる澤瀉屋の名に「更に厚みを増していきたい」と、
決意を語っていらした猿之助さん。

今回の花形歌舞伎では、
鮮やかなスーパー早替りの六変化で、
舞台一面に蜘蛛の糸の雨を降らせる『蜘蛛絲梓弦(くものいとあずさのゆみはり)』、
そして、水中早替りに、幽霊話、スパイ問題、
さらには巨大な“蝦蟇(ガマ)”まで登場する『天竺徳兵衛新噺(てんじくとくべえいまようばなし)』と、
スペクタクル満載、初心者歓迎、マニア感激の演目を披露します。

飄々とした受け答えながら、
その奥に、歌舞伎そして演劇への熱い想いが感じられる
猿之助さんのお話をたっぷりとお楽しみください♪




──今回、東京初お目見えとなる四代目猿之助版『天竺徳兵衛~』。新しい試みはありますか?

時間短縮(笑)。
ところどころカットして、初演の時とは2時間くらい違いますね。
現代ではあまり長すぎる演目は流行らない傾向だと思いますから。

──今回のお芝居は宙乗りや早替りなどスペクタクルな仕掛けが満載で、歌舞伎初心者が観ても楽しそうだなという期待感があります。
特に今回は襲名されて間もない話題性のある公演です。
「初めて歌舞伎を観てみようか」という観客に向けて、おさえておくべきポイントなどがあれば教えていただけますか?

ふふふ。こういうことはね、あまり言わないようにしているんです。
何故かと言うと、面白いと思うポイントは人それぞれ違いますから。
例えば演劇雑誌で“ここが見所です!”と書いてあっても、
僕だったらそれを目的に観に行こうとは思わない。
「あ、これはなんだろう」と自分で調べると、「ちょっと面白そうだぞ」となるんです。
そういうものを観に行くと思うんですよね、演劇でも映画でも。
今の時代は“あれ観たい”と思えば、情報があふれていて、すぐに観に行ける。
努力がいらない世界ですよね。
でも、そういうふうにして観たものってあまり記憶に残らないかなと。
(今回の演目なら)“天竺ってなに?”
“天竺ってインドのことか。あれ、歌舞伎でインド…?”という具合に、
少し調べるとそこから興味がどんどん出てくるでしょ。
(昼の部の「傾城反魂香」では)「どもり」という言葉が出てくる。
今はあまり使ってはいけない言葉ですが、吃音のことですね。
“それが芝居になる?えっ?”って。どんな小さなことでも入口になる。


──歌舞伎を観ていると、わからないことや調べることがたくさんありますものね。

そうそう。
今なら(インターネット等で)簡単に調べることができますし、
知らないことを調べることも、演劇を観る楽しみの一つだと思います。

──たしかに、自分で調べて観ると面白いんですよね。

そう。だから、初めて歌舞伎を観るという人に言うのは、
「とにかく何かしら面白いから、おいで」と。
「歌舞伎、なんか良くね?」みたいなね。
なんだか知らないけれど、なにかしら面白いぞ!ということは言いますね。
(何が面白いかは)自分の目で見て、実際に確かめてほしいな。

──今回の演目は歌舞伎を初めて観る人でも、色々と引っかかるフックはありそうだなと思います。

うん、あると思いますよ。
もしかしたら“面白くない”っていう人もいるかもしれない。
“歌舞伎、やっぱりつまんねえ”って(笑)。
それはそれで、そういう人もいていいと思います。

──とりあえず劇場に来て、観て欲しい、と。

そう!まずは来て欲しい!
やはり演劇は、自分の目で観てみないと分からないですから。

──実際に舞台の上で演じていらして、観客の心がグッと掴まれているのがわかる瞬間ってありますか?

やはり、宙乗りはみなさん喜んで下さいますね。
襲名公演での口上も、
“何を言うのか”と期待されているなと感じました。
その期待に応えるのも、
いい意味で裏切るのも僕らの仕事。



──観る側には自由に楽しんで欲しいとのことですが、猿之助さんご自身が演じる上で楽しいと感じる部分を具体的に教えていただけますか?

早替りが多いのは、実はやっている側は楽しくない(笑)!
お客様は楽しんで下さるけれど、やる方はひたすら着替えているだけですからね(笑)。
宙乗りやらスペクタクルというのは、ある意味運動と一緒かな。
出てきた時にお客様がワーッとなる快感はありますが。
役者としては、やはり古典でドラマがこってりしている、
例えば「寺子屋」の「いろは送り」のような、そういうものが面白い。

──今回の『天竺~』でのそういう部分は?

芝居でみせるっていうのは、やっぱり二幕の女房おとわを演じているところですね。

──昼の部の『蜘蛛絲~』は、もっとお忙しい?

運動会をしているみたい(笑)。
でも1日を終えた時や千穐楽を終えた時に
“ああ、終わったな”と感じ入るものはありますね。
それで次はもっとこうしたいなとか、再演したいなという気持ちになる。

──襲名前には初の舞台写真集『亀治郎の肖像』、そして8月には市川猿之助襲名記念フォトブック『僕は、亀治郎でした。』が発売されました。顔の表情を見ているだけでも笑えてしまうような面白い写真や、楽しいインタビュー記事等が掲載されていますね。

そうそうそう。
歌舞伎っていうのは面白いんだよ!
ハマればね、きっとハマっちゃう。


──こういう面白い表情というのは、役の気持ちになれば自然にできるものなのでしょうか?

いや、他の方もこういう顔していると思いますよ(笑)。
まあ、普通あまり写真集なんかには載せないからね。

──あえて、こんなに大きくカラーで掲載されていて・・。

なんだろうね。
自分自身のセンスでこういうのが面白いと思うんだよね。
あ、この本『僕は、亀治郎でした。』に
「天竺徳兵衛新噺」のハウツー(舞台裏メイキング)が載っているから、
これを読めば舞台がもっと面白くなります!

──こういうものが面白いというセンスは、やはりご自分が観客として演劇を観るときにもありますよね?

そうですね。
でもそれは個々の好みですから。
これはもう僕の好みに共感してくださるか、くださらないかっていう世界だと思うんです。
演劇の世界、共感しないとダメ!みたいな言い方をされることもあるけれど、
良い悪いじゃないと思うな。
好き嫌いですからね。

──自分が面白いかどうかですよね。

うん、そうそう。

──さきほど運動会みたいだなんておっしゃっていましたけれど、今回の十一月花形歌舞伎はお休みなしでずっと昼夜公演ですよね。体力づくりなど、心がけていることはありますか?

もう、芝居そのものが“体力づくり”ですね。
毎日訓練。
“またか~、たまには楽をさせてくれよ~”なんて思ったりもしますよ(笑)。
やっぱり役者ってアスリートだと思いますね、ある意味。

──『天竺~』などの三代猿之助四十八撰を次々やっていきたいとのことですが。

いい作品をね、やって行きたいです。
それこそ三代猿之助四十八撰の多くは、三代目が明治座さんでやってきたものだしね。
見た目が派手なものなんかもやって行きたい。

──するとまた猿之助さんが疲れちゃう(笑)。

そこは工夫が必要(笑)。
でも本気で、今の人たちの生活に合わせていく努力も必要だと思う。
チケット価格はどれくらいがいいとか、劇場の場所はどこがいいとか。
明治座さんがそういった新しいことをやられたら、僕も頑張りますよ!

──もし休みがあったら、何をされたいですか?

公演中だったら、やっぱり身体のメンテナンス。
忙しすぎて調子を壊さないように。


──そうならないように、ご自分で気をつけていらっしゃることは?

頑張り過ぎないこと。
できるだけ長生きしたいからね(笑)。
それに、後輩たちが活躍するところを見たいですしね。
今回出演する(中村)米吉くんとか、すごくいいじゃないですか。
彼らがどうなっていくのか、楽しみですね。

──お話を聞いていると演劇界全般、興行そのもののあり方にも大変に興味を持たれていて、今にもご自身で新しい試みを始められるのではないか、という印象を受けます。

機会があれば、いくらでもやりますよ。
プロデュース業のほうにも興味あるなあ。

──では、最後に日本の「演劇」が世界と拮抗してくためにはどうすれば良いと思われますか?

卑屈な心を捨てること。
無理に「世界へ出なくては」と思わないこと。
日本も世界の一部なんだから、日本でやることが世界でやるということだと思うんです。
日本も立派な世界のうちのひとつなんだから、
日本で活躍していれば、
それは世界で活躍していることになる。
だから、もっともっと胸を張ればいいと思いますね。



                                            

時に難しい顔で、
時にいたずらっ子のような目の輝きで、
質問にこたえる猿之助さんの姿は、
まさに「役者」!

聞き手を翻弄するのを楽しんでいらっしゃるような猿之助さん。
けれども、洒脱な話しぶりのその奥には、
歌舞伎そして演劇、芸術への真摯な想いが確かに感じられました。

『明治座十一月花形歌舞伎』は、
11月3日~27日まで東京・明治座にて上演。
昼の部、夜の部ともに、
歌舞伎ならではの派手な仕掛け、見せ場が満載で、
歌舞伎ビギナーの方にもぜひぜひおすすめしたい演目です。

下町情緒あふれる人形町界隈の散策や、
明治座名物のおいしいお弁当など、
お芝居以外にも楽しみがたくさんある11月の花形歌舞伎。
芸術の秋、食欲の秋・・・、
そして「歌舞伎」でしか味わえない満足感。
全部まとめて、明治座で楽しんでしまいましょう♪

<公演概要>
11月3日(土・祝)~27日(火)
昼の部 午前11時~
夜の部 午後4時30分~

<演目>
昼の部:
『傾城反魂香(けいせいはんごんこう)』

浮世又平後に土佐又平光起:市川右近
女房おとく:市川笑也
土佐将監光信:市川寿猿
狩野雅楽之助:市川猿弥
狩野四郎二郎元信:市川門之助

『蜘蛛絲梓弦(くものいとあずさのゆみはり)』
市川猿之助六変化相勤め申し候
童熨斗丸/薬売り彦作/番頭新造八重里  
座頭亀市/傾城薄雲実は女郎蜘蛛の精:市川猿之助
平井保昌:市川右近
渡辺綱:市川猿弥
卜部季武:中村米吉
坂田金時:中村亀鶴
碓井貞光:市川男女蔵
源頼光:市川門之助

夜の部
三代猿之助四十八撰の内 通し狂言『天竺徳兵衛新噺(てんじくとくべえいまようばなし)』
市川猿之助宙乗り相勤め申し候
天竺徳兵衛/小平次/女房おとわ:市川猿之助
尾形十郎:市川右近
枝折姫:市川笑也
木曽官の霊/馬士多九郎:市川猿弥
小平次妹おまき:中村米吉
百姓正作:市川寿猿
奴磯平:中村亀鶴
梅津桂之介:市川男女蔵
今川左馬次郎:市川門之助
今川奥方葛城:市村萬次郎
菊地大膳太夫貞行:市川段四郎

【明治座HP】

【明治座十一月花形歌舞伎特設サイト】

【市川猿之助さんスタイリスト】
勝見宜人


おけぴ取材班:mamiko hase 撮影:hase 監修:おけぴ管理人


2012年09月28日

12/09/28 響人第7回公演「橋からの眺め」稽古場レポ

響人第7回公演「橋からの眺め」稽古場レポ
2012年9月28日15:00

劇団四季でともに切磋琢磨してきたメンバーで立ち上げたArtist Company響人。
第7回公演では20世紀のアメリカ演劇界を代表する劇作家
アーサー・ミラーの「橋からの眺め」に挑みます!

響人4作目の演出となる小川絵梨子さん、
客演として中嶋しゅうさんや斉藤直樹さんらを迎える強力キャスト陣と
アーサー・ミラーの戯曲の融合は稽古段階からワクワクします。

1950年代のNYブルックリンに暮らす、港湾労働者エディを軸としたこの物語。
エディ役には吉原光夫さん。

妻と姪と慎ましくも幸せに暮らしていたエディが、
出稼ぎにきた密航者の従弟たちを匿いはじめることによってたどる人生を
吉原さんがタフに演じます。

エディと言う人物が“なぜ、その台詞を発し、そのように行動するのか”について、
繰り返されるディスカッションを間近で拝見し、
吉原さんの人物の掘り下げ方の深さ、緻密さをひしひしと感じました。

ちなみに拝見したのは、エディが従兄弟のロドルフォ(高橋卓爾さん)に
ボクシングを教えながら、その機に乗じて殴ってしまうというシーン。
(その裏には複雑な感情が。。。)
アクション専門の先生:後藤一機さんも参加して、
とても興味深いやりとりが繰り広げられました。

<ここだけの話>
吉原さんが稽古場に姿を現し、先生にご挨拶した瞬間の先生の一言。
「とても強そうな方ですね。。。」

先生の指導が入り
決まった!

<ここだけの話>
先生にパンチの繰り出し方を教わった高橋さん
「でも、あんまり本格的にやるとボクサーみたいに見えちゃいますかね。」
先生「大丈夫、こっから上(バスト辺りを指して)全然ボクサーじゃないから!」
高橋さん「え、顔がですか?笑」
先生「(笑!!)構えの肩の入れ方です!!」

ボクシングの意外なセンスを発揮しはしゃぐロドルフォを高橋さんが
本当に自然に演じます。パンチを受け止める吉原さんとの
「よし、いいぞ!今度はこっちだ!」というやり取りに、
思わず芝居であることを忘れてしまうほどの
“とある家庭の風景”になっています。


二人を見守るロドルフォの兄マルコ(斉藤直樹さん)と
エディの姪のキャサリン(宮菜穂子さん)。

斎藤さんの佇まいには常に緊張感が漂い、笑顔の奥にもちょっぴり影が差します。
そして、宮さんのキャサリンには溌剌とした中にある芯の強さを感じました。
こういったそれぞれ役としてのカラーをしっかりと持ってそこに居るので、
一見和やかな彼らの暮らしが実は微妙なバランスの上に
成り立っていることが伝わってくるシーンです。

それはもちろん、この方からも感じました。
エディの妻ビアトリス(末次美沙緒さん)の優しさと厳しさの両方が
感じられる声の響きが絶妙です!

そんな日常の一コマな空気を一変させるのが、こちらの瞬間です。


エスカレートした「ボクシングの練習」の中で、
エディのパンチがロドルフォに命中。
思わず?意図して?
楽しさから一転、一瞬にして緊張が走ります。
(ここでは先生から、アクションの見え方&安全性についてレクチャーが!
怪我しちゃいけませんからね!でも、本当に流れの中で、
芝居のリズムの中でのやり取りだとちょっとしたタイミングで
危険と隣り合わせなんですよね。)


心配そうにロドルフォに駆け寄るキャサリン

必死に取り繕うエディに大人の対応をするマルコですが、
この全てを見透かしたような眼差しがとても印象的でした。

こちらは、小川さんも参戦!!ではなく。。。

アクションのテンポ感やポジションの移動などは、
実際に小川さんも動いてみながら最適なものを見つけていきます。

実際にはほんの数分の出来事ですが、場の空気がガラリと変わる
とても重要なシーン。
計算され尽していながら、ナチュラルに見える。演技の醍醐味ですね!!
こうして作られたアクションシーンは、見ているだけでも
心拍数が上がりそうになる、エネルギーの凝縮したシーンです。
会話の緊張感とはまた違う緊張感が、芝居の中の良い緩急になる予感です!


レコードプレイヤー

電話

個人的に響人の稽古場にうかがうととても楽しみなのが、
こういった小道具たち。
今年も50年代のアメリカ~~ンな小道具があちらこちらに!
思わずシャッターを切ってしまいました。
テーブルや椅子もなかなかいい雰囲気です。

そして、今回の公演では写真↓のようなステージシートが用意されています!!

舞台の様子をいち早く公開!(写真後方がステージシートです)

ステージシートからは、まず、“舞台が近い!”
まるで作品の一部?になったかのような、登場人物の視点での景色が広がるお席!
そこからは通常の座席からの見え方と異なる、文字通り、
物語を多角的に見ることができそうです。
(注:開演後はステージシートへの移動不可となります。)

稽古場の壁には当時のブルックリンの街、人々の写真が貼られ、
土地や時代の持つ空気もしっかりと共有されています。
また、拝見したシーンの稽古には不参加でしたが、中嶋しゅうさんも
芝居のキーパーソンとして登場します。
そこに居るだけでじわじわと伝わる味のある、無二の存在感が
どう作品に絡むのかワクワクします。

そうそう、芝居の世界を余すところなく楽しむには遅刻厳禁ですよ!
お時間に余裕を持って劇場へ行きましょう♪

アーサー・ミラーが綴った物語を響人流の解釈と表現で
体現する「橋からの眺め」、本番がますます楽しみになりました。

実はもうワンシーン、アクションの稽古があったのですが、
そちらは見てのお楽しみ!

でも<ここだけの話>を!

響人メンバーも斉藤さんもダンスの素養のある方ばかり!
そんな中、小川さんから先生へのリクエストは
「そこのアクション、もっとカッコ悪く見えるようにお願いします。」

無意識にスッと立ち上がったり、パッと構える。
そしてそれがカッコいい!
「運動神経の良さが、出ちゃってるんだよね。。。」

出来る人ならではの悩みってやつですね。

屈んだところをバシッ!!!こんなシーンはございません(笑)

<公演概要>
作:アーサー・ミラー
演出:小川絵梨子
出演:吉原光夫 斉藤直樹
   高橋卓爾 宮菜穂子 清家とも子
   香川大輔 安田洙福 羽吹諒 
   末次美沙緒
   中嶋しゅう

2012年10月4日~10日@テアトルBONBON
作品HP


おけぴレポ隊&撮影:chiaki  監修:おけぴ管理人


2012年09月30日

12/09/28 東京セレソンデラックス「笑う巨塔」稽古場レポ

2012年9月28日(金)19:00
東京セレソンデラックス「笑う巨塔」稽古場レポ


ノンストップでジワジワ押し寄せてくる“笑いの波状攻撃”!
3分・・いや、1分に1回は笑えます!!
暗転なしでガンガン突っ走るドタバタシチュエーションコメディの決定版、
東京セレソンデラックス「笑う巨塔」の通し稽古にお邪魔してきました♪

旗揚げから15年。俳優・脚本家として活躍する宅間孝行さん主宰で、
数々の笑えて泣ける名作を上演してきた東京セレソンデラックス。
今年末をもって解散となる同劇団が解散公演としてお届けするのは、“極めつけの笑い”!
2003年に上演されたコメディ「HUNGRY」がバージョンアップして蘇ります。

都内某所のハイソな病院「四王病院」(!)のロビーを舞台に、
たまたま居合わせたアホなとび職ファミリー、ドジな代議士&おマヌケ秘書、
そしてうっかり医師&おとぼけナースらが繰り広げる大混乱に大波乱。
カン違いがカン違いを呼び、見知らぬ者同士のカン違いが交錯し、あげくの果てに・・!!



(写真左から、松本明子さん&宅間孝行さん)

脚本・演出・主演と「三足のわらじ」をこなすのは、ご存じセレソン主宰の宅間孝行さん。
テンポよく次々と飛び出すギャグの数々。どこまでが脚本で、どこからがアドリブなのか・・
普段の何気ない会話のようなやり取りからポンポン飛び出す自然な笑い。何ともいえぬ心地良さ!


物語のマドンナ・芦名星さんは、宅間さん演じる鳶の幼なじみという役どころ。
幼い頃、二人で遊んだ思い出を大切にしていて・・久々の再会に、恋心が再燃!?
写真の人形、物語のキーになりそうな予感です!



(写真左から、藤吉久美子さん&金田明夫さん)

そして物語を引っかき回す、“THE・江戸っ子”な鳶の親方・金田明夫さんと、
マシンガントーク炸裂!藤吉久美子さんのぶっとび夫婦。
なんとも味のある夫婦ですが、近所にいたらウルサいかもしれません(笑)

金田さん、登場からインパクトMAX!オヤジ度MAX!(会場にてお確かめください。笑)
顔の表情一つで笑わせたり、しんみりさせたり・・その存在感は圧巻の一言!


安定感抜群の松本明子さんは、物語の舞台・四王病院の婦長役。
カン違いの加害者なのか、被害者なのか・・・期待を上回るドタバタっぷりを見せてくれます。



(写真左から、駿河太郎さん&石井愃一さん)

石井愃一さん演じる胡散臭さ満載の代議士先生と、駿河太郎さん演じる、カタブツを絵に描いたような秘書。
石井さんの、ある“秘密”がバレてしまう後半以降のぶっとびぶり、涙が出るほど笑えます!



(写真左から、喜多陽子さん、斎藤工さん、信江勇さん、デビット伊東さん)

斎藤工さん、デビット伊東さん、喜多陽子さんは、石井さんのライバル代議士の秘書たち。
3人のボスと石井さん演じる代議士先生は党の総裁選を争っているのですが・・(タイムリー!)
真ん中の信江勇さんは・・あれ?・・鳶のお弟子さんのはずが・・


こんな感じになり・・カップル誕生?(違和感満載)。
「縁は異なもの・・」と果たして言ってしまってよいのものか。
斎藤さんと信江さん、見よこの表情の落差!!(笑)


カン違いが交錯して大騒動を巻き起こす小市民たち。
ほかにも、おもちゃ箱をひっくり返したように個性的な役者さんたちがワンサカ!


(井村空美さん&伊藤高史さん)


(まつこさん)


(越村友一さん)


(弓削智久さん)


心地良いテンポ感とハイテンションな笑いの数々に、生の舞台の面白さを堪能できる2時間でした♪
愛に夢に仕事に飢えた、おバカでおマヌケな小市民たちは
果たしてラストに笑うのか!? 彼らの元に幸せは舞い降りるのか!?

東京のほか、札幌・新潟・大阪・広島・福岡・愛知での公演もございます♪
思い切り笑ってセレソンワールドを胸に刻みつけてきてください!


↓公式予告ムービーはコチラ!


<公演情報>
2012年10月3日(水)〜28日(日) 東京サンシャイン劇場
11月1日(木)〜4日(日) 札幌・道新ホール
11月7日(水) りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館
11月13日(火)〜18日(日) 大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシテイ
11月22日(木) 広島アステールプラザ 大ホール
11月24日(土)、25日(日) 福岡・キャナルシティ劇場
11月28日(水)〜12月2日(日) 愛知・名鉄ホール

公式ホームページはこちら!

<出演>
宅間孝行
芦名星
斎藤工
金田明夫
松本明子
石井愃一
藤吉久美子
デビット伊東
伊藤高史
駿河太郎
越村友一
弓削智久
まつこ
井村空美
信江勇
喜多陽子

<スタッフ>
作・演出 宅間孝行

<ストーリー>
舞台は、都内某所のハイソな「四王病院」
ここにはいろんなオモロい人達が絶賛入院中。

アホなとび職の親方とそのファミリー!
ドジな代議士&おマヌケ秘書たち!
うっかり医師に、おとぼけナース!

ただでさえ問題を抱えてアップアップの奴らの元に
ハチャメチャな街の問題児が紛れ込んできた!

勘違い、行き違いのオンパレードで
事態は大爆笑の連鎖を巻き起こす!

2003年1月に上演されたコメディの決定版「HUNGRY」が
バージョンアップして蘇る!
お馬鹿な面々は、ラストに笑うのか!?
幸せは奴らの元へ舞い降りるのか!?

セレソンのラストは元気になれる!
劇場で盛り上がりを体感すべし!!


おけぴ取材班&撮影:hase 監修:おけぴ管理人

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