おけぴ管理人の観劇感激レポ

ミュージカル「ZANNA」稽古場レポ 「3150万秒と、少し」稽古場レポ
ミュージカル「アンナ・カレーニナ」囲み&公開リハーサルレポ 13/02/10 DIAMOND☆DOGS「MOON LIGHT」@博品館劇場
Google
 


おけぴ管理人が管理している"おけぴ"はこちら。観劇速報は管理人ツイッターから

12/08/13 ミュージカル「ダディ・ロング・レッグズ」制作発表レポ

2012年8月13日(月)11:00
ミュージカル「ダディ・ロング・レッグズ 足ながおじさんより」制作発表レポ

9月にシアタークリエにて上演(日本初演!)される
「ダディ・ロング・レッグズ」の制作発表をレポートします。

ご登壇されたのは、ご出演の井上芳雄さん、坂本真綾さん、
脚本・演出のジョン・ケアードさん、
そして「あしなが育英会」会長の玉井義臣さん。

“足ながおじさん”、名乗ることなく陰ながら援助することの
代名詞にもなっているほど日本で愛されているこの物語。
導入部以外は少女ジルーシャの手紙で構成されているおなじみの原作小説を
今回なんと二人ミュージカルにアレンジ!!

ジルーシャを援助しながらも次第に彼女に惹かれていく若き慈善家
ジャーヴィスを演じるのは井上芳雄さん。

「この作品をやるにあたり、周りの、特に女性の中に
“小さいころからの愛読書だった”という方が多く、
プレッシャーをかけられています(笑)。
(演じるにあたり)小説をしっかりと読みましたが、もちろん
ジルーシャが援助によってどんどん花開いていく話ですが、
同時に僕が演じるジャーヴィス、彼はお金も持っていて、
社会的にはすべて兼ね備えているかのような人物が、
人間としてジルーシャと知り合うことで変わり、
救われている話でもあると感じました。
そのことが分かった今、この人物を演じられることが
さらに嬉しくなりました。」

聡明で芯の通った“大人っぽさ”のあるヒロインの
ジルーシャには坂本真綾さん。
2年ぶりのミュージカル作品出演です。

「“足ながおじさん”はすごく好きな小説でしたのでジルーシャを
演じられるということになったときは本当に嬉しかったのです。
ただ、子供の時に読んだ印象では、
ラストシーンについては曖昧な記憶しかありませんでした。
改めて原作を読み直したら、“ラブストーリー”でもあることや
大人になろうとしている女性が社会に進出し、自立心が芽生えてゆく
成長の物語でもあることに気付きました。
昔読んだ時よりもジルーシャにたくさん共感しましたし、
より一層ジルーシャを好きになりました。」

坂本さんの凛とした眼差し、井上さんのジェントルな佇まいと“長い足”!!
本当にぴったりなキャスティングです。

そして脚本・演出を手がけたのは「レ・ミゼラブル」や
「ベガーズオペラ」でもおなじみのジョン・ケアードさんです。
物語の魅力、そして、上記2作品に代表されるように群像劇を数多く
生み出してきた彼が、なぜ二人だけのミュージカルにしようと思ったのか
お話してくださいました。

「“手紙”というものの面白さは書き手と読み手がいることです。
“書いた人の思い”と“読んだ人が受け取る思い”があり、
また時間のギャップも生まれてきます。
今はEメールの時代ですが、かつては少なくとも数日はかかりました。
そのあたりがこの作品の心臓部になっていると思います。

少女ジルーシャが知らない男性に手紙を書く。
小説での面白い点は、彼女の心の中がいつも動いており、
たくさんの考えを持っているということです。
小説を読めば読むほど、彼女がどういう人間かということに
魅了されてゆきます。
そして手紙を受け取るその男性(ジャーヴィス)も、書かれてある
内容に心を動かされていくのです。

これはジルーシャへの教育の話ですが、
結果としてジャーヴィスにとっての教育でもあるのです。
何も持っていない少女と、何でも持っている男性、
互いの立場が少しずつ入れ替わってゆき、
彼女以上に彼の方が、彼女を必要とするようになるのです。
すべてを持っていたのは本当は彼女だったのです。

そして、二人は実際に会い、彼女は彼が誰だかを知らず、
恋に落ちてしまうところに作品の素晴らしいドラマ性があります。
彼女は自分が孤児だということを恥ずかしくて言えません。
一方、彼も自分がお金を援助しているということを言えません。

彼らの間に掛ける橋はなく、それがとてもドラマチックな状況なのです。

ですから、これは二人の間の物語でなくてはならないと考えました。」

納得です!
そんな穏やかながら濃密な心の交流をするお二人は実は初共演!

ジョンからはキャスティングの理由を

「真綾さんは頭の良い女性だからです。
そして同等に井上さんも、頭の良い手紙を楽しめるほど
頭の良い男性だからです。」

ここですかさず井上さんからの
「足の長さは関係なかったのですか?笑」

という問いには

「もちろん、足の長い人でなくてはなりませんが(笑)、
頭が良いことの方が足より大事です。」

そんなお二人、井上さん、坂本さんのお互いの印象、お稽古の様子については

坂本さん
「スチール撮影の時に初めてお会いしましたが“本当に足が長い、
背の高い人が来た”というのが第一印象です(笑)。
そして、私たちは同学年なのですが私が18歳の役で、
井上さんがおじさんの役でいいのかなという不安もありました(笑)。

ただ実際に稽古が始まると、まだご一緒して5日ぐらいなのですが、
同じステージ上に井上さんがいらっしゃるというだけで、
心強さがあります。
この作品はパートナーと一緒に作ってゆくのだという気持ちで、
もっと仲良くならなければと思って一日一個質問をしようと思っています(笑)。」

井上さん
「先ほど唐突に“風邪とか引かないんですか?”と聞かれたんです。
それがそうだったんだな(笑)。
でもそんな努力をしてくださってとても嬉しいです。

僕もまだ鬼のような量のセリフと歌詞を覚えている所なので、
もっと余裕があれば、僕からも一日一個質問ができると思うんですけれど(笑)

ただ、稽古の中で感じていることは、
今回はほとんど目を合わせてお芝居することがありません。
だいたい僕は舞台の奥の方にある僕の部屋にいて、
真綾さんからはまず僕の姿が見えない状態。

僕も直視してはダメだと言われているので、
聞くことでお互いを感じてやるしかないのです。
でも、もしかしたら見える状況よりも、
お互いに多くの事が感じ取れるのではと思っています。

坂本さんはとっても聡明な方だなと思います。
歌手・声優さんでもあり、僕はあまりお会いしたことのない
タイプの女優さんで、舞台の女優さんとは違うタイプです(笑)

舞台の方は勢いや情熱などが前に出る方が多く、
もちろん真綾さんにもそういうところはあると思いますが。
それが直接表現されるのではなくて、考え方とか、
稽古に向かう姿勢などで伝わってくるという、
それがとても面白く、新鮮です。」

井上さんからは舞台上での様子についても。

「二人ミュージカルというもの自体が珍しいですよね。
その上、舞台も原作同様にジルーシャの手紙だけで進んでいきます。
ジルーシャは、主に学校などで手紙を書いていて、
僕はニューヨークのオフィス、書斎でその手紙を読んでいるというシーンが
同時進行していくという、とても面白い構成になっています。

時々ジャーヴィスも自分の想いを喋りますが、主にジルーシャの手紙を
読んでいます。手分けしてね(笑)。
でも、そんな二人が劇中で何回か実際に会うのです。

そんなときでも、1幕で二人が会うシーンでは実際に会っていながら、
喋っている台詞は手紙の内容だったりします。
複雑に聞こえるかもしれませんが、舞台上だから成り立つ、
とてもエキサイティングな構成になっています。」

坂本さんからはミュージカルナンバーについて

「時代・場所・国・景色にすごく合うようなカントリーっぽい、
緑の匂いがしてきそうなサウンドです。
ジルーシャは歌う曲も多いのですが、台詞のバックで流れる音楽も
言葉だけでは表現しきれないような、その奥にある気持ちを
表現してくれるようなことも多くあり、これがミュージカルなのだと
改めて感じています。

井上さんとは実際に一緒の場所にいることがあまりなく、それぞれ
違う場所で、違う思いで、それでも一緒に同じハーモニーを歌います。
その構成がすごく綿密に練られていて、本当によくできているなあと、
毎回歌いながら発見の多いおもしろい曲がいっぱいあります。」

【“足ながおじさん”という物語の力】

今からちょうど100年前にジーン・ウェブスターによって書かれた
小説“足ながおじさん”からミュージカル作品を生み出したジョン・ケアードさん。
小説にちなんだ「あしなが育英会」として50年にわたり遺児の救済活動、
特に教育支援されてきた玉井義臣さん。
不思議なご縁のお二人からは小説にまつわるちょっと意外なお話が。

ジョン・ケアードさん)
「(日本ではよく知られているとのことですが)私は日本に来るまで、
12年以上前、妻(翻訳・訳詞の今井麻緒子さん)がその小説を
手渡してくれるまで、この小説を知りませんでした。
実は、アメリカでもあまり知られていません。
この作品が有名な国は世界で2つ、それはフランスと日本です。
こうして最初にこの小説を知った東京にこの作品を持ってこられること、
同じ小説から興味を得てあるものを作ったという共通点のある
あしなが育英会の玉井会長と本日同じ舞台に立てていることを
とても光栄に思っております。」

玉井会長)
「私は母親が交通事故で亡くなったので、ジャーナリストとして
ペンで遺児の救済活動、特に教育支援を行ってまいりました。
石油ショックの時、新聞で大きいスペースをもらって
“教育里親募集”と報道して頂いたのですが、1人も応募者がなく、
どうしたものかと半年ぐらい考えました。

そこで“あしながさん”と、自分の名前を言わずに、
継続的に子供に奨学金を送る人を募集としたところ、
前は一本も鳴らなかった電話が数日間鳴りっぱなしになりました。
以来、「あしなが育英会」として活動してまいりました。
ジョン・ケアードさんが、“あしながさん”をミュージカルという形で
再現してくださることに対して大変感謝しております。」

“あしながさん”この響きの温かさに触れ

井上さんからは
「この物語はジルーシャとジャーヴィス二人の話ではあるのですが、
ジョンもチャリティーのことを話されていましたし、
会長も実際にこの作品の名前を組織の名前にされて
素晴らしい活動をされているということを聞き、
自分たちも何かそこに繋がりのあることをさせていただいていることに
改めて気づきました。お話をうかがえてよかったです。」

坂本さんは
「この“あしなが”という4文字が、日本人にとても馴染みがあり、
本当に身近な作品なのだなと改めて思いました。
今回またこの活動に参加できるというのはすごく嬉しいですし、
大人になって『足ながおじさん』という作品を読み返す機会になり、
原作の本当の姿をもう一度広く知っていただき、さらに世代を超えて
繋がって、あしなが育英会とともにずっと根付いていくとよいなと思いました。」

お二人から気持ちを新たにお稽古に臨まれる決意を感じる制作発表でした!

~おまけ~
二人ミュージカルの稽古場ってどんな雰囲気なのか。。。気になりますよね。

ジョン)
今まで5、60人いるようなプロダクションを手掛けてきたので、
二人しかいない舞台を演出するというのは休暇みたいな気分です(笑)。
でも出演者にとっては休暇でも何でもないでしょう。
なぜなら、他の50人がやっていた仕事を二人きりで
やらなければならないからね(笑)

井上さん)
すごく静かです。
二人だからというよりは、ジョンがとても穏やかな方なので、
休憩時間も、僕らは必死に台本を読んでいますが、ジョンは
窓辺で静かに本を読んでいます(笑)。

坂本さん)
ジョンの静けさが逆にプレッシャーで、
静かに目で何か言われているような気がするので、
とにかく覚えるだけ覚えなきゃと思ってやっています(笑)。

<公演情報>
2012年9月2日~ シアタークリエにて
公式HP

★おけぴ会員の皆様に
9/4(火)14時開演の部のチケットを定価(9000円)ではございますが、
今下記よりお申込いただきますと、おけぴプレミアム会員一ヶ月をもれなくプレゼント!
チケットは8/30(木)迄にカードか振込でお支払いいただき、
チケットは当日劇場受付でのお受け渡しとなります。
お申込はこちらから


おけぴ取材班&撮影:chiaki 監修:おけぴ管理人


コメントを書き込む

お名前:
ホームページ: (なければ空欄で構いません)
コメント:

コメントの掲載について

コメントは内容を確認した上で反映されますので多少お時間がかかります。内容によっては、通知することなくコメントを受け付けないことがあります。ご了承ください。なお、もしエラーになるようでしたら直接 cs@okepi.jp にコメントをメールいただけると嬉しいです。










最近の観劇レポ

観劇レポ全一覧

おけぴ管理人プロフィール
名前:山野上 寛
mail:cs@okepi.jp
出身:大阪府茨木市
現住所:東京都中央区
もともとミュージカルには拒否反応があったんです。「なんで歌うねん」と。が、2000年、松たか子 ファンの後輩に誘われてみにいったオケピ!でミュージカルの拒否反応が消え、強引に連れていかれたライオンキングでスイッチが転換、夢から醒めた夢で初のリピート (6回)そして差し入れ・ファンレター初体験。 キャッツで初の名古屋遠征、 レミゼに感動。翌2001年、四季ハムレットで初のマチソワジーザス出待ち初体験、2002年モーツァルト!に興奮。2003年からは観劇に幅が出て、 2004年はラスベガス、ニューヨーク、ウィーンへと年3回も観劇ツアーに出かけてしまう。その勢いで2005年、会社を辞めて独立。現在2日1本ペースで感激中♪

役者さんにはまるポイント:声
感激ポイント:1幕最初の衝撃
好きなシーン:群舞、小芝居
大好きな演目:ルドルフ、星組ロミジュリ

おけぴはこちら

RSS

送料
早見表