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12/09/22 明治座十一月花形歌舞伎 市川猿之助さん共同インタビュー

2012年9月22日(土)14:30
明治座十一月花形歌舞伎 市川猿之助さん共同インタビュー


「歌舞伎?観たことがない」「興味はあるけれど難しそう」
という方も、
「歌舞伎大好き♪」「ハマってます」
という方も、
どちらの皆さんもご注目!

奇妙奇天烈摩訶不思議、
時に美しく、時に恐ろしいほどの迫力で
大衆の心をつかみ続けてきた
日本の誇るスーパーエンターテイメント・歌舞伎。

「高尚で難しいもの」と思われがちな歌舞伎が、
もともとは大衆が楽しむ最先端の娯楽作品だったことがよくわかる
スペクタクル演出が満載!

歌舞伎&演劇ファン注目の
「明治座十一月花形歌舞伎」に出演される
四代目市川猿之助さんにお話を伺って参りました!



長年、名乗っていらした“市川亀治郎”の名を改め、
今年6月に澤瀉屋の名跡「市川猿之助」を襲名。
革新の血が流れる澤瀉屋の名に「更に厚みを増していきたい」と、
決意を語っていらした猿之助さん。

今回の花形歌舞伎では、
鮮やかなスーパー早替りの六変化で、
舞台一面に蜘蛛の糸の雨を降らせる『蜘蛛絲梓弦(くものいとあずさのゆみはり)』、
そして、水中早替りに、幽霊話、スパイ問題、
さらには巨大な“蝦蟇(ガマ)”まで登場する『天竺徳兵衛新噺(てんじくとくべえいまようばなし)』と、
スペクタクル満載、初心者歓迎、マニア感激の演目を披露します。

飄々とした受け答えながら、
その奥に、歌舞伎そして演劇への熱い想いが感じられる
猿之助さんのお話をたっぷりとお楽しみください♪




──今回、東京初お目見えとなる四代目猿之助版『天竺徳兵衛~』。新しい試みはありますか?

時間短縮(笑)。
ところどころカットして、初演の時とは2時間くらい違いますね。
現代ではあまり長すぎる演目は流行らない傾向だと思いますから。

──今回のお芝居は宙乗りや早替りなどスペクタクルな仕掛けが満載で、歌舞伎初心者が観ても楽しそうだなという期待感があります。
特に今回は襲名されて間もない話題性のある公演です。
「初めて歌舞伎を観てみようか」という観客に向けて、おさえておくべきポイントなどがあれば教えていただけますか?

ふふふ。こういうことはね、あまり言わないようにしているんです。
何故かと言うと、面白いと思うポイントは人それぞれ違いますから。
例えば演劇雑誌で“ここが見所です!”と書いてあっても、
僕だったらそれを目的に観に行こうとは思わない。
「あ、これはなんだろう」と自分で調べると、「ちょっと面白そうだぞ」となるんです。
そういうものを観に行くと思うんですよね、演劇でも映画でも。
今の時代は“あれ観たい”と思えば、情報があふれていて、すぐに観に行ける。
努力がいらない世界ですよね。
でも、そういうふうにして観たものってあまり記憶に残らないかなと。
(今回の演目なら)“天竺ってなに?”
“天竺ってインドのことか。あれ、歌舞伎でインド…?”という具合に、
少し調べるとそこから興味がどんどん出てくるでしょ。
(昼の部の「傾城反魂香」では)「どもり」という言葉が出てくる。
今はあまり使ってはいけない言葉ですが、吃音のことですね。
“それが芝居になる?えっ?”って。どんな小さなことでも入口になる。


──歌舞伎を観ていると、わからないことや調べることがたくさんありますものね。

そうそう。
今なら(インターネット等で)簡単に調べることができますし、
知らないことを調べることも、演劇を観る楽しみの一つだと思います。

──たしかに、自分で調べて観ると面白いんですよね。

そう。だから、初めて歌舞伎を観るという人に言うのは、
「とにかく何かしら面白いから、おいで」と。
「歌舞伎、なんか良くね?」みたいなね。
なんだか知らないけれど、なにかしら面白いぞ!ということは言いますね。
(何が面白いかは)自分の目で見て、実際に確かめてほしいな。

──今回の演目は歌舞伎を初めて観る人でも、色々と引っかかるフックはありそうだなと思います。

うん、あると思いますよ。
もしかしたら“面白くない”っていう人もいるかもしれない。
“歌舞伎、やっぱりつまんねえ”って(笑)。
それはそれで、そういう人もいていいと思います。

──とりあえず劇場に来て、観て欲しい、と。

そう!まずは来て欲しい!
やはり演劇は、自分の目で観てみないと分からないですから。

──実際に舞台の上で演じていらして、観客の心がグッと掴まれているのがわかる瞬間ってありますか?

やはり、宙乗りはみなさん喜んで下さいますね。
襲名公演での口上も、
“何を言うのか”と期待されているなと感じました。
その期待に応えるのも、
いい意味で裏切るのも僕らの仕事。



──観る側には自由に楽しんで欲しいとのことですが、猿之助さんご自身が演じる上で楽しいと感じる部分を具体的に教えていただけますか?

早替りが多いのは、実はやっている側は楽しくない(笑)!
お客様は楽しんで下さるけれど、やる方はひたすら着替えているだけですからね(笑)。
宙乗りやらスペクタクルというのは、ある意味運動と一緒かな。
出てきた時にお客様がワーッとなる快感はありますが。
役者としては、やはり古典でドラマがこってりしている、
例えば「寺子屋」の「いろは送り」のような、そういうものが面白い。

──今回の『天竺~』でのそういう部分は?

芝居でみせるっていうのは、やっぱり二幕の女房おとわを演じているところですね。

──昼の部の『蜘蛛絲~』は、もっとお忙しい?

運動会をしているみたい(笑)。
でも1日を終えた時や千穐楽を終えた時に
“ああ、終わったな”と感じ入るものはありますね。
それで次はもっとこうしたいなとか、再演したいなという気持ちになる。

──襲名前には初の舞台写真集『亀治郎の肖像』、そして8月には市川猿之助襲名記念フォトブック『僕は、亀治郎でした。』が発売されました。顔の表情を見ているだけでも笑えてしまうような面白い写真や、楽しいインタビュー記事等が掲載されていますね。

そうそうそう。
歌舞伎っていうのは面白いんだよ!
ハマればね、きっとハマっちゃう。


──こういう面白い表情というのは、役の気持ちになれば自然にできるものなのでしょうか?

いや、他の方もこういう顔していると思いますよ(笑)。
まあ、普通あまり写真集なんかには載せないからね。

──あえて、こんなに大きくカラーで掲載されていて・・。

なんだろうね。
自分自身のセンスでこういうのが面白いと思うんだよね。
あ、この本『僕は、亀治郎でした。』に
「天竺徳兵衛新噺」のハウツー(舞台裏メイキング)が載っているから、
これを読めば舞台がもっと面白くなります!

──こういうものが面白いというセンスは、やはりご自分が観客として演劇を観るときにもありますよね?

そうですね。
でもそれは個々の好みですから。
これはもう僕の好みに共感してくださるか、くださらないかっていう世界だと思うんです。
演劇の世界、共感しないとダメ!みたいな言い方をされることもあるけれど、
良い悪いじゃないと思うな。
好き嫌いですからね。

──自分が面白いかどうかですよね。

うん、そうそう。

──さきほど運動会みたいだなんておっしゃっていましたけれど、今回の十一月花形歌舞伎はお休みなしでずっと昼夜公演ですよね。体力づくりなど、心がけていることはありますか?

もう、芝居そのものが“体力づくり”ですね。
毎日訓練。
“またか~、たまには楽をさせてくれよ~”なんて思ったりもしますよ(笑)。
やっぱり役者ってアスリートだと思いますね、ある意味。

──『天竺~』などの三代猿之助四十八撰を次々やっていきたいとのことですが。

いい作品をね、やって行きたいです。
それこそ三代猿之助四十八撰の多くは、三代目が明治座さんでやってきたものだしね。
見た目が派手なものなんかもやって行きたい。

──するとまた猿之助さんが疲れちゃう(笑)。

そこは工夫が必要(笑)。
でも本気で、今の人たちの生活に合わせていく努力も必要だと思う。
チケット価格はどれくらいがいいとか、劇場の場所はどこがいいとか。
明治座さんがそういった新しいことをやられたら、僕も頑張りますよ!

──もし休みがあったら、何をされたいですか?

公演中だったら、やっぱり身体のメンテナンス。
忙しすぎて調子を壊さないように。


──そうならないように、ご自分で気をつけていらっしゃることは?

頑張り過ぎないこと。
できるだけ長生きしたいからね(笑)。
それに、後輩たちが活躍するところを見たいですしね。
今回出演する(中村)米吉くんとか、すごくいいじゃないですか。
彼らがどうなっていくのか、楽しみですね。

──お話を聞いていると演劇界全般、興行そのもののあり方にも大変に興味を持たれていて、今にもご自身で新しい試みを始められるのではないか、という印象を受けます。

機会があれば、いくらでもやりますよ。
プロデュース業のほうにも興味あるなあ。

──では、最後に日本の「演劇」が世界と拮抗してくためにはどうすれば良いと思われますか?

卑屈な心を捨てること。
無理に「世界へ出なくては」と思わないこと。
日本も世界の一部なんだから、日本でやることが世界でやるということだと思うんです。
日本も立派な世界のうちのひとつなんだから、
日本で活躍していれば、
それは世界で活躍していることになる。
だから、もっともっと胸を張ればいいと思いますね。



                                            

時に難しい顔で、
時にいたずらっ子のような目の輝きで、
質問にこたえる猿之助さんの姿は、
まさに「役者」!

聞き手を翻弄するのを楽しんでいらっしゃるような猿之助さん。
けれども、洒脱な話しぶりのその奥には、
歌舞伎そして演劇、芸術への真摯な想いが確かに感じられました。

『明治座十一月花形歌舞伎』は、
11月3日~27日まで東京・明治座にて上演。
昼の部、夜の部ともに、
歌舞伎ならではの派手な仕掛け、見せ場が満載で、
歌舞伎ビギナーの方にもぜひぜひおすすめしたい演目です。

下町情緒あふれる人形町界隈の散策や、
明治座名物のおいしいお弁当など、
お芝居以外にも楽しみがたくさんある11月の花形歌舞伎。
芸術の秋、食欲の秋・・・、
そして「歌舞伎」でしか味わえない満足感。
全部まとめて、明治座で楽しんでしまいましょう♪

<公演概要>
11月3日(土・祝)~27日(火)
昼の部 午前11時~
夜の部 午後4時30分~

<演目>
昼の部:
『傾城反魂香(けいせいはんごんこう)』

浮世又平後に土佐又平光起:市川右近
女房おとく:市川笑也
土佐将監光信:市川寿猿
狩野雅楽之助:市川猿弥
狩野四郎二郎元信:市川門之助

『蜘蛛絲梓弦(くものいとあずさのゆみはり)』
市川猿之助六変化相勤め申し候
童熨斗丸/薬売り彦作/番頭新造八重里  
座頭亀市/傾城薄雲実は女郎蜘蛛の精:市川猿之助
平井保昌:市川右近
渡辺綱:市川猿弥
卜部季武:中村米吉
坂田金時:中村亀鶴
碓井貞光:市川男女蔵
源頼光:市川門之助

夜の部
三代猿之助四十八撰の内 通し狂言『天竺徳兵衛新噺(てんじくとくべえいまようばなし)』
市川猿之助宙乗り相勤め申し候
天竺徳兵衛/小平次/女房おとわ:市川猿之助
尾形十郎:市川右近
枝折姫:市川笑也
木曽官の霊/馬士多九郎:市川猿弥
小平次妹おまき:中村米吉
百姓正作:市川寿猿
奴磯平:中村亀鶴
梅津桂之介:市川男女蔵
今川左馬次郎:市川門之助
今川奥方葛城:市村萬次郎
菊地大膳太夫貞行:市川段四郎

【明治座HP】

【明治座十一月花形歌舞伎特設サイト】

【市川猿之助さんスタイリスト】
勝見宜人


おけぴ取材班:mamiko hase 撮影:hase 監修:おけぴ管理人



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もともとミュージカルには拒否反応があったんです。「なんで歌うねん」と。が、2000年、松たか子 ファンの後輩に誘われてみにいったオケピ!でミュージカルの拒否反応が消え、強引に連れていかれたライオンキングでスイッチが転換、夢から醒めた夢で初のリピート (6回)そして差し入れ・ファンレター初体験。 キャッツで初の名古屋遠征、 レミゼに感動。翌2001年、四季ハムレットで初のマチソワジーザス出待ち初体験、2002年モーツァルト!に興奮。2003年からは観劇に幅が出て、 2004年はラスベガス、ニューヨーク、ウィーンへと年3回も観劇ツアーに出かけてしまう。その勢いで2005年、会社を辞めて独立。現在2日1本ペースで感激中♪

役者さんにはまるポイント:声
感激ポイント:1幕最初の衝撃
好きなシーン:群舞、小芝居
大好きな演目:ルドルフ、星組ロミジュリ

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