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11/12/28 劇団黒テント「青べか物語」稽古場レポ&鄭義信さん 斎藤晴彦さん 内沢雅彦さんミニインタビュー

2011年12月28日(水)13:00
劇団黒テント「青べか物語」稽古場レポ@イワト劇場
&鄭義信さん 斎藤晴彦さん 内沢雅彦さん ミニインタビュー


稽古場いっぱいに溢れる音楽!
そして逞しく生きて行く人々のめげない元気!

楽しくて、愛しくて、切なくて・・
体いっぱいで生きている“浦粕(うらかす) ”の人々がそこにいました!


「時代小説の名手・山本周五郎の世界を、あの“劇団黒テント”が舞台化する」
そう聞いて想像していた世界とは少し違う、
エネルギッシュで楽観的で、そしてとにかく理屈抜きに楽しい音楽がいっぱいの稽古場。
若い俳優さんたちの、いきいきとした表情が目に飛び込んできます!

昭和初期、まだディズニーリゾートや埋立地が作られる前の浦安をモデルにした架空の町
“浦粕(うらかす)”に生きる人々。
ふらりとそこに住み着いた三文文士の“せんせい”(山本周五郎自身がモデル)の目から見た彼らの生活をオムニバスで描く「青べか物語」。


(写真:左から服部吉次さん、木野本啓さん、宮崎恵治さん、内沢雅彦さん)


(写真 “せんせい”を演じる斎藤晴彦さん)

遠い昔から物語を伝えてきた「語り部」のように、
詩や評論、小説など戯曲以外のテキストを
台詞以外の文章も全て俳優が語り、演じるという黒テントの十八番芸「物語る演劇」。

今回拝見したシーンでも複数の俳優さんが
語り手の“せんせい”を含めた様々な役を演じていました。
次々に語り手が変わっても違和感なくすすむ舞台。新鮮な体験です。

演出するのは、かつて黒テントに在籍していた事もあるという鄭義信さん。


(写真:振付作業を見つめる鄭さんの背中)

映画「月はどっちに出ている」「愛を乞うひと」や、
今春に続編「パーマ屋すみれ」の上演も決定している舞台「焼肉ドラゴン」などで、
各界の賞を多数受賞している脚本・演出家の鄭義信さん。
つまづき、絶望を抱えながらもたくましく、
あっけらかんと生き抜く人間を描く鄭さんの世界。
今回の「青べか物語」でもその朗らかな力強さを感じます。

服部吉次さん(あの服部良一さんの息子さんです!)の奏でるピアノの音が響く、何とも贅沢な空間。

楽器の演奏も俳優さん自身が行います。みなさん芸達者で見ていて飽きない!
次から次へと「何か」が飛び出してくる、
まるでおもちゃ箱のような楽しい稽古場♪

振り付けや、演奏の確認、
次々に語り手の変わる台詞と格闘しながらのシーン通しなど、
盛りだくさんの稽古を見学させていただいた後、
鄭義信さんと、黒テントの看板俳優・斎藤晴彦さん、
そして今回の企画の発案者でもある内沢雅彦さんにお話しを聞くことが出来ました。

おけぴ)
今回、この作品を上演しようと決めたきっかけを教えて下さい

内沢さん)
実はもう随分前からこの「青べか物語」を上演したいと考えていまして、
劇団内の試演会までやっているんですね。
物語る演劇というのも、はじめは大学の渡り廊下なんかでやっていたこともあるので、
この山本周五郎のこの作品もそういう手法でやったら面白いのではないかなと思い、
かつて劇団で一緒にやっていた鄭さんに声をかけさせてもらいました。

おけぴ)
拝見していて、複数の俳優さんが“せんせい”を演じるアイディアがとても面白いと思いました。

鄭さん)
ひとりが一貫して演じるのではなく、
いろんな人がいろんな役をやるというのがいいなと思いまして。
いろいろな人の視点から見ている“わたし”がいて“せんせい”がいるという・・
誰かひとり主人公がいるのではなく、
みんなでお話しを作っているという感じにしたかったんです。

おけぴ)
斎藤さんから見て“演出家”鄭さんの印象は?

斎藤さん)
彼が在籍していたと言っても25年前のことですから。
そうすると彼の方から、劇団の役者に対する先入観がないわけですよ。
劇団に入りたてだろうが、ベテランだろうがね。
やっていて新鮮なのはそこですね。同じ高さからダメ出しがくるからね。
役者の方でもやっているうちにお互いの関係性が変わってくる。
「黒テント」という劇団ではなく「鄭の劇団」なのね、いまや。
それが今回の魅力かなと思いますね。

おけぴ)
いつもの黒テント公演とはひと味違う?

斎藤さん)
ちがいますよー。とにかく若い役者が元気!
劇団内の演出家とやるのとは違うな(笑)

鄭さん)
若い俳優さんたちが未知数なところがいっぱいあって・・
この人たちどうしようかな、という(笑)
お尻叩いたり、あの手この手で・・ってそんなに手はないんですけど。
あきらめずにとことんね、やるっていうことです。

おけぴ)
「物語る演劇」は心の中の言葉や説明まで全て台詞になっていて、
まるでミュージカルのようだなと思いました。


(写真:“船長”を演じる服部吉次さんと岡薫さん。このシーン大好きです!)

内沢さん)
ミュージカルといえば、レ・ミゼラブルの斎藤さん!僕も2回観ています(笑)
黒テントって本当に音楽が好きな集団なんで、
今回の作品も例えばエノケンさんの歌をずいぶんと歌ったりするんです。
音楽の力を借りながら、楽しい歌をお聞かせしますので!


(宴会シーンも楽しさいっぱい。真ん中で踊るのは劇団創立メンバー小篠一成さん。 この踊りが・・切ないんです!)

おけぴ)
稽古場中に音楽が溢れていて、とても楽しかったです。
最後にこの作品を観る人にメッセージをいただけますか?

鄭さん)
登場人物たちがすごく面白い。
その人たちをどこまでいきいきと描けるかというのが大きなところです。
すごく猥雑な感じで作っているので、“静謐な山本周五郎の世界”を求める人は
ちょっと困ったと思われるかもしれませんが(笑)。これもまた庶民の暮らし。
山本周五郎の愛した猥雑感を一緒になって楽しんでもらえると嬉しいです。

斎藤さん)
とにかく出てくる人がみんな元気!
この、ぬけぬけとした元気さは僕らも本当は持っているものだと思うんだけど・・
今、何となく元気がないじゃないですか。いろいろと、ね。
だからこれを観て元気になって帰ってもらいたいですね。
まあ、これから稽古が進んでどうなるかわかりませんけど。
この人(鄭さん)、曲者ですから(笑)

鄭さん)
いやあ、もう静謐な世界には戻れませんよ(笑)

鄭さん、斎藤さん、内沢さん、ありがとうございました!


(写真:左から内沢雅彦さん、鄭義信さん、斎藤晴彦さん)

山本周五郎の名作短編集を、
いま演劇・映画界で注目を集める鄭義信さんの脚本・演出で上演する
劇団黒テント第73回公演「青べか物語」は1月18日~29日まで
東京・神楽坂のiwato劇場にて上演。

「黒テント」という名を聞いて“アングラ劇団の代表”とか
“難しそう”とかいうイメージを受ける方、もったいないです!
ギターにベース、トランペットなどが楽しく演奏され、大らかな歌声が響く人間賛歌。
逞しく生きる浦粕の人々の“元気”を劇場でもらってきて下さいね。



おけぴ取材班&撮影:mamiko 監修:おけぴ管理人


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名前:山野上 寛
mail:cs@okepi.jp
出身:大阪府茨木市
現住所:東京都中央区
もともとミュージカルには拒否反応があったんです。「なんで歌うねん」と。が、2000年、松たか子 ファンの後輩に誘われてみにいったオケピ!でミュージカルの拒否反応が消え、強引に連れていかれたライオンキングでスイッチが転換、夢から醒めた夢で初のリピート (6回)そして差し入れ・ファンレター初体験。 キャッツで初の名古屋遠征、 レミゼに感動。翌2001年、四季ハムレットで初のマチソワジーザス出待ち初体験、2002年モーツァルト!に興奮。2003年からは観劇に幅が出て、 2004年はラスベガス、ニューヨーク、ウィーンへと年3回も観劇ツアーに出かけてしまう。その勢いで2005年、会社を辞めて独立。現在2日1本ペースで感激中♪

役者さんにはまるポイント:声
感激ポイント:1幕最初の衝撃
好きなシーン:群舞、小芝居
大好きな演目:ルドルフ、星組ロミジュリ

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