10/05/20 ドレッサー稽古場レポ
2010年5月20日(木)
『ドレッサー』通し稽古レポ
演劇界の内幕を描いた
シェイクスピアの名作悲喜劇『ドレッサー』。
第二次世界大戦中まっただ中のイギリス。
シェイクスピア劇団で繰り広げられる滑稽で愛しい物語です。
シェイクスピア劇団の座長(渡辺哲さん)と
その付き人兼ドレッサー(化粧係)のノーマン(小宮孝泰さん)。
『舞台人としては、たまらない戯曲なんだよ』と、
話す企画者の小宮孝泰さん。
このお芝居を初めて観た時の衝撃が忘れられず、
いつかノーマンを演じたいと思っていたそうです。
"演劇"という魔物に取り憑かれた男"ノーマン"。
「50歳を超えて、俳優として、やりたい役をやるべき時が来た。」
と力強く話す小宮孝泰さん渾身の舞台です。
その小宮さんのノーマン、
歩き方から、しゃべり方まで"ノーマン"です!
ノーマンが座長をなだめている場面では、
言葉の中にとっても愛情を感じます。
座長役には、渡辺哲さん。
シェイクスピアに取り憑かれたような老座長!!
座長は喜怒哀楽がたいへん激しく、
その喜怒哀楽を身体いっぱいに表現する渡辺さん。
そこにいるだけで、ものすごいオーラです。
お顔がみるみる変化!
す、すごい!!
座長を常にまくし立てる、激しい性格と口調の妻(久世星佳さん)。
この妻とノーマンが、座長の様子がおかしいことに気づきます。
「この公演は中止よ!」と妻。「中止だなんて、いけません!」とノーマン。
渡辺哲さんは、シェイクスピアシアター出身で、
なんと、シェイクスピア作品37作品中36本にご出演!!
その渡辺さんにシェイクスピアの魅力は?とお聞きしたところ
「"魅力的な人間"がたくさん登場するところ!」。
「座長とドレッサーに焦点がいきがちなところを、
それぞれのキャラクターにも焦点が行くようにしている」
と話す小宮さんの言葉通り、劇団員も印象的に描かれています。
舞台監督マッジ(大西多摩恵さん)をはじめ、
若手俳優オクセンビー(勝矢さん)、
若くてかわいい劇団員アイリーン(山本育子さん)ら
個性的な劇団員達が、劇中劇で演じるのが『リア王』。
中でも嵐のシーンは舞台裏を堪能できる見どころが沢山。
風の音を出す、布をロール状にして回す機材。
その名も“雷鳴版”と呼ばれる雷の音を出す鉄板。
雨の音を出す板。。などなど。。
ほんとうに稽古場に嵐がやってきたようなすごい迫力です!
演出の大谷亮介さんも、道化役でご出演。
人間の醜さや憎悪、怒り、愛情、悲しさなど
いろんな感情が舞台の上で沸き起こっていきます。
偏った人間たちの集団にみえつつ、
でも観ている自分も同じようなものに思えて、
一人一人の登場人物達が心にリアルに迫ってきました。
ノーマンが自身の感情をむき出しにして語るシーンは必見です!
果たして『リア王』は無事に上演することができるのか!?
衝撃のラスト!!
是非、劇場でご確認ください!!
公演は、6月4日(金)から13日(日)まで、吉祥寺シアターにて。
6月20日(日)は、小田原市生涯学習センターけやきにて。
6月25日(金)から27日(日)まで、石川県七尾市の能登演劇堂にて。
おけぴ稽古場取材班:チームごまクリーム 監修:おけぴ管理人