13/01/15 東京バレエ団「ベジャール・ガラ」稽古場レポート
2013年1月15日(火)16:30
東京バレエ団「ベジャール・ガラ」稽古場レポート
20世紀後半のバレエに革命的変革をもたらしたモーリス・ベジャールの
没後5年記念シリーズ第二弾<ベジャール・ガラ>!
不思議な物語の不思議な空気を作り出すアンサンブルのみなさん
いったいどうなっているのでしょうか?
今回、注目の競演となるのが「中国の不思議な役人」。
初日19日には元ベジャール・バレエ団の小林十市さん(現在は役者さんとしてもご活躍中)が
十八番と言われた“中国の役人”で1日限りベジャール・ダンサーとして復活!
(春から生活拠点をヨーロッパに移される小林さんの貴重なステージです!)
そして二日目に同役を演じるのは東京バレエ団の木村和夫さん
(12月の「くるみ割り人形」でのM役も印象的でした!語る肉体です!!)。
本役最後の演技となる木村さんバージョンにも期待が高まります!
今回、その「中国の不思議な役人」19日キャストの
リハーサルの様子をお伝えします。
小林十市さん
30分ほどの小作品ですが、不可思議さとえもいわれぬ高揚感、
作品から発せられる“気”に圧倒されました!!
あらすじは
無頼漢の首領と“娘”、仲間たちが次々と人を襲い、
身ぐるみ剥がしていく。
だが、3番目に現れた“中国の役人”だけは、何をしても息の根を
止めることができず、無頼漢たちに恐怖が走る。
ついに娘がとったある行動によって、役人は自らの熱い思いを
遂げることができ、ようやく瞑目する。
まず、作品の面白さ、異次元な感覚を感じさせる仕掛けは・・・
無頼漢の娘を男性ダンサー(小笠原亮さん)が、
娘が襲う“若い男”を女性ダンサー(西村真由美さん)が演じるというところ!!
娘(小笠原亮さん)、獲物を狙う目?!
リハーサルではお稽古着ですので、そこにいらっしゃるのは
そのまま小笠原さんですが!
始まると・・・そこにいるのは怪しく男を誘う“娘”そのものです。
娘(小笠原亮さん)に最初に襲われるジークフリート(柄本弾さん)
もちろんバレエなのですが、登場人物の間での駆け引きなどはまさに芝居!
大柄な柄本さんに怪しく近づき誘惑していき・・・
ドキドキしてしまいます。
続いては若い男(西村真由美さん)が引き入れられます
そして3番目にやってくるのが中国の役人、
十八番!中国の役人、小林十市さん
登場シーン冒頭はやや無機質な印象の役人。
それが、何をしても決して息絶えず、起き上がる様子に無頼漢たちは
戸惑い、恐れる。役人も次第に気持ちを高ぶらせ、頬を高潮させてゆきます。
濃厚です!
麗しい女性たちが登場するも・・・
終盤の後藤晴雄さん演じる無頼漢の首領と役人の戦いもものすごい
迫力です!観ているだけで心臓バクバク、息切れしそうでした。
写真中央、娘を肩に乗せているのが無頼漢の首領役 後藤晴雄さんです。
緊張感、高揚感、恐怖感・・・その果てにあるもの。
登場人物のダンス=演技とアンサンブルのみなさんが生み出す
不思議な動きで、観る人によってどう見えるか、何を感じるかが変わってくる
奥行きのある作品です。
さらに、本番では衣装、照明、セットなど様々な効果が加わります。
例えば、このお稽古場での印象が実際の舞台ではこのようになります!
最後に、舞台写真と合わせてご紹介いたします♪
稽古場でのこのシーンが!
舞台では!コスチュームも女性そのもの。
美しさと筋肉質な肉体のミスマッチでくらくらしそう!
今回ご紹介した「中国の不思議な役人」に加えて、
両日上演される「ドン・ジョヴァンニ」もベジャールさんらしい作品です!
オペラでも有名な名うてのプレイボーイ“ドン・ジョヴァンニ”が
あるときは照明で、あるときは椅子を置くことで表現され、
女性ダンサーたちは、そんな見えざる“憧れの君”のために
愛と情熱を注ぐという、とってもチャーミングな作品です。
加えて19日のみの演目はベジャール3大傑作のひとつ、ドラマティックな「火の鳥」、
20日は力強い生命力を感じる「ギリシャの踊り」と本当に多彩なプログラム構成♪
それぞれの作品に共通しているのは物語としてのエネルギー!
「言葉のない演劇」ともいえるバレエ。
ベジャール氏の遺した作品の魅力、
そしてそれを表現する東京バレエ団の卓越した表現力に触れて、
新しい感性の扉を開けてみてください!
東京バレエ団「ベジャール・ガラ」公演概要
2013年1月19日(土)、20日(日)15時@上野・東京文化会館
【19日】
「中国の不思議な役人」
「火の鳥」
「ドン・ジョヴァンニ」
【20日】
「中国の不思議な役人」
「ギリシャの踊り」
「ドン・ジョヴァンニ」
キャストはこちらでご確認ください。
引き込まれます!
おけぴ取材班・撮影:chiaki / 監修:おけぴ管理人 舞台写真撮影:長谷川清徳