11/01/24 公の園稽古場レポ
2011年1月24日(月)
「公の園」通し稽古レポ
とある住宅街のとある家屋の一室で育まれている作品「公の園」。
キャスト・スタッフ共に女性ばかりのお稽古場は、
女子高の演劇部さながらにキラキラとしたエネルギーに満ち溢れていました!
女性の三人芝居。
一人でも二人でも大勢でもなく、三人。
この”三人”の関係性が実に面白い作品です。
3 もともとは互いに名も知らぬ三人の女たちが公園で出会う
1:2 状況に応じて組み合わせの異なる、2対1の人間関係になる女たち
1:1:1 三者三様のバックグラウンドを持つバラバラな三人の女たち
登場する三人はとても個性的で、ちょっと“普通じゃない”人たち。
浅野温子さん演じるマリア
名字は無くて、ただ、マリア。
日本人だけど、ユダヤ人。
長野里美さん演じる喜美子。
結婚しないで子供を生んだ喜美子
息子は4つ。二人暮し。
高橋麻理さん演じる詩音
大学まではいい子だった。
でも、今は違う。軌道に乗って歩んでいけない。
こんな女性たちが出会ったら
どんな化学反応が起きるのか。
それを裏切らない展開が待っています!
基本的に公園を舞台に、
三人の女性の台詞だけで紡がれていくストーリー。
シリアスに淡々と進んでいる様でありながら、
刻一刻と変化する状況と次第に明かされるそれぞれの抱えているもの。
さっきまで泣いていたのが次にはコロコロ笑っている。
落ち込んでいたと思ったら、生きる活力がみなぎっている。
女性の不可思議さと可愛さ、弱さ、強さが凝縮している作品です。
普遍的でありながらも、
ちょっとシリアスなテーマを取り上げている本作ですが、
その展開は小気味よく、決してエンターテイメント性を欠いたものではありません。
それはこの作品を書き上げた、
生み出した上杉さんの女性に対する優しさや愛がそうさせるのかなと。
そんなことすら感じるお稽古場でした。
名も無き公園が公の園に変わっていくストーリー、是非劇場でご覧下さい!
そして通し稽古終了後、キャストの浅野さん、長野さん、高橋さんに
この脚本と出会った時の印象をお伺いしてみました。
<浅野さん>
里美ちゃん(長野さん)から9年ぶりに連絡があって、
上杉(祥三)さんが書かれたこの脚本を、「どう?」ってもらったんです。
深読み無しに、とにかく最初に読んだ時は、
日本人作家による女3人の物語、エンターテイメント。
“これは面白い!”と思いましたね。なかなか無いんですよね。
<高橋さん>
私は最初は難しくって、わからなくって・・・
でも、“実存主義”や“主体性の真理”・・・
(高橋さんが演じる詩音はインテリ)
辞書や資料で調べ、わかっていくうちに浅野さんが仰ったように、
面白い本だなと思ってきました。
そして、子どもを産むというとても女性的なテーマを書き上げたのが
男性ということも凄いなと感じています。その辺りは、やはり奥様(長野さん)が・・・
<長野さん>
育ててあげたのかしら(笑)
<三人>
笑
<長野さん>
この脚本が誕生してからの9年間、
何度かやりたいなと試みたことがあったのですが、
なかなか機会に恵まれず形にならずにいたのです。
それがこうして2011年の1月に実現し、嬉しい気持ちで一杯です。
そして!
31日(月)14時公演に若手公演が上演されます。
マリア 加藤道子さん(写真中央)
喜美子 松本奈緒さん(写真右)
詩音 宮田智佳さん(写真左)
という若手が同じ脚本に挑む!企画。
キャラクター設定から若手での上演はなかなか
大変な面もあるかと思いましたが、お話を伺ってみると、
若手ならではの伸びしろがすごいとのこと。
日々成長していくエネルギーと
一度かぎりの上演にかける意気込みにご期待ください!
それぞれの年代が見せる「公の園」を楽しむもよし、
比べて見え方・感じ方の違いを楽しむもよし。
是非、この若手公演もご覧下さい!
2011年1月28日(金)~31日(月)
新宿シアターモリエールにて
アマ・トレランスはこの作品のために設けられたユニットで、
アマは、天と女性、トレランスは寛容
HPはこちら
おけぴ稽古場取材班:chiaki 写真提供:アマ・トレランス 監修:おけぴ管理人