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12/08/20 ミュージカル「タップ・ジゴロ」稽古場レポ&インタビュー

2012年8月20日(月)
ミュージカル「タップ・ジゴロ」稽古場レポ&
HIDEBOHさん・横山智佐さん・井上和彦さんインタビュー


日本における“リズムタップ”の第一人者、
北野武監督の映画「座頭市」の圧巻のタップシーン(出演・振付・指導)でも知られる、
タップダンサー・HIDEBOHさん主演の舞台「タップ・ジゴロ」。

戦後間もない銀座を舞台に、
芸に生きることしかできないタップダンサー・ジョニー佐々木と、
田舎から上京してきた歌手志望の娘・鞠子、
そして彼らを囲む様々な人々の想いが、
華麗なタップ・ステップと、胸にしみる歌声とともに展開するオリジナル・ミュージカルです。


2年ぶりの再演となる今回、
初演から引き続き、主役のジョニーを演じるHIDEBOHさん、
鞠子役・横山智佐さん、
そして、二人が舞台に立つキャバレーの支配人を演じる井上和彦さんに、
お話しを伺ってまいりました!
白熱の稽古場レポ写真とともにお楽しみください♪♪




(稽古場に鳴り響くタップの音!最高の迫力です!!!)

【HIDEBOHさんプロフィール】
本名 火口秀幸 6歳からタップダンスを始め、19歳の時に渡米。タップダンス界の巨匠であり、グレゴリー・ハインズの師でもあるヘンリー・ルタンに師事する。この時に出会ったリズムタップと自らの音楽の融合体である「Funk-a-Step(ファンカステップ)」を新しいパフォーマンスとして確立。今尚追求を続けている。
「座頭市」(監督:北野武)のタップシーンの振付で大きな注目を浴び、以降は振付をはじめ、音楽・映画などのジャンルにおけるプロデュースワークも行っている。
現在はリズムヴォーカルユニット「LiBLAZE」を率いて新しいパフォーマンスを展開中。

【横山智佐さん プロフィール】
1969年生まれ、東京都出身
1987年に「ブラックマジック M-66」(ナラ・フェリス役)で声優デビュー。「ガンダムW」(ノイン)、「ノンタンといっしょ」(うさぎさん)、「クッキングアイドル マイ・マイ・まいん」(ゆりあ社長) 等、テレビ・ゲームなどを中心に多数の作品に出演。
なかでも「サクラ大戦」の真宮寺さくら役では声優にとどまらず舞台版でも主演を務める。これを皮切りに舞台俳優として、「愛しの儚」、「リンゴの木下で」、「ミュージカル ギャラクシーエンジェル Re-MIX」、「ラヴ・レターズ」、「朗読劇 電車男」「THE TAP GUY」等に出演。
ナレーション「魁!音楽番付」放送中。

【井上和彦さん プロフィール】
1954年生まれ、神奈川県横浜市出身。
「キャンディーキャンディー」(アンソニー・ブラウン)、「美味しんぼ」(山岡士郎)、「タッチ」(新田明男)、「サイボーグ009(1979年版)」(009島村ジョー役)、「機動戦士Zガンダム」(ジェリド・メサ)、「NARUTO」(はたけカカシ)、「機動戦士ガンダムAGE」(フリット・アスノ(第2世代))、洋画「NCIS」(リロイ・ジェスロ・ギブス)他、ナレーション、テレビ・ゲーム・歌など幅広く出演。
近年は、年に1、2本の舞台にも出演。
音響監督としても数多くの作品作りに携わっている。


~HIDEBOHさん・横山智佐さん・井上和彦さんインタビュー~




(写真左から 井上和彦さん、HIDEBOHさん、横山智佐さん)

おけぴ )
2010年春の初演から2年ぶりの再演。
初演から引き続いてのご出演の皆さんですが、お稽古場の雰囲気はいかがですか?

井上 )
楽しいですよね。

HIDEBOH )
楽しいですねえ。

横山 )
めくるめくスピードで進んでいます(笑)。

井上 )
容赦ない感じです。

HIDEBOH )
容赦なく進んでいますね。ついていくのに自分も必死(笑)。
何がなんでも進みます、という感じで。

横山 )
夏の合宿みたい(笑)。・・「しごき」です。

おけぴ )
(笑)一体どなたが“容赦なく”進めていくのですか?


HIDEBOH )
演出の本間先生(本間憲一さん)が、ガーっと(笑)。
ガー!!!っと進んでいますね。



おけぴ )
今回、新たに演出で本間さんが入られたことで、舞台の中身も変わっているのでしょうか?

HIDEBOH )
そうですね。登場人物の関係性などの描写がより詳しくなりました。
前回は、(観客の)想像にお任せするという感じだったところが、
より描写が詳しくなっているという感じですね。


横山 )
(井上)和彦さんは大胆に曲が変わったものがありますよね。

井上 )
前回はHIDEBOHさんとタップをしながら歌うナンバーだったんですが、
設定がちょっと変わりましたね。


HIDEBOH )
カラオケの中でちょっと歌うだけだったのが、今回は色々と(笑)。

おけぴ )
井上さんが演じられているキャバレーの支配人・竹中役は、
セリフで書かれているだけではない「裏側」が見えるような素敵な役ですよね。
その他の役柄も、舞台上で語られているだけではない裏のストーリーとか、
抱えている想いのようなものが感じられます。

HIDEBOH )
今回は、さらに台本には無かった設定まで入ってきていますからね(笑)。


おけぴ )
それこそ容赦なく設定が足されている、と?

HIDEBOH )
はい(笑)。
ですから初演を観た方でも、
違う意味でより詳しく、より色々なことがわかるストーリーになっていますね。
出演する我々も・・私だったら「ジョニー佐々木」という人物を、
もうちょっと掘り下げて、こういう人物だったのかなというところを、
もっとお見せしたいですね。

おけぴ )
ジョニーという役は、ひとつ素晴しい芸を持っているけれども、私生活は相当めちゃくちゃというか、ハチャメチャな人物ですよね。

横山 )
うふふ。いやーね、芸人って(笑)。

HIDEBOH )
ほら、女性には嫌われるんですよ、だいたい(笑)。

横山 )
(ジョニーは)地に足がついてないな、という感じ。

HIDEBOH )
(笑)。


横山 )
“悪い”のが好きな女性にはもうたまらないでしょうけどね。

おけぴ )
今回、さらにディープに役作りされていくということですね。

HIDEBOH )
そうですね。
ジョニーという人はものすごくピュアだと思っています。
寅さんのような(笑)。
ろくでなしだけれど、どこかピュアで、肩肘張っている。
本当の自分を出せる相手がほとんどいなくて、
実はノミの心臓というか、弱いところがあって、
それを隠すために、ずっとツッパって生きてるというような・・そんなふうに自分は捉えています。
それが過去の先輩芸人の姿や、
アメリカ文化が流れ込んできた当時の戦後の混乱時期と、オーバーラップしますね。
ジョニーがそのまま、自分の「等身大」だと大変な事になるんですけど(笑)。
でもまあ、どこか等身大のようなね。
僕はお芝居の技量があるわけではないので、
一生懸命に「そのまま」でいくしかないのかなと思っています。

おけぴ )
お父さん(タップダンサーの火口親幸さん)の世代の芸人さんたちとか。

HIDEBOH )
ねえ(笑)。
めちゃくちゃな人たちですからね!

おけぴ )
昔の芸人さんって、今では考えられないエピソードもありますよね。

HIDEBOH )
そうそう。
時代も違いますし。
今だったらもう大変ですよ。逮捕されちゃいそうな人たち(笑)。

おけぴ )
でもそこには、めちゃくちゃなんだけど情けがあったりとか、芸のプライドがあったりとか。そういう感じがすごく素敵だなと思います。

横山 )
「芸人」って特別な存在だったんですよね。

HIDEBOH )
当時は特にそうだったでしょうね。
なぜか、「許される」みたいなね(笑)。

おけぴ )
ひとつ何か、光輝く芸を持っていればという。

横山 )
だから、「しょうがない」っていうようなね。
一般の生活をしている人たちには想像も及ばないような世界で、
才能を持っていて、生活もしているということなんでしょうね。

おけぴ )
だからこそ舞台の上で輝く、と。
横山さんの演じられる鞠子も本当に「いい女」で素敵な役ですね。

横山 )
けなげですよね。一生懸命生きています。


おけぴ )
ジョニーへの思いも持っているけれど、秘めている・・その感じがいいです!

横山 )
そこは、かわいい田舎者なので(笑)。
青森出身の純粋な女の子なので、
きっとジョニーさんみたいな大スターに対して、触れることもできないんでしょうね。

おけぴ )
最後はふたりの立場が逆転するようなストーリーになっています。

横山 )
時代の波にうまく乗っていける鞠子と、
あえて時代の波には乗ろうとしなかった、タップの力を信じているジョニーと・・。
うん、切ない終わりになっていきますね。

おけぴ )
単純に悲劇でもなく、ハッピーエンドでもなく。とても余韻のある、いい終わり方ですよね。

横山 )
それこそが、時代の人間模様なんだと思うんです。
平成に生きている私たちですが、
時代の空気をうまく、戦後すぐの昭和の時代を作っていけるように・・はい、がんばります(笑)。

HIDEBOH )
のぼっていく鞠子と、まあ、衰退していくというか・・ジョニーとの人間模様。
どうしようもない切なさなんですけれど、そこにドラマがあるんですよね。
どれが正解の幸せか、というのはわからないですけれど。
それぞれの中での価値観と、その葛藤が描かれている。

おけぴ )
切ないドラマが深く描かれている一方で、
HIDEBOHさんならではのタップのかっこいい華やかなシーンや、
皆さんが歌われるシーンなど、「ショー的」な部分もとても楽しみです!

HIDEBOH )
その部分は、まあまあ・・ぼちぼちと・・ゴリ押しで進んでいます(笑)。
でもやはり(井上)和彦さんがいらっしゃると、稽古場の空気感がすごいですね。
僕なんかずっと、色々なアニメで和彦さんの声を聞いて育ちましたから。
横山さんもそうですし、宝塚の方(星奈優里さん、大鳥れいさん)もそうですし、
その道のエキスパートの方がたくさん稽古場にいるわけです。
その面白さっていうのはすごくあって・・独特の化学反応を起こすというか。
歌一つ歌っても、セリフ一つ言っても、すごいんですよ!空気が!
それが自分には刺激だし、面白く感じています。

おけぴ )
何か一つ極められた方がバラバラの個性で集まっている、豪華なキャストですよね。

HIDEBOH )
お客様には、ストーリーだけではなく、色々な意味でリアルに楽しんでいただけるはずです。




(全員がひとつになって、タップを踏みます。この迫力!ぜひ生で体感して下さい!!)

おけぴ )
井上さんと横山さんのお二人もタップを踏まれるシーンがあるんですよね?

横山 )
「おまけ」という感じで。
刺身の“つま”ぐらいの感じに思っていただけると(笑)。

井上 )
前回(初演時)、脅されて。

HIDEBOH )
(笑)!

おけぴ )
どなたに脅されたんですか!?(笑)

井上 )
(HIDEBOHさんを指さしつつ)
エンディングで「ちょっとだけ和彦さんがやってくれると全員で出来るんだけどな」って言われて・・。

おけぴ )
断れないですね、それは。

井上 )
ほんの少しだけなんですけどね。
それだけでも、(タップを)やったことのない人間からすると、もう足がパンパンになって。
これをずっと、舞台の頭から最後までやっているHIDEBOHさんはすごいなと思いましたね。

HIDEBOH )
いえいえいえ(照れながら)。

井上 )
一流のタップダンサーと、同じ舞台で一瞬でも音を鳴らせるというのはすごいことだなあと思って。

HIDEBOH )
それは「声」も一緒ですから!
一応、僕も真似しようとはするんですよ。台詞の言い回しとか。
でも全然真似できないんですよ(笑)。
今回、初めて台本をもらった、その日に本読みだったんです。
これがもう、テレビを見ているかのようにスーッと、気持ちよーく(お二人の台詞を)聞けてしまうんですね。
あまりに気持ちよくて、自分の次のセリフが出てこなかったりとか(笑)。
声のパワーというのは、すごいものなんだなと思いましたね。

おけぴ )
同じく、お二人の声をたくさん聞きながら育った世代ですので、
後ほどお稽古場を見学させていただくのを楽しみにしています!

横山 )
「こんなもんか」って思うんじゃないかな(笑)。

おけぴ )
いえいえ、そんなことは!
声のプロのお二人からしても、
HIDEBOHさんのステップを一から教えてもらえるというのも、
ある意味とても贅沢なことなわけですよね。

横山 )
まったく、そのとおりですね!

井上 )
今日ね、そこ(タップ)、やるんですよ・・。

HIDEBOH )
今日の稽古は(フィナーレの)タップのシーンからですから。

横山 )
実は今回の稽古、「タップシューズってカビ生えませんか」という質問から始まりました。

HIDEBOH )
使いましょうよー(笑)。

横山 )
2年前の舞台以来、履いてなかったので。
家中ひっくり返して探しました(笑)。

HIDEBOH )
なんでわかんなくなっちゃうんですか(泣)。
でもね、(横山さんの)ファンの方は驚くと思いますよ。
舞台の上でお芝居をされているうえに、タップもされていますから。

井上 )
智佐ちゃんはね、元々芝居もタップも、ね。

おけぴ )
趣味でタップを習っていらしたとか。

横山 )
いやいや、タップは・・長く習ったわりには上手にならなかった悪い例です。




(お言葉とは裏腹に、華麗にステップを踏む横山さん!)

横山 )
演出家の本間(憲一)さんも、なにしろタップの名手ですから。
エンターテイメントの部分でも、さらに見ごたえのあるものになっております。
えー、その部分はほぼ他の方にお任せなんですけど(小声)。

HIDEBOH )
タップに精通していらして、
ミュージカル界でも活躍されている本間さんの演出は、
その切り口の角度がすごく鋭いと思うんですね。
ですから、結果的には面白い、新たなるものに仕上がるはずなので。

おけぴ )
本間さんとHIDEBOHさんは、タップのスタイルに少し違いがあるとか。

HIDEBOH )
ええ、本間さんはどちらかというと、“シアタータップ”というエレガントなスタイル。
基本は一緒なんですけれどね。
大きくは“ブロードウェイスタイル”というミュージカルで見るようなタップと、
もう一つ、日本には最近まであまり入っていなかった、黒人の“リズムタップ”がありますね。
“リズムタップ”は、体を楽器として使うんです。
足の楽器というか、パーカッションのように、ステップを音楽やバンドの一部のような使い方をするタップダンス。
私の両親は、いわゆるブロードウェイスタイルで、
自分自身もフレッド・アステア、ジーン・ケリー・・というところで育っているのですが、
そこに自分が興味を持ったリズムタップと、いろいろミックスされています。

おけぴ )
今回の舞台では、HIDEBOHさんのいろいろなスタイルが見られるかも、という感じですか?

HIDEBOH )
「かも」というか、絶対見せますよ!

おけぴ )
「見てくれ!」という感じですね。

井上 )
感動して鳥肌が立ちますよ。本当に。




(HIDEBOHさんのステップは時に力強く、時に軽やかに、
と変幻自在!
まるで魔法のような足さばきです♪
思わず取材のメモを取る手も止まってしまう圧倒的なダンス!!)


おけぴ )
お稽古場では素晴しいステップを、間近で見られるわけですね。

井上 )
はい。僕ら、得しています。
みんな出演すればいいのに(笑)。

おけぴ )
最後の場面は出演者全員でタップを踏まれるということなんでしょうか。

HIDEBOH )
もう全員です!やります!

おけぴ )
みなさん特訓中というわけですね。

井上 )
ときどき、僕が舞台上にいないかもしれません。

HIDEBOH )
(笑)いやいやもう和彦さん・・だめですよ(笑)。


井上 )
楽屋で、はあーっ・・てなっているかも(笑)。

HIDEBOH )
和彦さんは気が向いたときに出る、なんて(笑)。

横山 )
2日に1度くらい?

井上 )
「今日はだめ」ってね(笑)。

おけぴ )
井上さんが、ちゃんといらっしゃるかどうかチェックしつつ拝見します(笑)。
振付は今回、HIDEBOHさんと森新吾さん(DIAMOND☆DOGS)とお二人でされています。
森さんというと、D☆Dの中ではヒップホップのイメージが強いので意外に思ったのですが・・。

HIDEBOH )
彼は、びっくりするくらい器用なんですよね。
物事への対応力、貪欲にいろいろと吸収することとか。
その才能をD☆Dでも発揮していると思いますし。
僕も同じなのですが、難しいことを考えずにとにかく前に進める人ですね、森さんも。
歳こそ少し離れていますけれど、“同志”としてすごく分かりあえるというか。
クリエイティブな話ができる相手ですよね。




(稽古中に振付について意見を交わす森新吾さんとHIDEBOHさん)

おけぴ )
振付は、お二人で話し合いながらつけていくのでしょうか?

HIDEBOH )
僕が構想を伝えて、動きに関しては森くんが大半のことはやってくれます。
タップにまつわることや、こう見せたいなとかいうことは僕も意見させてもらって。
ステージングというものは結構な割合で森くんがやってくれていますね。




(“タップダンサー”森新吾さんの魅力を再発見!)

※森さんは10/3~博品館劇場公演のみ出演。9/8の志木市民会館プレビュー公演は森さんに代わり坂本恵介さんが出演されます。

おけぴ )
お二人のコラボレーション、期待しています!
そして、タップ以外のHIDEBOHさんの魅力、役者・HIDEBOHさんの演技も非常に楽しみにしております。

HIDEBOH )
演技に関しては、僕にとってはこの稽古場が“リアル学校”ですから。
いま声優さんとしてトップで活躍されているお二人(井上さん横山さん)の喋り方とかを
密かに真似してみたりしています。
これが面白くて(笑)。
なるほどね、なんて言いながら。

おけぴ )
いかがですか。
お二人から見て役者・HIDEBOHさんは?

横山 )
私、HIDEBOHさんは天才だと思っています。

HIDEBOH )
何をおっしゃる。

横山 )
なんでも出来るのに、すごく勉強熱心。
いつもお稽古をビデオ撮影されていて、家に帰ってまた・・

井上 )
家に帰ってから三回、通し稽古をするんですよ(笑)。

HIDEBOH )
いやいや、そんな!

横山 )
(HIDEBOHさんに)いつ寝ているんですか?

HIDEBOH )
いや、やっぱりね、怖いんですよ。
ほら、周りのみなさんすごい方ばかりでしょ。
タップでこそなんとか・・という感じですけれど、ほかのことに関してはずっと恐怖ですね。
だって、自分は歌手じゃないし役者じゃない。
それでも主役は主役ですから・・その切迫感がいつもあって。
落ち度を見せると・・落ち度なんていっぱいあるんですけど、落ち度を見せたら、「お前、引っ込め!」って言われそうで(笑)。

横山 )
えー・・。

HIDEBOH )
いやいや、本当です。
そういう恐怖感がいつも体の中にはあって。
まあ、ビデオは撮っていますが、大して見ていないんですけれどね。

おけぴ )
稽古を全部録画して、復習されているんですか?

HIDEBOH )
全部見きれないですけどね。
でもやっぱり撮っておかないと不安だし・・。
そんなに勉強熱心じゃないです。ただ怖いんです。
安心できるように・・「薬」みたいなもんですよ(笑)。

おけぴ )
ちょっとジョニーの役柄ともかぶる、追い込まれているような感じでしょうか。

横山 )
ああ、そうかもしれませんね。

HIDEBOH )
いや、だから怖がりですよ。
僕自身は緊張の怖がりとはまたちょっと違うんですけど。

横山 )
慎重、なんですかね?

HIDEBOH )
なんか・・「ヤバい!」と思うんですよね。
昔、先輩に怒られたような記憶もあって(笑)。
「何やっているんだ」って、言われそうなね、気がするんです。
このお二人は言わないですけれど。

おけぴ )
お二人からみて、実際にはどうですか?

井上 )
僕は人一倍努力してないから(笑)。

横山 )
「引っ込め」って言われたらどうしよう・・というような恐怖感は私も同じように持っていますね。
でも、やっぱり人のタイプってさまざまだな、と言いますか・・(笑)。
私はそこでちょっと開き直ることができてしまうんです。
「寝てから考えるか」って思ったり(笑)。
「歌とかダンスとか、本業じゃないんだし仕方ないか」なんて。
・・・(井上さんに)明らかに気楽ですね、私たち。


HIDEBOH )
そう言ってらっしゃいますけど、
ご自分のコンサートの計画とか、すごく前から準備されているんですよ。
そういう方だと、僕は知っているので(笑)。

横山 )
ビビリでもあるんです。
でも最終的には・・。

おけぴ )
あるところまで来たら・・、

横山 )
投げるタイプ(笑)。

HIDEBOH )
(笑)。投げちゃうんだ。

横山 )
そうやって生きてきてしまったな、って、いま気が付きました。

HIDEBOH )
それでも出来上がるんだからすごいですよ。

井上 )
HIDEBOHさんを見ていると、「ああ、がんばらなきゃな」と思いますね。
一日稽古が終わると、疲れるじゃないですか。
で、そこからまたHIDEBOHさんは、がんばるじゃないですか。
僕はたぶん、疲れたら酒飲んで寝ちゃう(笑)。
「はぁ・・もうだめだ」って。


HIDEBOH )
僕も寝てますよ(笑)。

井上 )
でも、この再演に出演させていただくにあたって、気持ちだけは前回よりもいいものをという思いで取り組んでいるつもりです。
といっても、みなさんのなかでいちばん稽古に出られていないのですが・・。

HIDEBOH )
和彦さん、お忙しいから。
我々だって「わあー和彦さんに会えた!」と思うんですから。稽古場で(笑)

井上 )
稽古場に来るとみんな「久しぶり」って言うんだよ(笑)。

おけぴ )
吹き替えのお仕事と、舞台のお仕事はやはり違うものですか?

井上 )
(大きく頷きながら) だって、声の仕事ってセリフ覚えなくていいんですから(笑)。
いまは、受験勉強みたいですよ。覚えることがいっぱいあって。
覚えるのは当たり前のことなんですけどね(笑)。
こんなの記事にならないよね、でもやっぱりけっこう苦痛ですよ(笑)。
もう年も年なんだからさ・・。

横山 )
その苦痛がお好きなんだと思いますよー(笑)。

HIDEBOH )
そんな気もしますねえ(笑)。
和彦さんは「チャレンジャー」だと思いますよ。
こんなふうに言ってらっしゃるけど、結局は新しい“次”に行かれる方なんですよね。

おけぴ )
井上さんのタップシーン、楽しみにしております!!
では、最後にこの作品の見どころをお一人ずつお聞かせ下さい。

横山 )
私は、青森弁のセリフがすごく増えている事と、
鼻歌でいいからと言われていたはずが、けっこう1曲丸々歌うぞ、というところが見どころです・・(笑)。
曲も増えております!

HIDEBOH )
初演に比べて確実にバージョンアップしていると思います。
また、僕の立場から言うと、
ある意味伝承していかなければいけない、戦後の・・もしかしたら芸能界の始まりのような部分の物語をたくさんの方に知っていただきたい、というところですね。
そして何と言っても、
タップを生で見ていただくのと映像で見ていただくのは、全く違うものなんですよね。
生のタップは、人間に鼓動がある以上、様々な喜怒哀楽を感じてもらえるはずなんですね。
ですから、どうしても“生”を観に来ていただきたいなと思っています。

おけぴ )
生のタップの魅力をひと言で言うと?

HIDEBOH )
この作品のセリフにも実は出てきていて、「テレビじゃ本当の音は出ねえけどな」って。
生のタップの音の中には、いろいろな感情や形が見えるはずなんです。
でもそれが、周波数に乗ってキュッと小さくなっちゃうんですね。
実際に生で観ていただくと、それが全部、空気として感じるものなので、
「なるほどね」と思っていただけるのではないかと。
それを、一人でも多くの方に感じてほしいなといつも思っておりまして、
今回もそこは一緒でございますね!

井上 )
やっぱり「ライブ」ですよね。
同じ空間の中で、生で伝わってくるもの。
今回、この「タップ・ジゴロ」再演のお話をいただいたときに、
すぐに「やらせてください!」と言ったんです。
それは何故かというと、
この作品は様々なジャンルの人が集まっているのに、「戦って」いない。
みんながみんなを認め合って、一つのお芝居を創り上げていくっていう、とても良い空気。
一つのものを創り上げるってこんなに楽しいことなんだな、という、
その楽しい空気を少しでもみなさんに伝えられたらいいなと思いますね。
観た方が、それを感じてくださって、
で、帰りがけには“エア・タップ”をしながら帰ってくれたら(笑)。
帰りの電車の中とかでステップを踏みたくなっちゃうような、ね(笑)。

HIDEBOH )
井上さんは“エア”じゃだめですよ(笑)。

井上 )
いやいや、ちゃんと音も出しますよ。
金具取ってないですから(笑)。


HIDEBOHさん、横山さん、井上さん、ありがとうございました!

この後、出演者全員が登場するフィナーレのタップシーンの稽古を拝見させていただいたのですが、
とにかく、ものすごい迫力です!!



(元宝塚トップ娘役のお二人・星奈優里さん、大鳥れいさんに加えて、芋洗坂係長もご出演♪)

お話しの中にあった通り、生のタップの迫力に思い切り圧倒されました。
一人のタップシューズが鳴り出して、そこに少しずつ重なっていくステップ、
徐々に高まっていくその音・・。
全員のステップ、その音が揃った時の気持ち良さ!
まさに圧巻です!

お稽古場の床も空気もビンビン揺れていて、とにかく全員で踊る踊る踊る♪♪
HIDEBOHさんがステップを踏むと、その靴音が音楽になるんです♪
それに合わせてエレガントに踊る星奈優里さん、
そして軽快に豪快に体を揺らす芋洗坂係長(めちゃくちゃ身軽っ)!
横山さんや、井上さん、そして大鳥れいさんが、
皆さんとても真剣な表情で自主練習をされている姿も印象的でした。

とにかく、出演者全員のHIDEBOHさんのタップテクニックを“吸収したい!”感が半端ではありません!!
この迫力は、劇場で体感する価値あり!
いえ、まさしく劇場でしか体感できないエンターテイメントです。

HIDEBOHさんのステップを生で見るだけでも大満足な上に、
戦後の銀座を舞台に繰り広げられる切ない人間模様がしみじみと描かれ、
さらにピッカピカのタップ・ショーも、と盛りだくさんなミュージカル♪


ぜひ劇場で、パワーアップした「タップ・ジゴロ」の世界を堪能していらして下さいね!!


<公演情報>
9月8日 プレビュー公演 志木市民会館パルシティホールにて
10月3日~14日 博品館劇場にて

<ストーリー>
戦後の銀座
少しずつ復興して来ているとはいえまだアメリカの占領下にあった頃
一人のタップダンサーが闇に咲く徒花のように一瞬華々しく花開いた・・・
銀座のキャバレー・ペンギンのタップダンサー・ジョニーは、今日もお客を魅了し、女の魅了し、金と女に不自由せず、そんなバラ色の日々がずっと続くものと信じていた。映画出演の話も断り、ひたすらステージでタップを踏んでいた。
ある日、そのキャバレー・ペンギンに歌手を夢見る娘・鞠子がオーディションを受けに来た。田舎から出てきた鞠子は、訛りが強く皆にバカにされてきたのだったが、歌は訛らず、ちょっとしたもの。ペンギンで歌うことが決まった。
前座の鞠子の歌に押され気味となったジョニーは、一人ではなくチームでタップをふむようになる。
ペンギンは、ジョニーとそのチームのタップ、そして鞠子の歌で大繁盛、絶頂期を迎えていた。
そんな折、サンフランシスコ講和条約が成り、日本の主権が回復された。そして、アメリカ軍は撤退して行った…。

<出演>
HIDEBOH
横山 智佐
星奈 優里
大鳥 れい
井上 和彦
森新吾(D☆D)※博品館劇場公演のみ出演
芋洗坂係長
LiBLAZE
坂本 恵介 ※志木公演のみ出演
藤坂 和史
チナツ
長浜 満里子
Funk-a-Baby

<スタッフ>
脚本:広井王子
演出:本間憲一
振付:HIDEBOH 森新吾(D☆D)
音楽:鈴木和郎

公演HP

お稽古場の様子も見られる博品館ブログ


おけぴ取材班 文:mamiko 撮影:hase   監修:おけぴ管理人


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名前:山野上 寛
mail:cs@okepi.jp
出身:大阪府茨木市
現住所:東京都中央区
もともとミュージカルには拒否反応があったんです。「なんで歌うねん」と。が、2000年、松たか子 ファンの後輩に誘われてみにいったオケピ!でミュージカルの拒否反応が消え、強引に連れていかれたライオンキングでスイッチが転換、夢から醒めた夢で初のリピート (6回)そして差し入れ・ファンレター初体験。 キャッツで初の名古屋遠征、 レミゼに感動。翌2001年、四季ハムレットで初のマチソワジーザス出待ち初体験、2002年モーツァルト!に興奮。2003年からは観劇に幅が出て、 2004年はラスベガス、ニューヨーク、ウィーンへと年3回も観劇ツアーに出かけてしまう。その勢いで2005年、会社を辞めて独立。現在2日1本ペースで感激中♪

役者さんにはまるポイント:声
感激ポイント:1幕最初の衝撃
好きなシーン:群舞、小芝居
大好きな演目:ルドルフ、星組ロミジュリ

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