« 前の記事 | メインページ | 次の記事 »

「宝塚映画祭」映像コンクール
「ブルーカラーウーマン」レポート第二部

「宝塚映画祭・映像コンクール」レポート
第二部

07年11月3日土曜日、文化の日。

第8回宝塚映画祭の映像コンクールで、入選した監督たちにはお昼ご飯が用意されていました。
控え室には山積みになったお弁当。
お赤飯と煮物のお弁当でした。
それを黙々といただき、
さして監督同士の会話もないまま(僕も含め皆さん照れてました)午後の上映へと進みました。


アニメ部門、倉田愛実監督の「シェルター」という短編がまたよくできていまして。
ホームページをお持ちのようですので、ちょっと覗いて見て下さい。
どうやって描いたものなのか、これも監督に質問しそびれました。
機械仕掛けの町の様子が次々にクローズアップされます。
東欧アニメ的な画風といいますか、グロテスクな表現もあっさりとこなす辺り
相当な手練れと感得できます。
スパースパーと牛が輪切りになるのがやけに心地よかったです。


実写の部門、夏目大一朗監督の「カミ頼みだ」では、上映トラブルが発生しました。
10分の短編でしたが7分経過した頃に映写が中断してしまいました。
パッとスクリーンが暗くなったのです。
再開したのは良かったのですが、また最初からの上映。

この作品は、自殺しようと試みる夫婦のバカバカしい騒動を描いたコメディで、
本当は、こういった作品をすぐにリフレインするのはよくありません。
さっき見たバカバカしいことを、またバカバカしくやっているわけですから。
しかし、半分過ぎた辺りから、それが返っておかしくなってきたりもしました。
またしても同じことをやっているのが、それはそれで馬鹿臭く思えて。
演技がこってりと過剰なところが、作品に馴染んでいました。

この映画際に場違いな雰囲気の、
ちょいと垢抜けたお姉さんが一人監督席に座っていたのですが、
夏目監督の代理の方だったようで。
上映後の挨拶の様子からして
きっと、楽しい映画制作チームがあるんだろうなーと、羨ましく思いました。
もちろん、そのお姉さんにも話しかけることはできませんでした。


清水雅人監督の「箱」です。最も完成度が高かったのは。
他の作品から群を抜いてよくできていました。
言うなれば、高校野球にプロ野球選手が混じっているような感じでした。

30代OLの恋を描いた55分の力作。
移動撮影、クレーン撮影等の技術面もさることながら、
かっちょいい車や、ロケ地の豊富さ、出演陣の確かな演技まで、
素晴らしい見映えでした。

若い男に揺れ動く主人公の感情、それに対比した妹の存在、
箱をめぐるサスペンス、天使然としたお婆ちゃんの起こす奇跡。
主人公のOLの不倫を中心に、夫婦や家族の様子を丁寧に描いてありました。

結果から申しますと、「箱」は賞を獲得できませんでした。
プロ野球選手だと分かった時点で、
観る側の基準がグーンと上がってしまったからではないかと思います。
僕の推測でしかありませんが、
結果的に「敢えて、賞をあげない」ことになってしまったのではないでしょうか。
ちょっぴり腑に落ちない思いを拭えません。

映像コンクール後の懇親会で、清水監督が話しかけて下さいまして、
名刺をいただいたまでは良かったのですが、
僕も名刺をと、鞄まで取りに行き、
(名刺といっても株式会社オケピの名刺なのですが、一応アドレスなども記載されてますし)
で、戻って来た時には清水監督は他の方々とお喋りされてて、
結局、名刺を渡せずじまい。
サッとポケットに入れて、なんでもないフリをしつつ
ジュースを飲むのでした。


僕の作品の上映は一番最後でした。
朝からずっと、ほとんど休憩なしでぶっ続けの上映です。
自分の作品の番になって、
恐ろしい睡魔が襲ってきました。
さすがにここで寝てはまずいと思い、必死で最後まで目を開けていました。

後で聞いたところによると、
うちの母親は、「ブルーカラーウーマン」上映中、
完全に眠っていたのだそうです。
こっくりこっくりしまくっていたと。
人のことは言えませんが、
せっかくここまでやって来たのだから、
いい客席の雰囲気を作ってくれれば良かったものを…。

と、上映後に僕に話しかけてきた上品なおばさまがいらっしゃいました。
どこかで見たことがあるような目元。
なんと、おけぴネットの管理人のお母様が、
わざわざ会場までいらして下さっていたのです。
おまけに手土産までいただきまして、
恐縮の上に恐縮を重ねて、頭を下げることしかできませんでした。
本当にありがとうございました。


全ての上映が終わり、
審査員が各賞を決めるために控え室へ入りました。
表彰が済んだら、僕と家族は大阪のホテルへ移動の予定だったのですが、
審査が随分と長引き、待てども待てども表彰式が始まりません。

正直なところの僕の心情はどうだったのでしょうか。
賞を貰うつもりでいる横柄な自分と、
もうここまで来たんだから賞なんてどうでもいい、という開放的な心地の自分と、
両方が胸中にあったような気がします。
結果は結果として、
いずれにしても、また次の作品を撮ろうと、
そんな結論に達していたときに、ようやく各賞が決定したとのアナウンスがありました。

第二部 完 

思いのほか長くなってしまいました。
次回第三部で終わります。


コメント (2)

MATSUMOTO:

いやいや、なんというか実質1位じゃないですか!
それなのにこの淡々と進むブログが面白いです。
いい味出してますよね。
第三部の完結編を先日からずっと待ってるんです。
火の鳥読み直しているヒマがあるなら早くUPして
くださ~い!

ちなみに鳳凰編は20年以上前にNHKでラジオドラマ化
されてました。我王の声は誰だったかなぁ。もう1人の
エリートさんは(名前が思い出せません)佐々木功だった
ので、当時ファンだった私は毎回聞いてました。
NHKから楽譜も取り寄せたので今でも主題歌歌えます。
エッヘン!(←死語ですね)

ブログ筆者よしだ:

MATSUMOTOさん
コメントありがとうございます!
お叱りのコメント、シカと受け止めました。
すぐにも映画祭レポ完了させます。
そうでないと、次の映画紹介にも取り掛かれません。
頑張ります。

鳳凰編のラジオドラマ、大変興味があります。
テレビは再放送がありますが、
ラジオではやらないんですかねえ。

コメントを投稿

About

●2007年11月09日 15:50に投稿された記事です。

●ひとつ前の投稿は「「宝塚映画祭」映像コンクール「ブルーカラーウーマン」レポート第一部」です。

●次の投稿は「「宝塚映画祭」映像コンクール「ブルーカラーウーマン」レポート第三部」です。

メインページへ戻る。

最近書いたもの

このブログのフィードを取得
[フィードとは]