10/09/27 特別展「隅田川」@江戸東京博物館
2010年9月27日(水) 13:00
江戸東京博物館 特別展 隅田川~江戸が愛した風景~
@江戸東京博物館
バラエティに富んだ作品たち!花火の表現がとってもユニーク!
「隅田川」という共通点で集められた110点以上の
屏風絵、絵巻、錦絵、版本を鑑賞できるこの展覧会。
8割以上が館蔵品であり、これほどの規模で隅田川の絵が
集まるのは他にあまり例がないとのこと!
平日昼間にも関わらず、多くのお客さんで静かににぎわう会場
1点1点がとてもきれいで心落ち着きました。
まるで水辺を歩いた後のよう♪
落ち着く絵が続いたかと思うと、
遊び心いっぱいの絵があったり。
両国橋と日本橋をそれぞれ渡る力士たちが
表情豊かに、画面いっぱいはみだしそうな構図で描かれていて、
力士の表情が一人一人違っていて本当に面白い!
(凌雲斎豊麿「天明八戌申歳江戸大相撲生写之図屏風」)
ぜひ絵の近くでじっくりとみてみてください。
「向ふ島ほたるかりの図」では、
三組の親子が蛍狩りを楽しむ様子が描かれています。
昔の隅田川には蛍がいたのですね~!
昭和初期まで、隅田川は川底が見えるほどの清流だったそうです。
今はなくなってしまった習慣もありますが、
多くは残っている生活習慣。
中でも花火は点数が多くて、その花火の表現が非常にユニーク!
火の玉!?と思うものから太陽のようなもの、
うねうねしている花火や、
手持ちの大きな花火も発見。
打ち上げ花火の前は手持ち花火が主流だったようです。
手持ちとはいえ大きい!職人さんは大変だったことでしょう。
花火に舟遊びに、お花見、雪遊びなど、
江戸の文化や生活の中に根ざした隅田川を感じる絵がたくさん。
↓こちらは筆者不明の影からくり絵。
初めてみました!
絵の後ろから光を当てるとこれが
こうなります↓
提灯や花火の部分の紙をくりぬいて、
和紙をはってあるので光が透けるのです。
この絵の隣にあるもう一つの影からくり絵はしみじみ感動!!
是非、実物をご覧になってください。
↑こちらは昭和九年から描き始められた作品で、
はっきりとした遠近法など大胆な構図が魅力的な墨画の画巻。
(藤牧義夫「隅田川両岸画巻」No.2、No.3)
そして私が一番好きだったのがこちら↓(写真:図録から)
(歌川広重「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」)
たいへん有名な絵ですから、教科書などでは何度も見ていましたが、
本物の前に立ったとき、夕立の音が聞こえてきそうになって驚きました。
ものすごい存在感です。
歌川広重の絵は他にも数点あり、眺めてはため息しておりました。
特に構図がたまりません!
ぜひぜひこの機会に本物をご覧になってみてください。
今の隅田川と言えば両岸まで迫るマンションと、
遊歩道(隅田川テラス)でランニングをする人々、
そこにはスカイツリーも合わせて思い浮かぶわけですが、
絵の中では隅田川をふくめた景色がとても広く、空も広いことに気付かされます。
この秋、かつての隅田川を眺めながら深呼吸してみては、いかがでしょうか?
2010年9月22日(水)~2010年11月14日(日)
江戸東京博物館 1階 展示室
JR総武線両国駅西口徒歩3分、都営大江戸線両国駅A4出口徒歩1分
詳細はこちらからどうぞ
40分から1時間くらいで観れる、ボリューム感です。
図録(2300円)も素敵!
※展示期間中に「前期」と「後期」で大きな展示替えがあります。
さらに2週間で展示替えとなる作品もありますのでご注意下さい。
◆ 前期:9月22日(水)~10月17日(日)
◆ 後期:10月19日(火)~11月14日(日)
※学芸員の我妻直美さんに見所を伺ってから鑑賞させて頂きました。
※このレポの写真は許可をいただいて撮影してますが、
通常特別展の中では撮影できませんのでご注意下さい。
おけぴ美術館取材班:nats 撮影:nats 監修:おけぴ管理人