11/08/28 こまつ座「キネマの天地」稽古場レポ
2011年8月28日(日)
こまつ座「キネマの天地」通し稽古レポ
これぞ芝居!
通し稽古を拝見していて、
思わず、途中で拍手をしたくなってしまった位、
お芝居に、そして役者さん達のすごさに興奮いたしました!
左から大和田美帆さん、秋山菜津子さん、麻実れいさん、三田和代さん
「キネマの天地」というと山田洋次監督の映画(86年公開)を
思い浮かべる方も多いと思いますが、
この映画の脚本にも携わった井上ひさしさんが描いた
もう一つの、「キネマの天地」舞台版なのです。
映画や芝居が大好きで、そしてなにより役者さん達を大好きだった
井上ひさしさんの思いと愛情が、観劇後にどっと押し寄せるように伝わってきます!
ストーリーは。。
昭和10年、日本映画華やかなりし頃。
女優松井チエ子、謎めいた死から一年。
築地東京劇場に集められた四人のスター女優たち!!
果たしてこの中に彼女を殺した犯人はいるのか・・・・・・?
サスペンスタッチ?謎解き?
そんな香りが漂いますが、そこは井上作品、
可笑しくも愛おしい人間ドラマが展開いたします!
そして展開が、通常の展開じゃないんですね。
井上作品的面白さを存分に味わえる作品です!
ちなみに、サスペンス系は苦手で。。と敬遠されてる方、
ご安心下さい、めちゃめちゃ楽しめます。保証いたします。
四人のスター女優を演じるのは
麻実れいさん、三田和代さん、秋山菜津子さん、大和田美帆さん。
左から大和田美帆さん、秋山菜津子さん、麻実れいさん、三田和代さん
ルックスから芸風、キャリアまで、四者四様のスター女優、
それぞれの登場の仕方がまたいいっ!
もうこの四人が魅力的ですごいのなんの!
最初は、この四人の魅力をそれぞれレポとして書こうと思ったのですが、
事前情報なしで、登場シーンから含めて、
劇場でみていただくのが一番と思いCUT!
とにかくこの四人の女優さん、最高です。
そんな女優さんたちと関る三人の男たちを演じるのは、
映画監督で死んだチエ子の夫役=浅野和之さん、
東京帝大出の助監督役=古河耕史さん、
そして万年下積役者=木場勝己さん。
「あて書きでは!」と思えるほど、皆さんそれぞれの役を生きておられます。
左から麻実れいさん、浅野和之さん、三田和代さん
そしてこのお芝居、昭和初期という舞台背景の空気はしっかりと伝わるのですが、
不思議なくらい時代のギャップ(古さ)を感じないんですね。
役者の性というものが普遍的ということもあると思いますが、
観てるこちらが気付かぬうちに、身も心もまるごと
ふわっと当時に連れて行かれた感覚でした。
七人の魅力的なキャスト!
劇中の台詞
「ウソをホントーのことに化けさせるのが芝居」
観終った後、この台詞が響くと思いますよ。
これぞ芝居です!
演出をつける栗山民也さん(一番左は木場勝己さん)♪
こまつ座 第95回公演・紀伊國屋書店提携
「キネマの天地」
2011年9月5日~10月1日まで紀伊國屋サザンシアターにて(公演HP)
その後、大阪公演(10/4,5@シアター・ドラマシティ)、岩手公演(10/8@盛岡劇場)、
山形公演(10/10@川西町フレンドリープラザ)でも上演。
<言葉豆知識>
【モガってご存知?】
映画スター全盛の時代・・・スターたちはモガ(モダンガール)、
モボ(モダンボーイ)と呼ばれ最先端の若者文化を表現する憧れの存在でした。
【ヴァンプってご存知?】
ヴァンプはヴァンパイアの略で、
当時用いられた意味は“男を惑わす妖しい女”。謎めいた響きです。
おけぴ稽古場取材班:chiaki、おけぴ管理人 写真提供:落合高仁さん