11/09/04 こまつ座「キネマの天地」ゲネレポ@紀伊國屋サザンシアター
2011年9月4日(日)
こまつ座「キネマの天地」ゲネレポ@紀伊國屋サザンシアター
9月5日~10月1日まで新宿の紀伊國屋サザンシアターにて上演中の「キネマの天地」。
初日前日・ゲネプロを拝見してまいりました!
稽古場での通し稽古の様子もレポさせていただき
「これぞお芝居」!と感激をお伝えしましたが、
劇場に入り、セットや衣裳もついたゲネを拝見させていただいた感想は・・・
これぞ演劇!お芝居ブラボー!
演劇って素晴らしい!
面白かった!
出演者全員の演技、井上ひさしさんの愛に溢れた戯曲、そして栗山民也さんの演出。
客席に溢れる笑顔、劇場を出るときに感じる心の温かさ。
演劇を、そして映画を、芸術を愛する全ての方に観ていただきたい作品です。
1930年代、日本映画界が隆盛を極めた時代。
劇場に集められた4人の銀幕スター女優、
立花かず子(麻実れい),徳川駒子(三田和代),滝沢菊江(秋山菜津子),田中小春(大和田美帆)。
スター女優を演じる4人に拍手!
そのやり取りがもう抱腹絶倒です。
自分のセリフの数を気にしたり、アップになる回数を競ったり。
女優同士の意地の張り合い、ぶつかり合い。面白すぎます!
稽古場レポでは、あえて女優4人の魅力部分を伏せさせていただきましたが、
ゲネレポでは興奮の勢いにのって”登場順”にてご紹介させていただきます!
まずは人気急上昇中の若手女優・小春を演じる大和田美帆さん。
可愛さの中に見え隠れする上昇志向とちゃっかりさ、大好演です♪
若い助監督(古河耕史さん)を翻弄しまくり!
秋山菜津子さんが演じるのは、妖艶な魅力で観客を虜にするヴァンプ女優。
でも実は新劇出身で生真面目なのかも。おみ足が美しぃっ!
着物姿は“日本のおかあさん女優”を演じる三田和代さん。
三田さん・・はかなげなヒロイン女優のイメージがありましたが、
今回の舞台ではお茶目で可愛い!「うどん粉女優」には笑いました!
そしてそして大スター女優を演じる麻実れいさん。
完璧です。圧巻です。
麻実さんにこんなに笑わされる日がやってくるとは。
大女優の「不健康自慢」が面白すぎる!
ぜひ舞台で観ていただきたいあの大女優オーラ!
麻実さんとっても楽しそうに演じてらっしゃいました。
あの麻実さんがお餅を・・(舞台でお確かめください!)
(左が麻実れいさん、右が三田和代さん)
4人に召集をかけたのは松竹映画の人気監督・小倉虎吉郎(浅野和之さん)。
喜劇の名手という役柄を浅野さんがちょっぴりとぼけた味わいで演じます。
次回作となる超大作映画の打ち合わせだったはずが、
話はなぜか去年上演された舞台の再演話にすり替わっていて・・。
去年の舞台上演中に変死を遂げた、監督の妻である女優・松井チエ子。
監督はその真犯人を探すために4人の女優を舞台に呼び寄せたのでありました!
そこで登場するのが、
万年下積み役者の尾上竹之助(木場勝己さん)。
「演じられる喜び」が、木場さんのセリフから身体から、にじみ出るようで、
井上ひさしさんの俳優に対する温かいまなざしを感じます。
芸達者の木場さんだからこそ演じられる役柄でした。二幕ラストは必見!
劇中で静かな変化を見せる古河耕史さんにもご注目!
助監督という役柄、ナイスキャスティングです。
犯人捜しのサスペンスなのか、
女優たちの内幕を描くコメディなのか。
客席の意識は何度もひっくり返されます。
栗山民也さんによる演出も演劇ならでは。
はっとする場面がいくつも。
ワンシチュエーションで、派手な仕掛けや音楽はないですが、
本当に「これぞ演劇!お芝居ブラボー!」な気持ちを味わえます!
ぜひ劇場で、生で、観て欲しい芝居です。
声高な主義主張はありません。
そこにあるのは井上さん、
そして栗山さんの演劇そして映画、すべての芸術に対する愛情。
間違いなく、今の日本で観られるお芝居の最高峰のひとつ。
演劇を愛する方(1度でも“作る側”に立ったことがある方は特に)は全員必見!
と言いたくなる、こまつ座「キネマの天地」は
2011年9月5日~10月1日まで紀伊國屋サザンシアターにて
(公演HP)
その後、大阪公演(10/4,5@シアター・ドラマシティ)、岩手公演(10/8@盛岡劇場)、
山形公演(10/10@川西町フレンドリープラザ)でも上演予定。
おけぴ稽古場取材班:mamiko、おけぴ管理人 写真提供:こまつ座(©谷古宇正彦)