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12/05/01 レチタカルダ「ジャンヌ・ダルク」新妻聖子さんインタビュー

2012年5月1日(火)
朗読活劇レチタ・カルダ
「ジャンヌ・ダルク」新妻聖子さんインタビュー

イタリア語で“熱い朗読”を意味するレチタ・カルダ。
そのレチタ・カルダシリーズ「ジャンヌ・ダルク」にご出演の新妻聖子さんに
朗読の魅力、ジャンヌ・ダルク像から表現者としての想いなど
大変興味深いお話をたっぷりとお伺いしてきました。

おけぴ管理人)まずは朗読という表現の魅力からお話を聞かせてください。

新妻聖子さん)
最近ではNHKの「日本怪談物語」という番組で朗読をしましたが、
限りなく一人芝居に近い感覚でしたね、とても楽しかったです。
聞いてくださる方が物語の世界を想像するにあたって、
それを導くのが私の口から発せられる言葉のみということが、
すごく面白く、やり甲斐がありました。

そして読んでいる側も読み始めてみないとどこへ行くかわからないところもあり、
私自身も物語の旅に出られるという楽しさもありますね。

ですので、私にとっての朗読は想像力が最大限にかき立てられ、
想像の世界で様々なものが見えてくるという演劇の本質、
もっとも純化されたジャンルのような気がしています。

おけぴ管理人)
新妻さんの魅力の一つである“声”、
朗読では何かほかの表現と違う声のアプローチはされますか。

新妻さん)朗読ではナレーターとして読む場面、
もしくは鍵かっこの中の台詞を読む場面があります。
台詞という部分に関して、先ほど話題に出した“怪談”では
2,3人の登場人物の声色を変えて読みました。
動きが制約されていた分、声で動く!
それもとても楽しかったです。

おけぴ管理人)
では今回の作品についてお話を進めます。
今、新妻さんの中でのジャンヌ・ダルクはどのような人物像ですか。

新妻さん)
まず、ジャンヌ・ダルクという人物について、
その名はもちろん知っていましたが、
今回この作品をやることになって色々と調べたら、
その実態については意外に知らなかったことが多くありました。
素朴な少女が何かに突き動かされて戦争をして処刑される。
そんな彼女の生々しい生涯について、
スタッフの皆さんと懇々とお話しする中で、私が何度も主張したのは、
彼女の戦果が美化されたり、聖人視され過ぎることへの疑問、違和感です。

母国を守るためとはいえ、彼女の行いの結果として実際に敵の兵士は死んだのです。
ジャンヌには少しでも良いから戦争をしたことに対する痛みや重さは感じていて欲しいですし、
戦争が最善策だったという印象の残る芝居にはしたくないな、と思いました。

おけぴ管理人)とても興味深いアプローチです。
これまでの“英雄像”だけではない人間としての体温のあるジャンヌ像になりそうですね。

新妻さん)
そうなるといいなと思います。
ジャンヌの生涯を描くにあたって、
その部分に異論を唱え始めたら一歩も踏み出せないくらい核になるところではありますし、
もちろんエンターテイメントとしてドラマティックに描くことも必要だと思います。
ただ、どうしても戦争が正しかったとは言いたくないのです。

私は演じる側として、どの役でも私というフィルタを通して伝えるときには
何らかのイデオロギーを持って臨みたいと思っています。
だからといって、この作品を反戦ものとして作り上げるというのではなく、
母国フランスから見たら英雄だけど、
反対にイギリス側から見たらどうなのだろうかなど考えていく中で、
神の啓示を受けた人であっても、やはり彼女にも人間として悩んでいて欲しいと思いました。

あとは、聞いてくださった方が、どう感じてくださるかですね。
色々なジャンヌ・ダルクの物語がある中で、
「新妻の語りで聞いたのは今までのとちょっと違うよね」と、
何かを感じていただけるとうれしいです。

おけぴ管理人)
新妻さんと“ジャンヌ・ダルク”からまず思い出されたのは、
ミュージカル「マリー・アントワネット」で演じられた“マルグリット・アルノー”です。
マルグリットとジャンヌについてお話を聞かせてください。

新妻さん)
そうですよね(笑) 同じフランスですしね。
マルグリットは彼女の中の恨み・憎しみ・復讐心から“戦い”という行動に繋がり、
戦いに喜びすら感じ突っ走ります。
そして、自分が踏み出した一歩、それによって目の前で処刑されるマリーアントワネットを見て、
どんなにきれいごとを並べても、誰かを傷つける一歩だったということを感じ、
自分が望んでいたのはこれなのか。と彼女の中で何かが崩れ落ちる。

それに対して、ジャンヌは戦争の只中には
身を置かずに済むような状況で育ったにもかかわらず、
神の声によって戦争というものに関わっていく。
彼女の場合は自分の中から戦いの衝動が湧き出ていません。
そこに“聖人”と呼ばれる所以があるのでしょう。
その点は明らかに違うのですが、
実はそこにも「本当にそうなのかな?」と思っている私がいます。

たとえば、神の声を聞き、村を出て、王太子に会い、戦いの前線に立つ。
そこまでは不思議な力に導かれた神秘だとしても、
戦場で苦楽を共にしてきた仲間が目の前で殺されたとき、
彼女の中に“やり返してやりたい”という気持ちが芽生えなかったのだろうかということです。

マルグリットのように内なる衝動が芽生えるのか、
やはり聖戦として神の意志で動くのか、朗読の中でどこまでできるかはわかりませんが、
実際に読んで、動いていったときにどう感じるのか楽しみです。

おけぴ管理人)
続いて「レチタ・カルダ」(朗読活劇)ってどのようなものだろうと思う方も多いかと思いますが
その公演スタイルについて聞かせてください。

新妻さん)これまで私が思うジャンヌのお話をしてきましたが、
今回はジャンヌを“演じる”わけではないんですよね。
もちろん、朗読の本が用意されていますが、暗譜(暗唱)して動くところもあります。
それは台詞部分だけでなく、ナレーターとしても本を見ることなく語るという場面もあります。
まさに朗読+活劇な部分です。

おけぴ管理人)
そして、さらにスパニッシュ・コネクションのみなさんの音楽も加わりますね。

新妻さん)はい!スパニッシュというのがいいですよね!
ヴァイオリンの平松加奈さんは以前私のライブで弾いてくださった方という偶然も!!

そして、音楽に関しても、一つリクエストさせていただき、無理のない流れの中で3曲ほど歌います。
THEミュージカル的な歌ではなく、ジャンヌの心情に沿った歌を、
私も楽器のひとつになったかのように歌いたいなと考えたとき、
まず心に浮かんだのは讃美歌です。
そして、子守唄。
これは人が心細くなったとき、母親を思い出し、
そして母が歌ってくれた子守唄を歌うのではという発想からのアイデアです。

このように台本そのものは以前、坂本真綾さんがされたときと一緒ですが、
新たに書き加えていただいたり、書き換えていただいたり、
ちょっとテイストの異なった形になります。

おけぴ管理人)
積極的に作品作りに参加されていて、これは新妻さんならではの公演になりそうですね。

新妻さん)
こんなに暑苦しいくらい参加したがる女優は、あまりいないと思います(笑)
主催のみなさんが広い心で受け入れてくださって、
私の主張に耳を傾けてくださり実現に向け動いてくださる。本当に恵まれています。

おけぴ管理人)
上演される環境も屋外ととてもユニークですよね。

新妻さん)屋外での朗読は私も初めてです。
私自身、お客さん目線で考えると、開演のころ、
6月の5時はまだ明るくて物語が進むにつれて日が暮れていく。。。
なんてロマンティックなの!ですよね。
鳥の鳴き声や場合によっては雷、自然の中の色々な音も聞こえるでしょうし、
それすら演出として取り入れられたら、まさにそのとき限りのステージになりますよね。
私が公演を行う上野水上野外音楽堂は
屋外といっても屋根があるので少々の雨は大丈夫ですが、
みなさん、虫よけスプレーはお忘れなく!

おけぴ管理人)
今後のスケジュールを拝見すると、レチタ・カルダの他にも
ストレートプレイ、ミュージカル、コンサートと実に多彩な活躍です!
“表現者・新妻聖子”のこれからについてお話を聞かせてください。

新妻さん)
私はそもそもデビューが遅く、大学を卒業してからこの世界に入りました
しかもそれまで舞台を見たことすらなかった、まさにゼロからのスタートでした。
デビューからまだ10年経っていない中で、本当に様々な役、様々な機会を経験してきました。
ストレートプレイやミュージカル、複数キャストやシングルキャスト、ロングラン公演、旅公演・・・など、
猛スピードで習得させてもらい、ライブも5回目となります。
たとえばライブに関しては試行錯誤しながら歩んできて、持ち歌もお客様も増え、
ようやくひな形というか、新妻聖子のライブのスタイルが出来てきました。
そうなると、次は壊さなくてはいけない、同じことは出来ないなと思うのです。
かといって急にエグザイルみたいなライブを目指す!とかではないですよ(笑)

今年に入ってから、アーティスト、表現者としてその先に何を目指すべきか、ということを考えています。
私が考えるアーティストというのは表現したいこと、伝えたいことが明確にあり、
それをお客様に届ける人です。
その意味でシンガーソングライターというのはわかりやすいですよね。
ただ、私は女優であり、シンガーです。
作品があってそれを表現する立場としては、実は自分で“書く”以上に明確に伝えたいものを持っていないと、
ただのカラオケになってしまいます。
舞台で役を掘り下げるのと同じように、
一曲一曲丁寧にディープに掘り下げていかないと
ただ(技術的に)歌のうまい人、それ以上にはなれないと思います。
今後は、「新妻聖子の歌う、あの歌が聴きたい!」と言われるような、ハッキリとしたカラーを、
私自身の中でしっかりと作り上げていきたいです。

おけぴ管理人)
カッコイです!そのディープな掘り下げが実際のステージにも表れているように思います。
ディープさゆえ気になるのですが、舞台に関しては公演期間中など“役”と“実生活”のバランスはどんな感じですか。

新妻さん)
自分自身では特に意識をしていないのですが、家族の反応がね(笑)
「ライト・イン・ザ・ピアッツァ」ではふんわりとした役柄でしたので、
家族に大評判!かわいいからずっとその役をやっていてと言われたのですが、
革命家や狂気を持った芸術家では、目が怖いと言われ。。。
乗り移り傾向、あるみたいですね。

おけぴ管理人)
狂気を持った芸術家、それすなわち、「GOLD」のころでしょうか。

新妻さん)
そうです。カミーユという役は本当にいろいろと大変でした。
実はカミーユ以降、ジムに通っているのですよ。

というのも、実は公演中に腹筋が「ぶちっ」と音を立てて切れまして。。。(笑)
これまでは持って生まれた代謝の良さと声帯の強さで30年生きてきましたが、
タイトルロールなど大役を任せていただき、
出ずっぱりという状況ではある程度トレーニングをして身体も筋肉をつけないと無理だと思い
運動と無縁だった私がジム通いです。

おけぴ管理人)
心身ともに鍛え、6月からの怒涛のスケジュールに臨まれるわけですね。

新妻さん)6月以降、すごく慌ただしいですよね(笑)
ただ、どの稽古も佳境を迎える前の、今が大事なのです。
今、覚えておかないと間に合わないんですよね。
でも、なかなか。期限を決めないと覚えられなくて。

おけぴ管理人)
公演中のハードさばかりに目が行きますが、それまでの準備もそれ以上にハードなのですね。

新妻さん)
舞台に出ているときはむしろご褒美、努力が報われる瞬間ですから。
稽古や準備期間は、筋トレと一緒です!!

きらきらした笑顔と、とても男前な気質が印象的で、
役柄、作品と向かい合う姿勢も凛としていて、とても素敵な新妻聖子さん。
途中、屋外での公演の際にどうしても気になるお天気のお話も出ましたが、
新妻さんならどんな天候もGood Condition/味方にして
独自のジャンヌ・ダルクを見せてくれるような頼もしさを感じました!

~耳寄り情報!~
インタビューの中にも出てきたように、シンガーとしてもご活躍の新妻聖子さん。
5月16日に発売となる5thシングル「ありがとう」は
ジューンブライドを意識したキュン&ウルッときてしまう素敵な一曲。
作詞作曲は辛島美登里さん、サウンドプロデュースは武部聡志さんという
豪華な布陣と新妻さんの表現力で素晴らしい楽曲になっています♪
舞台とはまた一味違った新妻聖子さんの魅力をぜひ!!

(おまけ)
ジャンヌの12,3歳から演じる新妻さんから、
「ミス・サイゴン」では17歳でしょう、今年は十代が多くて!
あ、骨唄は10歳でした!舞台のマジック、お楽しみに!」


ネイルもとってもかわいい!!!

<新妻聖子さん今後の公演情報>
・レチタ・カルダ「ジャンヌ・ダルク」
 2012年6月3日(日)17時より
 上野水上野外音楽堂にて
 歌・語り:新妻聖子
 音楽:スパニッシュコネクション

・三人芝居「骨唄 」
 2012年6月28日-7月1日@池袋あうるすぽっと (他、全国公演)
・ミュージカル「Bitter days, Sweet nights 」
 2012年8月2日-8月11日@CBGK シブゲキ!!
・ミュージカル「ミス・サイゴン 」
 2012年8月22日-9月8日@青山劇場 (他、全国公演)
・新妻聖子ライブツアー 2012
 2012年11月17日-12月8日@東京、神奈川、他 関東7ヵ所開催

CDリリース
New Maxi single 「ありがとう」
2012年5月16日 ポニーキャニオンより発売
作詞作曲 辛島美登里/編曲 武部聡志
↓↓↓↓↓

新妻聖子さんHPはこちら



おけぴ取材班:chiaki、おけぴ管理人 撮影:おけぴ管理人


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もともとミュージカルには拒否反応があったんです。「なんで歌うねん」と。が、2000年、松たか子 ファンの後輩に誘われてみにいったオケピ!でミュージカルの拒否反応が消え、強引に連れていかれたライオンキングでスイッチが転換、夢から醒めた夢で初のリピート (6回)そして差し入れ・ファンレター初体験。 キャッツで初の名古屋遠征、 レミゼに感動。翌2001年、四季ハムレットで初のマチソワジーザス出待ち初体験、2002年モーツァルト!に興奮。2003年からは観劇に幅が出て、 2004年はラスベガス、ニューヨーク、ウィーンへと年3回も観劇ツアーに出かけてしまう。その勢いで2005年、会社を辞めて独立。現在2日1本ペースで感激中♪

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感激ポイント:1幕最初の衝撃
好きなシーン:群舞、小芝居
大好きな演目:ルドルフ、星組ロミジュリ

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