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12/05/30 劇団青年座第203回公演「THAT FACE~その顔」稽古場レポ&インタビュー

2012年5月30日(水)13:00
おけぴ会員稽古場レポ隊企画
劇団青年座第203回公演『THAT FACE~その顔』稽古場レポ&宇宙(たかおき)さんインタビュー


(青年座若手注目株!ヘンリー役を演じる宇宙さんにお話を伺ってまいりました♪)


青年座×おけぴ企画第2弾!

今の時代を生きる作家の創作劇にこだわる名門劇団・青年座。
日本の作品を上演することが多い青年座としては、異例ともいえる海外戯曲の上演が決定したとお聞きして、興味津々!
早速、おけぴスタッフ&抽選で選ばれたおけぴ会員レポ隊5名の皆さんと
青年座第203回公演「THAT FACE~その顔」の稽古場にお邪魔してまいりました!

到着早々にご案内いただいたのは、本番の舞台となる劇場内、
部屋のセットがドーンとそびえ立ち、圧倒されます。
劇場スタッフの方が照明をつけて下さった途端、雰囲気はがらりと変わり、
外では東京の5月の風が吹いているのに、ここはロンドンのアパートの一室と化してしまいました。
舞台上にも上がらせて頂き、緻密に作ってあるセットを隅々まで見学させていただきました!


続いて2階の会議室へ移動。
本作の要となる役どころ、兄のヘンリーを演じられる、
宇宙(たかおき)さんにお話を伺ってまいりました。

「THAT FACE~その顔」はイギリスの女性作家ポリー・ステナムが19歳の時に書いた2007年の作品。
アルコール依存症の母、家族を捨て香港に暮らす父、学校の寮で事件を起こした妹、
そのはざまで奮闘する高校を中退した兄・ヘンリー、という家族四人の想いが交錯する、
密度の濃い会話劇です。


レポ隊)
海外の創作劇を青年座が上演することは、大変珍しいと思うんですが。

宇宙さん)
海外戯曲を取り上げることは本公演ではほとんどなくて、
「青年座史上初めて」らしいです。
今回の戯曲は日本初演でもありますね。

レポ隊)
プレッシャーを感じてらっしゃいますか?

宇宙さん)
ほとんど感じないタイプです(笑)。

気さくな宇宙さんの佇まいに、緊張していたレポ隊もホッとして、
終始和やかな雰囲気でのインタビューとなりました。
レポ隊は前もって戯曲を読ませて頂いており、内容に突っ込んだ質問も多く飛び出しました。

レポ隊)
お稽古の進行具合、手応えはいかがですか?

宇宙さん)
まだまだ分からないというのが正直な感想です。
脚本をスタッフ・キャストみんな面白いと思っていて、
もともと「100」あるところを、僕たちがどれだけプラスアルファできるか、
どれだけ濃さを詰めて行けるか、という作業に入っていまして・・。
青年座でやったからこそ見ることができた!というものが出てくればな、と試行錯誤している段階です。


(レポ隊の質問に真摯に答えて下さる宇宙さん)

レポ隊)
昨年の『欲望という名の電車』では高畑淳子さんと、
今回は那須佐代子さん(母・マーサ役)と、
劇団のベテラン女優さん達とのご共演が続いていますね。

宇宙さん)
そうなんです(笑)。
那須さんはリアリティのあるお芝居が得意な方だと僕は思っているので、
それに対して僕が、どれだけ一緒に「生(なま)」に、「ロー(raw)」に入っていけるかを楽しみにしています。
日本語だと「生」ですけど、「ロー」って言うとちょっと「ぐちゃっ」とした感じ(笑)。
それを芝居の中で出来たらなと。
そこは戯曲に書かれていない部分でもあるので、
芝居の中でどれだけお互いに共通認識を持って作っていけるかが、課題になっていますね。

レポ隊)
母・マーサとの関係は微妙で複雑なものに思えますが、実際に演じてみていかがですか?

宇宙さん)
ヘンリーは、母親を本当に愛しちゃってる人にも見えますよね、マザコンというか・・。
演出家によっても変わるんでしょうけど、
最初は、自分の母親に恋愛感情を抱くというところまで持って行こうしていて・・
もうー、これはきつかったですよ!
この芝居が始まって本当の母親にも「母ちゃんごめん、しばらく連絡できないわ」みたいな(笑)。
今は、ヘンリーという役に少し触れるぐらいのところまできたので、
うちの母ちゃんとはまた別だなって思えるんですけど(笑)、最初は何だか妙でしたよね。


(表情豊かに質問に答えて下さる宇宙さん!!)


レポ隊) 
実際に稽古場で合わせてみて、脚本に対する自分の印象が他の出演者と違うことは?

宇宙さん)
それは大いにあります。
もう大げんかですよ、動物園みたいになっちゃいます(笑)。
最終的にコンセンサスをとるのは演出家さんですが、
いま現在は、皆で意見を言い合う現場になっています。
「ちょっと待って下さい!」とか言って(笑)。

レポ隊) 
演出家さんに意見されるのですか?

宇宙さん)
現場によっては、演出家がバシッと言うケースもありますけど、
今回は、ああじゃないこうじゃないと全員で格闘しながら進めています。
出演者それぞれ作品に対して色々な印象を持っているので、
シーンを何百通りも作ることができるんです。

レポ隊)
この脚本は誰かに加担することがなく、登場人物それぞれの視点があって面白いですね。

宇宙さん)
そうなんです。
どれだけ相手を解釈しているかという点がしっかりと描かれているので、
その勘違いの愛というか、
家族四人の解釈のすれ違いが見えれば面白いと思います。
「私のこと理解してくれてるでしょ?」という前提で生きていて、
でも「本当は全然分かっていない」ということが表現できたらなと。

レポ隊)
ヘンリーは加害者であり、被害者であるように思うのですが、いかがでしょうか?

宇宙さん)
そうですね。
この作品は登場人物の「善と悪」とか、「闇と光」とかが、はっきり分からない。
誰が悪いということではなくて、ただ起きたことがそのまま(舞台に)のっかっているのが、
最終的には美しいなと。
良いも悪いも共存していることが、凄いことだと思います。


レポ隊)
具体的な役作りの方法は?

宇宙さん)
今回の役に関しては、映画や本で調べたりはしていません。
もちろん頭で考えたことも一杯あったんですけど、
やっぱり舞台に立ってみた時に、身体で感じることがすごく多くて・・。
18歳で、本来だったらもっと運動とかをしているはずだよな、とか考えながら。
彼の初めてのセックスが劇中で描かれてるんですけど、
自分の身体を置き去りにしていた、その感覚を味わいたいと思いました。
ヘンリー君が「感じとったぞ!」という事を感じとっている、今日この頃です(笑)。

いつもなら「俺だったらこうする」というのを含んで相手役と会話するところを
今回は「今ヘンリーどっちに向かってる?」とか考えながらやっていて。
だから始めの頃はテンポが悪かったんですけど(笑)。

レポ隊)
重たいお芝居で大変な稽古場なのでは?

宇宙さん)
脚本は重いんですが、読み終わった後に「もう立てない・・」とはならないですよね。
僕の場合は「誰かに明日何かを伝えに行こう」という気持ちになりました。
例えば会社に行ったら「おはよう」とちゃんと言ってみようとか、
そういう気持ちにさせるような光は感じられる。

家族4人それぞれの歪みを作った原因が「愛」にあるということが、
なんとかこの脚本を最後まで繋ぎとめる糸、というか・・。
決してみんな悪意があるわけじゃなくて、愛にまっすぐだからこそ、歪んでしまったという哀しさ。
どこの家族にもありそうなことだと思います。

レポ隊)
最後に気になっていたことを。
「宇宙」と書いて、「たかおき」と読むお名前は本名ですか?

宇宙さん)
本名です。
下の名前が宇宙、たかおきです。
自分でそんな大層な名前付けられないですよ!!(笑)。


宇宙さんの役に対する真摯さと、中身の濃い戯曲に背中を押されて、
熱気のあるインタビュー現場となりました!
宇宙さんは、身振り手振りを交えて、一人一人の目を見ながら話す姿が印象的で、
真っすぐな姿勢でお芝居に取り組んでいらっしゃる様子が伝わってきました。
宇宙さん、たくさんのお話をありがとうございました!

インタビューに続いて制作スタッフの方に劇場の裏側をご案内いただきました。
滅多に入ることのできない場所なので、緊張しながらも興味津々のレポ隊です。


(舞台を見下ろす位置にある調光室です。その奥は小道具置き場)

(たくさんの配線がきれいにまとめられています)

続いて稽古場へ潜入!
(稽古場と言っても、本番の公演を行う劇場です!)

第5場、ミアと友人イジィの場面を初めてやってみるということで、
一体どんな展開になるのかレポ隊もドキドキ・・。

父親が帰って来ることになり、友人イジィに早く帰って欲しいミア(尾身美詞さん)。
しかしイジィはなかなか言うことを聞いてくれません

尾身美詞さんの吸い込まれそうな眼差し・・。 妹のミア役は作者のポリー・ステナムが自身を投影した人物です。
台本をチェックするイジィ役の高橋幸子さん。 ちょっとコミカルな雰囲気も楽しい場面で、高橋さんイキイキと演技されています♪



じゃれあう女子高生になりきるお2人!

立ち位置やタイミング、台詞回しなど
演出家・伊藤大さんから具体的な指示が出て、シーンを繰り返すたびに出演者の演技がどんどん変わって行きます。
稽古場でお芝居が完成して行く過程を見せていただき、否応なしに高まる期待!

2人が暴れているところへ、ヘンリー役の宇宙さんが登場して場の空気が一変します!
写真右の背中は演出の伊藤大さん。

宇宙さんが積極的に意見を出して、演出家の伊藤さんがそれに応えます。
登場人物の心情も踏まえて、動きもどんどん試してみる、そこへさらに注文が出る。
インタビューでも語っていらした「意見交換」がまさに目の前で!
心地良い緊張感の中で、役者さんと演出家さんのセッションが続きます。

稽古場、インタビューの様子は、
おけぴレポ隊参加者の方のブログでも紹介されていますので、ぜひご覧くださいませ。

「名門「劇団青年座」探訪&若手俳優・宇宙(たかおき)インタビュー 」(近江のお兼さん)

レポ隊参加者の皆さんから届いた感想も、一部抜粋してご紹介いたしますね♪

(レポ隊Aさんの感想より-稽古場について)
一区切り進めては、立ち位置を決め、動きを決め、
その間に役者達はそれぞれの意見を言い、より自分の役を詰めていきます。
今回は役者が演出家にも自由に意見を言えるそうです。
また、役者同士も意見を出し合い、より自分の役へ肉付けをしていきます。
決して大きな声で言い合うのではありませんが、流れる空気は真剣そのもの。

装置上に転がるビンや空き缶でケガをしないか、ハラハラして見つめますが、
その空き缶を片付けつつ、台詞を言って、指示通りに立ち位置まで進むなんて・・
ましてや、クッション持って立ち回り!?まで・・。
この日に観た印象と、役がどう変化したり、膨らんでいくのか、またまた楽しみが増えました。
そして、実際に観客が入った舞台も、と~っても楽しみにしております。

(レポ隊Yさんの感想より-戯曲について)
稽古場見学に先がけて台本を読ませて頂いたのですが・・・これが面白い!!
戯曲だけ読んで面白いと思った作品ってないのですが、この本の人物、会話が面白いです。
あっという間に読み進んでしまいました。
それでいていろいろな角度から読むことができる作品で、
それを今回どのように作っていくのかも見どころだなと感じました。
レポ隊も台本を読んできているので、内容の解釈にも触れた質問もあり、
これだけでもこの作品が多角的に読むことができる作品だということだということが分かりました。

(レポ隊Yさんの感想より-宇宙さんについて)
今回、難しい息子役ヘンリーに挑戦する宇宙(たかおき)さん。
自らの母親との関係を考えた時に悩んだと語りながらも、今は役を消化しつつあるようで、
「自分のホームグランドの青年座での芝居なので、演出家にも自分の考えはぶつけていきたい。」
と役作りついて語った。
完成した実際の舞台で「その顔」は、最後にどんな表情をみせるのか・・・楽しみである。


それぞれに問題を抱えた家族四人が、激しい愛を巡ってぶつかり合う究極の人間ドラマ。
イギリスの新鋭女性作家ポリー・ステナム衝撃のデビュー作「THAT FACE~その顔」。
日本初演、青年座が海外戯曲シリーズの第1弾として上演するこの機会を、お見逃しなく!

青年座第203回公演
『THAT FACE~その顔』
6月14日(木)~24日(日)
公式ホームページはこちら

<ストーリー>
舞台は現代、ロンドンのアパート
酒とクスリに依存している母・マーサ
高校を中退した兄・ヘンリー
全寮制の学校に通う妹・ミア
家族を捨て、今はお金を送るだけの存在の父・ヒュー

ミアが学校で事件を起こした
イジィと共に下級生アリスにクスリを大量に飲ませ、意識を失わせたという
学校から連絡があった父が久しぶりに家に戻ってくる

距離もココロも離れた家族
それぞれが見せる「その顔」とは…

<戯曲『THAT FACE』受賞歴>
イブニング・スタンダード賞 最優秀新人賞(2007年)
TMA(舞台運営協会)最優秀新作賞(2007年)
批評家協会演劇賞 最優秀新人賞(2008年)
オリヴィエ賞 最優秀新作賞にノミネート(2009年)



最後に宇宙さん&おけぴレポ隊で記念撮影♪

おけぴレポ隊企画、今後も引き続きよろしくお願いします♪



取材・撮影:yoshida 監修:おけぴ管理人


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おけぴ管理人プロフィール
名前:山野上 寛
mail:cs@okepi.jp
出身:大阪府茨木市
現住所:東京都中央区
もともとミュージカルには拒否反応があったんです。「なんで歌うねん」と。が、2000年、松たか子 ファンの後輩に誘われてみにいったオケピ!でミュージカルの拒否反応が消え、強引に連れていかれたライオンキングでスイッチが転換、夢から醒めた夢で初のリピート (6回)そして差し入れ・ファンレター初体験。 キャッツで初の名古屋遠征、 レミゼに感動。翌2001年、四季ハムレットで初のマチソワジーザス出待ち初体験、2002年モーツァルト!に興奮。2003年からは観劇に幅が出て、 2004年はラスベガス、ニューヨーク、ウィーンへと年3回も観劇ツアーに出かけてしまう。その勢いで2005年、会社を辞めて独立。現在2日1本ペースで感激中♪

役者さんにはまるポイント:声
感激ポイント:1幕最初の衝撃
好きなシーン:群舞、小芝居
大好きな演目:ルドルフ、星組ロミジュリ

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