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12/06/28 東京文化会館『日本舞踊×オーケストラ』記者発表会レポ

2012年6月28日(木)11:00
東京文化会館舞台芸術創造事業
『日本舞踊×オーケストラ -伝統の競演-』記者発表会レポ


(写真左:副館長 松本辰明さん、写真中央:花柳壽輔さん、写真左:井上八千代さん)

東京文化会館が、新たな舞台芸術の創造と発信への取り組みとして
今年の12月に上演する。
「東京文化会館舞台芸術創造事業『日本舞踊×オーケストラ –伝統の競演-』」。
その記者発表会の模様をお届けいたします。

『日本舞踊×オーケストラ』このフレーズを聞いただけで、
一体どういうことなんだろうと俄然興味を惹かれますが、
バレエの名作「牧神の午後」「ボレロ」の他、
「レ・シルフィード」「ロミオとジュリエット」「ペトルーシュカ」
の5演目をなんと日本舞踊で!!上演するとのこと。
しかも、東京フィルハーモニー管弦楽団のフルオーケストラによる生演奏、
これを花柳壽輔(はなやぎじゅすけ)さんによる新演出・新振付で、
いままでにない舞台芸術が誕生します!

副館長の松本辰明さん(上写真:左)のご挨拶にも並々ならぬ熱意が感じられ、
50周年を超え、東京文化会館は自主事業にさらに力を入れ、
質の高い創造発信に果敢に取り組んで行くことを改めて宣言されました。

今回の総合演出をされる、花柳流四世家元・四代目花柳壽輔さんの
ふくよかな佇まいで会場は終始和やかな雰囲気です。
しかし公演の内容は、聞けば聞くほど極めて革新的、挑戦的。
こういった表現が正しいのか分かりませんが、とにかく“面白そう”なのです。

花柳壽輔(はなやぎじゅすけ)さんが、
今回の企画でまず最初に思いついたのが『牧神の午後』だそうです。
ドビュッシー作曲の「牧神の午後への前奏曲」に基づいて作られた
バレエ・リュス(ロシア・バレエ団)のバレエ作品で、
ニジンスキー(1890-1950)が振付した近代バレエの傑作の一つ。
バレエ・リュス(1909-1929)とは、
ロシア出身のセルゲイ・ディアギレフ(1872-1929)が結成したバレエ団で、
バレエ界のみならず芸術全般において絶大な影響を及ぼした、
20世紀で最も重要なカンパニーのひとつです。

学生の頃からバレエが大好きだったと語る壽輔さん。
以前から、ニジンスキーが何故このような作品を作ったのか興味を持っていたとのことで、
『牧神の午後』は跳躍をほとんど排し、しかも、すり足のようにして移動したりと、
日本舞踊との共通点があると、壽輔さんは指摘します。
もしかしたらニジンスキーは日本の能を意識していた、
もしくは何らかの影響を受けていたのではないかと、
日本舞踊や東洋の様式との接点に演出のイマジネーションが既に膨らんでいるようでした。

牧神と7人のニンフが登場するこのバレエを、
花柳壽輔さんと井上流五世家元・五代目井上八千代さんの
お二人で舞うのが今回の『牧神の午後』。


壽輔)
「井上さんは京舞の伝統を頑なに守って来られた方で、
外での公演や、洋楽での公演などはこれまでなかったので、
ここは何としても口説き落として、共演第一号になりたかった(笑)」

これは日本舞踊の歴史的にも貴重な出会いとなりそうです。
井上さんから出演OKのお返事を受け、これでもう『牧神の午後』は完成すると確信し、
ほかの演目はスラスラと決まったとのことです。


井上八千代さんの笑顔が、開場をパッと明るくします。
華やいだ雰囲気に思わずこちらも笑顔になりました。

井上)
「オーケストラで舞うというお話をいただき、
最初はウズメでもするのかな、アマテラスかなとか、想像をめぐらしていましたら、
ニジンスキーの『牧神の午後』を二人でやると聞き、大変驚きました。
改めて曲を聞いていると、水や風、泉、森などを感じまして、
こんな横着な考えで申し訳ないのですが、次第に、
その中で楽しく遊んでみたいと思うようになりました」


井上)
「お受けしてから、本当に私で大丈夫かなと思っていました(笑)。
曲からいろいろなイメージを膨らませ、
日本画家の千住博さんの滝の絵のことなどを想像していましたら、
偶然にも“美術を千住さんにお願いしてみたいと思っているんだけど”、
と(花柳壽輔)先生からお話を伺いまして、
ああ、これはどこかで通じているんだなと思いました。」

そう、本公演は美術にも大注目なのです。
日本を代表する舞台美術家の朝倉摂さん、お話にも出ました日本画家の千住博さん、
そして絵本「不思議の国のアリス」の挿絵などの画家・金子國義さんが参加されています。

はんなりとした京都弁で会場を笑わせながら、公演への意気込みを語られた井上八千代さん。
牧神(壽輔さん)を誘惑するニンフ(井上さん)の、その攻防が今から大変楽しみです。



さて、今回の目玉の一つ『ボレロ』については、壽輔さんの思い入れが深いようで、
過去の思い出話とともに語って下さいました。

26年前、モーリス・ベジャールが「ザ・カブキ」というバレエ作品を作った際に、
日本側のスタッフとして壽輔さんも参加をし、
同行した海外公演での食事中、雑談でボレロを日本舞踊でやりたいと伝えたところ、
「君ならできるよ、是非おやんなさい」
と冗談交じりに言われたことがあったそうです。
あれから時は流れ、今『ボレロ』をやるには体力的にも難しいものがあり、
そこで頭に浮かんだのが野村萬斎さんだったのだそうです。

ちょうど萬斎さんが昨年12月に世田谷パブリックシアターで、『ボレロ』を上演していたこともあって、
生のオーケストラで、日本舞踊40人の群舞としての『ボレロ』を上演することを提案し、
萬斎さんも快諾をされたとのこと。


この日、萬斎さんはビデオメッセージでのご出演でした。

萬斎)
「『ボレロ』の螺旋状に上昇して行くような高揚感は群舞があってこそ。
ちょうど群舞をつけてやってみたいと思っていたところでお話をいただき嬉しかったです。
オーケストラのライブ感、2000人を超す東京文化会館のホールで、
贅沢な、夢のような企画に参加させていただき、大変楽しみにしております」

40名の紋付袴姿の男性群舞となるそうで、想像しただけでもドキドキして参ります。

『レ・シルフィード』では、六代目吾妻流家元の吾妻徳彌(あづまとくや)さんのほか、
20名の女性舞踊家による華やかで美しい群舞。

『ロミオとジュリエット』は花柳典幸さん、尾上紫さん、若手お二人による、
バルコニーシーンを歌舞伎風での上演。
『ペトルーシュカ』は、若柳里次朗さん、花柳寿太一郎さん、花柳大日翠さん、花柳輔蔵さん、
若手四人での「人形振り」が見所。

演奏は東京フィルハーモニー交響楽団、
指揮は花柳壽輔さんがぜひとも若手をと抜擢した大井剛史さん。

企画、出演者、演目、演出、スタッフ、全てが盤石、
内容の濃い『日本舞踊×オーケストラ -伝統の競演-』。
伝統を守りつつも、更なる発展への意欲的なチャレンジが伺える記者発表会でした。


2012年12月7日(金)19:00 東京文化会館大ホールにて上演

演目・振付・主な出演者:
レ・シルフィード(ショパン作曲)
振付:藤蔭静枝
出演:吾妻徳彌 ほか女性群舞20名

ロミオとジュリエット(プロコフィエフ作曲)
振付:坂東勝友
出演:花柳典幸(ロミオ)、尾上紫(ジュリエット)

ペトルーシュカ(ストラヴィンスキー作曲)
振付:五條珠實
出演:若柳里次朗(ペトルーシュカ)、花柳寿太一郎(ムーア人)、花柳大日翠(娘)、花柳輔蔵(呪術師)
美術:金子國義

牧神の午後(ドビュッシー作曲)
振付:花柳壽輔、井上八千代
出演:花柳壽輔、井上八千代
美術:千住博

ボレロ(ラヴェル作曲)
振付:野村萬斎、花柳輔太朗、花柳壽輔
出演:野村萬斎 ほか男性群舞40名

<スタッフ>
演出:花柳壽輔(はなやぎじゅすけ)
指揮:大井剛史
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
照明:沢田祐二
舞台監督:菅原多敢弘
ヘアメイク:川端富生
演出助手:川畑秀樹


おけぴ取材班&撮影:yoshida 監修:おけぴ管理人


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現住所:東京都中央区
もともとミュージカルには拒否反応があったんです。「なんで歌うねん」と。が、2000年、松たか子 ファンの後輩に誘われてみにいったオケピ!でミュージカルの拒否反応が消え、強引に連れていかれたライオンキングでスイッチが転換、夢から醒めた夢で初のリピート (6回)そして差し入れ・ファンレター初体験。 キャッツで初の名古屋遠征、 レミゼに感動。翌2001年、四季ハムレットで初のマチソワジーザス出待ち初体験、2002年モーツァルト!に興奮。2003年からは観劇に幅が出て、 2004年はラスベガス、ニューヨーク、ウィーンへと年3回も観劇ツアーに出かけてしまう。その勢いで2005年、会社を辞めて独立。現在2日1本ペースで感激中♪

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好きなシーン:群舞、小芝居
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