2008年11月15日(土) 17:20
音楽座ミュージカル
マドモアゼル・モーツァルト トライアウト公演レポ
□公演概要□
音楽座ミュージカル/Rカンパニー
「マドモアゼル・モーツァルト」
★公演日程
・東京公演 12/18(木)~12/28(日) 池袋・東京芸術劇場中ホール
・神奈川公演 2009/1/31(土)・2/1(日) グリーンホール相模大野
・兵庫公演 2009/3/6(金)・3/7(土) 兵庫県立芸術センター中ホール
★音楽座HP「マドモアゼル・モーツァルト」ページ
町田の稽古場で、本公演に先駆けて行われたトライアウト公演に行ってきました。
トライアウト公演とは、衣装や照明などは入らないものの、
可能な限り本番同様のクオリティで行うもので、音楽座ミュージカルのトライアウト公演は、
単なる公開通し稽古ではなく、このトライアウト公演を観た方の反応を
さらに作品作りに生かしていこうというものなのです(トライアウト公演詳細はこちら)。
私管理人が拝見したのはトライアウト公演2日目だったのですが、
1日目を観た観客の方達の反応をすでに2日目のトライアウト公演に反映されているとのこと!
(6~7箇所変えたそうです。セリフ、立ち位置、歌詞まで!)
このトライアウト公演、公演の前後に、本番と同様、バックステージツアー稽古場編、
ロビー面会稽古場編があるのです!
まずはおけぴスタッフ akki によるバックステージツアー稽古場編レポからどうぞ!
(※おけぴ管理人はトライアウト公演2日目の15日(土)に、akki は6日目の20日(木) に観てます)
バックステージツアー稽古場編
2階の稽古場に上がると、パイプ椅子がずらっと。
開演の20分前に「バックステージツアー稽古場編」がスタート。
Rカンパニーでは本公演の期間中も一部日程でバックステージツアーを開催していますが、
それの稽古場編…というかトライアウト公演特別版?
案内をしてくれるのは、藤田将範さん、野田久美子さん、渡辺修也さんの3人の俳優さん。
ここでは、トライアウト公演までの経緯が紙芝居形式で説明されました。
「マドモアゼル・モーツァルト」の音楽が小室哲哉さんに提供を受けたものであることから、
主催のTV局が降り、ついてくれていたスポンサー企業も「今回は…」と降り…。
せっかく作ったCMも、枠を劇団が買うと言っても流すこともできない状態で、
広告媒体が完全に断たれてしまったのだそう。
劇団で協議を重ねた末の上演決定…今、カンパニー内では「ピンチをチャンスに!」を
合言葉なんですって。そういうのって舞台に絶対表れますよね!
トライアウト公演は、照明も衣裳も小道具もほとんどないなど、本番とは違う点も多いので、
藤田さんから簡単に説明がありました。
セットも実際は球体のセットですが、稽古場には入らないので、どんぶり型だったり(笑)。
でも、精霊役の衣裳…というか稽古着を白で統一、人間役の人はカラフルな稽古着と
わかりやすくしてくださってましたね。
でも、「本番と同じなのは『やる気』!」
さて、参加者の皆さんはどこからトライアウト公演を観るか…。
なんと、キャットウォークと呼ばれる2階の稽古場に隣接した、1階稽古場を見下ろす位置に
ある細い通路に座布団をしいて桟敷席?での観劇なのでした!
そこからの眺めはこんな感じ。(「オペラ座の怪人」のボックス席みたい?)
バックステージツアー稽古場編のあと、いよいよトライアウト公演のスタートです!
トライアウト公演本編
今回、モーツァルトを演じるのは、なんと弱冠19歳の髙野菜々(こうのなな)さん!
フレッシュ!Rカンパニーの新人さん、大抜擢です。
髙野モーツァルトは、どこかあっけらかんとした、天真爛漫な少年っぽさがあります。
地声は意外と低く、ファルセットは綺麗に響きます。
陽性のオーラとでもいうんでしょうか、明るさは持って生まれたものですね。
本当はエリーザという女でありながら、作曲の才能のために男として育てられた
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト…中性的な魅力を持つ髙野さんと重なります。
だけど…女なのにコンスタンツェと結婚しちゃうんです!モーツァルト!
っていうか…コンスタンツェのママ(新木りえさん)、強烈・強引キャラなので、
あれじゃ、どうやっても逃げられないですねぇ…(苦笑)。
っていうか…よくバレなかったな~と思ったりしますが、モーツァルト自身、
「男として、作曲家として生きる」ことに疑問を持ってないので、
気づかれなかったんでしょうね~。
サリエリ(広田勇二さん)とカテリーナ(秋本みな子さん)、特にサリエリはモーツァルトの容姿、
触れた肌から、「本当に男か」と疑問を持つけれど、女と結婚できちゃったら、
信じるしかないですもんね。
でも、そんな結婚、そりゃ~、波乱が待ってるってもんです。
一つ屋根の下に住むコンスタンツェをモーツァルトは騙しきれるのか?
コンスタンツェはモーツァルトの秘密を知ってどうするか…これは苦しいですよ~。
愛する人と結婚したと思ったら、その人は女だったんですから!
そんな2人に、どんどん事態の変化が訪れます。
モーツァルトの弟子フランツ(山崎義也さん)の存在、コンスタンツェの妊娠、
モーツァルトの音楽を理解する父・レオポルト(新木啓介さん)の死、自由になったエリーザ…ほのかな恋?
彼女は、モーツァルトとして生きるのか…エリーザとして生きるのか…。
彼女の揺れる心が、コンスタンツェをはじめとした周りの人との関わりの中で織られていきます。
実はコンスタンツェ役の安彦佳津美さんもRカンパニーの新人さん。
安彦コンスタンツェは、とても柔らかな温かい歌声。
歌声自体も高野モーツァルトに寄り添うかのようです。
悪妻と言われることの多いコンスタンツェですが、
「マドモアゼル・モーツァルト」では普通の少女、女性として描かれています。
モーツァルトと結婚したがゆえのコンスタンツェの葛藤には涙しちゃいました…。
すごく共感できるんじゃないでしょうか。
2幕にモーツァルトが「魔笛」を書き上げた後に、
モーツァルトとコンスタンツェが歌う「朝焼け」というナンバーがあるんですが、
ものすごく沁みますよ。
あ、今、「魔笛」って書きました。
「マドモアゼル・モーツァルト」では、「魔笛」だけでなく
「フィガロの結婚」「ドン・ジョバンニ」
「コシ・ファン・トゥッテ」のストーリーが、うま~く話の中にダンス等で挿入されるので、
ちょっと頭においておくとより一層楽しめますよ。
そこに、モーツァルトの心象風景が重ねられるシーンもありますから♪
(R'blog 「天才音楽家・モーツァルトvol.3~オペラ~ 」ご参照)
この「マドモアゼル・モーツァルト」にもシカネーダー、出てきます!
(東宝版「モーツァルト!」では吉野圭吾さんですね。)
やっぱりシカネーダーっておいしい役です。
「マドモアゼル・モーツァルト」のシカネーダーは、男っぽいかっこよさがあるかな。
シカネーダーは、「メトロに乗って」や「リトルプリンス」、「七つの人形の恋物語」での好演も記憶に新しい、 吉田朋弘さん。
シカネーダー登場のシーンは、曲調も違うしノリがよくって、いいですね~♪
「魔笛」上演の後…悲しいラストとなるのですけれど、
それに続く「ラストテーマ」という曲で、なんともいえない感情が湧きあがります。
なんて言ったらいいのでしょう…悲しくもあるのですけれど、どこか清々しい…。
モーツァルトの音楽の美しさ、軽やかさと同じように、モーツァルトも当時の人たちの間を風と
なって吹き抜けていったような感覚…。
モーツァルトの音楽が死なないように、
もしかしたらモーツァルトの魂も私たちの周りをめぐっているのかもしれない…
そんな気にさせてくれる曲。
明るく描かれてるシーンも多いのですが、作品そのものが軽いわけではないんです。
でも、きっと劇場を後にする時、観た人が流した涙は乾いて微笑んでる…
そんな作品だと思います。
群舞シーンもいろんな音楽に合わせて展開されるので、ぜひぜひ注目してみてくださいね。
いやはや、ドン・ジョバンニ(安中淳也さん)のダンスとか、
話の筋知らなくても、なんとなく想像できちゃいますからね~。
モーツァルトを取り巻く音楽の精霊たちも表情豊かで、見ていてとっても楽しいですよ。
目がいくつあっても足りないかも(笑)。
以上ここまでは、 akki レポートでございましたが、
私管理人が今回(いつも?)特に、はまってしまったのが、
音楽!ダンス!群舞!
群舞大好き管理人としましては、
オープニングから、アンサンブルシーンに見惚れてしまいまして。
お一人お一人が輝いてます。
振付がいいっ!(振付は謝珠栄さん!)
スローなナンバーではうっとりと、
ノリノリのナンバーでは、ウキウキと、
またちょこっとしたシーンの小さな動きまでかわいかったり美しかったり。
指先のかわいい動きや、見逃してしまいそうなクルルン一回転とか。。。
たまらなく好きでございます!
そしてモーツァルトの楽曲がいろんなバージョンにアレンジ!
これに振付が見事にマッチしてみていてとーっても気持ちいいのです!
全体のダンスシーンはもう興奮してワクワクしますし、
ひとりひとりに注目しても楽しめます♪
ダイナミックな安中淳也さんのダンス、
美しい男の子、大川麻里江さんの動きが楽しい♪
細やかでしなやかでリズミカルな野田久美子さんの舞、
動き回る片山千穂さんと伊沢絵里子さんのダンスは見てて気持ちいい!
そして!藤田将範さんのコンコンチキ!
などなどもう注目スポット満載です!
そして、わたくし、高田浩さんの生演奏に惚れました。
サリエリがキスする瞬間を、(高田さんからは死角でみえないので)
スタッフの方が、指で小さくパチンッってやって高田さんに合図して
高田さんが完璧なタイミングで演奏スタート。かっこいーー!
弾いてるのはシンセなんですが、電子音という感じがしないです。
愛のある音でした。。。いやほんとに。。
またモーツァルトが演奏しているシーン、ほんとにモーツァルトが
弾いているかのような完璧に動きに同期して高田さんが弾いてます。
まさに生ならではのリアリティ。
そしてなんといってもトライアウト公演終了後の
見学者の方達が一緒に参加しての「ロビー面会稽古場編」。
これがスペシャルでした。いやーほんとにすごかった。
では再び akki レポートに戻りましょう。
ロビー面会稽古場編
Rカンパニーの場合、本公演終了後は、
舞台に立っていたままの姿の役者さんたちがロビーでお見送りしてくれるんですが、
今回のトライアウト公演では、2階の稽古場でアンケート記入した後、なんとなんと!
「マドモアゼル・モーツァルト」はこの場にいるみんなの力で練り上げられていくということから、
1階稽古場で参加者&役者さんの全員で「ラストテーマ」を歌ってのカーテンコール!
さっきまで演じていた役者さんたちの指導の下、
稽古場でみんなの体をほぐすウォーミングアップ。
知らない人同士でも、一緒に歌えちゃいそうな雰囲気が
あっという間にできあがっちゃいました。
「ラストテーマ」の練習の後、いざ本番!
1階稽古場に入り、中央には髙野モーツァルト、
そして、みんなで歌う「ラスト・テーマ」。
藤田さんの仕切りで1人1人お辞儀をし、
最後には手を繋いでのお辞儀でカーテンコールを終えました。
最後は、3つのチームに分かれて、トライアウト公演の感想を役者さんに。
役者さんからも「ダメ出しOKですよ~」との声。まさに一緒に創るトライアウト!
とはいっても、長時間は取れないので、トライアウト公演の感想を寄せるための
メールアドレスが用意され、そちらに感想を送ることができるようになっていました。
このトライアウト公演の間にもスクラップ&ビルドが行われたそう。
カンパニーの皆さんの作品をよりよくしようという熱意がいっぱい伝わってきました。
今回、私が観たのは完成品ではありません。
モーツァルトの曲のフレーズも散りばめてあり、音楽的にも多様性に富んだ本作。
さらに練り上げられた「マドモアゼル・モーツァルト」のさわやかな風を、本公演でめいっぱい
感じたいですね。とても楽しみです♪
以上おけぴスタッフ akkiのレポートでした!!
このトライアウト公演の最後のロビー面会稽古場編で参加者も交じって熱唱した
テーマ曲「ラスト・テーマ」。稽古場からのビデオレターをご紹介しておきまーす♪
そして今回のトライアウト公演の感想をブログにUPされた方もこちらでどーんとご紹介!
(ご連絡いただければリンクしま-す)
公演は12月18日
池袋・東京芸術劇場にて開幕です!
トライアウト公演に参加した方もそうでない方も、
「マドモアゼル・モーツァルト」本公演をぜひお楽しみに!!
(
チケット購入はこちらからどうぞ)
(写真は関係者の許可をいただいて撮影・掲載してますので無断転載はご遠慮下さいね。)