09/07/31 こまつ座 兄おとうと@紀伊國屋サザンシアター
2009年7月31日(金) 18:30
こまつ座 兄おとうと
9列6番@紀伊國屋サザンシアター
印象に残る、覚えておきたい、そんなセリフやシーンがたくさん!
一幕冒頭の蜜柑の皮の場面などは、
同じパターンを繰り返して繰り返して、さっとひく。
そのタイミングと描写がうまくて心地いいんですよね。
辻萬長さんの語り口調って、思いがこもっていて響いてくるんです。
長いセリフでも長く感じない。自然と諭されて聞いてしまう。
吉野作造という人物の魅力がすごく伝わってきました。
そして辻萬長さん演じる作造のあの晩年のお髭姿。
公演プログラムでもある the座 に載っていた吉野作造さん自身の
お写真を見て、辻萬長さんのお顔がふっとだぶったほどです。
(このthe座、当時の時代背景や、井上ひさしさんが実際に
説教強盗に会ったという話、一人一人の出演者インタビューの内容、
そして舞台監督さんの現場レポがとても面白いです。しかも\800とお手ごろ)
弟の信次、大鷹明良さん。
二幕冒頭の信次の背景が描かれる場と、判子シーンが大好き!
とくに、あの「いかんっ!」は思い出し笑いしてしまう(笑
この兄弟の妻がこれまた姉妹なんですが、
一幕冒頭では弟信次と君代さんの結婚につながるシーン、
ここも好きだなぁ。
って書いてると、好きなシーンばかりになりますが(笑
作造の妻、玉乃さんを、剣幸さん。
声、たたずまい、美琴との踊りシーン、晩年のお姿などなど、とっても素敵!
一幕のあの斬奸状青年に対する落ち着き具合も気持ちいい!
弟信次の妻、君代さんは、高橋礼恵さん。
姿勢や表情、髪型、大正から昭和にかけてのあの時代の女性らしい美しさを
(その時代知らない私がいうのもなんですが)とても感じた気がしました。
所作がまたいいーっ!!
そしてこの舞台の見所でもあるのが、複数役をこなすお二人。
宮本裕子さんと、小嶋尚樹さん。どの役も素晴らしい。
小嶋直樹さんは特におにぎりシーンの作太郎!
宮本裕子さんの袁世凱の娘、説教泥棒、お春さん、必見です。
セットは、正面のお客さんに限らず、どの方向のお客さんにも
楽しめるようにできていて、さらに小さな小道具へのこだわりにもぜひご注目下さい。
ピアノ生演奏の朴勝哲さんの演奏も素敵です♪
(ピアノとの絡みシーンもありますよ 笑)
銀時計のシーンで、客席から自然発生的に起きた拍手も心地よかったです。
これぞ生の魅力だなぁと。
憲法、民主主義、国の基、そんなことを、笑いながら観ているうちに、
自然と考えたくなる、そんな舞台でした。観終わった後は、
このフレーズが印象に残る帰り道になると思いますよ。
↓
三度のごはん きちんとたべて、火の用心 元気で生きよう きっとね
公演は8月16日まで新宿の紀伊國屋サザンシアターにて。
上演時間は約3時間(途中休憩15分)
※写真は許可を得て掲載しています(撮影:谷古宇正彦さん)。無断転載はご遠慮下さい。