12/12/04 東京バレエ団 ベジャールの「くるみ割り人形」稽古場レポ
2012年12月4日(火)13:30
東京バレエ団 ベジャールの「くるみ割り人形」稽古場レポート
“日本の生んだ世界のバレエ団”として国内外で高く評価されている
東京バレエ団 ベジャールの「くるみ割り人形」の稽古場に
お邪魔してまいりました。
この日は若手を中心としたキャストの一幕のお稽古真っ最中!
まず、こちらの写真をご覧ください。
主人公である子供時代のベジャール氏・ビム少年と亡き母のシーンです。
少年の母親への思慕がとても伝わってくるとても素敵な表情、母親の
伸ばしかけたその手の指先からは包み込むような愛情が溢れます。
“バレエ”というと、どうしてもジャンプやリフト、回転などの印象が
強いですよね。もちろん、その美しさも魅力のひとつなのですが!
まずお伝えしたいのは、それと同時に “演劇的”魅力も十分に
兼ね備えているということです。
感情があって、表情、視線があって、そしてそれを表す
身体表現、振り(動き)があるんですよね。
バレエに出会ったビム少年は興味津々で先生を見つめます。
ビムのワクワクがこちらにも伝わってきて、
まるで自分も子供になったような気すらしてきました。
バレエ鑑賞経験が乏しい取材班ですが、思った以上にわかる!
といううれしい驚きがありました。
ナレーションで説明もありますしね!
芝居なら台詞、ミュージカルなら歌声で劇場全体へ感情を伝える、
それがバレエは“振り”なんですよね。
当たり前のような、そんなことを改めて強く感じる稽古場でした。
ふだん使わない感性が刺激されまくりです!
なにはともあれ!「百聞は一見にしかず」です。
あまり構えずに、是非劇場で体感していただきたいですね♪
ここからは公演をより楽しむアレコレをご紹介!
クリスマスプレゼントが運ばれ、夢の一夜のはじまりはじまり!
-作品について-
12月になると世界中数多くの劇場で上演される「くるみ割り人形」。
少女クララがクリスマスの夜に見た夢のお話が一般的ですが、
こちらの公演は“ベジャール版”!
舞踊の世界だけでなく、音楽界、演劇界など幅広いジャンルに影響を
与え続けた20世紀の巨匠・振付家のモーリス・ベジャール氏。
そのベジャール氏の少年時代の分身・ビム少年を主人公に、
子供時代や、青春時代、仕事への目覚め、振付家の仕事がどんなもので
あるかを語る自伝的作品です。
ベジャール氏、ダンサーさんによるナレーションもあって分かりやすい♪
-魅力的なキャラクターがいっぱい-
“M…”というちょっとなぞめいた役名なのが、木村和夫さん。
長い手足で伸びやかにビムを導きます。
父親、尊敬する振付家マリウス・プティパ、大好きなお芝居
「ファウスト」のメフィストと姿を変えビムの成長を見守り、
導くのが“M…”です。
登場場面ごとに様々な雰囲気をかもし出す、七変化!お楽しみに。
ビム少年の飼い猫のフェリックス!
M…とともに物語を引っ張るのですが、動き、仕草、居方が“猫”です。
そして、振付指導の小林十市さんはモーリス・ベジャールバレエ団在籍中、
この作品の初演でフェリックスを演じていたのです!
戯曲を読み解くように、振りを読み解く。
小林さんの指導を見ていても、演劇の演出家のようだなぁと強く感じました。
とっても愛らしい猫ちゃんだけど、実は子供より、人間より色んなことを
知っている、見ている!そんなフェリックスからも目が離せません。
ベジャール氏の母親への思いが美しく描かれた、その母役の渡辺理恵さん。
すらりとした美しいラインで記憶の中の美しい思い出から
飛び出してきた!まさにそんな母です。
森川茉央さんと柄本弾さんです。
女性は妖精役の奈良春夏さんです。
子供の頃ベジャール氏がみたショーのキャラクターを反映した光の
天使ですが、本番では厚底の靴で巨大化するとか?!
お稽古場でもすでに大柄なお二人が・・・是非劇場で目撃してください!
柄本さんは東京バレエ団のパリ・オペラ座公演「ザ・カブキ」で
由良之助を演じるなど今後も注目の若手さんです!
こちらのレポもどうぞ!
『パリ・オペラ座の「ザ・カブキ」ベジャールの残したもの』試写会レポ
他にもマジック・キューピーや妹のクロードなどもお楽しみに!
そして!にぎやかなシーン、ユニークなシーンもたくさんあります。
なんと、寝袋に入ってぴょんぴょん動くところも!
また、この日は拝見できませんでしたが、第二幕ではパリ、中国やアラブなど
各国のダンスのシーンなどもあり、最後のグラン・パ・ド・ドゥは
古典へのオマージュというべきクラシカルなスタイル!
バレエのいろんな面白さが盛り込まれています!
クリスマスの夜に少年が体験した夢のような世界、たくさんの
喜びと、そしてちょっぴり切なさも混ざったような素敵な作品です。
最近は「CHESS in concert」“チェスの精”や「ロミオ&ジュリエット」の“死”など
ミュージカル界でも言葉、音楽に加え身体表現(ダンス、舞踊)が
抽象的なものの表現をより深めるツールとして用いられることが増えています。
言ってみればエリザベートにおけるトートダンサーなどもそうかもしれませんね。
興味はあるけど・・・
「難しそう、わかるかな?」とバレエ未体験の方も思い切って
扉を開けてみませんか?
ビム役に挑む岡崎隼也さんより
「通常の『くるみ割り人形』と比べていただいても、
また違ったものだと思って見ていただいても、
とにかく楽しんでもらえる作品なので是非起こし下さい!!」
<公演情報>
2012年12月15日、16日@東京文化会館
<予定される主な配役>
【15日15時】
ビム:氷室友
母:高木綾
猫のフェリックス:小笠原亮
M...:木村和夫
妹のクロード、プチ・ファウスト:古閑彩都貴
光の天使:柄本弾、森川茉央
妖精:奈良春夏、田中結子
マジック・キューピー:飯田宗孝
グラン・パ・ド・ドゥ:上野水香 後藤晴雄
【16日15時】
ビム:岡崎隼也
母:渡辺理恵
猫のフェリックス:梅澤紘貴
M...:木村和夫
妹のクロード、プチ・ファウスト:古閑彩都貴
光の天使:柄本弾、森川茉央
妖精:西村真由美、矢島まい
マジック・キューピー:飯田宗孝
グラン・パ・ド・ドゥ:上野水香 後藤晴雄
<公式HP(NBS内)>
東京バレエ団 ベジャールの「くるみ割り人形」公式HP
<岡崎さんミニインタビューもどうぞ!>
東京バレエ団ブログダンサーミニインタビュー【第1回】岡崎隼也
おけぴ取材班・撮影:chiaki 監修:おけぴ管理人