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09/12/02 大浦みずきさんお別れ会取材

2009年12月2日
大浦みずき(本名・阪田なつめ=享年53)お別れ会取材

今回の取材は、大浦みずきさんと親交のあった舞台プロデューサの方
からの寄稿という形でご紹介させていただきたいと思います。
管理人は、2年前に、イーストウィックの魔女たちで拝見したのが最後でしたが、
ものすごくかっこよかった大浦さん。
心からご冥福をお祈りいたします。

東京・千日谷会堂では、朝から大浦さんの同期生や下級生の皆さんが準備に追われていた。

午前11時半、マスコミの受付が始まる頃には、
一般ファンの人たちの行列もできており、
宝塚歌劇団OGや演劇関係者たちが続々と訪れた。

昼過ぎ、私たち取材陣は事前に祭壇の撮影を許された。
中に入ると、遺影の大浦さんが、
まるで宝塚退団の時の千秋楽と同じように赤いばらの花束を持って出迎えてくれているようで、
一時代を築いた元宝塚スターのお別れ会にふさわしい、見事な祭壇だった。

祭壇に見とれていると、前方の席に、すでに着席している人がいた。
喪服姿が美しいその人は、宝塚OGで大浦さんの二年先輩の高汐巴さん。
大浦さんが二番手時代の男役トップスターである。
愛嬌あふれた高汐さんとクールな大浦さんは、
互いの個性を引き立てあった、ステキなコンビだった。
高汐さんはどんな気持ちで二人だけの最後の時間を過ごしたのだろうか。

午後二時、お別れ会は始まった。
日本芸術院院長の三浦朱門さん、
宝塚歌劇団特別顧問の植田紳爾さん、
幼なじみの作家、阿川佐和子さん、
そして同期生の剣幸さんの弔辞があり、
アストロリコによるタンゴの生演奏へと続いた。

最初にいつもディナーショーで歌っていたという
「塩 ロウソク シャボン」(作詞/阪田寛夫いずみたく/作曲)。
川口京子さんが遺影に語りかけるように歌った。
アストル・ピアソラの名曲「バーモス・ニーナ」「オブリビオン(忘却)」は、
静かな中に力強さが感じられる演奏で、
今にも大浦さんの歌が聞こえて来そうだった。
最後は元花組の仲間たち約40人が歌う
「心の翼」(1985 詞/正塚晴彦、曲/高橋城)に見送られ、
大浦みずきさんは、天国へと旅立って行った。

「心の翼」の作詞を担当し、
男役・大浦さんの出世作「アンダーライン」の脚本・演出も担当している正塚晴彦さんは
「ただ、残念の一言です・・・」と思いを噛みしめ、
トップ時代の相手役だったひびき美都さんは
「本当に素敵な相手役さんでした。いつまでも胸の中に生き続けます」と胸中を語った。
午後五時すぎ、夕暮れ時になっても、献花の列は信号を超えて何百メートルも続いた。

大浦みずきさんは、1974年「虞美人」で初舞台を踏み、
1988年から1991年まで花組 のトップスターを務め、
宝塚のフレッド・アステアと呼ばれた。
何しろ、退団後の1992年に歌劇団の若手を率いて
「TAKARAZUKA・夢」でオフ・ブロードウェーのジョイス・シアターのステージに立ったという、
宝塚95年の歴史の中でも、飛び切りのショー・スターである。
振付家リンダ・ヘーバーマンと組んで生まれた数々の名シーンは、
決して色褪せることなく多くの人の脳裏に、
今でも焼きついている筈だし、生み出されたダンス場面は、
2007年に花月雪星宙の五組で上演されたバウ・ワークショップ
「ハロー・ダンシング」(構成・演出/草野旦)の中で再現され、
歌劇団の貴重な財産として、下級生たちに受け継がれている。

ところで、男役時代の大浦さんがとびきりにステキだったのは言うまでもないが、
女優に転向した後も、幸せな出会いがいくつもあった舞台人である。

一つ目は、勿論、アルゼンチンタンゴとの出会い。
タンゴ歌手兼ダンサーとして、友人のタンゴバンド「アストロリコ」とのつきあいを大切に、
10年以上、地道にライブ活動を重ねて来た。

二つ目は、2005年に上演された「ナイン」のリリアン役と
「NEVER GONNA DANCE」のメイベル・プリット役との出会いである。
この頃の大浦さんは舞台に立つ喜びに溢れて、
第30回菊田一夫演劇賞、第13回読売演劇大賞優秀女優賞を受賞。
ダンスだけでなく、歌、芝居と三拍子揃ったミュージカル女優として
大きく羽ばたこうとしていた。

「ナイン」を演出したデヴィッド・ルヴォーの弔電の一説をどうしてもご紹介したい。
「あなたは、自分がどれだけ皆から愛されていたか、
どれだけ自分が素晴らしいか、ひょっとしたらわかっていなかったのではないかな?
大好きなチタ・リベラがどれだけ素晴らしいかについて熱弁していたけれど、
チタの方こそ、どれだけ大浦みずきに憧れていたか。」

そして「ダンスシアター GIGEI-10」もきっと幸せな出会いだった。
振付家の前田清美さんと組み、2010年1月に上演される「なつめの夜の夢」で
三作目となるこのシリーズは、10年は続けたいという願いを込めて名づけられたプロジェクトだ。
(公演は1月19-24日まで、赤坂RED/THEATERにて)
大浦さんはこの舞台に立つことを励みに治療に耐えたという。
きっと、舞台に大浦みずきの肉体はなくても、大浦さんの魂はそこにあるに違いない。

取材:野住智恵子/舞台プロデューサー、カメラマン


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名前:山野上 寛
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出身:大阪府茨木市
現住所:東京都中央区
もともとミュージカルには拒否反応があったんです。「なんで歌うねん」と。が、2000年、松たか子 ファンの後輩に誘われてみにいったオケピ!でミュージカルの拒否反応が消え、強引に連れていかれたライオンキングでスイッチが転換、夢から醒めた夢で初のリピート (6回)そして差し入れ・ファンレター初体験。 キャッツで初の名古屋遠征、 レミゼに感動。翌2001年、四季ハムレットで初のマチソワジーザス出待ち初体験、2002年モーツァルト!に興奮。2003年からは観劇に幅が出て、 2004年はラスベガス、ニューヨーク、ウィーンへと年3回も観劇ツアーに出かけてしまう。その勢いで2005年、会社を辞めて独立。現在2日1本ペースで感激中♪

役者さんにはまるポイント:声
感激ポイント:1幕最初の衝撃
好きなシーン:群舞、小芝居
大好きな演目:ルドルフ、星組ロミジュリ

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