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10/03/09 棄憶@青山円形劇場
2010年3月9日(火)19:30
棄憶
@青山円形劇場
帰り道の雪の冷たさに助けられたくらい、
緊迫した、心が静かに煮えるような90分でした。
舞台は1948年。終戦3年後。
人体実験を行っていた731部隊と、
帝銀事件を絡めて物語は展開します。
椅子と机のシンプルなセットなんですが、
青山円形劇場を大胆にシンプルに印象的に使ったステージで
そこに照明をうまく当て、(ストーリー上の)日が進むごとに、
心の緊張度合いが1レベルづつあがっていくような舞台。
特に、野中隆光さんが、歯でガリっと言わせて
襲いかかろうとしたシーンは、私もビクッ。
ほんとうに人が心から怒った時のあの気迫の空気感が
客席までびしびし伝わってくるんです。実にリアル。
そしてラストの衛生兵の清水優さんの叫び。
ここもほんものでした。彼の口から明かされた事実も驚愕です。
また大内厚雄さん演じる辰沢のとった行動。
ここも実に考えさせられます。
内容は非常に重いんですが、研究者&衛生兵の出演者7名全員、
心情描写がクールに熱くてリアルで、とにかく見事でした。
私は帝銀事件という事件そのものを知らなかったのですが、
Wikipedia で読んで、実際のこの事件もGHQから捜査中止となったと知り。。
帝銀事件、731部隊、また戦争について、
帰り道、舞台を観て熱くなった心で考えながら帰ることになると思います
(なので今日は雪の冷たさに助けられました)。
なにより、ストーリー展開(脚本:野木萌葱さん)と、
演出(ノゾエ征爾さん)も見事。
心臓に鋭く冷たいものをぐさっと刺されたような舞台でした。
今年観てよかった一本です。
上演時間:約90分(休憩なし)