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11/09/20 「朱雀家の滅亡」初日観劇レポ@新国立劇場

2011年9月20日(火)18:30
「朱雀家の滅亡」初日観劇レポート
@新国立劇場小劇場

新国立劇場「シリーズ[美×劇] -滅びゆくものに託した美意識-」の第一弾公演
三島由紀夫、晩年の傑作戯曲を新国立劇場・演劇芸術監督の宮田慶子さんが演出する「朱雀家の滅亡」
日本独特の「滅びの美学」を圧倒的な筆力で描く三島戯曲、そして出演者の皆さんの素晴らしい演技対決!!
衣裳、セットなど全てがハイレベルの「演劇」、そのパワーに完全に圧倒されてきた、
おけぴ取材班 mamiko がレポート致します!

三島由紀夫が衝撃的な自決により命を絶つ、
その3年前に書かれたこちらの作品。
名門侯爵家の当主・朱雀経隆を中心として「忠誠心とは、国家や大義とはいったい何なのか」
と観る者に大きな問いを投げかけてくるような物語が、太平洋戦争末期の東京を舞台に展開していきます。

登場人物は朱雀家に関わるこちらの5名。
左から
女中・おれい役の香寿たつきさん、当主の弟・宍戸光康役の近藤芳正さん、
朱雀家当主・朱雀経隆を演じる國村隼さん、その息子・朱雀経広役の木村了さん、そしてその婚約者・璃津子役、柴本幸さん。
それぞれに想いを抱えた5人の人物が緊張感のある5角形を舞台上に作り出します。

~ものがたり~
時は、太平洋戦争末期。
名門侯爵家の当主、朱雀経隆は専横な振る舞いを続ける首相を天皇のために失脚させたのち、自らも辞職して帰還する。
女中おれいや婚約者璃津子の反対を押し切って、出征を願いでた息子の経広は、叔父宍戸光康とおれいの反対にもかかわらず、戦地へ赴き戦死してしまう。
おれいは、経広を無為に失わせた経隆を責め、死を嘆き悲しむが…
忠誠心とは、国家や大義とはいったい何なのか、ある華族の崩壊を通して問いかける。

出演者の皆さんの演技!素晴らしかったです!
特に國村隼さんと香寿たつきさんの第三幕での鬼気迫るやり取りは圧巻。
第一幕では楚々としていて、着物を美しく着こなし完璧な所作をみせた香寿さんの三幕でのあの姿・・。
そして國村さんの醸し出す空虚感。これはぜひ劇場で観ていただきたい!

代々、琵琶奏者として天皇家に仕えてきた朱雀家の守り神は庭の祠に祀られている弁財天。
芸術を司り嫉妬深いとされる弁財天のたたりなのか、代々朱雀家当主の妻は若くして亡くなる運命にあります。
そのため、嫡男・経広の産みの母でありながら戸籍上は母でも妻でもなく、そう名乗ることも許されない女中・おれい。
このおれいを演じる香寿さんの美しさ!そして恐ろしさ!
本能的に子どもを守り生き抜こうとする女性の動物的な姿を、冷徹な目で観察する三島戯曲。
そして秩序、“お上”への忠誠を決して崩すことのない男・朱雀経隆。

このふたりの対決は静かに息をのむような迫力なのですが、
また一方で若いカップル・経広と璃津子の「三島的青春♪」なやりとりもぐっときます!
三島由紀夫の母校でもある学習院の制服に身を包んだふたりの清らかな美しさ。
木村了さんは軍国青年らしく短髪にされていて、ため息の出るような凛々しさです。美しい!
柴本幸さんの三つ編み姿も初々しく、儚い青春の輝きがギュッと凝縮されているようです。
この若い2人が庭で海を見ながら語りあうシーン、美しいセリフに耳が喜びます♪

そして舞台にふっと軽さを感じさせてくれる近藤芳正さん。
時代の変化に柔軟に対応していく姿と、國村さん演じる朱雀侯爵との対比がくっきりと浮かび上がります。

舞台奥に見えるのは、庭に祀られた弁天様の鳥居。
戦争が終わり迎えた冬。何もかもが崩壊した世界で主人公は何を見るのでしょうか・・。

数々の映画での演技も印象的な、主演の國村隼さん。
劇場で、そして目の前で拝見するとまず心惹かれるのは、そのお声!
独特の渋さ、そして抑制がきいていながらもはっきりと響くその声で三島戯曲の台詞が語られ、
観客の心にスッと入り込みます。
感情をあらわにすることの少ない役柄ですが、
目や手のちょっとした動きや声の抑揚で細やかな心情が伝わる國村さんの演技。
もう大拍手です!
3方向から舞台を囲むかたちの客席ですので、座る場所によってまた物語の見え方も変わってくるかもしれません。

一流の俳優たちによって語られる三島戯曲を読み解くもよし、
その熟成された演技を楽しむもよし、
若さが悲しくも美しい木村さん、柴本さんの初々しさを愛でるもよし、
「三島戯曲・・難しそう」と敬遠するにはあまりにも勿体ない贅沢な舞台です。
照明、セットなども決して派手ではないのですが、必要十分な効果と美しさ。
(個人的には床面のマーブル模様に“三島っぽい!”と興奮しました・・)

日本ならではの美学がいっぱいにつまった「朱雀家の滅亡」は
10月10日(月・祝)まで新国立劇場・小劇場にて上演中。
作品への理解が一層深まる記事が満載のプログラムもお勧めです!

「朱雀家の滅亡」を含むシリーズ[美×劇] -滅びゆくものに託した美意識-の3作品共同製作発表の様子はこちら
新国立劇場ホームページはこちら



おけぴ取材班:mamiko 写真提供:新国立劇場 撮影:谷古宇正彦


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名前:山野上 寛
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現住所:東京都中央区
もともとミュージカルには拒否反応があったんです。「なんで歌うねん」と。が、2000年、松たか子 ファンの後輩に誘われてみにいったオケピ!でミュージカルの拒否反応が消え、強引に連れていかれたライオンキングでスイッチが転換、夢から醒めた夢で初のリピート (6回)そして差し入れ・ファンレター初体験。 キャッツで初の名古屋遠征、 レミゼに感動。翌2001年、四季ハムレットで初のマチソワジーザス出待ち初体験、2002年モーツァルト!に興奮。2003年からは観劇に幅が出て、 2004年はラスベガス、ニューヨーク、ウィーンへと年3回も観劇ツアーに出かけてしまう。その勢いで2005年、会社を辞めて独立。現在2日1本ペースで感激中♪

役者さんにはまるポイント:声
感激ポイント:1幕最初の衝撃
好きなシーン:群舞、小芝居
大好きな演目:ルドルフ、星組ロミジュリ

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