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12/03/19 まほろば稽古場レポ

2012年3月19日(月)11:00
新国立劇場「まほろば」稽古場レポ

蓬莱竜太さんが初めて書き下ろした“女性だけ”のお芝居に、
栗山民也さんの熟練の演出が絶妙にマッチして、
第53回岸田國士戯曲賞を受賞した傑作舞台「まほろば」。

4月から始まる待望の再演を前に、
作品をより深く掘り下げる作業の続く稽古場へ、
おけぴ管理人とおけぴスタッフMがお伺いしてきました!
“大いに笑い、大いに身につまされた”稽古場レポをお届けいたします。


6人の実力派女優が集まった稽古場で、
生々しくもあっけらかんとした4世代女子トークが炸裂です!

九州地方のとある田舎町を舞台に、
下は12歳から、上は80代までの4世代(正確には5世代!?)の女性たちによる、
妊娠、生理、跡取り問題、不倫、結婚・・などなど
「女の人生」のキーワードがてんこ盛りの会話劇が、
やけっぱちな“笑い”を絡めて展開していきます。


(何故か床に突っ伏す、母と娘・・・一体何が?!)

~物語~
とある田舎町。祭りの夜。男たちは出払っており、女たちが残って留守を預かっている。
数日前に東京から久しぶりに帰郷したミドリ(秋山菜津子)。
東京生活が順調だったが、気がつけば40代、婚約寸前で交際相手と別れ、
傷心旅行のつもりだったのだが、実家の母(三田和代)は本家の血筋を絶やしたくないため、
いまだ独身のミドリに小言が絶えない。
本家の「大母様」(中村たつ)と、村の娘・マオが二人の間に入りなだめてくれるが、功を奏さない。
一方、妹のキョウコ(魏涼子)は、父親の分からない子を出産。
ミドリの姪にあたるその娘(前田亜季)の行方は何年もわからない。
親戚の女が集まり宴会の準備を進めているところに、
長い間行方がわからなかったその娘が突然帰ってくる・・

東京で働くアラフォー・キャリアウーマンのミドリ(秋山菜津子さん)。
働く女性ならきっと身に覚えのあるような「あるある!」な台詞のオンパレードと、
リアリティ溢れる秋山さんの演技!
(秋山さんの“二日酔い”演技、必見です!)
ゲラゲラと笑いながらも、深―く頷いてしまう。そんなシーンを生み出す秋山さんに拍手!

常に前のめりで、この家の血筋を絶やさないことに執念を燃やす母・ヒロコを演じるのは、
三田和代さん(写真左)。
いつまでも結婚しない娘の境遇を「ああああああ~」と嘆く母。
恋人と別れた理由を根掘り葉掘り聞き出そうとする母。
娘からの衝撃告白に“家庭の医学”を持ちだす母(!)。
どこを切っても「母100%」の三田さんの台詞回しが圧巻です。
素晴らしいコメディエンヌぶりに目が離せません!

魏涼子さんと秋山さんの、まるで本物の姉妹のような遠慮のないやりとりも、
いかにも“実家な感じ”を醸し出していて、
ここでも、「あるある!」と頷きっぱなしで共感です。

とぼけているようで、何もかも見透かしているようなタマエを演じるのは、
俳優座のベテラン女優・中村たつさん(上の写真中央)。
絶妙のタイミングで絶妙の台詞を放つタマエに稽古場は大爆笑です
(お茶目なタマエの手には激辛スナックが!)。

“女”たちの抱える問題にズバッと斬り込んでいくマオ(大西風香さん 上の写真左)も、
ただの「子役」ではなく、立派な出演者のひとり。
錚々たる顔ぶれの女優陣と渡り合う姿があっぱれです。
劇後半では彼女が大きな意味を持つ存在に・・。

そして、思いつめた様子のユリア(前田亜季さん)の抱える秘密が、
藤木家の居間を大きく揺るがします。

トランプ遊びをする3人の間をジョーカーがぐるぐると回り続ける・・。
ひとりでは出来ない遊びである“ババ抜き”が続く、印象的なシーンです。

前半部分の通し稽古の後、
演出の栗山民也さんが舞台上に出演者を集めます。
全員でテーブルを囲んだその姿はまるで本当の「家族会議」のよう!

繰り返し出演者に伝えていたのは「生活の流れに沿った自然な会話」をするということ。
“シェイクスピア”や現代劇の具体的な例をあげながら丁寧に説明をし、
ほんの少しでも「流れを切ってしまう」
不自然な動きがあれば細かくチェックをして、スタッフ、出演者と確認していきます。
演出のひとつひとつに確かな裏付けがあり、
それを的確な言葉で穏やかに出演者に伝えて行く栗山さんの姿を拝見して、
この作業があるからこそ、あの魔法のように鮮やかなお芝居が生まれるのだなと深く納得しました。

蓬莱竜太さんという若き才能の生み出した傑作戯曲が、
名演出家の手腕と、個性あふれる実力派女優6人の演技によって
鮮やかに立ちあがって行く現場は、何とも幸せな「演劇」の魅力に溢れていて、
「舞台は生きている」という思いを新たにすることが出来ました。

生々しくも愛おしい4世代の女性たちの 「まほろば=理想鄕 」はいったいどんな場所なのか。
“産む性”である彼女たちの物語、ぜひ劇場でそのパワーに触れていらしてください。

<公演情報>
「まほろば」
4/2~15 新国立劇場小劇場
4/18 まつもと市民芸術館
4/21 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
4/28 シベールアリーナ にて上演

作:蓬莱竜太 
演出:栗山民也
出演:秋山菜津子/中村たつ/魏涼子/前田亜季/大西風香/三田和代

<公演HP>
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000440_play.html
<公演ブログ>
http://nnttplay.info/mahoroba/



おけぴ取材班&撮影:mamiko、おけぴ管理人


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出身:大阪府茨木市
現住所:東京都中央区
もともとミュージカルには拒否反応があったんです。「なんで歌うねん」と。が、2000年、松たか子 ファンの後輩に誘われてみにいったオケピ!でミュージカルの拒否反応が消え、強引に連れていかれたライオンキングでスイッチが転換、夢から醒めた夢で初のリピート (6回)そして差し入れ・ファンレター初体験。 キャッツで初の名古屋遠征、 レミゼに感動。翌2001年、四季ハムレットで初のマチソワジーザス出待ち初体験、2002年モーツァルト!に興奮。2003年からは観劇に幅が出て、 2004年はラスベガス、ニューヨーク、ウィーンへと年3回も観劇ツアーに出かけてしまう。その勢いで2005年、会社を辞めて独立。現在2日1本ペースで感激中♪

役者さんにはまるポイント:声
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好きなシーン:群舞、小芝居
大好きな演目:ルドルフ、星組ロミジュリ

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