12/10/23 劇団青年座「タカラレ六郎の仇討ち」稽古場レポ
2012年10月23日(火)13:00
劇団青年座 第205回公演「タカラレ六郎の仇討ち」
稽古場レポート
1954年の創立以来、
新作オリジナル戯曲にこだわって上演を続けてきた劇団青年座。
第205回公演となる今回は、
劇作家・中島淳彦さんによる青年座への書き下ろし第3弾!
これまで「夫婦レコード」(2004年)、「あおげばとうとし」(2007年)でタッグを組んできた
両者が今回挑むテーマはずばり“大人が楽しめる痛快娯楽作品”♪
“映画を死ぬほど愛する”仲間たちによるあっと驚く仇討ち物語が、
中島作品ならではのユーモア、そして疾走感で展開!!
劇場入り直前、通し稽古レポをお届けいたします!
物語の舞台は1971年。
三流シナリオライターの六郎が自殺をしたという知らせに集まる映画会社の仲間たち。
こちらは“万年助監督”の黒田を演じる小林正寛さん。
映画が好きで、仲間が好きで、そしてあの娘が好きで・・・。
小林さん、まっすぐな演技で舞台を引っ張ります!
(昨年の「欲望という名の電車」ミッチ役とはまた違う魅力です♪)
なぜ、六郎は自殺したのか!?
集まってきた仲間たちが頭をひねる中、
六郎の遺体の胸の上から、書き残された“筋書き”が発見され・・・。
「六郎は奴らに殺されたんだ!」
!!!
カタギに見えない顔の(!)映画監督・織田(山本龍二さん:写真上)をはじめ、
照明、美術、スクリプター、音響係・・・と、
生前の六郎と一緒に映画を作っていた仲間たちが“仇討ち”に立ち上がったその相手とは?
こちらスーツでビシッと決めているのは、
ライバル映画会社の御曹司・添田(石母田史朗さん)。
こまつ座「闇に咲く花」では、神主の息子役を大好演されていた石母田さん。
今回は全く別のイメージで、
いや~な敵役をいや~な感じに(笑) 熱演でございます!!
机に足をのせる仕草も憎々しい(笑)!
石母田さんの敵役っぷり、ぜひ舞台でご堪能ください♪
(写真左は添田の部下・吉野役の石井淳さん。彼の抱える葛藤も物語のアクセントに!)
単純明快に展開するライバル映画会社同士の仁義なき争いかとおもいきや、
謎の老婦人とその秘書の登場で物語は思わぬ方向に・・・。
(写真左:佐藤祐四さん 写真右:藤夏子さん)
自殺した六郎のことをよく知るこの老婦人は何者なのか?
ベテラン藤夏子さんの女優っぷり、
そして飄々とした存在感の佐藤祐四さん、
このおふたりのチャーミングな存在感はさすが名門劇団・青年座の底力!
万年大部屋俳優の鶴田(井上智之さん)と、
ピンク映画女優のルミ(小林さやかさん)も巻き込んではじまるのは、
映画を愛する人々たちによる、一世一代の大芝居!
「バカヤロー!この世の中はすべて映画だ!」
・・・と、写真でご紹介できるのは物語の冒頭とも言えるここまでですが、
とにかく最初から最後まで気持よく進んでいくストーリー展開!
休憩なし2時間10分があっという間。
全く肩に力を入れずに楽しめる娯楽作品ですが、
各キャラクターの個性の立ち方は、さすが中島淳彦作品。
「宝塚BOYS」や「リタルダンド」など、
個性あふれる登場人物ひとりひとりに温かい眼差しが注がれる作品が印象的な中島ワールド。
今回の舞台ではさらに、
まるで1本の映画を撮るように進行していく奇想天外な“仇討ち作戦”、
そして物語に隠されたある秘密をめぐるサスペンス要素にハラハラする一面も!
「夫婦レコード」「あおげばとうとし」に続いて演出を手がけるのは、
書き下ろし作品演出に定評のある黒岩亮さん。
その手腕で、流れるように進んでいくノンストップ喜劇をまとめあげます♪
青年座=真面目な新劇劇団。
というイメージを鮮やかに裏切っていく痛快娯楽喜劇『タカラレ六郎』。
「本番!・・・ヨーイ、スターーーートッ!!!」
青年座が“真面目に”取り組むエンターテイメント作品、
ぜひ劇場でお楽しみください!!
【公演情報】
『タカラレ六郎の仇討ち』
2012年10月27日(土)~11月4日(日) 紀伊国屋ホール
【出演】
小林正寛
小暮智美
山本龍二
山﨑秀樹
平尾仁
桜木信介
小林さやか
井上智之
藤夏子
佐藤祐四
石母田史朗
石井淳
高松潤
【スタッフ】
作:中島淳彦
演出:黒岩亮
装置:柴田秀子
照明:中川隆一
音響:城戸智行
衣裳:三大寺志保美
舞台監督:尾花真
製作:紫雲幸一
【あらすじ】
シナリオ作家の六郎は、書き上げたばかりのシナリオを遺して自殺した。
映画仲間は、ヤクザまがいの組織に殺されたのだという。
娯楽が映画からテレビへと移り変わる時代。
夢を失い、行き場を失った映画人たちの「仇討ち」が始まった。
六郎のシナリオに沿って作戦は進み、
まるで一本の映画を撮るように男たちは戦うのだが…
夢と挫折、だましたりだまされたり、
ハチャメチャに生きてきた男たちが、小さな正義のために大きな悪に立ち向かう。
中島淳彦が青年座に書き下ろす新作第3弾。
可笑しくも哀しい大人のエンターテインメント。
おけぴ取材班・撮影:mamiko 監修:おけぴ管理人