08/03/20 燐光群だるまさんがころんだ@笹塚ファクトリー
2008年3月20日(木) 19:00
燐光群 だるまさんがころんだ
F列14番@笹塚ファクトリー
2004年に数多くの賞を受賞した作品の再演初日。
観てきました。
作・演出は坂手洋二さん。
すばらしい舞台でした!
笹塚ファクトリーというキャパも小さめの劇場なんですが、
観終わった後の気持ちは、もっともっと大きなものを観た感じたって印象です。
最初開演前、ちょっと目つむってうとっとしていたんですが、
開演の瞬間のあの音!この音でびくっとなりまして、
その意味がその直後のシーンで理解できて、
より現実的に実感できた感じの幕開きでした。
セットはシンプルなんだけど雰囲気が実にうまく表現されてるんですね。
最初の戦場シーンから、
(以下記憶順に)
税関シーン、茶の間シーン、現地民シーン、組長宅シーン、
セントラルパークシーン、喫茶店シーン、戦場シーン、工場シーン。。。
などなど、ほんとにいろいろなシーンが次から次へと
テンポよく展開するんです。そしてこれらのシーンが
また代わる代わる登場、そのうち別々のシーンと思われていたのが
リンクしたり重なり合ったりしはじめます。
最初税関シーンでほんとのジャーナリストっぽい英語を
がんがん話す記者(伊勢谷能宣さん)に私はすごいなって思ったんだけど、
セントラルパークシーンはなんと全部英語!字幕が出てくるのです!
これらのシーンの間の、カチカチと刻まれる暗転が、
またドキドキするんです。
ぱっと明るくなると、そこはもう全然別シーンだったりで。
印象に残ったシーンはと言われると、全部。
いや、ほんと全部なんですよね。
通常、こういくつもシーンがあると、一つくらい、このシーンは
あまり好きじゃないんだよなぁというのがあったりするもんですが、
この作品では、それがなかっったんです。
強いて言えば、繊維工場に勤めるお父さん(鴨川てんしさん)一家の茶の間シーン。
今日会社で事件があってな。。
ストーリーテラー役の妹(江口敦子さん)がまたよかった。
心地よくすっと響いてきます。
そして喫茶店シーン。男(大西孝洋さん)と女(宮島千栄さん)さんのシーン。
このシーンはとてもよかった。間、テンポ、しぐさ、表情、雰囲気、流れ、
この二人のやりとりをずっとみていたい。宮島さんの声もいいっ。
役者さん、魅力的な人が多いんです。
全てのシーンにつながるテーマは「地雷」。
そのテーマの持って行きかたがうまくて、説明系の台詞とかもかなり多いんだけど
押し付けという印象は受けず、自然に受け入れられる感じでした。
間とか声の大きさとか語り手の表情とかテンポがいいんでしょうね。
観終わって、地雷についてもう少し知りたいなと思ってたら
パンフに地雷関連用語集があって、帰りの電車でこれずっと読んでました。
舞台を観てたのでかなり知識的に受け入れやすい状況になっていたので、
すっと入ってきましたが、クラスター爆弾や、ボンシング・ベティの説明文を
読んでいると胸が締め付けられる思いです。。
全米ライフル協会が家庭用地雷を売ってたってのは創作だったんですね。。
ラストのだるまさんがころんだの全員揃うシーン。
だるまさんがころんだ、これいろんな地方版があるんですね。
「だるまさんがころんだ」と「ぼんさんがへをこいた」しか
知らなかったですが、いろいろな地方版、いわれてみると
これ全部10文字なんですね。アメリカも10カウント。
確かに。。ラストのこのシーンは、日本語からはじまり、
日本語プラスアルファや、韓国語、英語、フランス語、
などなどいろいろな言葉で展開。この展開も好き。
この舞台、この春にドイツ語で翻訳出版され、5月からは
ソウルで韓国語版が上演予定、英訳出版も予定されてるとのこと。
うん、こういう作品はどんどん広がっていってほしいなと思います。
いい舞台です。値段も当日券3600円です。
31日(月)まで笹塚ファクトリーで。
上演時間:約2時間20分(休憩なし)