2009年10月8日(木)19:00
ニューヨーク・シティ・バレエ (Aプロ)
@オーチャードホール
今回はおけぴスタッフ MEGU のレポでお届けします♪
大型台風が過ぎ去り、晴れて初日を迎えた
ニューヨーク・シティ・バレエ
5年ぶりの来日公演、見てまいりました。
アメリカ人のバレエを本格的に見るの、実は初めてでした。
見てみると・・・とてもダイナミックなんですね。
ロシアやヨーロッパの正統派バレエに比べて大らかというか、
思い切りがいいというか、
伸び伸びとした雰囲気が全体的に感じられました。
プログラムAの演目は以下4作品。
【セレナーデ】
振付:バランシン/音楽:チャイコフスキー
この作品は元々、バランシンが生徒の練習用に振付けたものだそうです。
ストーリー性のない作品です。
という予備知識があったため、ちょっと退屈かも、
なんて思ってたらいやいや、それが、引き込まれてしまいました。
確かに、いかにも練習用って感じの基本的な動きの連続だったり、
衣装も照明もほとんど変化がないのですが、
それなのにボリューム満点です。
総勢20人くらいのコールドバレエの他、パドドゥ、3人、5人など
いろいろなフォーメーションが楽しめるからでしょうか。
クラシックバレエの基本の動きの中に、バランシンならではの
モダンな動きがスパイスのように織り込まれています。
女性陣は全員、薄い水色のシンプルな衣装ですが、
それが少女のように見えたり時には妖艶、
また時には女神に見えたり、
(なぜか)人魚姫に見えたりしました。
あと、髪の毛の使い方が素敵です。
どう素敵かって、、、ここは伏せておきます。
個人的には「仲良し5人組のシーン」(勝手に名づけてみた)
が気に入りました。
5人の女性ダンサーが交互に手つないだり輪になったりして踊る場面です。
音楽はチャイコフスキーの「弦のためのセレナーデ」。
リズミカルな部分としっとりした旋律が
交互に現れ、優美な気分に浸ってしまいました。
【アゴン】
振付:バランシン/音楽:ストラヴィンスキー
これぞバランシンの真骨頂、でしょうか。
前衛的でアグレッシブ、緊張感のある振付です。
この方の振付は幾何学的です。特にこの作品は。
複雑難解な音楽に計算されつくされた動きが張り付いている感じ。
ちなみに「アゴン」とはギリシャ語で「闘争」という意味だそうです。
プログラムによると、パートⅠ、Ⅱ、Ⅲから構成されていて、
さらにそれぞれのパートがいくつかの部分に分かれているのですが、
見ていて、どこからがⅡでどこからがⅢなのか、に気づきませんでした・・・。
でも、そんなことはどうでもいいのです。
不思議な動きの連続に引き込まれている間に
強烈なインパクトを残して彼らは去っていってしまいました。
【チャイコフスキー パ・ド・ドゥ】
振付:バランシン/音楽:チャイコフスキー
クラシックです。ホッとします。でも素敵にバランシンです。
この音楽はチャイコフスキーが白鳥の湖の為に作曲したのですが、
なぜか長い年月の間忘れ去られていたそうで、
バランシンが発掘して振り付けたということです。
パ・ド・ドゥという形式は2人で踊るので、
言うまでもなく2人の息が合ってないとだめなんですが、
私は「息が合う」以上に、相性が合わないと難しいんじゃないかと思います。
そういう意味で今日の2人
(ミーガン・フェアチャイルド&ホアキン・デ・ルス)は
相性が合っているように見えました。微笑ましいくらい。
このミーガンさんというプリンシパル・ダンサー、超愛らしいのです。惚れちゃいました。
余談ですが、パ・ド・ドゥでは途中でそれぞれがソロで踊る部分があり、
特に女性ダンサーのほうはくるくるとターンしまくりな場合がほとんどです。今日のもそうでした。
あれ、何故そんなに回るの?必要?って思うこともあるんですが、
でも、ターンって回ってるほうも気持ちがいいんです。回らせて下さい。
【ウェスト・サイド・ストーリー組曲】
振付:ロビンズ/音楽:バーンスタイン
バレエを見に来てミュージカルが見れるとは思ってもみませんでした。
「ウェスト・サイド・ストーリー」を世に送り出したロビンズがNYCBの為に編成したもので、
7曲で構成されています。どれもこれも、馴染みのメロディーです♪
総勢バレエダンサーのミュージカル、なんとも贅沢ですよね。
しかもウェスト・サイドということであれば、文句無しに楽しいです。そして迫力満点でした。
そうそう、ダンサー達も歌うんです。主要な歌は別の歌手が陰で歌っているのですが、
「COOL」や「AMERICA」の合唱部分はダンサーが歌ってます。これがまた上手なんです。
バレエではなくダンス、なのですが、
やはりちょっとした所にクラシックな動きが入ってたりして、新鮮でした。
この作品は正に、アメリカのバレエ団だからこそ出来る作品。
シャーク団のヒスパニック系登場人物も違和感ないダンサーで
揃えられるのもNYならではではないでしょうか。
最後の曲は「SOMEWHERE BALLET」と題されていて、
これより前の曲までは完全にミュージカル調で、
女性陣はみんなヒールの靴で踊ってたのですが、
最後に突然、衣装がバレエの練習着のような
シンプルな衣装になり、バレエシューズで登場。
ここだけはクラシックバレエ調なのです。
憎いですね~。最後の最後まで楽しませてくれました。
今回の日本公演はこの他、Bプロ、Cプロがあります。
Bプロはコンチェルトづくしのラインアップ、
Cプロは4作品中3作品が日本初演ということで
こちらも断然見たくなってしまいました!!
公演情報はこちら
(Kバレエの宮尾俊太郎さん、浅川紫織さんが観にいらしてました)
レポート:MEGU