監督: ラース・フォン・トリアー
製作: ヴィベク・ウィンドレフ
製作総指揮: ペーター・オールベック・イェンセン
脚本: ラース・フォン・トリアー
撮影: ロビー・ミューラー
振付: ヴィンセント・パターソン
音楽: ビョーク
出演:
ビョーク / セルマ
カトリーヌ・ドヌーヴ / キャシー
デヴィッド・モース / ビル
ピーター・ストーメア / ジェフ
ジャン=マルク・バール / ノーマン
ヴラディカ・コスティック / ジーン
カーラ・セイモア / リンダ
ジョエル・グレイ / オールドリッチ
ヴィンセント・パターソン / サミュエル
ジェリコ・イヴァネク / 地方検事
シオバン・ファロン / ブレンダ
ウド・キア ポーコルニー / 医師
ステラン・スカルスガルド / 医師
【おはなし】
ビョーク演じるセルマは、視力を失いかけていた。工場で働き手術費を貯めていたが、隣家の親父に盗まれてしまう。
【コメントー稀代の冷笑家ー】
ミュージカル映画が苦手だという人の多くは、さっきまで普通に喋っていた者が何故急に歌い踊りだすのか理解できないと言う。 「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を撮ったラース・フォン・トリアーという監督は、その違和感に目をつけた。 ミュージカル嫌いをも納得させるこの秀逸なアイデアを持ちながら、トリアー監督はその妄想を強烈な悲劇に着地させた。 見ていて歯噛みするほどにセルマを取り巻く状況は悪化していく。 徹底した悲劇の積み重ねと人々の悪意でラストシーンまでやってくる。 ところがその後、この監督の過去の作品を続けてビデオレンタルするうちに、どうやら僕はしてやられたのだということに気が付いた。 彼はこれまでの作品で「映画」そのものに、様々な問いかけをしてきた。 世に毒舌家というのがいるが、大抵彼らは毒を笑いに昇華している。 トリアー監督は違う。 セルマの悲劇を目の当たりにし、「こんな負のものを認めては世界が腐る」などと憤慨したものだが、しかしこれほどにちゃんと腹の立つ作品は過去に出会ったことがなかった。 僕はこの監督が嫌いだが、悔しいことに新作は多分また見に行ってしまう。 |