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「ビリーズブートキャンプ基本編」~更生計画シェリーに続け~
ビリー・ブランクス

ビリーズブートキャンプ基本編」

インストラクター: ビリー・ブランクス
生徒: シェリー・ブランクス ほか


【内容】

ビリーのエクササイズを一緒になって行えば、痩せられるというDVD映像。


【コメントー更生計画シェリーに続けー】

※上映時間55分の映像作品として、今回は「ビリーズブートキャンプ」を取り上げてみます。
告白しますと、一番最初は一切動かず、55分間鑑賞してしまいました。


半月ほど前から、おけぴネット管理人の影響を受け、ビリーズブートキャンプに挑戦している。
この4枚組DVDの一枚目、基本編ばかりを一日おきに試す日々。

基本編のみをやっているのは、二枚目の応用編に全くついて行けなかったからである。
筋力も体力も、リズム感も、応用できるほどには発達していなかった。
すぐに踵を返し、その後はずっと基本編住まいである。
まずは基本をこなせるようになろうと思った。

このダイエットグッズが、今までの商品と決定的に異なるのは「運動すること」自体を提唱している点にある。
痩せたいなら動けと、彼は申しておるのである。
運動が嫌だから、いかに楽をして痩せられるかがダイエットの主題であったはずなのに、いや動けば痩せるよと、至極当たり前のことを堂々と打ち出してしまった。
目から鱗。
コロンブスの卵に勝るとも劣らないこの発想に、当初は馬鹿にしていた僕も次第に惹かれるようになってしまった。

DVDをかけると、打ち込みの音楽が耳をつく。
打ち込みとは、楽器で演奏せず、コンピュータで合成する音作りのことである。
打ち込みのクオリティとしては、底辺に位置するであろう浅い作り込み。
チコチコ、ピコピコと安い電子音が軽快なリズムを刻む。
安っぽい曲だからこその楽しさがある。
聞くところによると、ビリー隊長御自らこの曲を作られたとのこと。

元々は空手の選手だったビリー・ブランクス
全米大会連覇など大変な実績を誇り、その後軍隊の中で専属トレーナーとして隊員達を鍛えていたのだそうだ。
想像するに、アメリカ志願兵の若者達にビリー隊長は人気者だったのではなかろうか。
「よーし始めるぞ!」
兵士達は体育館に集められ起立の姿勢。
おもむろに隊長が取り出したるは、カセットデッキ。
再生するとチコチコピコピコと間の抜けた彼自作の曲が流れ出す。
隊員同士、顔を見合わせて笑いをこらえているのをよそに、ブートキャンプは始動する。
兵士達の間で、ビリーのキャラクターは話題になったろう。
「ちょっとあいつおかしいよな」「なんであんなに元気なんだろうな」「結婚してんのかな」
名物講師として、有名人となるのに時間はかからなかったろう。

ビリーが曲にノって喋りだす。まるでラップである。
各運動を丁寧に説明しつつ、気を付けるべきポイントを語る。
55分間、淀みなく喋りっぱなし。
なかなか気持ちのいい声だ。
この語りに引っ張られ、ついつい最後まで完走してしまう。
ちゃんと説明通りにやるのと、見た目の動きだけを模倣するのとでは、運動量に雲泥の差が出る。
力を込めて一つ一つの動きをやりたいのだが、如何せん持久力が足りない。
休み休みで参加させていただいている。

しんどい時に、画面右にいるシェリーは励みになる。
シェリーは金髪の美人。
ビリーもことあるごとにシェリーに近付き、彼女を手本にエクササイズを解説する。
彼女が「hooooo!」と叫ぶ顔のなんと凛々しいことか。
ビリーの後ろで10人ほどの生徒たちが居並んでいるのだが、シェリーは学級委員長の風格である。
彼女のような体型を目指して、皆頑張るのだ。

シェリーはビリーの娘であるらしいが、黒人から白人の子供は生まれない。
黒人の遺伝子は大抵優性遺伝するため、ハーフであっても、髪の毛は縮れ毛で、肌も褐色になる。
シェリーは母親の連れ子であるという事実を聞き、納得すると同時に、このビリーズキャンプ最大の見どころは、ビリーとシェリーの親子関係にあるのだと、一人勝手に解釈をした。
あくまで想像の話だが、シェリーが最初からビリーのことを「お父さん」と呼んだとは思えない。
映画で培った行間読みで、彼らのドラマを想像してみる…。

気の強い少女シェリーは、母親の再婚に反対だった。
ましてや相手は得体の知れないKARATE男。
もっと私を見てよ!
シェリーは母親への愛憎に苦悶し、ビリーへの嫌悪感を日に日に募らせて行った。
親への反発は彼女を非行へと走らせ、また早熟な自立心を芽生えさせた。
ハイスクール時代、ビリーの反対を押し切って校則違反となるアルバイトに勤しんだのは、お金を稼ぐためだけではなかった。
深夜のバーでウェイトレスをする間だけ、シェリーは自分の存在を確認できる気がした。
ビリーが学校に呼ばれ、校長先生に厳重注意を受けていることも知らずに、シェリーは自分勝手に振舞った。
卒業を前に、シェリーは恋人と駆け落ち同然でその町を飛び出した。
ビリーの必死の捜索にも関わらず、とうとうシェリーの行方は掴めなかった。
やがて2年の月日が流れた。
その年のクリスマス。
ビリー夫婦は二人で小さなパーティを開き、ささやかにイブの夜を楽しんでいた。
見上げた壁の額にはシェリーの写真。
二人はこの2年間というもの、心から笑顔になることがなかったのだ。
と、突然、玄関をノックする音が聞こえる。
誰も招待客はいないはずだ。一体、深夜に何者だろう。
ビリーがドアを開けると、そこには変わり果てた姿のシェリーが一人立っていた。
薬に侵されていることは明白だった。
「シェリー!」ビリーは駆け寄り、彼女を抱え上げた。
シェリーがどんな生活をしてきたのか、なぜ戻ってきたのか、ビリーは一切尋ねなかった。
ビリーの看病は愛情と情熱に満ちており、シェリーの身体と心の傷は次第に癒えていった。
翌年の秋、ビリーの誕生日パーティには、たくさんの教え子たちが集まっていた。
若い兵隊たちに飲み物を振舞うシェリーは溌剌としていた。
目を細めてビリーは彼女の姿を見つめていた。
その晩。ポーチでくつろぐビリーのところへシェリーがやって来た。
長い沈黙の後、シェリーはビリーの方へ向き直った。
「お父さん。私、お父さんのお手伝いをしたいの」
ビリーは驚きと喜びにグラスを落としそうになった。
初めてお父さんと呼ばれたことに耳を疑った。
「お父さん。ごめんなさい」
ビリーは鬼教官である我を忘れて、滂沱と涙を流した。
シェリーはビリーの胸に飛び込み、まるで子供のように泣きじゃくった。

そんな訳で。
シェリーは今、僕が見るビリーズブートキャンプの一員として自信満々の表情でエクササイズに取り組んでいる。
と、全くの作り話で補足しつつやるのが楽しい。

ビリーはエクササイズの中で、「自分を変えろ」と言う。
そうだ、僕は変わりたい。
この言葉には弱い。
怠惰な自分を変えたい。
自分を変えるためのエクササイズ。
今までどれだけ自分に甘く生きて来たか知れない。
これが最後のチャンスだ。
そのお手伝いをビリーがしてくれる。
シェリーに続け。

一日置きの「慌てず日程」で気長にやっているのだが、勿論皆勤とはいかない。
一回休んだ場合、二日も間が空いてしまう。
当初の意気込みも日を追うごとに細くなってきているのは、気のせいではないだろう。
このブログでビリーを取り上げたことで、今一度奮起したいと思う。
猛省!


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●2007年08月06日 15:13に投稿された記事です。

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